25 花祭 ― 夢と現の狭間で ―
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[もう一つの気遣わしげな視線に、再び鵠を見て。
変るというのを肯定するよに小さくコクリと頷いた。
変れると思った。何かが変ったと、今でも思う。のだけれど]
邦夜様…。
違います。邦夜様のせいじゃない。
[此岸に意識が引き寄せられ、聞こえた声に何度も頭を振る]
役に立ちたいと。
まだそこから変われてなくて、間違えてしまったのです。
僕が自分で引き寄せてしまったこと。
[無力な光が何度も何度も。
否定するように舞うけれどそれは。
此岸ではあまりに儚くて。見え難い]
[頬を防御する表情まで、あいらしい
と、謂えば照れを越して怒るのだろうか。]
わてには、そう見えるけど、本当はどうか判らんわ。
でも、急がんでもええんよ。
この先どうなっても……共に飛んでくれるんやろ?
[悪戯はやめて、真摯に告げた。]
[法泉から言葉が返ると、ちらと視線を上げる]
試されていたのですね、矢張り。
味見だけに留まらなかった理由
一つは其れでしょうか。
……獣は、己を造らねば
人の中では生きられません。
生まれながらに偽る術も、この身に。
また良しと、思っていただけるなら
たまには違う私もお試しくださいませ?
ロビンと謂う花は、多才多芸で名を売っておりますから。
[束の間、愁いを忘れたように
そう謂って笑った]
[もし、あいらしいなどと聞いたら、
うろたえた後、どうしたらいいか分からず怒るだろう。]
――…、…自分で、
自分自身がわからない、のに。
……――嗚呼、
[じ、と苔色の眸を見返し]
飛ぶよ。
…それは、変わらない。
味見に留まらなかったのは――。
いえ。
お前の表情が、もっと見ていたかったから。
[じぃと、冬色を見詰めて。
違う私を、という言葉には少しだけ考え込むように]
それもお前なのでしょう。
なら、愛でることに変わりはなく。
白鳥と同じようにされると、少し罪悪感が沸いてしまいそうですが。
[笑う花の額へと唇を降らせて、顔を上げる。
目の端に映った白鳥の反応が、眩しい]
|
…?
―――あべっ!
[此方を見詰める鉄色が何かを言うのかと思えば、飛んできたのは黒い尾。]
お〜ま〜え〜な〜…、んな姿になってもちっとも変わんねえな!
[横殴りにされた頬をさすりながら口を尖らせる。 尤も、本当は痛覚等はとうに無いのだが。 擬似的にずっと痛覚を感じていた身は未だ対応しきれずに、微かに頬をじんと痛ませた。 狼が坐りこめば、その傍らに虎鉄も腰を下ろす。]
(@34) 2010/08/09(Mon) 00時半頃
|
そやったら、えぇんよ。
[悩む愛しい片割れに、飛ぶが変わらないなら佳いと。
悩むだけ悩んだらいいのだと、少し身を抱き寄せた。
そして離すは、夜光の気持ちを慮ってか。
これ以上、初心で愛らしい様を、他者に晒したくないと思ってか。
紫苑色を見詰め返す、苔色は穏やかだった。]
…明?
[黒檀を瞬いて、主へと告げる友を見て。
その腕にある太刀に気付いてまた瞬いた]
邦夜様が求めて下さったこと。
それが何よりも幸いですと。
お気に召したのは、顔だけですか?
[くす、と意地悪く笑い]
内に二つ心あれど、どちらも私に違いありません。
人の心と獣のこころは、もう混じってしまいましたし、ね。
[下りてきた唇を額で受けると
びく、と身を震わせ目を丸くした。
片手で額を押さえ、ぱくぱくと口を開くも言葉は出ず]
……っ
[ぷしゅうと音を立てそうなほど顔を赤くして俯いた。
間を置いて
ちらり、見上げる視線は笑み交じり]
罪悪感、湧きましたか?
