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[主人の腕の中で、猫の捕らえた虫のようにいたぶられながら、
それでも意地を張って背筋を伸ばす少年姿の少女へと向ける視線は何処か蔑んだ哀れみ。
値を吊り上げて買われたことを聞いていた視点からでは、彼女が買われて来たことは、お情けを掛けてもらっただけなのだと判るから。
要らない子だけど、かわいそうだから。
貴婦人の様子は、そうとしか見えない。]
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済まないね。
慈善家に振る尻尾は持ち合わせてなくて。
堕ちたのではなく、強くなったんだよ。
そうでないと、生き残れなかったから。
[グロリアがもう少女を必要としていないことは、何となく分かっていた。それに唯々諾々と従うよりは。]
どうされても、文句が言える立場でないのは分かっている。
さぁ、何なりとご命令を。
[グロリアの前に膝を折り跪く。今なら靴だって舐められる気がした。
ツィーにすら哀れまれる少女の命運を左右するのは、婦人の一言。]
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[女は少女に見せつけるように、恭しく主人の手へとくちづける。
その手が女をまさぐり容赦無く痛めつけるたび、嬌声とも悲鳴ともつかぬ声が漏れた。
一見すれば、きちんと上等の服を着せられて、拘束を解かれたその少女は、舞台の上にいた時よりも破格の扱いに見えるだろう。
けれども、興味を失われて必要とされない所有物になんの価値があるのだろう。
僅か薄布一枚だけの姿で虐げられ続ける女の方が、奴隷としては価値がある。
命令を乞うその様子に、僅かに浮かぶは優越感か。]
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まぁ。
[ことさら驚いて見せたのは、そういう侮辱を主人は好むから。]
奴隷がお嫁に行くなんて。
それとも婿に出されるのかしら?
相手は、翡翠のお姫様?
…あぁでも…、もう壊されてしまったかもしれませんね。
あのお客様は、彼にえらく御執心でしたもの。
奴隷の文句なんていちいち耳を傾ける必要もないでしょう?
結局は逆らえないのだから。
[棄てられるのは、また矜持に傷をつけるけれど。
不要と思われてまで置いておかれても、少女はいずれ牙を剥いただろう。
堕ちて墜ちて、それでも飼い殺されるほどに落ちぶれてはいない。
電話の先の名前を聞いて、跪いた少女は承諾の証にゆっくりと葡萄酒色の瞳を*閉じた。*]
貴族の矜持を失っていないからこそ――、
僕を羨ましいなんて高見から謂う人を赦せない。
期待に添えないほど擦れてしまって悪かったね。
[ちっとも悪いとは思っていない表情で、踵を返す。
今ならまだ、乞えばその下に置かれるのだろうか。
けれど、舞台であれだけ堪えられたはずの少女の矜持はそれを許さなかった。
生命を惜しむなら、他の選択肢もあったろうけれど。
結局、グロリアの望みも意図も知らぬまま、少女は会場を去る。]
やっぱり僕は……欠陥品なんだ。
[そうして、準備のために数日。
チェンバレンの名義でジェレミーの元へ花束が届けられた。
何十本もの薔薇と共に、生花を頭やジョーゼットのドレスに飾られた、カルヴィナという名の花が。]
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![]() | 【人】 ランタン職人 ヴェスパタイン[男はルーカスとグロリアが袖の部屋に向かう背を、眼を眇めて見送った。 (6) 2010/04/12(Mon) 09時半頃 |
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![]() | 【人】 ランタン職人 ヴェスパタイン[そっと傷を撫でられ、そのツィーの腕に手を絡めるようにして貌を上げた。眼を細め口端を上げ、そろそろ乾いた髪がさらさらと後ろへ落ちる。 (7) 2010/04/12(Mon) 10時頃 |
― 舞台袖/個室 ―
『…代償、だと?』
[枷が外れて隙さえあれば、脱走は出来るはずだと
心のどこかでまだ思っている事を見透かされてるかのよう。
灰青の言葉―――、電話の代償に用意されて品々に目を疑う。]
…… シノ に?
