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確かに・・・。
[
うん。・・・うん。
[そして、長い沈黙。
うん、って聴く準備をしていただけに、中々でない様子に耐え切れない。
・・・泣いていたのに。
泣き笑いになってしまう。
あたしは、トレイルのそういうからかう所は良い所だと思っていた。
それに、我侭な所も、諦め悪いところも、良い所だなって。
全部良い所に思えてしまう。]
メルヤも、トレイルが好きなんだろうな、ってことは分かったよ。
[なんて、涙を拭きつつ笑った。]
……うん
そう、だよね……そうだよね
[小さく呟かれた言葉、続かぬ言葉
彼女が零した涙に、私も小さく零す宝石
パライバトルマリンは悲しみを内包した青]
でも、夢で位は――私達、自由よ
[歩けぬ足、飛べない翼
伸ばせぬ、腕
夢の中なら、願う中くらいなら私達誰よりも自由だもの
ゆめをみたって、いいじゃない?なんて]
……うーん。
何ていうか。ナナオはトレイルのいいとこ、ちゃんと見てるし。
僕は何だろう。
面倒見が良い? 愛想が良い? 人好きしそう? 仔猫拾いそう?
というか天敵みたいな相手の長所、出ないよ。
今さら、というか。口にすることがないや。
(お互い面倒臭いなあ。
今更になって、君に告げる言葉なんて本当に無かったし、会いたくなかったのに腑抜けた顔してるから。)
[良いところを探そうとして、ふと浮かぶのは遠い冬空の下の中。
ずっと撫でてくれていた手は、昨日久方振りに撫でられて冷たくなっていた。
不安を隠すのは、自分本位が主だろう。でもそれが全てじゃないことメルヤは知っている。]
[ケイトリンさんの涙は、とても綺麗で――宝石だった。]
・・・、なんだか、悔しくなってきたな。
[夢でくらい――。
その言葉を聴いて、素直にそう想う。]
・・・もっと、生きたいな。
生きて、我侭言って、好きだって伝えてさ――。
もしフラれたって、きっと――。
[――夢のことを考えると、逆に現実に生きたくなるのはどうしてだろう。
夢なら、幸せ――。
なんだか、それはとても悔しいのだ。
もっと、――時間が欲しかった。現実に、一緒に過ごす時間が。]
[彼は恋を知らない。奇しくもケイトが思ったように、メルヤの精神はアンバランスと言っていいだろう。
ひどく熟達している部分と、ひどく子どものままの部分。
女性同士の、どこか悲しげな恋の話には、耳を傾け、心に留めて置こうと思った。
ふと。思い出されるのは人影は、噂をしている人物だ。
軽々しく話せるものではないため、黙して秘するように目を閉じる。]
メルヤ。
あたしさ。全部、好きだよ。
トレイルのこと。聴いてて、もっと好きになったよ。
[なんて、笑ってみる。
メルヤとトレイルの関係は、メルヤからすれば複雑かもしれない。
けれど、一つもいやなところなんてなかった。]
僕の鼓膜が破れたのかな?
[
その表情は”不本意”といった名が付いた彫刻のようでさえあっただろう。]
[
2人に共通しているのは、素直じゃない所だと思った。]
――あら。フラれたってなんて考えちゃだめよ
楽しいこと考えましょうよ
[願いを持つ事は自由なら。振られたなんてこと考えず
もっと前向きに。もっと自由に
もっと、希望を持って]
生きて、一緒に手を繋いで笑いあって
そうねピクニックをもう一度――…するのもいいかもしれないわ
頬に触れて、その瞳を見つめて
……あの人の羽に触れて
[最後の言葉を零した瞬間、あっしまったと...は固まった
聞いてないわよね、とぎぎぎと緩慢な動作でナナオを伺う...は、冷や汗をたらしている]
じゃあ代わりに猫じゃらしなる?
[おどけた調子で返してみる。
本心では、メルヤがトレイルを嫌ってない。嫌なら本気で逃げれば良いだけの話だ。
不意に鼓膜に甦ったのは、トレイル本人の声だった。
――『何なんだろうな、俺ら』(
それこそ、今さら過ぎるだろう。関係性に名前を付ければ、その関係にだけになる。
だから、いらない。どんな関係かなんて。いらなかったとメルヤは思う。]
面倒な性格してるよ。僕も、トレイルも、ね。
[...は願った。
現在ほのぼのな雰囲気で行われているメルヤやナナオの
――トレイルの思い出話、人物像の話
其れに紛れてきっと私の話題は埋もれるだろうと
唯只管無表情で願ったのだった]
考えちゃうよ。
だってさ。トレイル、モテるじゃん?
