22 共犯者
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記者 イアンは、メモを貼った。
2010/08/11(Wed) 01時半頃
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―深夜の森>>60― [ 離した唇から、ハ、と熱い吐息を零す。 向き合う月の双瞳は黄金いろの燠火。 枷を外すように、イアンの衣服を一枚ずつゆっくり剥ぎ取り、地面に落としていく。]
(61) 2010/08/11(Wed) 01時半頃
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それだけ言いたかった?
許さなくていいと思うなら、罵る言葉を待ちなさい
君を怒るか、許すか、無視するか、話をするか
そいつを判断するのは、私だ
[まぁ、彼が何をしたのか、私にはわからないのだから
許すも許さないも、ないんだ
だから、何かする気も、言う気もなかったのに
この声を聞くと、なんだか…――――
こんな言葉を綴る必要があるような、気がした
この人、だれだっけ]
まぁ、いいや
私は、なんとも思ってない
だから、私の事は気にするな
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― 朝の森 ― [向けられた眼差しで意識できる程度に身体が震えてくるのがわかる。 此処で襲われることはないとはわかっているし、月光の加護のない今、昨晩よりは神性が薄れている。 それでもやっぱり… 理屈抜きで彼は怖い。]
御使い様にお褒めに預かって光栄です。 それが此処までわたしを残してくれた理由… と考えていいのかな?
[少しでも軽口を叩いていないと心が折れそう。 でも、わたしは記者さんのように信奉者になることはないし…テッドやオスカーのように御使いを憎むこともきっとない。
一定のルールにのっとったゲームにすぎないのだから。 負けたヒトに何も言う権利はない。 勝利条件はそれぞれだけど、わたしに取っては残ること。 知ることがそれになる。]
少しはハンデをくれてもいいと思うんですけど、か弱い女の子相手なんですし。
・・・でも、いいです。 わたしも、そう簡単に負けませんよ。御使い様?
(62) 2010/08/11(Wed) 01時半頃
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−深夜の森:>>61−
[己の殻、或いは薄膜のように巻き付く衣服を剥がされる感覚に抵抗する理由など、何ひとつ存在しない。]
……あなた。
[鍛えられていない、理性の枷に飼い馴らされた膚を曝して、「御使い様」たる彼の肉体の中でびくりと身を動かした。脳が痺れる心地と、全身の血が皮膚を熔かして己の肉をぐちゃぐちゃに崩しそうな錯覚が襲ってきて、イアンは思わず「かれ」の肉体に縋り付いた。]
(63) 2010/08/11(Wed) 02時頃
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記者 イアンは、メモを貼った。
2010/08/11(Wed) 02時頃
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>>59 内容がわからないからハッキリ答えられないけど…。
御使い様は寿命で死なないのかもしれない。 でも人間はドンドン変わるものです。 昔に価値があっても今はなくなっていることだってあります。
だから古いもの、用のないものは破棄したい… 廃するとも限ったわけでもないです。 わたしはイアンさんと別の意味で御使い様に興味があるから。
反対した人も賛成した人ももういません。 村のご老人達も跡継ぎを失って右往左往してることでしょう。 わたしが自分で自分の好きな未来を作っても誰も文句は言わないと思いますよ。
(64) 2010/08/11(Wed) 02時頃
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−朝の森−
[「かれ」とミッシェルが対峙するその場に、イアンもまた姿を現した。
ひとりは、イアンを狂わせる者。 ひとりは、イアンに正気の世界を思い出させる者。
ふたりの姿に、声に、彼は目を凝らし、耳を傾けることにした。]
(65) 2010/08/11(Wed) 02時頃
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―朝の森>>62>>64― [ ミッシェルの「宣戦布告」を耳にした途端、笑みが深くなった。 つい先程までの不快が滲んだものではなく、自然に綻ぶような、喜ばしい笑いだ。]
なるほど。 それがお前の答えか。
であれば、先の質問にふたつだけ答えよう。 ハンデという訳ではないが、憎悪と敵意に目を曇らせず道を探し出そうとする意欲に敬意を表して。
