25 花祭 ― 夢と現の狭間で ―
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[艶帯びる声に短く零れるは熱の篭る吐息。 あの頃と変わらぬ幼き笑みよりも 花を経た後の今の姿の方に…煽られる。]
――…一夜……夢が…見たい…
[埋まらなかった過去の月の日の記憶を。 共に在った証を刻みたい…刻まれたい。]
(782) 2010/08/06(Fri) 23時半頃
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…えぇ、わたしも…そなたとゆめを。
[見つめるその姿は、記憶のものよりずっと凛々しくて。 たとえ一度きりでもいい、そなたと共に在った証を。
濡れた瞳でそっと見つめ、零す吐息の温度も同じ。]
(783) 2010/08/07(Sat) 00時頃
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―B棟廊下―
わてがやましい想いあるから、意地悪な聴き方したわ。 ……虎鉄寝とるんに、薄情ってな。 あやまるん、わての方やわ。すまへん。
[素直な弟分の言葉に、眉尻が下がった。]
[そして、未だ体温に関して否定を返す様を、じぃと無言で見詰め]
わての手と比べてみい。 汗かいた後は、わても一緒やで。
[今度は言い置いて、シャツを止め終えた人の前に手を差し出した。]
(784) 2010/08/07(Sat) 00時頃
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>>@82
詫びはせずともいい。 そうか、前の主か………。
[明の混乱の様子に眉を寄せつつ。]
明 ともかく、俺はお前の主ではない。 思い出せるか?俺はお前を手折ったか?そのような記憶があるか?
お前は俺の友人の花だった。 だが、友人はおらず、なぜかお前だけがここにいる。
その事情は調べないとわからないが…。 もし、主が見つからぬなら、俺がお前を引き取ろう。
[その顔を見る。]
(785) 2010/08/07(Sat) 00時頃
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[濡れた黒檀が伏せられると雫が落ちる。 同じ温度の吐息を絡め、月の下で交わす口付け、]
――…かすみ…
……隠れよう…、
[艶めいた笑み、きっと今は同じ顔をしている。 幼き日の言葉で霞の手を取ると隠すのは本邸の奥座敷に。]
(786) 2010/08/07(Sat) 00時頃
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始末屋 ズリエルは、記者 イアンと通信したのは、明やロビンとの話のあとだったろう。
2010/08/07(Sat) 00時頃
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……夜光。
[困ったように腕の中の花を見る。 ――自分が今、相当危ない橋を渡っている自覚はある。 もし、獣に自分の事が見つかったときに夜光が近くに居れば、巻き添えを食う可能性だって。 恐らく、自分の側に居る事は一人で居るよりもずっと危ない]
……俺の側は危ないよ。一人で居るよりも、ずっとね。 態々危ないところに自分から飛び込むことは無い。
[夜光の耳へそう囁いて、少し躊躇い――そっと唇を重ね。ちろりと唇の内側を舐める。怯える夜光を見ていると、とても獣であるとは思えなかったけれど――確かめてみたかった]
(787) 2010/08/07(Sat) 00時頃
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[触れ合う唇の温度だけで、溶け合いそうになってしまう。]
うん、隠れて…
こんどは、みつからないように。
[二人手をとりあって、奥座敷へと。]
(788) 2010/08/07(Sat) 00時頃
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説法師 法泉は、メモを貼った。
2010/08/07(Sat) 00時頃
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……それは、もうちょっと持ってるといい。
……そうだな、――無事に帰ることができるようになったら。 そうしたら返してくれればいい。 [へらりと笑う。帰ることができるようになった時、――自分は居ないかもしれないけれど]
(789) 2010/08/07(Sat) 00時頃
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記者 イアンは、表座敷で頭を抱え震えている。
2010/08/07(Sat) 00時頃
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― 本邸/応接室前 ― [扉の前で、薄灰の着物を纏った少年が立ち尽くしている。 手には譜面。 何かを探すように、周囲を見ながら その表情の奥に、込み上げる衝動を抑えながら]
(790) 2010/08/07(Sat) 00時頃
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[強面の眉の寄る表情に、 ちいさく惑う笑みを浮かべて]
――記憶は、 記憶は……ないのです。 ただ、あなたがそのように、呼び、撫でて下さる から。 私は――、
[友人の言葉に、幾度が眸を瞬いて]
それは、前の主様のことでしょうか。 金の髪の、……私を手放し学院へ 戻した 方。 だから、私は新たな主様の元に――
[呟くように続ければ、 見つめる顔にまた戸惑い、拗ねたように唇を引き結んだ]
そんな――引き取るなどと、犬猫のように。 私を望んで下さるのでなければ、嫌です。
[それでも袖は離さぬまま]
