人狼議事


7 百合心中

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 でもね。私は思うの。
 リンダと私はお互いを必要としていた。
 だから 会えたのは必然なんだって。
 思えば、小さな桜ヶ丘で出会えたのも、
 或いは大きなこの世界で出会えたのも、
 奇跡であり、偶然であり、必然だった。

 運命が定めた、出逢い。
 きっと生まれたとき、ううん、もっともっと昔から
 私とリンダは出逢う運命だったのだと、そう思う。


 悲しい世界に生きて、しまった。
 世界が崩れていく音を聴きながら、
 貴女と過ごした時間の全てが、幸せだけだったとは謂えない。
 不安もあった。恐怖もあった。
 …何よりもリンダを失うことが怖かった。

 現実に、なって、しまったね。
 置いていくのは、一人でいくのは怖いと思ってた。
 だけれど、置いていかれたのは、一人で残されたのは
 予想以上に、怖くて、寂しくて、つらかった。
 きっとリンダも。先立ったリンダもつらかったね。
 やっぱり。離れている時間は、かなしいわ。


 リンダが生きている音を聴かせてくれないから、
 私はずっとずっと、耳を澄ませていたように思う。
 私は、ずっと身を寄せていたように思う。
 そうしていればリンダの心音がいつか聞こえるようになって
 息吹きが聞こえるようになって、
 リンダの胸が上下して、
 リンダがそっと手を伸ばしてくれて、
 そしてリンダはいつものように笑んで私を撫でてくれる。
 そんな期待を。していたの。


 分かっていたのよ?
 もうすぐ、会えるのだ、と。
 私がLiliumに感染しているのは明らかだった。
 でもほんの束の間すら、貴女と離れているのがつらかった。
 早く、逝きたいと、そう希った私は、
 神様に罰を受けても仕方ないのかもしれない。
 でもね、神様に一つだけお願いするわ。
 私の目を、耳を、声帯を、小指を、何を奪ってもいい。
 目や耳がなくても感触が残る。
 声帯が切られても笑むことは出来る。
 小指から血が流れても後九本残る。
 だけど、リンダという存在だけは奪わないで。
 リンダを失ってしまったら、私にはもう、何も残らないのだから。


 そして私は今、"此処"に居るわ。
 貴女の為に。貴女に逢うという必然がゆえに。

 愛するリンダ。世界で誰よりも大好きなリンダ。
 生まれ変わっても、きっとすぐに出逢えるの。
 そして、すぐに愛し合うわ。

 何度廻っても、逢えると決まっているから。
 何度廻っても、傍にいるから。


 私という存在は、
 幾ら輪廻を繰り返しても、
 動物になっても、花になっても、
 リンダを幸せにするために、
 生きると、決まっているの。

 シンデレラの靴はないけど、
 リンダは私を見つけてくれると信じて、ううん、確信してる。

 ねえ。お願い。

 もう一度、あなたの声で。
 愛してる、と、聴かせて下さい。

 …待ってる。


              リンダだけの、イリスより。


[弾ける泡を茫然と見遣る。
 どれくらいの間、無くなった空間を見つめていたろう。
 唐突に名を呼ばれ、びく、と大きく震えた。]

 …

[ゆっくりとメアリーへ視線を向ける。
 無機質にも感じられる問い掛けに()
 すぐには返答できず、黙り込んだ。]

 ―――ぅ

[漸く発した音は
 伏せた顔が漏らす、小さな弱音。
 幾度も繰り返せば、望む『if』が見られるだろうか。]


[もう一度―――。
 欲望は指先に伝い、紅を象ろうとする。
 幾度も繰り返し見る、幻。
 その先に二人の永遠が在る筈。
 きっと壊れていく世界では無い、幻。]


 『もう』


[願いを指先に乗せ、
 現実から逃れようとした瞬間だった。
 にゃあ、と鳴き声を発する感触が、足に触れる。]


[触れる感触の正体は、一匹の黒猫。
 恐らくは泣くと同時に銜えた物を落としたのだろう。
 封筒が其処には一つ、落ちていた。]

 ……?