(66) 2010/08/11(Wed) 02時頃
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俺はこの森に「還って来た」。 おそらくはこれが我らにとって最後の儀式となろう。
――これで満足か?**
(67) 2010/08/11(Wed) 02時頃
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― 朝の森 ― [笑いが変わった…? 村に居た時を含め始めて見た表情だ。 敵意が薄れた気はするのに怖さは深くなったように思える。]
還ってきた… これが最後…。
ええ、ありがとうございます。それで十分です。 何とか期待に添えるように頑張ってみますね。
[あまりもらえると思っていない回答をもらえてしまったのだから、彼に聞けるのは此処まで。 それ以上を望むのは我儘がすぎるだろう。これは対等のゲームなんだから。]
(68) 2010/08/11(Wed) 02時半頃
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―深夜の森>>63― [ 縋りつくイアンの身体はのっぺりと平らかで、同じく細(ほそ)やかでありながら野生の、引き絞られた弓の如き『それ』の肢体とはまるで異なる。 けれども『それ』は厭わず受け止め、身体のくぼみにすっぽりと包み込む。 そして、下生えの草叢の上にイアンを横たえると、彼の狂熱を受け取るように膚を重ね合わせた。**]
(69) 2010/08/11(Wed) 02時半頃
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―回想・歌声の森―
本当の俺…か。
そうだな、
もし、全て終わったら―――。
旅の途中に、話していこうか。
[彼女の手から、優しさが感じられる。
彼女を信じたい。もう裏切りたくない。]
ああ、俺も一緒に行きたい。
マーゴと一緒に行けると、いいよな。
[そう言って彼女に微笑みかけただろう。]
―埋葬の森―
[自分の肉体に近づく同胞の姿が。
やがて彼は、ヘクターの肉を裂き、
臓物を引き出し、自らの中に摂り込み始める。]
ああ……。
ヴェスパ…タイン…。
[彼と共に在る事ができる喜び故か、
これで彼と二度と同胞として
言葉を交わす事が出来ない事を再認識した悲しみか。]
アンタ…死肉は嫌いだろうに……。
[ヘクターの魂と肉体は離れた筈なのに、
彼と一体となる感覚が流れ込んでくる。
それは一種のトランス状態か、
自分の肉体が損なわれる度に心地良い痛みが襲う。
それは彼の力を同胞に移す儀式か。]
……ありがとな。
ヴェスパタイン。
[俺の血肉と魂はアンタと共に。
そう礼を言うと、暫く彼の背中の後ろに寄り添っていた。]
―森の中―
[ヘクターの「御使い様」の力は
同胞に肉として取り込み、引き継がれ、
彼は徐々に「人」になりつつある。
今は、この儀式を終まで見守る事が
御使い様である彼の、最後の仕事であった。]**
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−深夜の森>>69−
[隆起と陥没のある肉体が、己の肉体の上に重なった。 背中に草の感覚がちくりと刺さる。それはまるで彼に与えられた性的な刺激の如く感じられていた。]
ああ……あなた。
[息を吐き、何かを解放するかのように微笑むと、黄金色の炎を帯びたような「かれ」の双眸を見つめた。
脚の付け根にある茂みの奥から、肉塊がその身を大きく乗り出し、無遠慮に唾液を垂れ流している。]
……すみません。酷い状態で。 悦楽というものに、私はおおよそ不慣れなのです。
[イアンは自嘲的に息を吐き出して笑った**]
(70) 2010/08/11(Wed) 03時頃
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―深夜の森>>70― [ 『それ』は軽く啄ばむ口接けで再びイアンの口を塞ぐと、ヒトのするようにシーと歯擦音を出して沈黙を求めた。 それから軽やかな笑い声を立てながら、彼の硬く張り詰めた肉塊に自分の下腹を摺り寄せた。
時間を掛け、『それ』は――刺激を待ち侘びる欲望の中心には触れず――イアンの全身を丁寧に探った。 手足の指を一本ずつ口に含み、猫に似たざらざらの舌が大きな水音を立てて股の間まで舐(ねぶ)る。 うつ伏せの背に滑る、垂らした髪の毛の先が、何本もの筆で撫でたような感覚を皮膚に呼び起こす。 太腿を掴んだ手を、指先に軽い力を込めながら付け根へと擦り上げる。 まるで、彼の形を己が記憶に刻み付けんとするように。 舐め、摩り、掴み、しゃぶり、イアンの身体で『それ』の舌と唇と指先の触れないところは殆ど無くなっていった。
イアンの血肉は喰らわぬままに、『それ』は彼を貪った。]
(71) 2010/08/11(Wed) 07時半頃
