88 吸血鬼の城 殲滅篇
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……。
[響く男の『声』に、刹那の逡巡。 隻眼は躊躇うように逸らされ、 やがてちいさく、こくりと頷いて]
……わかった。
(72) 2012/05/03(Thu) 17時半頃
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[額に暖かさを感じ、そっと目を閉じた。
アヴァロン伯の言葉を耳にする。
心地よい響きに包まれて、意識が混濁していく。
魔女と疑われ。
異端審問という名の拷問。
言葉も届かず。
赦しを請うても聞き入れられずに。
幾つもの忘れ難き記憶が浮かんでは消えて。
最後に浮かんだのは救済の言葉をくれた女の顔だった。]
―――…。
[目を開けるとそこには女性の顔があった。
何やら様子を窺っているようだが、よく分からない。
どこか懐かしい気がする。
女性が立ち上がるとそれに釣られるように視線を動かし、他にも人がいた事に気づいた。
――知らない人。
知らない場所。
知らない人。
それでも不安もなく、ぼんやりと辺りを見回している**]
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──ッ、
[闇の血の効果は激烈だった。 ジェフリーの声が届いた瞬間、 修復された躯が男の元からとびすさる。
いつのまにか転がっていたレイピアを拾い上げ、 向かってくる男の剣に向け、薙いだ]
(73) 2012/05/03(Thu) 18時頃
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朽ち果てる……。
[女の言葉を、声を落として呟く。
やがて崩れ落ちるであろう自らの肉体を思えば、生への執着が芽生えもするが。
持って生まれた敬虔な心との間でせめぎ合う。]
僕は…………。
[救いを求めるかのように、かつての仲間の姿を求め視線を彷徨わせる。
だが、そこにあるのは救いではなく――…。
より一層自らを苛む事になるのだった。]
[やがて、アヴァロン伯がエリアスの元に赴くのを見れば。
じっとその表情を窺う。
エリアスの選択を受け入れながらも。
自らは決断を下す事が出来ず、ぼんやりとした表情を幾分羨望の眼差しで見つめていた。**]
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…… ……。
[見ろと言われても>>66、やはり視線を向けることはできなかった。 自分を坊っさんと呼んだ陽気な男はもういない。 そう心の中で言い聞かせても、生前と変わらない姿で、血を貪るドナルドの姿を見ると、耐え切れない感情が溢れてしまいそうになるから。]
[息を吐き、脇腹と足にわざと意識を向けた。 揺れる感情を麻痺させるように強い痛みで覆い隠す。]
(74) 2012/05/03(Thu) 18時頃
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お前たちにとっては…それが子になるのか…? その、呪われた犠牲者が。
[あえて「ドナルド」ではなく「犠牲者」と彼を呼ぶ。 目を逸らしても、微かな…命を啜る水音が耳から離れない。>>64 両手を拘束されている為、耳を塞ぐこともできない。]
それは子じゃない。ドナルド様じゃない! ただの…お前の傀儡。 人の形をした魔物で――
[その時だった。信じられない宣告が目の前の男から成されたのは。 あまりにも、あっさりと…夕餉の食事を告げる様な何気ない口調で。]
(75) 2012/05/03(Thu) 18時頃
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「いずれ、貴様もこうなる。」
[神の代行者として殉教…殺される可能性は充分に覚悟をしていた。 魂を抜かれた後の人間が、吸血鬼の魂を入れる器として利用されることも教えられていたし、ドナルドの姿を今もこうして目の当たりにしている。]
[しかし神に仕え聖別する力を持つ自分を眷属として引き入れる事はないと信じきっていた為、意味する内容を理解するまで、少しの時間が必要だった。]
(76) 2012/05/03(Thu) 18時頃
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[遠距離攻撃を得意とする彼の首を狙うには、 剣速、威力ともに十分だったはずだ。 だが、それでもあっさりと払われ>>73驚愕に目を見張る]
お前……!
