84 戀文村
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本屋 ベネットは、メモを貼った。
2012/03/31(Sat) 21時半頃
[ヨーランダの囁きに首をかしげる]
正直なところはわからない。
…私も同じ立場なら、同じように手を下したかもしれないけれど…
[ダーラにしかわからないというヨーランダに]
そう…だね。
[ヨーランダの秘めた想いをすべて理解はできなかったが、
自分もまた、ヨーランダと共に居ようと決めていた。
こちらを見て笑うヨーランダに]
そうだね、私達にできること…
[村に残る者には平安を、そして、すべての人の安寧を願い続ける。
今のセレストにできるのは、それくらい。
ぽつりとこぼしたヨーランダの呟きには]
見つけるよ、きっと…――。
[同じように空を見上げて答える。ヨーランダへ向ける顔は、いつでも…笑顔。]
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―本屋― [朝から村が慌しかった。 目覚めた場所はソファの上で、くしゅんと小さなくしゃみひとつ 寝台を見遣り、人の姿が無いことに、小さな嘆息。 騒がしい方へと身を向けると、窓の外には軍人の姿がやたらに多い。 そのとき、まだ開けていない扉をたたく音がした]
今開けますよ。
[店開きをしようと、鍵をはずす。 外に居た姿に一瞬身を強張らせたが 部隊が村を出ると知ると、ほっと息を吐いた]
……そうですか。 [漸く、というよりは今更だ。 青年はそう思ったが、口には出さなかった。 流石に軍人相手に言う言葉ではない]
(26) 2012/03/31(Sat) 23時頃
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[別れの言葉に、青年は何時もどおりの微笑みを作った]
もうお会いする事もないでしょうから申し上げておきましょう 私は軍人を嫌悪しておりましたが あなた個人まで嫌ってはおりません。
言われずとも、この村に残る適齢の男なんて 数える程にも残っていませんし 私達の村ですから、私達が何とかします ご心配には及びませんよ。
[突き放すようなものではなく、大勢が知る何時もの笑顔で 去っていく軍人の背を見送った]
……戦争はもうどうしようもない所なんでしょう 戦力温存なんてしてないで、とっとと全軍向かわせれば 赤紙など来なくても済んだかもしれないのに……
[そんな一言を零したのは、彼が去った後に**]
(27) 2012/03/31(Sat) 23時頃
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本屋 ベネットは、メモを貼った。
2012/03/31(Sat) 23時頃
[心を壊した女に、理屈は届かない
届いていたら、最初からこんな事はしていないのだから
しがみつくセレストを抱きしめ、涙を拭われてやっと
自身が泣いていた事に気づいた]
ううん、セレスよりは平気。
ありがとう、優しい子。
……眠る貴方は、綺麗だったわ。
[首を傾げる
それから少しだけ身を屈めてセレストの肩に額を押し付けた]
それに。
生きているより、自由よ。
どうしてだめなの?
どうして。
みんな、まだ全員ではないけれど自由になったわ。
戦争のないところで、幸せじゃないの?
ちがうの?
アタシの考えは、おかしいの?