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―深夜の森 >>71―
[「かれ」がイアンに迫るのは沈黙。 制御を失いそうになる口許は、歯を強く噛むことで無理矢理にねじ伏せた。
悦楽と、それを外に漏らしてはならぬという、一見せめぎ合いのようにも見えるその一連の作業は、徐々にその遂行が困難になってゆく。
指先に、腕に、胸に、腰に、生温くざらついた舌の感覚が走り、気まぐれに髪がそれをなぞって遊ぶのだ――熱く強張った下肢の辺りには触れられることのないままに。
イアンの足が藻掻き、がさがさと下草やそれを支える土をかき混ぜる。夜露に濡れた草の匂いが鼻の中に侵入するのを、「ヒトならざる者」に制圧された男は静かに受け止めた。]
(72) 2010/08/11(Wed) 07時半頃
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―朝の森―
[「還ってきた」と告げる「かれ」の横顔を黙って見つめる。そして、「かれ」の言葉に臆することなく立ち向かってみせるミッシェルの横顔も。]
これが最後の儀式――… 全ての命を捧げて終わりになるか、或いは旧い歌にあるように、「夜明けは誰もいない」となるのか。
道を選ぶべきは誰でしょう? ミッシェルさん。貴女が「かれ」の信奉者になれば、物事は全て無事に解決するでしょうけれど……貴女はそうではない。
[ミッシェルの碧色の目を見つめて、首を傾げる。]
……ですよね?**
(73) 2010/08/11(Wed) 08時頃
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―森の中―
[ふと、自分を呼ぶ声が聞こえた。]
―――オスカー?
もう、こっちに来てたのか。
[ああ、同胞が彼を襲ったのか――。]
ホリーの仇…か。
[…いや、俺も彼女の死に関わったのは間違いない。
オスカーの問いに暫く考えると
彼に向き直り、返答をする。]
お前は見事仇を取った。
俺はここでお前にもう一度殺されても、
文句は言えねえ、な。
[そう言って、抵抗しない事を示すかのように
両手をだらりと下げる。
片割れの仇打ち…。
オスカーは既に肉体を失い、還る者となった。
オスカーの巡礼は終わった以上
これ以上この少年に手と心を汚して欲しく無い、
穏かであって欲しいと、願うが――。]**
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―深夜の森>>72― [ 長い長い探索の終わりに、『それ』は胸に腹に紅い花弁を散らしながら徐々に頭を下へと降ろしてゆく。 餓え切って、喘ぐように開いた口から際限なく涎を垂らすそれを見つけると、愉楽に顔を輝かせながら口腔に導き入れた。
熱く濡れたものに自分の身体が包まれていると知った時、イアンはどんな反応を示しただろうか? 柔らかい口唇が吸い、ざらりとした舌が最も敏感な部分に絡みつく。エナメル質の硬くなめらかな感触が触れる。 だが、それは剃刀よりも鋭い牙を具えた、肉を容易に喰い千切り皮膚を裂く顎(あぎと)、なのだ。]
(74) 2010/08/11(Wed) 10時頃
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―朝の森>>73― [ 草を踏み繁みをかき分ける物音から、イアンが自分を追ってきたのには気付いていた筈だが、『それ』はわざわざ振り返るようなことはしなかった。 彼が声を発してはじめて、横目でチラリと見遣る。
――月光の下での一夜の間に、彼は変わったのか。変わらなかったのか。これからどう変わっていくのか。 それは、彼自身もまだ解かってはおらぬことに違いない。]
(75) 2010/08/11(Wed) 10時半頃
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― 朝の森 ― [横からの声ではじめてイアンが来ていたことに気付く。 何時から聞いていたんだろう? 彼の存在が大きすぎて他のものは簡単に紛れてしまう。]
道を選ぶべきは勿論… 貴方です。イアンさん。 勘違いしないで。わたしも彼も選択肢は持っていない。 儀式の結末は決まっている。 彼の信奉者になって解決するものなんかありません。 これは御使い様を森に還すための儀式なんだから。
最後の御使い様を還して契約は満了。再契約も破棄も関係ない話よ。
わたしが選べって言っているのは… 貴方の手で御使い様を還して全てを丸く収めるのか。 それとも、全てを台無しにしても自分の欲求に従うのか 好きな方を選ぶといいって言っているの。 **
(76) 2010/08/11(Wed) 12時頃
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記者 イアンは、メモを貼った。
2010/08/11(Wed) 12時半頃
