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[長い睫毛が震えるを見る。
心振るわすように胡蝶は肩を揺らした。
浮かぶ表情は微笑。]
礼を謂うんは、わての方やよ。
[悲しみも愛しみも、入り乱れて。
哀しくも、美しい、物語の行く末を、二羽は並んで見詰める。
と、糸が新たに結ぶを感じるか。
白鷺も共に感じるなら、貌見合わせて。
視線向ける先に、憂い帯びた主はあるやなしや。
――主が求めるのなら、花にもなろう。
糸を手繰り寄せるように、重なる二つを見守る人の元へ。]
朧様……―――
[声をかけたは、鵠か華月か、両方か。]
霞の事は気にかけてやれば良い。
あれには花もいる。
あれ等も…良きほうへ向かえるよう、必要なら手を引いてやるがいい。
[男は告げる。
それから焼けてゆく館を見る]
お前達は花主が殺したも同じ。
だから、死後ぐらいは好きに望み――――自由に。
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…――霞さま
かりょう
鳥もけものなら
彼らは同じところへ
ゆくでしょうか
[呟き、視線は二人へ]
自由に……なら、花主辞めた貴方さまは?
死した後の魂は何処へ逝くか
追いかけてみたいと思えども――
[現世に気を留めることはこの二つだけなのか、
燃える屋敷で逃げる他の者達の行く末までを
すべて見ようとも思わずに。
何か、繋がるものを感じる。
それが花達と繋ぐ糸だとは知らず、結ばれる先を見て。
名を呼ぶ二つの姿に浮かぶのは憂い混じる微笑み。]
―――…鵠、
―――…華月、
[呼ぶのは、花の名前。]
![]() | 【見】 落胤 明之進[重なる二つを見守る姿に、 (@16) 2010/08/09(Mon) 20時半頃 |
……朧様
[――かける声は重なる。
名を呼ばれ、
並ぶ双翼は共に憂う朧月を見た。
高嶺の、朧の、花として。]
![]() | 【見】 落胤 明之進[逃げいく人々の影が見える、 (@17) 2010/08/09(Mon) 21時頃 |
[主を呼ぶ声は重なった。
憂う微笑みの主を前にして、躊躇うように華月は言葉を紡ぐ。]
ロビンは、霞月夜様は
欲しいもの全部手にいれよった謂いました。
朧様は、朧様の願いは、叶うとりますか?
[聴いてどうすると云うのか。
もしかすれば、傷を抉るような言葉なのかもしれない。
それでも、尋ねた訳は……―――。]
[不意に名が出ればそちらへ意識を向けるけれど]
……
[主の手を握ったまま、口を開かない。
視線は紅く染まる屋敷へ]
[現世に在った頃見た儚き姿が此方に頭を下げる。
現世の者と気に留めていなかった姿が不思議と、
近い場所に在るように感じられれば察するのは早く]
……熱いぞ…?
[引き止めるでもなく、それを感じぬことも判っている。
冗談の類のひとつのつもりなのだろう。
黒檀は、現世よりもはっきりと見える花の姿を見つめ]
――…想う場所で…逝けるよう、
[彼岸へと。業火へと入る花を見送り]
……悔いなく…、な…
![]() | 【見】 落胤 明之進[―――想う場所、 (@18) 2010/08/09(Mon) 21時頃 |
[焔はその紅を深くし、大きく咲く業火の花弁。
鵠と華月、二つのこたえが返ると小さく頷き、
結わず下りた黒檀の髪が動きに合わせて揺れた。]
―――…華月…?
[常とは少し違う躊躇うような様子。
訊かれる言葉に黒檀が華月を見とめて、一度瞬く。]
……未だ、わからぬ。
[瞳を伏し添う月と鳥を見下ろすこともなく、
朧の月は選んだ二つの花の姿を映し]
…何故、そのようなことを…?
