56 いつか、どこかで――狼と弓のワルツ――
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[ 否定して、天幕を出て行こうとする男の背を見ていた]
そっか。……そっか。
[軍に入り、そんな戦術があると知った時、馬鹿なと思ったものだ。
同じように評した青年に、内心驚き。
同時に、彼女はこれから戦争が起こって自分が戦う相手が、わからなくなった。
同じように平和を望んでいるとしたら、何故戦争が起きるのか。
それはきっと政治的なものだとか、色々な思惑による巧みな誘導なのだろう、そうは理解しておれど。
困ったようにボブショートに切りそろえられた髪を掻き、ムパムピスを見た]
……どうすんの?
[だめ?と可愛らしく言った、恐らく上官の言葉に彼がどうするのか、最早見守るしかなかった]
[いずれにせよ、この小隊の調査任務は本日までの予定、
全ての日程はつつがなく終了していた。
公子殿下が撤収を命じるのなら、反対する理由はない]
上層部は開戦派ばかりだと思っていたけど……
[天幕を出て行く後ろ姿に呟く。
彼は積極的に緑国と刃を交えようとしているようには
あまり見えなかった]
……どうしましょうね。
[眉を下げてフィリスを見る。]
でも多分、貴方を国に連れて帰ることになります。
この天幕も片付けますので、少し動けますか?
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[やがて震える手は力を失い。
ぱたり、墜ちる。
最期に見つめた若者の眼に未来を託し、
紅い夢に、墜ちていく――――――。**]
(115) 2011/07/03(Sun) 00時半頃
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