185 恋愛ラボ―橘の咲く頃に―
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――病院――
[結論から言えば、熱中症の一症状である 熱疲労というものだった。 極度に暑い閉鎖空間の所為で、 脱水症状を起こしているらしい。]
ぅー。はい。気を付け、ます。
[エアコンつけないとな、って 本気で思ったりするわけで。 それから処置のために、点滴を一本。 処置室が空いていないからという理由で個室のベッドで それを受けることになった。 彼女はそばに、いてくれるだろうか。]
(68) 2014/07/19(Sat) 15時頃
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ちょっ
[慌てて肩を支える。 自分より低いとはいえ、男性を支えるのはかなりきつくてぐらつくが、何とか踏ん張った。]
……なっちゃったもんはしょーがないっしょ。 わたし、男の人とこんなに密着したの初めてなんだからね、役得くらい思っときなさい。
[緊急事態とはいえ、赤い顔で唇を尖らせた。]
(69) 2014/07/19(Sat) 15時頃
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―病院―
入院にならなくて良かった。 木佐さんには一応連絡入れといたから。
[個室に戻り、点滴袋と顔を交互に見て、溜息ひとつ。]
病院の人に「お兄さんですか」って言われちゃったよ。 せめてお姉さんって言われたかったあはは。
(70) 2014/07/19(Sat) 15時頃
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[役得、と思える余裕がなかった、のが正しい。 支えてもらったときには、ごめんね。と小さく呟いただけ。 それから診察を終えて個室にて。]
……うーあ、ありがとう。 木佐さんに塩分大事っていわれたのにね。
[枕にぽすんと頭を委ねる。 フードがないと妙にスースーするな、って。 肩にはつかないくらいだが伸ばした髪が白い枕に広がって。]
お兄さんは失礼だね。 立派なレディーなのにさ。
[す、は、と呼吸をする。]
(71) 2014/07/19(Sat) 15時頃
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―――な。 梨月……せんぱい。
僕が君に惚れた理由、話してもいいかな。
[枕から梨月の方へ視線を向けて 前髪を掻けば、その目で彼女を捉え 弱く細める。]
(72) 2014/07/19(Sat) 15時頃
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[部屋に戻れば、幸村さんと猫村さんが2人でどうやら病院へ行ったようで。そしてそれは、彼の体調不良であることを確認した。
そういえば、と呟く。]
…まだ少し早いけれど、じゃあ今日はどうすればいいのだろうね。
僕としては、交換条件の一つとして彼女を「選別」の対象にしないのはいいけれど。
それなら誰になる?少し歪めてやっと猫村さんとまゆ…いや湯来島さん?
僕的には、流石に山梨さんは此方に連れて来たくない。
そして幸村さんと、幸村さんのお相手は駄目…なのだよね。
2人、というのは流石に選択肢には入れたくないから…
最低2人、下手すれば湯来島さん以外は難しいのでは?状況だけで。
…九十九さんと湯来島さんのうちの一人を連れてくる、もしくは実験終了として九十九さんと安田さんの2人が来るのも…手ではあるけれど、どうしようか。
[特に2人の事情を考えていなくてごめんと言いながら。僕は2人に語りかけた。どうしようかと思案しながら。]
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レディーって。 痒いから止めて。
[腕を掻いて笑う。 ベッドサイドの椅子に腰かけた。]
……うん。
[膝を閉じる。]
(73) 2014/07/19(Sat) 15時半頃
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痒いなんていうな、事実だよ、じじつ。
[くすっと笑った後 頷く彼女に、ふわり目を細め]
―――眩しいんだ、君が。
仕事も充実してて、 甘くて、優しくて、無垢で―――
いつも楽しそうで、幸せそうな姿見てると、 僕も嬉しくなって。
[小さく息を吐くと、天井を見つめ]
(74) 2014/07/19(Sat) 15時半頃
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僕は――しあわせって何なのかわからない。 暗い過去の話なんかしたくないから 割愛するけどさ。
僕の持っていないものを、持っている君が とても、眩しくて……どっか羨ましくて。 僕の持ってる痛みを、持っていない君が そんな痛み知らずに、生きていけるようになったらって
……傲慢かもしれないね。
(75) 2014/07/19(Sat) 15時半頃
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湯来島さんと、何かあったのかな?
