25 花祭 ― 夢と現の狭間で ―
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人
狼
墓
少
霊
全
私の病は、受け継がれるもの
この世のありさまを、壊す
そのために……酷いことを山ほど。
業を返すどころか、増やし続けて
……主さまもおなじ?
[半歩後を手引かれながら
ふわり、雲の上を歩くような心地
柔かで
それで居て物足りないと思うのは
死しても欲が出るものなのか]
一緒に逝けるなら、どれほど良いか
今このように、手を繋いで
何処までも
|
[腰には友から借りたままの白鞘巻。黄泉銀花。 だが剣舞の形なら見知っているという程度で扱えるかといえば。 想像の通りだ]
失礼します。
[内密というのだから、小さく顰めた声を掛ける。 扉を開けば奥の行李に目立つ灯火が置かれていて。 一歩二歩とそちらへ歩く]
(331) 2010/08/08(Sun) 01時半頃
|
お前が犯してきたことは、お前の意思がそうさせたのか。
それとも、病であるからか。
――どちらでも、良いか。
[ふわりと。
応接の間を出て廊下を歩く。今は誰にも見られることはなく。
否。
あちらにいる二人の花には見えたかも知れず]
一緒に逝かないのですか。
辿り着く場所がどこでも。
私はこの手を離すつもりはありませんよ。
[艶の混じる硬質な声。
眉尻は微か下がっている]
…―わがころもでは
つゆにぬれつつ……
[小さく呟く。
りん、と現世が啼く度に
響いて常世もりん、と泣く。囁く歌。]
…… ――――
門下生 一平太は、背後の音に慌てて振り返る。はっと腰に手を伸ばすが。
2010/08/08(Sun) 02時頃
……私はイビセラの花
言ってしまえば病そのもの
今は
人を喰らう力こそ無くとも
[同じ場所、同じ道を通る。
されど現世のひとには見えず]
逝けるでしょうか。
人でなくとも
其の手が私を離さぬなら
[桜の傍らに、ざわめく気配。
冬の色は彼の内]
――
[櫻は
要らぬかどうか答えは無く。
ただ、現世で告げた言葉
彼に届いていなかったのかと、愁い混じる]
[駒鳥と、センターの人間がやってくれば
彼の傍にあった気配はなりを潜め息を殺した]
|
誰っ!?
[勢いがつきすぎたか、緩んでいた結髪が解けた]
約束通り一人で来たんだ。 話を聞かせて!
(344) 2010/08/08(Sun) 02時頃
|
[届く鈴の音。
そちらを一度見て]
思うのならば、今は届かぬほうを思うと良い。
寂しいからですか。
貴方がなくのは。
その鈴の音は、貴方の涙のようです。
[見る視線は生きていた頃と同じ。色はなく。
けれども僧であったものとしての慈悲を浮かべる]
逝ける。
逝けぬなら、私も往かぬまで。
[足を止めて、空を見上げた。
欠けた満月]
ロビン、お前は私の花です。
こちらに来た以上、それはずっと。
お前が厭というまで。
[月の下、花の身に触れて、心の臓が時を止めたのと同じように、かき抱く]
|
高嶺様、じゃなくて。
[その艶をよく浮かべていたのは]
霞の月の…!
[昔語りに落花が使った呼び方。 邦夜の名前にハッとなり、急いで黄泉銀花を構える]
獣はあなたか。 邦夜様に、手を出すな!
[伸びてくる白い手。死にたくない。 舞の時のように、振りかぶる]
(349) 2010/08/08(Sun) 02時頃
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門下生 一平太は、ランタン職人 ヴェスパタインがわらうのを睨みつける。
2010/08/08(Sun) 02時頃
――…ボクの為に、染めた髪
[小さく呟く声、僅か。
これは聞こえぬ方が良い
きっと、彼にとっては]
|
[戻るのだ。迎えてくれた邦夜の元へ。 倒すのだ。獣を。危険なものを。 恨み歌に繋がる月の君を。 そのために振り下ろして]
…えっ…
[掻き消えてゆく存在。 知らされた過去。 何より友の身に降りかかったというのが、思考に停滞をきたす。 その場に硬直して霞月夜を見る]
(356) 2010/08/08(Sun) 02時半頃
|
[鈴の音に、主が声かけるを花は傍で控えている。
主が話すに口を挟むのは――
そう雛鳥に告げたのは、未だ昨夜の事。
足を止めた彼を見ている]
ボクも……法泉さまの花
ずっと
切り捨てられる事は、無い?
