43 朱隠し
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……ほんの少しの間だけでも。
夢を見られて僕は幸せでした。 にいさんが消えて2年、僕は、腹が満たされる事も、心が満たされる事もなく、同じ年頃の子どものように甘える事も遊ぶ事も許されなかった。
ほんのひと時――……
……貴方を想って麦飯を握っていた間、は。
こんな僕でも、誰かを満たせるのだと、幸せでした、から。
(29) 2011/02/18(Fri) 14時頃
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[地へと置かれた面を取る。 少年が厭わねば、それを彼の顔へと被せて]
俺も。 お前が握り飯を持って訪れるのを、何時の間にか楽しみにしていた。
[直接触れる事は出来なくても、こうして面越しならば。 少年に己の温もりが届くかもしれぬと信じて]
……眸を閉じよ。
(30) 2011/02/18(Fri) 14時頃
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…………。
せまい。
[半分夢の中から、隣にあるものを押し遣ろうと手を伸ばす。]
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人の子には出過ぎた想いですが。
――……僕は、貴方を、
……………お慕いしています。
[ 最後は、閉じた瞼からも、塞き止め切れない涙が溢れた。]
(31) 2011/02/18(Fri) 14時頃
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春松は、面が顔につけられるのを感じた。
2011/02/18(Fri) 14時頃
……んー。
[押しやられれば、ぎゅっと掛け布団を握った手が、一緒に布団を持っていく仕組み]
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―――……お前たちは、本当に。
[声に出さずに、何かを呟いて。 アヤカシは面越しに、少年へと口接けを落とす。
固い面越しであっても、 其の想いは確りと、胸の裡に収めて]
(32) 2011/02/18(Fri) 14時半頃
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[布団の中、朧が目を覚ましたなら思い切り抱きしめて口付ける。
我慢は二の次にして着物の中へ手を忍ばせ肌を弄れば意図は伝わるだろうか。
気持ち良さそうに寝ている時に手を出さなかったのが嘘のよう]
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お前の想いが変わらぬならば。 何時か必ず、迎えに来よう。
兄の事など忘れて、俺だけでその小さな胸が満たされた其の時に、 お前を人の世から浚いにくると、この面に誓おう。
[ゆっくりと顔を離し、甘く笑んで]
約束だ。
(33) 2011/02/18(Fri) 14時半頃
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……………………。
[こんどは、さむい。
四分の三ほど現に戻りつつ、そちらを睨み。
握られたままの掛布団を引っ張る。]
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[ 軽く触れていただけの面が、一瞬強く触れて、また新たな涙が頬を伝い落ちる。]
……口接けとは、しょっぱい、ものなんですね。
[ ふふ、と笑って、そっと目を開けた。]
――夕焼けを見る度に、思い出しそうです。 ……きれいな、あか。
(34) 2011/02/18(Fri) 14時半頃
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言いませんでしたっけ?
僕は、諦めの悪さには自信があるんです。
にいさんに忘れられようとも、僕はにいさんが大切ですし。 貴方があちらで愉しく暮らして二度とこちらに来ようと思われなくとも――
(35) 2011/02/18(Fri) 14時半頃
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この赫い目をそう喩えたのは、お前が初めてだ。
[笑んだまま、ゆっくりと身を離す。 其の動きに合わせて、りんと。微かに響く、鈴の音一つ]
(36) 2011/02/18(Fri) 14時半頃
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[こっちは完全に眠っているから、ほとんど起きた者に対してなすすべはない。見事に奪い返された。
……寒い。そして再び目を覚ます。今度は半分起きた]
……布団、入れろー。……つか、予備ないの?
[半永久的に繰り返されるかと思った事態を止めた]
─華月斎宅(客間)─
こら藤……ッ!
幾ら何でも、ここでは……!