[最後に見た時は、破片がささりボロボロだったはずなのに、 彼の主と同じく、その傷はどこにも見当たらない。 口元の赤さが、ひどく胸をついた]
剣も……つかえたのか
[汗に濡れる手で剣を構え直し、 ドナルドをしっかりと見据えながら、 目の端でヘクターの姿を捉える]
どけ……。 そもそも私の相手は――あの男だった。
(77) 2012/05/03(Thu) 18時頃
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[やがて、大階段を上り、2階の惨状に足を止めることもなく進むその手には、クラリッサが好んだしなやかな茎と刺をもつ紅薔薇が握られていた。]
謙虚であれ、誠実であれ、礼儀を守れ、 裏切ることなく、欺くことなく、弱者には常に優しく、強者には常に勇ましく、 己の品位を高め、堂々と振る舞い、 民を守る盾となれ、主の敵を討つ矛となれ。
[「北」の塔へと向かう足音が、騎士の誓いを刻む。]
(78) 2012/05/03(Thu) 18時半頃
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[混乱し、絶望に沈みそうになった時、自分の名前を呼ぶ力強い声>>68が聞こえた。]
ジェフリー様… やっぱり…来て…しまったんだ…
[自分を見捨てて逃げてほしかった。 彼単独でヘクターとドナルド…強大な吸血鬼とかつての仲間であった存在を倒すのは至難の業に思える。 それでも、助けが来たことで呪われた運命を切り開くことができるかもしれないと、一縷の希望が生まれてくる。]
(79) 2012/05/03(Thu) 18時半頃
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ジェフリー様!それはドナルド様じゃない……!! この男が生み出した、新しい眷属です…!!
[首を曲げ、腹に力を込めて、できる限りの大声で警告をする。 同時に、何とか影の拘束から抜け出ようと退魔の聖句を小声で唱え始めた。]
(80) 2012/05/03(Thu) 18時半頃
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[熱に浮かされたように上げられる"子"の瞳。 腕から離された口元を指先で拭い、 顎に指をかけて持ち上げ、覗き込む。
潤む瞳に浮かぶ、絆の紅。]
(81) 2012/05/03(Thu) 18時半頃
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[闇の囁きに、"子"が頷く。 逸らされた視線に未だ抑圧はあれど、 拒絶の色は薄い。
満足して頭でも撫でようと手を伸ばしたとき、 螺旋階段から飛び込んでくる姿(>>68)があった。]
………どこまでも無粋な奴だな。
[突き出された刃を躱して、ドナルドがとびすさる。 余撃を避けて自分も一歩下がった。
攻防を眺めながら、 無言で剣先を修道士の首筋に置く。]
(82) 2012/05/03(Thu) 18時半頃
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── 「北」 物見の塔・屋上 ──
[意識して避けてきた場所。 クラリッサが灰となった場所。
人ならぬ身にはわかる「その場所」の前に血盟騎士は立つ。]
(83) 2012/05/03(Thu) 18時半頃
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クラリッサ姫、 あなたと同じ糧をわかちあい、 同じ罪と苦悩を知り──
真にあなたと同じ世界に生きたい。
(84) 2012/05/03(Thu) 18時半頃
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あなたは闇の中の救い、絶望の中の愛。
── どうか、 ご帰還を。
[手にした薔薇を首筋にあてがい、ヘクターがつけた誓約の傷を刺で突いて血を捧げる。]
(85) 2012/05/03(Thu) 18時半頃
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[脅しの言葉は口にしない。
ただ、わかっているだろ、とでも言いたげに 修道士を見下ろし、剣士に視線を投げた**]
(86) 2012/05/03(Thu) 18時半頃
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ホントに無粋な奴が来やがったみたいだぜ…? ゴシュジンさま。
[薄く朱の残った唇で苦笑する。
漆黒のレイピアを構える腕は、 決して本職のように使い慣れてはいないが それなりにさまになったもの]
戦場で武器を失ったら、 あるモン使うしかねーだろ。
[ヘクターを庇う様に足を踏み出したのは、 無意識のもの。
伺うように、『声』を彼に響かせる]
(87) 2012/05/03(Thu) 18時半頃
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[聖句を半ば唱え、諦めずに握りしめたままだった杖がほんのり温かみを帯びてきたと思った瞬間、首元に鋭い剣が突きつけられる>>86
詠唱は中断され、凍りついたように剣をつきつける男の姿を見た。]