[緩く、首を傾ぐ。
 黒猫は此方を見上げている。
 ぶつかる、視線。]


[音の無いまま、見詰め合う一人と、一匹。]


[どれくらいの間、対峙したろうか。
 一向に眸を逸らさず、動かない黒猫。
 眉を寄せ、そっと屈み込む。]

 ぅ?
 ……ぇ ぁ

[語りかける言葉は歪。
 黒猫の頭を撫ぜようと右手の指先が伸びる。
 左手は手紙を拾い上げ、]

 ……

[表、裏、とまじまじ、見つめる。]


[どうやら宛名も差出人も記述されて居ない様子。
 どうしたものかと
 もう一度黒猫へ視線を向けると、
 相変わらず、此方をじっと窺っている。]

 ……ん

[自分宛、なのだろうか。
 なんだか二つの小さな眸がそう訴えているように見えて。
 何故自分宛に、と思いながらも
 かさり、封筒を開き]



[紙を取り出し、広げてみる。]












[見つめ。
 視線は上から下へゆるやかに。

 紙を持つ指先に僅か、力が篭り。]





[やがて口許に浮かぶ、微笑]
[細めた眸の端に涙が滲み]



[ぽろぽろ]
[零れ出したかと思えば]


[下唇を噛んで俯いて]
[掌がきゅうっと封筒を抱きしめる]



 ひ――――っ
 ぅ  っぅ ぅぅぅ…

[漏れる嗚咽]

 ぅぅぁ

[其れはまるで幼子のように]

 ぁぁぁぁぁぁぁぁ

[歪な声は
 抑制されるもの無く溢れるばかり]



 ぁぃぁぃ…

[縺れる唇]

 ぁぃぁぃ!

[何度繰り返しても]

 ぁぃぁぃ!!!

[絡みつく音は]

 逢いたい――――!!!

[やがて強い思いと共に
 確かな足取りの、音へと変わる。]


[は、は、は――っ。
 言葉の後に続く、荒い呼吸。
 胸元と、口を押さえる。

 黒猫は弾かれるように駆け出して行く。]


 あ


[大きく眸を見開いて、
 その後を追って駆け出した。]


[駆けながらも、
 顔だけを後方のメアリーへ向けて]

 
 ありがとう!


[名残惜しそうな表情が
 大きな声で、残して言った言葉。
 ずうっと引っ掛かっていた、彼女の言葉に対して()。
 
 黒猫を追う姿は、やがて聖堂へと至るだろうか。]


――白亜の城・一室――

[彼女の私にだけ狂ってとの言葉は、何て甘美なんだろう――。

永遠に一緒にいると誓って、共にこの世界の門を潜ったけど。
永遠に彼女のモノとなった気持ちで一杯となり。

狂おしい程の快楽の果て、目覚めれば――…]

 んっ……
 あみこんでいる、の……?

[頬にされたキスの擽ったさに、うっすらと蒼みを帯びた虹彩の眸を半開きにして微笑み。
その半眼が映したのは、愛しい彼女の姿と女の髪と彼女の髪が編み合わされて一つになっている様]

 いっしょ、ね?

[溢れる程の笑顔で彼女に告げた] 


メモを貼った。


メモを貼った。


メモを貼った。


[自分の金の髪と、彼女の濡羽色の髪を編みこめば、
対照的な金と黒が混じり、一つになる様が嬉しくて。
その口元には自然と笑みが浮かぶ。]

 おはよ。
 子供みたい…だよね?
 髪まで一つになりたいって……。

[手を離せば、さらりと解けて、
混じり合う金と黒はそれぞれに戻っていく。]

 うん、一緒。

[笑顔を浮かべる彼女に、キスを一つ贈り、
ふわりと微笑んだ。]


メモを貼った。


メモを貼った。


 子供みたい、なんだけど。
 髪まで一つになれたなんて、とても満ち足りる感じ。

[さらり解けて金と黒が混じり合う様からそれぞれへと戻るのを名残惜しそうに見送り。
キスを一つ贈られると、嬉しそうにそのキスを啄ばんで。

そんなじゃれあいは女には好ましく、何時までもこの場で彼女と触れ合っていたいと想う、も。]

 ん、ねぇ……
 グロリア、お風呂みたいな場所があればいいんだけど。

 どこか水浴びできる場所……探そ?