(@84) 2010/08/07(Sat) 00時頃
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[眉尻を下げて謝る兄弟子に、ゆると頭を振る。]
謝られる事は何にもねえよ。 迷惑かけたのは俺だし…。 ……高嶺殿にも、礼言わなきゃな。
[花の為の棟とは違う作り広い部屋。 そこには剪定された二つの花。 虎鉄が寝ていた部屋が誰の部屋なのか、答えに辿り着くのは簡単だった。]
―――…。
[それから、手を差し出されると一度兄弟子を見上げて。 そっと、その手に己の手を重ねた。 伝わるぬくもり。 暖かい、そう思うと同時に酷く胸が締め付けられる気がして眉を寄せた。 じわりじわりと伝わる熱は優しいはずなのに。]
(@85) 2010/08/07(Sat) 00時頃
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― 本邸・奥座敷 ― [今は人狼の騒ぎのことも忘れて、 二つの月は白布の波の中へと隠れ。]
―――…、
[欠けた時を埋めるように名前を呼び合い、 触れる場所から一つに溶け合おうとする。
同じ長さの髪をも絡めて霞む月の白い喉が反れれば 其処には刻まれる永遠には決して残らぬ証。]
[濡れるは瞳ではなく触れ合う熱の孕む場所。 ――――…どれほど、夢を見たか。]
(791) 2010/08/07(Sat) 00時頃
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さすらい人 ヤニクは、門下生 一平太に話の続きを促した。
2010/08/07(Sat) 00時頃
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[夜光と別れ、廊下を歩く。 とはいえ、目的があるわけでもなく、屋敷の中を見て回った。
ヨアヒムが人狼病であったこと。 その残滓がどこかに残っていまいか――]
…さて。
[広い屋敷だと廊下の向こうを見る。 庭の位置を見れば自分の居場所は大体わかるはずだが]
考え事をしていては、だめだな。 まさか自分で迷うなど。
[どうせ歩けばいずこかへ着こう、と解らぬなら解らぬなりに歩く]
(792) 2010/08/07(Sat) 00時頃
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さすらい人 ヤニクは、執事見習い ロビンに話の続きを促した。
2010/08/07(Sat) 00時頃
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―大広間―
天満月様…?
[困ったような声の響きに、途方に暮れたような、乾いた瞳で見上げる。自分はやはりいつまでも捨て置かれる存在なのかと。 けれど続いた言葉にはたはたりと黒檀は瞬いて。
何故ですかと。それでも良いと。告げる前に唇が塞がれた。 感じる熱。深く交わるではなく唇の内側を舐められて]
ん…っ。
[邦夜の首に腕を絡め。 もう少しだけ離さないで、というように背伸びして舌を舐め返す。
彼にどんな思惑があろうと、その瞬間はどうでも良かった]
(793) 2010/08/07(Sat) 00時頃
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― 本邸 ―
……主さま
[廊下の先に遠めに見えた人の影。 小さく呼んだ。 届くか届かぬか。
手にした譜面と、一枚の紙を握って]
(794) 2010/08/07(Sat) 00時半頃
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>>@84
[小さな笑み、 それは強がっているようにも思える。
そして、望まれなければ嫌だと、それはせつなく言葉をつむぐ。]
――……そうか。
[それにはしばし沈黙。 望むというのは、きっと、深い情愛をもって、すべてを愛すということなのだろう。 理屈ではわかっている。 そして、それを成せれば、本当はよいのだろう。
明に対してとか、セシルに対して、とか そういうくくり以前に…。]
(795) 2010/08/07(Sat) 00時半頃
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[ようやく見知った場所に出たところで、廊下の先、佇むロビンの姿に気づいた。
手折った花。
何を抱えているかは解らぬけれど。 花であることに変わりはない]
ロビン、待たれましたか。
[声をかける。寄る足取りも常と変わらず]
(796) 2010/08/07(Sat) 00時半頃
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― 応接前 ― いいえ、私も先ほどついたばかり 主さまを探して居りましたが すれ違ってしまったよう。
此処で待っていればと。
[先刻の、情事の名残は着物のした。 暴かれねば気付かない]
……曲をお聞かせする前に、 ひとつお渡ししたいものが。
[そう謂って、投票にと貰った紙を手渡した]
(797) 2010/08/07(Sat) 00時半頃
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>>795 ならば、輝く花となれ。
[きっと、もし、セシルが明と同じようなことを云ってくれても、そう答えただろう。
きっと男は花を買えば、それをそれはあたたかに見守るだろう。その花々を。
それは、いわゆる花主が花を育てる、ようなものではないかもしれないが…。]
(798) 2010/08/07(Sat) 00時半頃
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[どこか、変わった気もしたが、もとより小さなことに気をかけるほうでもなく]
それは失礼を。ここで、待っていればよかったですね。 …、何を?