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−夜の森>>74−
[逞しさとも神秘性とも程遠いイアンの膚に、小さな赤が丁寧に刻み込まれる。何かに縋るように、ヴェスパタインの闇色の髪を指で梳き、宵の空を見上げた。
月がぼんやりと滲み、イアンの視界の中で徐々に大きなものとなってゆく。そしてそれは、彼の中で熱く蠢く悦楽の価値とほぼ同じものであった。]
………っ………は
[「かれ」の顎が、自分の下肢で暴れる肉塊の食らっているのは、すぐに分かった。噛み切られるのは一瞬であろうという恐怖感が背筋を駆け抜けるが、それ以上に快楽に己の身が押し潰されてゆくのを、彼自身が止められる筈も無かった。
それから。 程無くして、イアンの視界の中にある月は元の大きさに戻ってしまった。 荒い息を吐き、彼が信奉する男の手管により吐き出されたものを思い、言いようのない羞恥と悦びの狭間で震えながら、草むらの上で膚を晒したまま、ただじっと横たわっていたのだった**]
(77) 2010/08/11(Wed) 12時半頃
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記者 イアンは、メモを貼った。
2010/08/11(Wed) 12時半頃
記者 イアンは、メモを貼った。
2010/08/11(Wed) 13時頃
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−朝の森:>>76−
これは「御使い様」を森に還す儀式……
[言われて、ふと言葉を止める。 そして、ミッシェルのことを見て、朧げに郷里の婚約者のことを思い出していた。脳が何かに焼かれ焼かれるように、仄かな熱cを帯びてくるのを、イアンは感じていた。]
……「そうなの」? うん、伝承というのは、時代の流れと共にいつの間にか変わるものだともいうし。その時代に合わせて皆勝手なことを言うんだよね。
まったく、皆はその言語の変遷を研究するなんて馬鹿げていてくだらないって言うけれど。 どうして君は皆と一緒になって否定したりはしないの? 相変わらず不思議だね、君は。
[木に凭れて、安らいだような笑みを見せる。だがその目は、ミッシェルの向こう側にある何かを見つめていた。]
(78) 2010/08/11(Wed) 13時頃
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−朝の森−
……ああ、そうだ。 君に渡さなくてはいけないものがあるんだ。
私の帰りが遅くなってしまうかもしれないから、送って貰うように頼んだんだ。君を護ってくれる力を、君にあげるよ。
……今いる場所はね、不思議な力に満ちているんだ。ヒトならざる者の力が未だに生きている森なんだよ。君が幼い頃に一緒に読んだ絵本のような話だろう?
お伽話のように幸せなことばかりではなくて、夜の森は昏くて恐ろしい顔をも持っているけれども。
ああ、いつか君にその写真を見せなくちゃね。 君は私の書く記事にいつも手厳しいから、写真じゃなくちゃ納得してくれないでしょう?
……ちゃんと、届けるから……ね……
[木に凭れていたイアンの身体が、ずるずると崩れ落ちていった**]
(79) 2010/08/11(Wed) 13時頃
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……もう、殺そうだなんて思わないよ。
僕があのまま生きてたら……そう思ったかもしれないけど。
いいんだ。僕は。連れてきてもらったから。
[穏やかな声で語りながら、自身が憎んだミツカイサマ……ヘクターを見つめた。
何か変わったな、というか。
ミツカイサマだと分かる前の――自分にとっては「いつもの」ヘクターに「戻った」な、というか]
でも、お祭が終わって欲しいって……せめて僕の後に続く人がいなければ良いって思ってたのも事実だったからさ。
それは、ちょっと残念かな。
[怒りも悔恨も生者には届かない。
吐き出した息は純粋な諦観に彩られている*]
[たんたんとした言葉がとてもピッパらしい。
たしかに独りよがりだと、自嘲した笑みを浮かべながら、うん、とひとつ頷く]
そだな。
ちゃんと聞くつもりだったけど、やっぱまだまだだなあ……
[ピッパの状態はわからないから。
冷静な言葉はいつもどおりのピッパのように聞こえて]
なんとも思ってない、か。
殴られる覚悟ぐらいしてたけど、うん、気にしてないなら、そのほーがいいよな、きっと。
[へら、と笑って答える。
もしかしたら罵られるより無関心のほうが痛かったかもしれない。
そんな気分になりながら、ピッパをまっすぐに見やり]
まあ俺がピッパのこと気にしないってのは無理だけど。
こんなかたちでもピッパに会えてよかった。
それじゃ、な。
[ひら、と手を振って、ピッパの傍から離れた**]
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