[ダーラの頭が自身の肩につくことで、漸く頭を撫でることができた]
…自由よりも、不自由でも生きていることのほうが大事だと思う人も…
いるってことじゃないかな。
上手く言えないけれど。
[頭を撫でる。優しく、優しく。]
ダーラの気持ちは分かる。
私も同じ考えだったし、同じ立場なら、同じ結論を出したと思う。
もし、間違いと呼べるものがあるとしたら、
ヤニクの意見を、ヤニクの望みを、聞かなかったことだけ。
…でも、あの時は、時間がなかった。
とにかく、急がないといけない…
ダーラに焦る思いがあったのは見てたから、
分かるよ。
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・・・そうなのかな。 そうだったら、きっといいな。
・・・もうあの手紙はきっと必要ないから、そうだとしたら、私の口から直接伝えたい。 ・・いろいろなものを失ったけど、新しく家族になりたい人がいるんです。
・・・あなたたちの事も、否定しません。私も、母に対しては同じことを思っていたから。
[ダーラの事について知ると、唇を噛んだ]
・・・・私のせいなのかな。
(28) 2012/03/31(Sat) 23時半頃
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大丈夫ですよ、私は生き続けます。 時が経てば、生き残ってすまないと思う事もなくなるかもしれないから。
・・・あの人も、悲しみを抱えてるかもしれないから。それだってなんとかしてあげたいから。・・・あの人を閉じ込めているものから。 もらった時間のおかげで、そう思えそうな気がしています。
[静かに、くすりと笑ってそう言った]
(29) 2012/03/31(Sat) 23時半頃
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…誰が間違っているとか、誰が正しいなんて、
今は誰にも分からないんじゃないかな。
[ダーラの頭を撫でながら。答える]
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― ホレーショーと ―
[重なる揶揄に、膨れて見せるけれど。 頭を撫でた人が、微かに見せる陽気以外の感情を じっと見詰める眼は、拗ねた色はない。]
優しくなれるのは、みんなが優しいから。 それは、貴方を含めてよ。
[否定する人に、更に否定する。]
(30) 2012/04/01(Sun) 00時頃
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……だから、私の方こそ、ありがとう。
[もし、この先、生きていけるとしたら 全ての優しさがあったから。 見送りに対しての礼には、大袈裟ねと、小さく笑って、 そしてホレーショーと別れた。
次に彼の姿を見たのは、見送りの時。 彼に、そしてすべての行く人に、女がかける言葉は変わらない。]
いってらっしゃい。
[それは、再会を望む*言の葉*]
(31) 2012/04/01(Sun) 00時頃
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[存外、というよりは意外なことだった。
男は、戦場というものに対して適性があったらしい。
たとえ自転車がなくとも、メッセンジャーバッグがなくとも。
戦線付近の村にたどり着いた時、そこは既に村の機能がなかった。
転がる人だったもの、朽ちた家。
もうすぐ咲いただろう花のつぼみは痩せて、踏みしだかれていた]
…嫌だねえ。
[すすけた顔の熊のぬいぐるみを手に、小さく呟いた。
そこには、少し前まで確かに人間がいたのだ。
奪い、奪われ、それがただ繰り返されている事実がそこにある。
男に与えられたのは、事後処理の仕事だった。
ともすれば目を覆いたくなるような破片たちを片付けることだった。
嫌だといったところで、仕事から逃げられるわけでもない]
[一つ、二つと積み上げて。
三つ四つ、と扉を閉める。
ひとり離れたところで作業していたせいか、
気がつくとあたりに急ごしらえな同僚の気配はない。
一度戻らないと、あっという間にMIAかも知れないと思った男は
いつもより少しだけ速い足取りで誰かに合流しようと
そう、思ったはずだった]
……?
