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[
見つけられた時に空腹で無ければ良い。
私はジェレミーのように飢えに態勢はないのだから
きっとドナルドの血を髄まで啜ってしまう。
ねぇ、
それとも――]
…私も、今日も明日も、君に見つけて欲しいと祈るだろうね
[烏滸がましいと理解及ぶところであっても、
彼に会いたいから。
こうして、当たり前のように傍にいてくれることが、
何よりも尊く、充足足るものであり]
流石に教会も閉まっている頃でしょうから。
[貸切
隣で過ごせるのなら、部屋でも裏路地でも
教会でも、何処でもよかった。
探しているのかも知れない、自分が居ていい場所を。
教会は、最も不釣り合いな場ではあったが]
夜のデートも楽しいですよね、ふふ。
[なるべく明日のことを考えないように、
きつく、きつく指を絡めて何食わぬ顔で笑う。
楽しい思い出で埋め尽くしてしまいたい。
自分が居なくなった後の街が、味気なくなるように。
ドナルドの倖せを願っている癖に、真逆を望んでしまう
千年ちょっと生きてても、こんなへそ曲がりなのだ。
あと千年生きたら、どれだけ歪むのだろう。]
― 教会 ―
あぁ……。
[
白い外観に悪魔の嫌がる装飾ばかり。
神の像は、血の一滴も垂らすことなく
訪れてはいけない、訪れることはない、訪れたくない禁忌の場所]
ええ、フルムーンですからね。
満月の夜は、欠けた時よりも明るく感じる。
[高い穹窿を見上げ、厳かさすら匂わせる神の催事場。
列為す長椅子に座る者は誰ひとりいない。
ステンドグラスを通して七色と果てた光が床を椅子の上を彩る。
ヴァージンロードの緋色があれば尚よかった。
残念だが、夜の無人礼拝堂にそんな期待をしてはいけない]
―October 31, ホテルの客室―
[昨晩は屋根の上でふたりして眠ってしまったはずが、
目覚めて見るとそこはホテルの客室だった。
夜に凍えないよう抱き合う格好のまま、
ベッドの片隅で小さく丸くなって眠っていたようだ。
窓の外を蝙蝠型の風船が飛んで行く。
またハロウィンの朝が来たのだ。
古い柱時計は正常な時間を思い出せないままらしい。
街を駆ける獣の噂は、此処にはまだ届かない。]
ミー…、…‥…Trick or Treat
[まだ眠っているクシャミが菓子を差し出せない事も
そもそも問いかけに答えられない事も知った上で訊ねる。
眠りを妨げないよう気を使った小声で。
もちろん、最初から悪戯するつもりだ。]
[寝かせたままのクシャミの背中を弄り、
翼の付け根を擦る。
肩甲骨から骨が続いているんだろうか。
飛膜は肌とは少し質感が違うようだ。
…従来の好奇心のまま、体のつくりを確かめてゆく。
猫用に服は誂えてるんだろうか。
みたいな事も気になった。
悪戯はクシャミが目覚めるまで続いた。
まだ、自分たちが現世での姿を喪い、
不安定な空間に存在している事には気付かないまま。
穏やかな朝を楽しんでいる。]
ええ、初めてです。
……アレルギーは出ないな
[吊り下げられた聖人と、磔刑の形を眼前に於いても、
吸血鬼ではない今の身体には、なんの変化も起こらず]
神など信じていない。救済なんてない、
……そんな私でも、祈ればなにかに通じるのかな。
[ドナルドの手をやんわりと離し、祭壇の前で片膝をつく。
四方に散らばったムーンライト。
取り分け一番明るい場所で両手を組み、眼瞼を伏せた
祈らなければ。
明日にはハロウィンが畢っていることを。
線香花火の散る間に、愛しい彼が多幸であってくれと。]
メモを貼った。
―5度目のハロウィン―
[ホテルの部屋。
睡眠はきっと必要の無い身体。
眠っていたかどうかもわからないけれど、気持ちの問題なのだろう。
少しだけ横になっていた。
眠気も、無かったけれど。
昨夜のキリシマさんの言葉が、ちりちりと胸を焦がす。
くすくすと笑って、どういたしまして、と。
そうして、昨晩は彼の店を出た。
溢れそうになったものを見せないように、もう、沢山沢山溢した後だと本当は気付いていても、本当のたった一言だけは、告げずにいた。]
メモを貼った。
メモを貼った。
[身体を起こし、見やる窓の外。
ハロウィンの景色に異変を感じる。
…何が。
[起きているのか。
困惑していれば、景色が徐々に日常を取り戻していくのが見えただろう。
僕は何もできないまま、何が起こったのかも理解できないまま。]
メモを貼った。
[どうすべきか迷って、思い付いたのは沖元さんの事。
この街で、自分の感じた一番状況を理解している人物を探すべきか。
同時に、これはキリシマさんの言っていたループの終わる目処。
それが、この異変かもしれないとも、思った。]
メモを貼った。
[今宵は満月
そうして夜の空に思いを馳せたことがあっただろうか。
改めて思う、闇の中を生きる彼と、闇の中で眠る自らの違いを。
手が離れ
男も一歩下がったその場所で、軽く目を伏せる。]
通じんじゃねぇか?