[見れば彼女から鈴の音が響いていた。
見た目では解らないけれど、何か施されたのかと思案する。]
つくづく、卑怯な奴だ…。
[吐き捨てるような言葉と睨みつける金の瞳。
それでも、手術めいた事が個室で行われ始めれば
こくん
と、喉を鳴らした。]
[下に履いてものは脱がされて、棒を取り巻く茂みは
丁寧に除去されていけば感じた事のない涼しさが襲う。
立ったままでは暴れかねないと思われたか椅子に深く腰掛けた。]
っ…
[そしてメスの刃が薄い皮に筋を入れると赤い線が走る。]
づ…!
[ぴりりと走る痛みに声が思わず毀れるが、緩く唇を噛み
必死で痛みと唯、戦う。
ごろりとした球体が入りこむのが解る。冷たい心地が
肉に直に伝わって ――― 同時に痛みが襲う。
しかもそれが麻酔なしで、3度繰り返されれば
伸ばされた皮は悲鳴をあげているかのようだった。]
う゛ぐ…ッ ―――は 、ァあ… い゛…ッ
[声にならずの呻きが3度目の真珠を埋め込む際には毀れる。
知らずのうちに金の瞳には薄ら涙も滲んだ。
糸により、縫合されていく感覚にも顔が歪む。
鋭い針の先端が皮に触れていくたびに痛みを与えていった。]
…はァ、…ハ… っく、…
[下半身を汚していた血液も拭われて消毒をされれば
腕が良いのか縫った僅かな傷しか残ってはいなかった。
それから、異物感を感じながら荒く息を吐いた。
最後の仕上げと言わんばかりに、包帯がわりにバンド状の
バイブレーターが宛がわれれば使用人は離れた。]
…… ッ、電話を。
[必死で声を振り絞り、代償を払ったのだからと
――― 自宅への電話を再度要求した。**]
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―― 会場 客席 ――
[もの言いたげな椅子だった女と香を纏う男に、冷ややかな目線。]
何? 人が払い下げられたのが、そんなに楽しい?
そうだ、あなたは先に帰ったあの人と、親しいのだっけ。
……彼も、アナタの奴隷?
[単純に思いついた関係を口にしてみる。]
でも今、友達って言った。
…………?
[いまいち理解できない、と首を捻る。表情はどこまでも正直だ。
敢えて前半のくだりは黙殺した。]
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奴隷以下の扱いなんてあるの?
[ツィーの横顔を見詰めながら、思案に暮れる。
少女の世界は、まだまだ狭い。]
僕はそんなに会いたいとは思わないけれど。
壊される……か。
[物思いに耽る表情で、舞台をへと視線を移す。
あれ以上に壊れることがあるだろうか、と。]
……そうなの?
僕を落札して、どうするつもりだった?
[主人から棄てられた身、興味が湧いてきて一歩香の濃度が高くなる彼の方へと近づく。クン、と自身の唇と同じ鉄錆独特の匂いを嗅ぎ付けて、不審が強まった。彼はどこか怪我をしているのだろうか。]
……心の準備程度に、なら。
[彼がテッドに舞台でした仕打ちは覚えている。何かに魅入られるように小さく頷くも、頭の片隅では警笛が鳴りっ放しだった。]
……一人で歩けるっ。
[ステッキをつきながら、気丈にブルネットの女が伸ばす手を遮った。
悪魔に魂を売り渡してしまったような錯覚が過ぎる。
滑り流れるような彼の歩幅を追って、未知への扉を潜った。
ぱさり、扉の前に落とされるのは、黒い羽飾りのついた帽子。]
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![]() | 【人】 ランタン職人 ヴェスパタイン[それから男は、用を足す、と言って暫くの間席を離れた。 (8) 2010/04/12(Mon) 11時頃 |
![]() | 【人】 ランタン職人 ヴェスパタイン せっかく機材を持ってきたのだし。 (9) 2010/04/12(Mon) 11時頃 |
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![]() | 【人】 ランタン職人 ヴェスパタイン[続く言葉は、彼女らふたりには聞こえない音量で] (10) 2010/04/12(Mon) 11時頃 |
![]() | 【人】 ランタン職人 ヴェスパタイン No,7、君は、買ってくださいって必死だったから。うん、色々「覚悟」が出来てるみたいだね。もっとアピールさせてあげるよ。 (11) 2010/04/12(Mon) 11時半頃 |
[巣のように薄布が張り巡らされた男の牙城、香が鼻腔だけでなく喉まで燻す。]
遅かれ早かれ、だろう?