 それに、あの広間の螺旋階段の上に行き過ぎるのは危険だけど……他の場所も少し見てみたい。

[甘えるように、身体を摺り寄せて]


[啄ばむようなキスを繰り返しながら、もう一度…とその身体に覆いかぶさろうとして、
掛けられた声に身体を止めて。]

 ……む。
 お風呂、か。さすがにべとべとしちゃうものね。

[ずっとこんな事ばかりしてるから、と小声で付け加えて。]

 一緒に入っても良いって、約束してくれるなら……探す。

[と、子供のように謂って。
甘えるように摺り寄せられた身体をぎゅ…と抱きしめた。]


メモを貼った。


[もう一度とばかりに、再び覆いかぶさろうとする彼女に。
流石に身体は先ほどの狂おしい程の壊れる程の快楽で、疲れ果てていて。

今は駄目、と制する]

 うん……。
 あっ、もうそんな……莫迦ぁ……

[ずっとこんな事ばかりと小声で付け加えられた言葉には頬を赤く染めて]

 一緒に、入るって約束するから。
 ね?

[子供のような事を謂う彼女に、くすり、笑いながら。ぎゅっと抱きしめられれば眸を閉じて暫くその心地よい圧力に身を委ねているだろう。]


[制されて、叱られた子犬のようにしょんぼりと肩を落とし]

 ……じゃあ、キスだけ。
 それもだめ?

[と、上目づかいに見つめた。]

 それなら……うん。探す。

[約束を交わせば、嬉しそうに笑って。
暫くはそのまま抱きしめて。
それからゆるゆると緩慢な動きで、衣服を身に纏うだろうか。]


[子犬のようにしょんぼりとした様、上目に見詰める様はとても可愛らしく愛おしくて。]

 ん、キスなら、いいよ?

[にこっと優しく微笑む。口では仕方無いと謂う雰囲気を帯びて語るも、女もキスをしたい気持ちは一緒で。]

 ありがと……す、き。

[約束するようにキスをして。
ゆるり、彼女の肌を惜しむように離れれば、衣服を身に纏い。この部屋を出る準備を整える]


 キスもだめって謂われたら、本気で拗ねるところだった、かも。

[くすくすと笑いながら、ちゅっと何度かその唇を啄ばんで。
満足したように身を離した。

コートのボタンを留め終えれば、彼女も丁度支度を終えたようで。
す…と右手を差し出し。]

 それじゃ、行こう?
 今度は広間の方とは反対の方へ行ってみる?


 本気で拗ねる処もみたかった、かも?

[くすくす笑む彼女に冗談めかして、何度も啄ばむようなキスをお互いにすれば、女も満足そうな表情を浮かべる。

コートを身に纏い何時もの姿になった彼女が右手を差し出せば、女はその手に指を絡めて握り]

 そう、ね……。
 今度は、広間とは反対の方に向かってみましょう。

[こくり頷き。彼女と確りと手を繋ぎ合って部屋を暫し退去するだろう。]


 あまり恰好悪い処見せるの、いやだよ。
 多分、酷く子供みたいな拗ね方をすると思うから。

[微かに頬を赤く染め、ぷいっとそっぽを向いて]

 ヨーラにはもっと格好好い処、見てほしい、し。

「と、続ける。
繋いだ手を、指を絡ませるように握り直せば、
微かに白百合の香りが漂う廊下へと出て。

広間とは反対方向へと廊下を歩きながら、]

 シャワールームなんて、贅沢は言わないけど。
 せめて汗を流せる泉みたいなところがあると、いいよね。


[微かに頬を染め、ぷいっとそっぽを向く様に、拗ねる彼女も可愛いと思いつつ]

 グロリアの格好がいい処――…
 私にには何時も格好良く映っている、よ?

[此処に着てからも、花の濃密な馨に酔い蒼白となった女を庇ってくれた事、白い花を降らせる広間の螺旋階段からこの場に導いてくれた事を想って。

扉を潜り廊下へ出るとほんのりと百合の馨が鼻腔を擽る。]

 そうね、こんなお城だから。シャワールームみたいなのは期待できないけど。
 泉みたいな場所はあると期待したい、わよね。

 これだけ大きなお城だもの、きっとあると思う。


 本当に……?
 貴女に想いが通じてから、どんどん子供っぽくなってるような気が、するんだけど……。

[悪い方向にばかり思い当たる節があるのか。繋いでいない方の手を口元に寄せると、小さく呻る。
微かに鼻腔を擽る花の香りに、螺旋階段での彼女を思い出して。]

 ああ、そうだ。具合が悪くなった時は、早めに謂う事。
 あの時みたいに、無理しちゃだめだから、ね?

[貴女は無理をするから…と、心配を声に含ませる。]

 泉で水浴びする貴女は、きっと綺麗だろうな。
 おとぎ話に出てくる、女神みたいで、さ。


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