そういえば彼女はどうやら、僕の部屋に来ていたみたいだったけれど。
[一人でいることの多い彼女は「研究」の面では注視していなくて。彼女の状況を…僕はあまり知らなかった]
まぁ、慌てるのは良くないからね。
綺麗にみんながくっつくなんて事は…難しいのだろうし。
でもみんなが幸せになれればいいのに…勿論、あなた方2人を含めて。
[そんな事も言ってみたか]
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……それは、嫌いな理由なんじゃないの。
[苦笑する。]
似たような事は何度か言われた事があるよ。 いつも幸せだから、人の痛みなんてわからないんだろうって。
……何も言い返せないんだ。 だってその通りだから。
[窓の外を見る。 晴れているだけで幸せだと思う自分がいる。]
クシャミは、わたしがこのまま何も知らないままで――君の痛みを本質で理解しないまま生きて、それで本当にいいの?ムカつくんじゃない?
(76) 2014/07/19(Sat) 17時半頃
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ふふ
君にそこまで言わせてしまって
手を出さないのは、男の恥というものですね
[一度は止めを外してしまえば。
とどまる事がないのを、知っているからこそ。
色々我慢もしてきたけれど。]
知りませんよ
[一度触れ合ってしまったなら。]
一度捕まえたら、逃がしてあげませんから
[止まることは難しい。]
愛してます、クリス
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――わかりたいって、思うわたしの方こそ傲慢なんだろうね。
(77) 2014/07/19(Sat) 18時頃
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寂しい思いは、もうさせませんよ
たまには一人になりたいと思うくらい
ずっと一緒に居ますから
[彼女の手を取ろうと、伸ばした手。
それが触れたなら、強く手をとって。]
行きましょうか
君の欲しいものを、作れる場所に
[耳元でそう囁いて。
彼女と共に、何処かへ*]
―― 時間は飛んで、朝 ――
[自分の部屋へ帰ろうと。
タクシーを呼んで、場所を告げて。
二人で乗ったはいいけれど。
たどり着いたのは、見知らぬ場所で。]
…―――?
[首をかしげていれば、何かしら説明もあったかもしれない。
とりあえず、ここで暫く生活してみてくれと言う事らしい。]
どうします?
[一緒にいる彼女に、そう問うて。
彼女がかまわぬと言うのなら、まぁ、いいだろうと。]
栗栖は、良いと思う。
花橘荘のみんなに、……その、気を使わせちゃうから。
[目を逸らして、頬を赤らめて。]
君がいいと言うのなら
私はかまいませんけれど
[気を遣わせる、という彼女。
意味はすぐに理解できたから。]
そうですね
[赤くなった頬に、唇を寄せて。]
でもここなら、部屋でも愛し合えそうですね?
[そんな事を言った。]
[「研究」という面で無ければ、勿論思う所はある。
九十九さんが語らないならば。僕が少なくとも今は…知るべき事ではないのだろう。]
何もないなら、それはよかったのだけど。
僕は彼女に…何処かで言わなければならないことがあるから。
[どう言語化すればよいのか、今の自分には分からなかったが。
間が置かれて語られた言葉には]
………
[返事は、返さなかった]
[みっちゃんが頬にキスをしてくれれば、
栗栖もみっちゃんの頬にキスを返して。
小さな声で、みっちゃんの耳にささやくように。]
うん。
…まだ、まだ、栗栖は物足りないから。
[そうして、みっちゃんにべったりとくっついて部屋までついていった。]
欲張りなお姫様だ
満足させるべく、努力せねばなりませんね?
[くっついたまま、やってきた部屋。
生活は一通りできるようになっている様子で。
とりあえず、部屋を確認だけしてから。]
食事、どうしましょうか?
とりあえず何か作りますよ
[食べたいものはあるかと、聞いてみて。]
だって、王子様が素敵だから。
姫も、精一杯尽くさせていただきます。
[なんてみっちゃんに合わせてみて、へらりと笑ってから。
部屋の中を見てみれば、]
これ、花橘荘の部屋を再現しようとしてるのかな?
[なぜか服まであって、部屋の中に置いてあるものは栗栖とみっちゃんの部屋で見たことあるものばかりだった。]
みっちゃんの作ったのが食べたいな?