[その言葉は幾分軽く。けれど、]
俺も祈るよ。
ニコラエの言葉が届くように。
[敬虔な信者ではない。祈りの言葉も知らない。
ただ、彼が祈るなら、その願いが神にすら届くように。
ヴァンパイアと人間が想いを通わせたくらいだ、神の御心は狭量でないだろうと勝手に決めつけながらも。]
……ただなぁ。
[祈りを捧げる時間は、極端に少ない。
ニコラエの邪魔にならぬようにとも思いながらも、ぽつりと声を落とす。]
俺は……誓いてぇんだよな。
[もしニコラエの祈りが己のものと違うとしても
それだけは譲りたくはなかった。
ここには緋色の絨毯も、ブーケも、舞う花も、見守る人も。
何もないけれど。
一歩前に出て、視線はニコラエに向けぬまま。]
……キスしても、いいですか。
[その意に、この場所と縁遠い彼は気がつくだろうか。
今更に照れて、言葉が敬語に戻ってしまったが]
メモを貼った。
メモを貼った。
……通じるといいな。
君が一緒に祈ってくれるなら、どんな大業も為せそう、
[
だから、眼を伏せたまま頭に浮かばせようと。
何を祈ればいいか、なんて。
わかりきっているし、願おうとしている。
けれど、拒絶してしまう我儘な悪しきココロが在った。]
………
[譬えば、彼がこの先誰の手を取るのだろうとか
その時彼は、今のように笑っているのだろうか、とか。
想像が出来ない。
だって、路上でも薬店でも、己に見せる飾り気ない笑顔を
他人に向けていないのだから。]
[悩んでいるうちに、物音立たずとも
ドナルドが動いた
ひとりならば、願えるものもあるかも知れない。
彼と二人では、無理なのかも。
だって、どう頑張っても無理だ。
その手で、その唇で、他人を愛してほしいなどと。
誓う方がいいと告げる声が響き、膝を浮かせる。
像の方を見上げ、視線を交わらせないドナルドの横顔。
真っ直ぐに先を見据える緋色を、見詰めていたが]
……誓う?
[次に会う時は今よりもっと良い男になってるだとか、
伝説の教師を目指すとか。
そんなことを誓われたら笑ってしまいかねない。
だって、今でも充分彼は素敵だし、いい先生だと思うから。]
……――― 、
[だから、何故口づけを突如願われたか分からず。
心なしか目許が緋く見えるドナルドに、首を傾げさせ。
いいよ、とあっさり望んでしまいそうになる口を閉ざし、
その意味を、暫し無言で考える。
そういえば教会は、式を挙げる場所でもあった筈だ。
死後の嘆きと、誕生の喜びと、永遠の愛を誓う場所。]
………… 私を、倖せにしてくれると?
神の前で約束?
[これ以上幸福を貰ったら、死んでしまいそうだ。
ぽっくりと、あっさりと。]
─ October 31, ホテルの客室 ─
[身を寄せ合って、温もりの中で楽しい夢を見ていたような気がする。
それがゆっくりと溶けて、グレッグの姿になって。
「Trick or Treat」
なんだか背中が擽ったくて、眠ったままで身動いで、翼をパタパタと羽ばたかせる。
意識が漸く浮上したのは、グレッグが、ちょっと不思議な服の構造に首を傾げている頃か。]
ん、にゃ
……ぁ、れ?
[目を開けると、そこは何故か、屋根の上ではなく、柔らかなベッドの中だった。]
グレ、ッグ……?