[一瞬だと、痛みというものは感じないというが
それはどうやらほんとうだったらしい。
背中から、自分の腹に向かって銀色が生えていた。
ゆっくり振り返ると、子供がいた。
少年は、恐怖と憎しみだけで丸い目をいっぱいにして
痩せて汚れたその手で不釣合いなナイフを手にしていた]
……。
[ああ、と。
空気が一つ零れた。
それと一緒に、口元がゆるぼったい笑みを浮かべた。
二歩前に踏み出すと、体から銀色が抜けた。
振り返ったと同時に、今度は逆に腹から背に抜けた。
今度は、ちゃんと痛かった。
少年の吐く殺意を耳にすれば、男はただただ、笑った]
そりゃあ…嫌だよねえ。
[親が子にするように彼の体を両の腕で覆うと
銀色を手にしていた少年の喉が、ひ、と細く音をあげた。
男はゆるく背を撫でて、自分の手には何もないことを示す。
自分も、少年も、誰も彼もが嫌に決まっていた。
戦争なんて、望んでしているわけではない]
──いきなよ。
[腕は解けて、少年の手を取り、やせ細った手を柄から外してやると
ゆら、ゆら、と。少年を追い立てるように手は揺れる。
これでは、冗談じゃなくMIAだと男はただ緩やかに思った。
そんなことを思うより先に、背が踏み荒らされた地にくっついて
小さな足音は文字通り逃げていく。
少しばかり億劫そうに息を吐き出す男の目の前には
広がり続ける青い空]
……いきなよ。
[少年に最早声は届かないけれど。
吐き出した声を再び飲み込むように
大きく息を吸い込んで、ゆるく笑った男はそれっきり───]
[次に目を開けたとき、男は自分の姿を見下ろしていた。
ゆるく笑った口元を見下ろして]
だらしない顔してんねえ。
[ぷ、と小さく噴出した。
自分のことであるのに、自分でないようだった。
羽ばたきの音に視界は空へ向かう。
空に浮かぶ白い鳩]
お迎えかねえ。
[どこへ連れて行ってくれるのだろう。
それとも、今度は神様専属の郵便配達員にでもなれというのだろうか。
まあ、それも悪くない。
そんな風に男はゆるぼったく微笑んで白い鳩の示す先へ]
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・・・行ってきてください。 そして、望むなら、戻ってきてください。
あなたが戻ってきたのなら、他の人達も戻ってくるかもしれないから。 ・・・今は、そう信じたい。
[そう言って、他にも少し会話して彼の後姿を見送る事になるだろう**]
(32) 2012/04/01(Sun) 00時頃
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− 工房 −
[唇を噛んだミッシェルに苦笑しつつ]
あれはダーラが選んだ事だ。 ダーラは残される方より先に逝く方を選んだ。 もしあんたが背負いたいって言うなら。 あんたは新しい家族と一緒に幸せになりな。
[幸せにな、と笑い掛けて。 財布を押し付ける様に渡して工房から去っていく]
(33) 2012/04/01(Sun) 00時頃
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ー 夕方 兵舎 −
[慌ただしく全員の出立の準備が整うと、 がらんとした食堂に皆を集めてグラスを用意する]
一時とは言え、寝食を共にした仲間。 お前達と出会えた事に感謝する。 ……本当なら、お国の為にって言いたいが…。 お前達が本当に護りたい者の為に最期まで戦い抜いて欲しい。
[もう戻れない道。懲罰ものだが、最期だからこそ。 僅かな時を自分を偽らず、 自分と大切な者の為に歩んで欲しいとグラスを掲げた。
一瞬間をおいて1人がグラスを掲げる。 それを合図としてか、瞬く間に全てのグラスが掲げられた]
(34) 2012/04/01(Sun) 00時半頃
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お前達の武運と健闘を祈る。
[一気にグラスを空けて、外で待つ車へと向かう。 外に見送りはいただろうか。 本屋の店主は来ないだろうと判っていたから、 迷惑だろうと思いながらも挨拶をした。 彼ならこの村を、自分達が来る前の 穏やかな村に戻して護ってくれると信じている]
お世話になりました。
[進み出た村長に敬礼で返して車に乗り込んだ。 傾いた陽に照らされた空は禍々しいほど赤い。 流れた命の様なその色に向かって車は行く。 まさに死出の旅路だと、 心で呟きながらも笑みだけは消す事無く、 見送りの村人達に敬礼を送る]
(35) 2012/04/01(Sun) 00時半頃
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さて、誰を地獄に引き摺り込みましょうかね。
[赤い夕焼けの下はそれ以上に血と炎で赤く染まった 大地が広がっているだろう。 その元でどれだけ生きていられるか判らないが。 もうこの色の紙がこの村に、他の村に、誰にも届かずに 済む事を祈りながら、車は戦地へと**]
(36) 2012/04/01(Sun) 00時半頃
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……不自由でも。
本当の不自由を見てもそう、思えるのかしら。
[セレストに撫でられて、少し顔を上げるけれど
こてんと頭はその手に甘えた]
そうね、わからないから苦しいのかも。
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