[華月斎と一平太に気付かれたらどうするのだと、声を顰めて諫めるが]
……ッ……。
[素肌に掌を滑らされれば、潜んでいた熱が忽ち顔を覗かせて。
此方も堪えきれぬという風に、藤之助を抱き寄せた]
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祭が来れば、仕事の合間に面を被り、握り飯を持ってここに参りましょう。
[ 嗚咽が混じり、発音は明瞭ではないが、きっと伝わると。 春松は痛む胸を抑えて口を動かした。]
(37) 2011/02/18(Fri) 14時半頃
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―――…ああ。 その握り飯を喰らいに、また訪れよう。
お前の握る飯の味は、忘れられぬから。
[こくりと頷き。 アヤカシはもう一つ身を離す。
これ以上、言葉は不要。 りん、という鈴の音だけがちいさく響いた]
(38) 2011/02/18(Fri) 14時半頃
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ない。
[きぱ、と即答。]
若ぇんだから我慢しれ。
[これである。]
狭くてかなわん。
ちっと見ないうちに、どんだけ育っとるお前。
[くぁ、と生欠伸零しつつ、上体を起こす。]
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[ 鈴の音に、こくりと頷きひとつ。
せめて寄り添う姿は見たくないと背を向けて。明之進に会釈を。]
……おげんきで。
[ そして春松は、石段を、駆け降りた。]
(39) 2011/02/18(Fri) 15時頃
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[ 胸に灯った小さな恋が、
痛む胸から零れてしまわぬように、
左手で強く胸を押さえながら――…… **]
(40) 2011/02/18(Fri) 15時頃
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朧がのんきに寝入るから悪いんだ、いっその事あいつらに聞かせてやれ。
[帯を解き既に熱を持つそれを素肌へ擦り付ける、性急に求めてしまうのは仕方ない事だ。
邪魔な布団をどけると起き上がり、少し怒った顔のまま膝に座るよう促した]
丁稚 春松は、メモを貼った。
2011/02/18(Fri) 15時頃
このじじい………
[思わず悪態をついた]
どっかから布団借りてこな、寒死にするー。
[そうこうしている間にも、心身が人であることをやめつつあるので、凍死はないだろうが]
どんだけ……んと、いっぱい。
[畳の上にあぐらをかき]
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[駆け下りて行く背中を暫し見送って]
―――……。
[ゆるり、明之進方へと振り返る]
では、参ろうか。
[アヤカシは一言、そう告げて。右手をそっと*差し出した*]
(41) 2011/02/18(Fri) 15時頃
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楽士 ウトは、メモを貼った。
2011/02/18(Fri) 15時頃
[ちなみに前回この里に来た時は、定吉は“雨降り小僧”に変化しかけ、泣く度に自分の半径三尺以内に雨を降らせていたのはまた別のお話。
飴師はどこまで言っても「あめし」だったのである]
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帰ったのだな――。 連れて……。
[境内から消えた気配にぽつり。]
ああ――…。
そろそろ祭の季節も終りだな。
[童が遊ぶ境内を、 じっと眸に焼き付けるようにしてから、
傍の大木に身を寄せれば眼瞼を閉じた。]
(42) 2011/02/18(Fri) 15時頃
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暢気に……。
[さりげに視線を逸らす。
なにせ、藤之助の膝に崩れ落ちて眠るまでの昨夜の記憶は、殆ど残っているのだから]
……ぅ……。
[おずおずと、藤之助の膝を跨ぐ。
しかしどうしても襖の向こうが気になってしまう]
餓鬼大将 勝丸は、メモを貼った。
2011/02/18(Fri) 15時頃
[ふと目を覚ます。 隣には華月斎の寝顔がある
もう一人ではないという安心感に微睡みかけ…
現実に引き戻された]
…っと……あっ。
[起き上がり、昨夜の行為の後を物語る格好に赤面する
と同時に隣に客人がいる事実を思い出し今度は青くなる]
って、ここ…うわぁ…
[頭を抱えたくなる状況だが、とりあえず夕餉の器も片付けておらず、それからなんとかせねばと動き出す
眠る華月斎を起こさぬよう…となりから微かに聞こえる聲も聞かない振りをして
極力物音をたてないように器を下げた]
おまけに、華月斎や一平太にまで可愛い姿を見せるなんて。
俺だけに特別な姿を見せてもらわないと……
[膝の上の尻を弄り、奥へ入りたいと請うように屹立した熱を腿へと擦りつけ]
なに、朧が派手に声を上げなければ二人は起きてこないだろう。起きていたとしても、お互い様だ。
いやあれは醜態というのだ……。
[どんな顔で詫びたものか……と考えるが、太腿に熱が擦り付けられれば、奥まった其処がずくりと疼く。
───ほしい]
お互い、様……?
[すっかり眠ってしまっていて、昨夜の情事を知らぬ為に、そう訊ね。
湿り気を与えようと指先を舐め、躊躇いがちに、藤之助のモノへと伸ばす]
[じじい、と謂われれば、ふんと鼻を鳴らし。]
死にゃあせん。安心せい。
……だが布団は要るな。
藤色あたりに乞うかの。
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