彼女が僕を「擦れた」と称した原因の一端は、
アナタも担っているのだし。
彼女が僕に興味を失っていたら、
もしかしたら、アナタに買われていたかも知れない。
[全てはifの話。けれど、恐いもの見たさもあるのだろう。
ツィーのような柔軟な価値観は有していないが、必要とされる感触は悪くはないもの。その先が底なし沼でも。
この部屋は色々な匂いがする、と。自分の足首からと同じ匂いには鈍く気付かぬまま、歩を進めた。
囚われる、紗に覆われた真綿のような檻の中に。]
![]() | 【人】 ランタン職人 ヴェスパタイン で、ボクが聞きたいのは、死人らしいNo,5、君に。 (12) 2010/04/12(Mon) 11時半頃 |
皮肉なものだね。
奴隷に邪魔だからって、処女までくれてやったのに。
[男の前で、恭しくさえ見える手つきでツィーが着衣に手をかける。
脇腹や、浮いた肋骨のラインを撫でてゆくのはきっとわざと。
随分と舞台上では真っ裸のまま行動していたが、矢張り服は奪われた直後には羞恥を覚える。湯浴みのようなものだと、自身に言い聞かせるけれども。視線に弱い少女は、秘所を隠すように僅か内股でそこに佇む。
確認するような台詞には、一つ顎を引いて頷きを返した。]
……処女じゃなくても、恥ずかしいものは恥ずかしい。
[憮然と吐き捨てるも、たしかにじくりと膿んだような痛みを訴えているのは事実。小部屋で適切な処置は受けたのは、着衣の上からでしかなく。
柔らかな椅子に腰を落ち着ける。素肌が触れると少し擽ったい。
最初は頑に閉ざしていた膝を、それこそ処女のようにゆっくりと、男の前で開いていった。それでも角度はまだ直角に満たない。]
……! 樹液じゃない、だろうな。
[すっかり蟲がトラウマになっていた少女が一度、弾かれたように腰を浮かせた。]
[ひりひりと痛む入り口は、多分痛々しく腫れ上がっていたのだろう。確認したくもない。
冷たい液体が塗りこめられていく。ツィーの指先も手伝うなら、やがては少女自身の蜜も混ざり始めるだろう。痛みが冷却されたのは一瞬、やがては甘い疼きとなって気怠い下肢を覆っていく。]
……え、
[問い返す間さえなく、眼前にバンドのついたディルド。]
またこんな、……。
[甘いものでコーティングはしてもらえないかと、少し期待を込めた目線で見詰めるけれど、叶わずとも仕方なしに稚拙な舌を絡め始める。]
[ぷんと濃く香る血の匂い。破れた皮膚に滲む、鮮やかな赤。]
……ッ、
[男の愛撫の手つきを視界におさめながら、翻弄されるツィーに同調し、ぞわぞわと産毛が逆立つ感覚。教えられた動きで彼女の股間に生やされた男性器の模造品に唾液を塗す。
その間にも、少女の泉もまた潤い行き場のない熱を溜め込みつつあった。]
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![]() | 【人】 子守り パティ……さぁ。どうでしょうね。 (13) 2010/04/12(Mon) 12時半頃 |
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