[なんて、軽く言ってみる。
メルヤだってさっきそう言っていた気がしたけれど――。
あたしのこと、妹みたいにしか見てなったり――とか。
有り得ると思う。うん。
それでも、良いけれど――。
もし、生きられるなら――さ。
好かれるように、努力してみたいじゃん?
なんて、乙女心。は、話さなかったけれど。
泣いていたけれど――今は、楽しそうだ。]
・・・あの人の、羽?
[と、楽しそうだったナナオはスルーしなかった。]
もしかして、ケイトリンさんの好きな人は・・・。
[分かった、というような顔で。]
ヒナちゃん!
[と笑顔で言ってみた。
ナナオからすれば、羽といえばまずヒナちゃんなのだ。
子守唄を作ったことのある、キルロイさんよりも。]
ううん。
そしたら、あたしも猫になろうかな。
[メルヤにじゃれてさ。
なんて、笑って――。]
そうだね。・・・素直じゃないよ。
あたしも、ね。
そうだね。楽しいこと考えようよ。
抜け道がダメなら、職員の弱味握ってあっちとこっちと行き来出来るようにするとかさ?
[冗談なのか本気なのかで言えば、冗談九割本気一割だった。
メルヤには身体能力の点に置いて、ピエロの男が余りにも常軌を逸してそれの真似をしていたので
一般的成人男性よりもむしろ上だが、本人にその自覚はない。]
フラれるかどうかは、僕にはわからないなぁ
[顔の前で手を振った。]
ピクニックと言っても、中庭だけど…ね。
[
あら、トレイルってもててたんだ!
[...は正直、長年温めていた自分の恋心に気づいたのがつい先日だった為
恋の噂には疎かった
メルヤはそういえば聞き上手。何か相談でもされていたのだろうかと
彼をじーっと見つめていれば……
嗚呼、ナナオはスルーしてくれなかった
というかばっちり聞かれてた。私は穴を掘って其処に埋まりたい
でも告げられた名前が違ったので]
えっ違うわよ?
[と、反射的に答えて...はしまったという顔をした
此の施設で羽を持っている人は、現在知る限りでは2人であるから、して]
あら弱みを握るのはいいわね
其れは試す価値はありそう。若しくは同情をちらつかせるとか
[凄く物騒に脱獄もとい抜けだしの事を考えました
割と本気だから性質が悪いです]
中庭でも良いじゃない
其処に皆が集まれば、中庭だって景色が変わるわ
[楽しい事は、幸せを運ぶ]
何故、あいつがモテるんだろうか。
[こんなにトレイルの話に華を咲かせたことがないため、メルヤは無意識にトレイルの前での雑な口調になりかけていた。
要するに潜在意識での甘えだが、当人は気づいてない。]
そうだね。
……今までいなくなった人で、僕が知ってる限りは…三人、かな?
誰も打ち明けなかったけどね。
そして僕が聞く羽目になる現象をどうにかして欲しい
好みとか聞かれても知らないし、食べ物とか。色とかしか知らないし。
[だんだん、愚痴になってきている。]
[
そっか。
・・・ケイトリンさん。ちょっと、意外かも。
あたしもキルロイさんと、話したことはあるけど。
ね。・・・聴いても良い?
どんなところが、好き?
待って。何で僕が弄ばれる側から開放されないんだい?