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天上の鳥ならば、空へ続く道も知っていよう。
[それに、と、そこでは言葉を切った。
傍らにいた童を思えば言葉が切れる]
私は
[口が何かを告げかけて]
お前に言う事ではないな。
[明之進が業火に呑まれて行く様を、主の後ろにて見守る。
熱くはないのだろう。
けれど、その姿は、主が紡ぐ言葉が、華月の心を焦がす。
生まれる感情は ―――やはり、哀しい。]
朧様は、わての願いを叶えてくれはったから
やから……でしょか。
全ては巡り合わせもあるやろうけれど。
でも、もし、朧様の願いが叶ってないんやったら
[問いの理由に応える苔色は、少し揺らめいて。]
朧様は厭やろうけど、霞月夜様を憎う想います。
[怨み嫉み持つこと少なかった故の戸惑い。]
花の立場で出来ることは、あんまない想いますけど。
なんや、あったら謂うてください。
[いつになく上手く言葉を選べずに、眉尻が下がった。]
![]() | 【見】 落胤 明之進 ―本邸・廊下― (@20) 2010/08/09(Mon) 21時半頃 |
![]() |
[音にならない音
矢張り告げられはしなかった
人喰花は、花主をやめた獣を見る]
…――――謂わずとも
構わない
です。
それで充分。
[吐息を洩らす。
紅い大輪の華が咲いた屋敷の大広間
ついに登る事のなかった舞台
ひとつ未練があるなら
歌曲を
聴いてほしかった]
![]() | 【見】 落胤 明之進[現世の声の、遠くなる。 (@22) 2010/08/09(Mon) 21時半頃 |
メモを貼った。
メモを貼った。
![]() | 【見】 落胤 明之進―椿の間― (@23) 2010/08/09(Mon) 22時頃 |
![]() | 【見】 落胤 明之進[かけられた言葉に、ただ (@24) 2010/08/09(Mon) 22時頃 |
メモを貼った。
[苔色が戸惑うように揺らめく。
その色を見ながら言葉を待ち、
憂いの黒檀は驚くように 少し、大きくなる。]
―――…華月、
[名前を呼ぶ…、笑みが零れた。
困った時に零れる、微苦笑に近いもの。]
…心配をさせたか。
[鵠と華月、二つの花を見る。
双花となった二つ、
けれども選んだ理由は個と個への想いに。]
――…霞は私の願いをひとつ、叶えてくれた。
恨んでやるな…、そのようなことを考えるよりも…
[そこまで言って、迷うように一度言葉を切り]
――…花の姿である時は…、
……私の傍に…在って欲しい…。
[迷いの後紡がれる言葉は、
吐息のように消え入りそうな音…掠れた。]
…―――――
[話すから、黙して聞いて。
呼ぶ声が重なって。
双つ花はますます対の様相を呈した。
燃え盛る炎、
椿の花に、あの日手にした枝の感触を思う。
りん――――と、鈴が鳴り。
映すのは朧月、花の主。]
…―――花となって散り
命(めい)も守れなかった花で…
申し訳、なく
[いつの言葉切れたときか、詫びて。
流れる黒髪を見る。
結ったのはただ一度。
霞月夜と重なる下ろし髪に、どうすべきか迷い]
――――、…
[迷う間、黙して。
主を見、言葉はどちらへか]
はい。
[華月の名に返事をする。故に今は花。
主の浮かべる微苦笑に、浮かぶ感情――哀しい。
心配、その単語に頷きを一つ返す。
続く言葉に、緩く唇を噛むのは否定か、それとも。
少しの間、俯く。]
[けれど、途切れる言の葉に、苔色を黒檀に合わせた。
沈黙を持って、先を待つ。
まだ、鵠とは手をつないだままだったろうか。
そうであれば、少し握るを強めた。]
御意。もちろんや。
[主の願いに惑うことなく告げる。
鵠の言葉は聞かずとも判る。
それは、主の言葉途切れた時の、鵠の言葉にも見てとれる。
もしかすれば、
また双花の答えは重なったのかもしれない。]
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