[手渡された紙を見る。 イアンが言っていた言葉を思い出して、顎に手を当てた]
疑わしきものの名前ですか。 困りましたね。
[そう困った風でもなく口にして]
(799) 2010/08/07(Sat) 00時半頃
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そうこれは 人ならぬものを、探して捕らえて ……殺す紙 私は決して主さまの名を書きませぬ その証明に。
[見上げる冬色は僅かに何か決意を秘めていた。 今日一日で、随分と花は色をつけた。 同じ病持つものも知らぬ独断。 冬を真似た口調ももう、彼には偽る必要が無い。 硬質な声には甘やかないろ]
ひとつ、告白せねばならぬよう 其れを聞いても 主さまは未だ私を傍に置かれるや?
(800) 2010/08/07(Sat) 00時半頃
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―B棟廊下―
[高嶺に礼の部分にだけ、微笑を持って頷いておく。 差し出した手に、触れる温もりは、矢張り冷水につけたかのようなもの。]
なぁ、随分体温ちゃうと、おもわへん?
[見上げられた時捉えていた琥珀の上で、眉が寄っているのが見える。その表情の意味を知ることは、読心術なければ無理で。]
ほんまに、気持ち悪いとか、どっか痛いとかあらへんのん?
[温もりを伝えながら、重ねる問い。]
(801) 2010/08/07(Sat) 00時半頃
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記者 イアンは、震える手で着物の袖を幾らか切り裂くとそれで目と耳を覆った
2010/08/07(Sat) 00時半頃
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…おぼ、…ろ…… [絡み合う、長い髪。 絡め合う、僅かに違う色の肌。
切なげに、求めて鳴いて 届く肌へと爪立て喘ぐ。]
…下さい、ませ…。 [長く花を勤めた身体は濡れて、 切なげに艶帯びた声にて、そっとそれをねだった。]
(802) 2010/08/07(Sat) 00時半頃
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……ごめんな……
[説明してしまえれば楽なのに。言葉を飲み込んで。逃げるように広間を出る]
(803) 2010/08/07(Sat) 00時半頃
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よろしいのですか?
[上着奪う形であるのは少しだけ申し訳なく。 けれど直接ではなくも温もり感じられるのは嬉しくて]
……はい。ありがとうございます。
[眉を下げた笑みを浮かべて返す。へらりとした笑みに危ないと言う理由を聞いても答えてくれないだろうと思った。 無事なまま居られるか、それは分らない。 獣と太刀と、両方共に避ける為の術など知らないから]
邦夜様が無事に戻られましたら。
[それでもこの人だけはどうにか。 誰をも置いて。自分の何をも置いて。護りたい]
(804) 2010/08/07(Sat) 00時半頃
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[書かぬと告げる花。 手元の紙から視線をロビンへと戻し]
人ならぬものか、さて、投票で集まったものが本当にその病なのかどうか。 人であっても同じ。 この紙に名を書く以上は、書かれたものが何者でも、同じ重さなのだと思います。
[ロビンの様子に僅かに首を傾ける。 告白の言葉に表情は変えずに、応接室の中へと促した]
中へ。人払いをさせましょう。 ほかに聞かれるとまずいやも知れないのでしょう?
(805) 2010/08/07(Sat) 00時半頃
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[長い沈黙には不安の色の、揺らぎ。 続いた言葉には、少しだけ安堵と不満の過ぎった]
―――……、 ろくに見ていて下さらなかったくせに。
[根に持っていた事実を、 ぽつり、呟き]
ならば、私の芸事を きちんと見ていて下さらないと、 ……わからないではないですか、主様――
[黄泉花は刷衛その人に儚く微笑み、 わずかの間、その袖にぽふりと顔を埋めた]
(@86) 2010/08/07(Sat) 00時半頃
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― 一室 ―
…ん――――
[乱れた黒髪が肩から落ちる。 ぼう、とまだ少し濡れた紫苑色が月の光を映した。]
…華月…
[少し掠れた声、 首元に指を添えた。
――――ふたりでできる手妻。 それはとても、]
…嗚呼、 ……佳いな……
[まどろみの中で答えた、 もう一度繰り返す。]
(806) 2010/08/07(Sat) 00時半頃
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― 応接室 奪取
……ええ。
[返すのは短い返事。 何を察したのか、促されるまま応接室へと入り 傍に控えたままポツリと話し始めた]
貴方さまが、心のままにと仰る故に 先ほど 私の意志で、桜の花に種を撒いてきたのです
[其の言葉が示すのは行為二つ] 其の折に…… 主さまの前で作りし笑みが 冬の色とは違って居た事に気付きました
傍で魅せたのは紛う事なく、私の表情(かお)
(807) 2010/08/07(Sat) 00時半頃
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[続く言葉が出るまでに、間が空いた。 意を決し、見上げる]
主さま 私は……私こそが、病の血もつもの
月夜に花開く、イビセラの花
さりとて 元は人であったもの 情は確かに此処に有るのです
[静かに、冬の色をした瞳で見つめ、告げる 己こそ、人食いの花だと]
(808) 2010/08/07(Sat) 00時半頃
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