[不意に視界が覆われて、腕に擁かれたのだと知る。
頬を胸に摺り寄せて、鍵爪の無い手が背に回る]
厭などと、誰が謂うでしょう
私は主さまの花
人食でも良いと、選んでくださったのは主さま
お傍に置いてください。
共になら、奈落に堕ちても構わない
|
恨んでいた。憎んでいた。 そんな人では、そんな琵琶を鳴らす人ではなかったのにと!
[気づいた時は肩を確りと押さえられ。 振り払おうと身を捩る。灯火に照らされた獣の笑みが近づいてくる]
や…明…。 邦夜――…!
[戻るのだと、その名を呼ぶ。 その声も途切れて。緋色が散った**]
(363) 2010/08/08(Sun) 02時半頃
|
何故切り捨てると?
お前が私の花だという以上は――。
私の花はお前だけだ。
[摺り寄せられる頬。
頬に触れて、その眸は此方を向くのだと、向けさせて]
堕ちるまえにも。
もう一度歌を聴かせておくれ。
お前のその顔で。
私の為に、啼いてほしい。
[笑みを見せて、唇に触れる。
触れる感触は、生きていた頃と同じもの]
[僧の慈悲。
届くのは、こえ。]
……、ないてなどいない。
[――――りん、と
小さな鈴の音。
眉はきつく寄せられて
けれど涙は流さない。
重なるように華月と、朧の会瀬を意識に重ねる。]
[見ている]
[感じている]
[願っている]
―――――朧さま、
……―――華月……
[己をきつく、抱いて。
震える肩、
―――りん、と鈴は鳴るばかり**]
門下生 一平太は、メモを貼った。
2010/08/08(Sun) 02時半頃
[幾人も、花を囲うなら
気に入りが変われば切り捨てられる
習ったこの世の有様は、恐ろしいもの。
なれど]
うたを
……詠いましょう、主さまのために
[頬に触れる手に僅か震えて
冷たい冬色は嬉しそうに細まる]
奏でる曲はお任せします
穏やかな春でも 熱さ溢れる夏でも
実り多き秋も 身引き裂く寒い冬でも
[そっと瞳を閉じる。遠くで鳴る鈴の音も
流れる血の鮮やかさも、今は意識の外に追いやって]
お前の歌は、心地よい。
啼く声と、同じだからかも知れぬ。
[手折った朝のこと。
今は遠く感じられて。
けれども、腕の中にあるのは確かな]
ここでは、少々無粋か。
月の見える場所でと思うたが。
[窓が開けられるのなら部屋にでも、
あちらの騒ぎは僧の耳には僅かに届くだけ。
未練は今ここに。
現世になどないのだから]
――思いの為らぬ秋の歌を。
[そう耳元で告げて、触れる指は優しく。
あの朝とは違う、慈しむ様な口付け。
ないていないと言う鈴の音。
目は向けず、ただ思うだけ。
やはり頑固だと]
ロビンは、駒鳥の名ですから。
[温もりに擁かれ、背伸びをして唇啄ばむ戯れひとつ。
喧騒はそこかしこ
腹に残した種は思うところあれど、花は主の為に咲く]
月の下で……嗚呼
狭間にあっても風流な
[くすくすと、毀れる笑み。
薄灰の、洋装でなく着物を纏うて
耳元囁く言葉に震える]
――思いは、為らぬのですか
[柔かな肌を慈しむ指に、唇に
短く、切ない吐息を漏らした]
秋には様々な色がある。
お前の声に合うものを探すと、そうなった。
冬でも良いが、冬では寂しすぎる。
物悲しいくらいが、ちょうど良い。
[月の見える廊下。
庭を前にふわりと腰を降ろす]
風流だというなら、ここでも良いか。
[膝の上に花を抱き寄せる。首元の合せを緩く、その白い首筋へと触れて]
[欠けた月のした
人は二人を見ること能ず]
それでは、あきさめのうたを
主さまが望むままに
[膝の上に乗れば、見上げずとも唇が触れる距離
薄灰の、着物の上でなく直に触れた指
感触は確かにあって、思わず息を呑む。
身じろぎ、両の手が縋るように着物の両袖を引いた]
門下生 一平太は、メモを貼った。
2010/08/08(Sun) 03時半頃
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