[昨夜、一緒に魔女の家の屋根に登ったはずなのに。
何でここにいるのだろう。]
【見】 手妻師 華月斎[扉の閉まる音を聞いた後、そっと窓辺の水差しに寄る。 (@37) 2014/10/29(Wed) 22時頃 |
[ぴこりと耳を揺らし、グレッグの腕の中におさまったままで辺りを見回せば、ここはグレッグの宿泊しているホテルのようだった。
どうやってここに戻ったのかは、まったく覚えていない。
けれど、外から聞こえてくる「Trick or Treat」の歌に、時がまたループしたのだということが分かった。]
……なー、グレッグ…………
約束、覚えてるか……?
[時間はまた巻き戻ったけれど、約束は変わっていないはず。
それを確かめるかのように、まだ半分寝惚けた瞳で、ゆるやかに笑いながら問いかけた。
翼はやっぱり擽ったくて、ぱたり、ぱたりと動いたまま。]
メモを貼った。
[男の横で立ち上がる、ニコラエの視線がこちらに向いている
落ちた沈黙が、恥じらいをさらに加速させた。
それでも、言葉にしたことを撤回はしない。
そろりと瞳だけ動かして彼を伺えば
疑問符を付けた言葉が返って来て
ッ、あああああ…………
言わせるな、初めてなんだよ、
[余計に目元を赤らめながらも、響かせるのは粗暴な言葉。
我慢ができずに身体を捻ってニコラエに向き直る。
彼もまた身体ごとこちらを向くようにと、肩に手を添えて]
—— 俺と幸せに、なってくれませんか。
[種族も違う、生活も、何もかもが違っても
求める先に救いはあるのではないか。
男はそう信じて、顔をニコラエへ近づける。
唇が触れる、後少しの距離はまだ埋めぬまま]
ニコラエ。
[愛しいその名を、呼んで]
[赤いというよりは茹で蛸のよう。
目尻も頬も赤い。
その色は己の最も求む色合いだ。
動揺滲む表情も、悪戯心を唆る、好ましい貌。
どれもこれも、愛しくてくるしい。]
初めてじゃなかったら、
歳甲斐もなく嫉妬してしまいそうだ
、 ―― しようか
[ドナルドがなにかをくれるなら、
同じ重さのものを。
なにかを明かしてくれるなら、
同じ重さの提示を。
君が誓ってくれるのなら、 ―――]
[色づいた目許に指を伸ばし、微笑んで。
倖せを誘う、誓詞に眼を細めさせ
自然と白い顔に赤みが注す。
ステンドグラスの赤が原因ではない
心臓がこんなにも、揺さぶられているのだから
対面させられれば、唇が震えてしまう。
愛しくて、その先に希望を見てしまって、]
Sigur ca da.
勿論、という意味だよ。
[ Te iubesc din toata inima. ]
私、は……
私は、 … 君が欲しいんだ、ドナルド、……、
[何が一番倖せであるか、
そこに彼が居てくれること。
思わず笑気を誘わてしまう、
やんちゃな笑顔を向けてくれること。
冷め切ったこの躯に、
暖かさを与えてくれるということ。
彼が生きているということ。
私を見ている、ということ。]
―――…君が居てくれれば、 それだけで、倖せなのに
それ以上のなにを、私にくれるというの
[それ以上はもう、口に出せず。
直ぐ近くに感じる呼気を預かるように眼を伏せ。
そっと彼の背に腕を回し、熱を求めるように唇を寄せた]
もう起きちゃったのか…おはよう。
[翼を弄っていた手が、
クシャミの身動ぎを感じて一度止まる。
寝起きで焦点の緩い金の瞳を見つめると、
胸の底に、じわりと疼くような甘さが芽生える。
狂った時間に無理矢理また同じ朝に引き戻されても、
芽吹いた感情は摘み取られてはいなかった。]
忘れるわけないだろう?
ミーは、俺の猫になる。そういう約束の約束。
…ハロウィンが終わっても。
[ぱたぱたと控えめに羽ばたく翼を解放すると、
昨日そうしていたように強く抱きしめて
伸ばした足を絡ませながら頬にキスをする。]
【見】 手妻師 華月斎―街へ― (@38) 2014/10/29(Wed) 22時半頃 |
[ひとまずは、街へ。
幽霊モドキだから飛べるんだと気付かされたので、、少し上空から街を見渡す。
と、視界に見付けた、つい先ほど思い描いた人物。
『沖元さーん!』
[幽霊モドキライフを楽しんでみよう。
つまりは、折角なので驚かせてみようと。
彼の話しかけている露天商の真横へと、ふわーっと、降りていってみたりして。]
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