(88) 2012/05/03(Thu) 18時半頃
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[そうして紅の露を結んだ薔薇を供え、「南」の塔を振り返る。 風が剣戟の音を伝えていた。
暗い空の下、翻る鋼と金は、あの剣士のもの。 それと渡り合うのは──]
……。
[軽く助走をつけ、ヒューは切り立った盾壁の上に立った。]
(89) 2012/05/03(Thu) 18時半頃
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>>80 ……俺はドナルドだよ、坊っさん。
[ジェフリーに目を向けたまま、 柔らかに苦笑を零す]
呪われた存在でも、 ヒトでなくなっても、
誰に赦されなくても、……生きてる。
[だから痛む。 苦しみに身を捩る。
……だがそれまでは口にしない。 己の主が彼に何をしようとしているのか、 気づいてしまったから]
(90) 2012/05/03(Thu) 18時半頃
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…りょうかい。
[『声』の赦しを得てジェフリーに向き直り]
遊んでもらって、いいそうだぜ。
[地を蹴り、漆黒のレイピアを構えて ジェフリーへと飛び掛った。
一気に間合いを詰めた。 本来は刺突に向いたその刃は闇の血にて補強され、 彼の長剣へと振り下ろされる]
(91) 2012/05/03(Thu) 19時頃
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引く気はないか。 ……ならば、お前が先だ。
[戯言に付き合う気はなかった。 再びドナルドの間合いに入ろうと、足を踏み出し掛け
――ドナルドから向かってきた刃を咄嗟に受け止めて。 激しいぶつかり合いに火花が散った。
この間合なら――。 さっと片手を長剣から離すと、 銀のダガーを彼の腹に突き刺すべく、懐に手をのばした]
(92) 2012/05/03(Thu) 19時頃
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ジェフは、ドナルドに話の続きを促した。
2012/05/03(Thu) 19時頃
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[がきりとした鋼の感触。 激しい金属音が、びりびりと肩まで響く]
…っ、と――
[長剣が離されてバランスを崩し、 崩れかけた姿勢を狙う銀のダガーに舌打ちした]
甘ェ、ってんだよッ!
[咄嗟に上体を背後に倒し、 男の肩を蹴りあげるようにして背後へと跳ねる。
ジェフリーが手放した長剣ごと、 からんとレイピアが音を立てて床に転がった]
(93) 2012/05/03(Thu) 19時頃
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…なぁ。
[のんびりと戦いを眺めているようで、 構えた剣は僅かばかりにも動かず、 修道士の首に鋭い圧迫を伝えている。]
おまえの命が惜しくば剣を捨てろ、 ―――なんて命じたら、 あいつ、どうすると思う?
[修道士を見ないまま、彼だけに届く声を投げる。]
(94) 2012/05/03(Thu) 19時頃
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くっ!
[突き出したダガーはドナルドの身体に届かず、 飛び退りながら、蹴りをいれた箇所は、 レオナルドの薬でかろうじて痛みを抑えている ヒューの攻撃を受けた場所]
うっ……
[度重なるに顔をしかめて、肩に手をやった。 手元には間合いの短いダガーだけが残っている]
(95) 2012/05/03(Thu) 19時半頃
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命が失われた者は戻ってこない… だから貴方は…
[ドナルドの姿をした偽物…こう、断言しようとしたが、あまりに静かに、心を乱されそうになるほど前と変わらない口調で語りかけられた為に、途中で口を噤む。>>90 人を惑わす魔物の戯言、と聞き流そうとするがその言葉は妙に意識の中に残っていった。]
(96) 2012/05/03(Thu) 19時半頃
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[戦いに意識が向いている間に、相手の隙を探そうとするが、剣の位置はまるで変わらず、少しでも詠唱を唱えるとそのまま切り落とされそうな錯覚に陥る。 声を出すのも躊躇われたが、話しかけられた内容>>94にはさすがに黙っていられなかった。]
……愚問です。
人間一人の命と、今後もっと多くの者に害悪を与える吸血鬼… 重さなんて、比較するまでもありません。
それに…どちらにしても、私を生きたまま返すつもりはないのでしょう? ジェフリー様は歴戦の戦士。 甘さが命取りになること位、存じていないわけがありません。
(97) 2012/05/03(Thu) 19時半頃
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