[
ナナオは素直だよ。
本人がいなくても、こうして素直に口にしてる。
僕はもっと、何か面倒なんだよ。出会いが遅すぎたんじゃなくて、悪かった。
弱味かぁ。
[タルトちゃんにはせんせーは結構甘い気がする。
ラブレター貰ったらきっと喜ぶだろうなぁとか。
案外あたしにも甘い気がするのだけれど、どうだろう。人によって結構印象が変わるけれど、みんなして嘘つきだって言われているような――。
職員の弱味、というと後は色恋沙汰くらいか。
あとは、食堂のおっちゃんがこの前アルコールを横流ししているって噂を聞いたことがある。
一体どこの誰に流れてるんだろうな、と思ったけれど言わなかった。
ナナオは、結構病院のみんなには感謝しているのだ。]
同情するなら…僕に手錠とか足枷とか……ナナオをこんな風にはしないと思うよ。
ナナオの病状、精神的なものに関係するのかもしれないし
やっぱり脅迫材料を探すほうかなあ…
[ちょっと真面目に考え出す辺りが物騒だった。
何せ手の甲にも突起した鱗がある人間凶器な上に、軽業を使うのだから、病院関係者も気が気では無さそうだ。
むしろ手錠と足枷で済んだことのほうが、奇跡に近い。]
まあね。中庭でも…良かったんだけどね。
[僕はトレイルのせいでほとんど楽しんでません、とはさすがに言えない。]
3人も。へぇ……
[...はそうなのかーとメルヤの話に不思議そうな顔をした
とはいえ、ナナオの挙げたトレイルの良い所を
きっといなくなった3人も、見ていたのだろう
だから惚れたのだろうなとも思った
だとすると――]
貴方ナナオのこと趣味が悪くないかって尋ねて
普通にナナオって見る目あるんじゃないかしら
[と、至極真面目に過去の話をほじくり返した
愚痴の様な話には、同情の目線をおくろう
そうね、割と聞かれても困るわよねと]
[
本人がいないから、だよ。
いたら素直に言えないもん。
いなくていいよーとか言っちゃうし。
・・・少し意地悪とかも、したくなるかもしれない。
好きなんだけど・・・、好きだから、色んな表情見たくてさ。
喜ばそうとすることもあれば、その逆もあると思う。
誰、とは言わないけどね。
彼女たちの面子のために。この話だってここだけの話ってやつだしね。
[
いや、トレイルにナナオは勿体ない。
あと僕は、まあ。色々と、まだ黙っていることあるよ、とだけ言って置くよ…
墓下まで持っていくべきことぐらい、尊重するよ。例え相手が天敵でもね。
[溜め息を長くついた。
要するに彼女たち全員の趣味が悪いと言いたいようだ。]
[肩を叩かれればあっばれてーると...は降参した
意外と言われて、そうかしらと首をゆっくり傾げ
どんな所が好きか、と聞かれれば恥ずかしがって薄く頬を赤に染める
暫し迷った後――]
そうね、絵を描く時の真剣な表情とか
おにぎりを両手でゆっくり食べる様子とか
はにかんだみたいに笑う姿とか
……ううん、それだけじゃない。彼の笑顔はどの笑顔でも可愛いのよね
優しい声に、凛とした眼差しに
私の体調を気遣ってゆっくり歩いてくれたり
タルトのお弁当のリクエストを叶えたり
酔い潰れたメルヤを介抱する際の優しさに
それから――……
[まだまだあるのだが、言い過ぎたと。これでは惚気ではないかと
...は緩慢な動作で口を手で覆った]
[
あたしもそのうちの一人なんだろうか――と思うと、ちょっと寂しいけれど。]
ううん。
トレイルは、ちゃんと助けにきてくれたよ。辛い時にさ。
[
だから好きになってしまったのかもしれない――。
と内心で想った。]
[弱みを考えるナナオ
同情はどうやら使えないとメルヤは一刀両断
確かにそうかと頷く。私は車椅子を用意されたりと拘束はなかったが
2人の状態を見ればさもありなん。情に訴える手段は使えなさそうである]
やはり脅迫の路線ね
[駄目だ、物騒なのが集まって最凶に見える]
……?
[メルヤが何か口ごもる様子には首を緩く傾げたけれど
流石にその理由にたどりつくまでには至らなかったのであった]
ケイト、さりげなく僕の罪状バラさないでくれないかい?
あとそれ、トレイルには言わないでね。本当に。
[
食堂の中年の酒横流し先は、無論メルヤである。]
トレイルは面倒見いいし、大体の人には優しいからね。
いまのは職員の話だよ、ナナオ。
…実際拘束されてるしね。
足枷も外したいけど、また着けるのも面倒だしなあ。
[
動く度に鎖の音がするのは、囚人のような気分だ。]
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