栗栖も、何か手伝えることはやるね。
[そう張り切りつつ、食べたいものには。]
栗栖はパスタが食べたいな。
みっちゃんは?
パスタですか、ではクリームパスタでも作りますか
好きなんですよね、私
[彼女のリクエストを聞いて、パスタを茹で始め。
海鮮海鮮、なんて冷蔵庫をあけながら。]
私は、君と食べられるならなんだっていいんですよ
自分で作るものなら、いつだって食べられますから?
[ソースを作りながら、声を投げて。]
じゃあ、昨日のと食べ比べだね。
[くすくすと笑って、]
栗栖も好きだよ、クリームパスタ。みっちゃんが作ってくれたなら、もっと美味しく食べられそう。
[お皿を捜して、みっちゃんがよそりやすい所に並べて。]
いつかは栗栖が作ってあげられればいいな。
お母さんになったら、こどもたちにも作ってあげたいから。
[食器を捜しながら、そんなことを嬉しそうに。]
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嫌う?なんで?
[不思議そうに瞬いて 続く言葉を聞けば少し考えた]
それは妬みなんじゃないか。 僕は単純に、幸せな梨月と一緒にいると 嬉しくなるんだ。
うれしいって感情は、幸せってことなのかもしれない。
[少し視線を追いかけた。 怖いほどの晴天。あの日もこんな晴れだったな。 点滴がぽたりと落ちる。]
(78) 2014/07/19(Sat) 21時半頃
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僕が、話したところで きっと君には共感出来ない。 それでいいんだ。 こんな痛み知らずに生きて欲しい。
[ゆらりと彼女に視線を移せば]
同情くらいはしてくれるのかな。 聞くか?
(79) 2014/07/19(Sat) 21時半頃
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痛みを持ってる人は、痛みをわかる人に惹かれるのかと思ってた。 わたしといて嬉しいっていう言葉は……すごく、嬉しい。
[噛み締めるように言う。 お前が能天気に笑顔を振りまいているのが癇に障るとは何度も言われたし、「幸せそうでいいね」と羨ましがられる事もよくあったけれど。]
同情するかどうかは確約出来ないな。 聞きたいのは単純に知りたいからだよ。
(80) 2014/07/19(Sat) 21時半頃
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では、作り方を教えてさしあげましょうね
といっても、パスタなら
ゆでて、ソースをかけるだけですけれど
[並べてくれた皿に、パスタを盛って。
海鮮クリームソースをかけて。
テーブルに並べて、飲み物を準備して。]
料理が出来て、困ることはない
今日から、一緒に料理をしましょうか?
何をするにも、一人より二人の方が楽しいものですよ
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痛みを知らないから――綺麗なんだよ、君は。
[ふわり笑うと、訥々と話すのは過去の話。 だけれどそれは自分を形作る、今の話。]
僕が小学生の時。 親父が、仕事のしすぎて精神やられて、 自殺したんだ。
そっから何もかも、壊れてった。
母親は気がふれたように、労働基準法がどうの、裁判がどうの、慰謝料がどうの―――小さい僕には理解できなかったけどさ。 母親の愛情は歪んで、僕に向けられること、なくなった。 その後のことも想像に易い――愛情を向けられなかった子どもは、卑屈で、世界の全てが憎たらしくて。 感受性を、失っていった。
(81) 2014/07/19(Sat) 22時頃
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中学でろくに勉強も出来なくて、パソコンばっか触ってたよ。親父が残した、ふっるいパソコン。ネット越しで知らない人と接するのは楽だったね。……花粉症も気にならないし。
高校は最底辺の高校で、バイトしながら自分で学費払って通ってた。そっから手当もらえる訓練校通って、技術身につけて。今の仕事をするために、花橘に来たんだ。 結局引っ越しの日――最後まで、母親とは口きかなかった。
[家族の愛情が、壊れたあの日から たった一人で、何も感じずに生きてきた。]
―――君みたいな。幸せそうな人が、本当に眩しくて。 だけどね、嫌いになんてなれないよ。 本当に君が、綺麗で、硝子細工みたいだから。 僕みたいになってほしくないんだ。幸せに生きて欲しい。
[点滴がまた一滴、おちる。]
(82) 2014/07/19(Sat) 22時頃
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