[そう謂って、少し背伸びして首筋に音を立ててくちづけた]
――…ん。
[頷いて、抱き寄せられた少しの間に
額を肩にもたせかけた。
眼を閉じるそれは、心預ける証。
離れる身体に、
ほんの少し、名残惜しげな様子を見せるのは
隠し切れなかった、いろだろう]
|
ん、何だ…? …夜光も…逝ったのか…、……。
[狭間より聞こえる声に、ぽつと漏らして。]
魂っつうのは、何で留まろうとするんだろうな。
[独り言のように呟いて。 己の頭を撫でた明之進の事を思い出す。]
明之進は何で現世に留まってんだろ。 …俺も何で留まってんのかもう、よくわかんねえけど…。
……現世にも、狭間にも、…主は居ないのに。
[片膝を立てて、顔を埋める。 そして、自嘲気味に笑った。]
(@36) 2010/08/09(Mon) 00時半頃
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|
なのに… ――――消える事も、叶わない。
[お前は俺みたいになるなよ、と傍らの狼に苦笑し。 狼が何処かへ行くなら、その後をついて*行くだろう。*]
(@37) 2010/08/09(Mon) 01時頃
|
表情は、同じ顔でも心が違えば違うもの。
顔だけではありません。
心が表れるからこそ、私はお前をもっと知りたい。
[口付けへの反応に一度細い目を僅かに見開いて]
――、湧いたかどうか。
ですが、少しお仕置きが必要かも知れませんね。
[首筋へ触れる唇。
身を屈めて、冬の色を覗き込む。まだ赤い名残が残る顔。
握った手指を絡めて、逃げられぬよう腕の中に閉じ込めた]
[ちらと周囲を見る。
心を通わせる人達。それを見ていると]
不甲斐なさ過ぎて自分の方が憎くなりそうだ。
[表にするつもりでなかった分まで零れた。
はたと口元を両手で塞ぎ]
…ありがとう。明。
[一呼吸置いてからそう呟いた]
若者 テッドは、メモを貼った。
2010/08/09(Mon) 01時頃
まだ離れたくないから。かな。
[虎鉄の呟きには小首を傾げて。
答えながら、ああと思った。
言われたではないか。去年の夏の祭の夜にと。
友も、自分より此岸に近く見えても。
既に彼岸の側にある者なのだと]
少しでも長く感じていたい。
痛くても、この想いを。
そんな貌しぃへんといてや。
[離れ穏やかに見詰めた先が見せる表情に、眉尻を下げる。
酷くしとうなる―――何度か謂った言葉は続かない。
その言葉代わりに、互いにかかる糸と糸を絡ますように、指と指を交わらせた。]
―――……朧様の、望みは
[ロビンの表情を見て
「なんや、かあいらしい貌できるやんか」
と、裡で呟いた後、絡めた糸2つが繋がる先に想いを馳せる。]
なんや、判った気ぃするわ。
違うかも、しれへんけど……――――
[鵠と情を交わしたくなるのを耐えたのは、
朧の行く末を見守らんとしたため。
彼の人の望み――尋ねられても曖昧に微笑むのみ。
尋ねる頃には、もう、望みの切片、窺うこともできたか。
想うが正しいか、見、聴き、識ろうと、窺う対岸の世界。
――絡めた指にそっと*力を込めた*]
……主さまは
真顔で恥ずかしい事を仰る。
[息止まった身であるのに、未だ小細工が出来る不思議な場所
文字通り絡め取られた身はすっぽりと腕の中]
仕置きでも
下さるものなら何でも嬉しいですよ?
お陰で、先刻の重い気分が薄れました。
[視線は幾度か現世に。
夜光が向こうへかける言葉に、一つ頷いた]
――…少しでも長く
嗚呼、恐らくは皆
手妻師 華月斎の視線に気付くと、唇の端を持ち上げて蠱惑混じる眼差しを送った。
若者 テッドは、メモを貼った。
2010/08/09(Mon) 01時頃
[夜光の声。長く。
その思いは変わらず。
いつまで――]
思いを口にするのに、恥ずかしいことなどありはせぬ。
ふむ、嬉しければ、仕置きにはならぬ。
……。
この手を離してしまうのは仕置きにはなるか。
でもそれは、約束を違える事。
それに、私が困る。
[絡めた指で、花の細い指をなぞる。その一本一本を軟くほぐすように。
思い浮かんだ仕置きは、すべて自分に跳ね返るのだと気づいて、一つ苦笑を浮かべた]
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