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[振り向いた顔、涙で濡れた顔。
なんだよ、泣くなよ、そんな言葉が口をつく前に、蓮端が歩み寄るのに息を呑む。
二人目の重みにベッドがきしむ。その音さえ、とくりと胸を鳴らした。]
[暗い瞳が見つめるのも、恐れは覚えない。
その深みは、本来はとてもあたたかいものだと知っているから。]
夕輝。
[口にすれば、溢れる、あふれる、いとおしさ。]
夕輝。
[何度だって、呼べる。頼まれなくたって、呼んでやる。]
[膝をつく姿に手を伸ばして、今度こそ強く抱き締めて。苦しいなんて言われても、簡単には離さない。
ああ、感じるのは、彼の温度。]
夕輝、俺の、夕輝……!
[へへ、と子供みたいに顔を緩ませて、俺の、と独占欲を混ぜ込んだ。
窓際の思案までは知らないけれど、間違いなくこの男は蓮端夕輝だと、そう実感できる。
誰に似ていようが、この男はその男じゃない。]
夕輝ー……
[その感覚が嬉しすぎて、甘えるように体重を寄せる。
寂しく弱りかけていた心も、どこかに捨ててしまった。]
[本当は、弱音を吐きそうだったけれど。
日向の想い人と重なるらしい彼を、どうしたら救えるのか、迷いかけていたけれど。]
[何も変わらない。
ここにいるのは蓮端夕輝だから、何も変わらない。]
メモを貼った。
【人】 奏者 セシル あのな、珀も耀も、 、お前なんかいなくたって生きていける。 (72) 2011/05/23(Mon) 16時頃 |
【人】 奏者 セシル それよりお前、 (73) 2011/05/23(Mon) 16時頃 |
【人】 奏者 セシル 役に立たないくらいなら、向こうで一人になってる珀の元に早くいってこい。 (74) 2011/05/23(Mon) 16時頃 |
【人】 奏者 セシル[そう、たとえ逃れられない運命だとしても、 (75) 2011/05/23(Mon) 16時半頃 |
【人】 奏者 セシル[そして、けーまに振り返る。] (80) 2011/05/23(Mon) 17時頃 |
―― 1階廊下 ――
……無駄かどうかなんて、分かんねーじゃねえか。
[廊下の壷を退かし、ぺたぺたと床を撫でながら。
背中の気配に、振り返らず応えた。
外へは出られない、あの別荘にも戻る事は出来ない。
もう8回ほど繰り返された。
新たにこちらへ来たのは、調音と成人。
そう伝えられて、無言で部屋を出た後。
彼女はずっと付いて来る]
触れらんなかったけど。何もしてやれなかったけど。
……オレは、日向の頑張りを生かしてやれなかったけど。
オレは居なくなりたがってたのに、日向は助けてくれた。
ならそれは、オレが何かしたんじゃなくて、蛍紫や、蘭香や、……誰かのお陰なんだ。
[克希に話を聞いた。
夢見心地のような、彼の言動は怪しいものがあったが、必要な話は聞けた。
気づいたら此処に居て、少なくともこの場に、彼の想い人は居ないと。
何の条件もなしに、ひとりずつ助けられるなら、日向はあんな話をしなかっただろう。
実際、自分と彼以外は、恋を失わなかったふたりが送られてくる。
新しいふたりも、そうである筈。
自分と克希。
格差のありすぎる経済力とか、違うところしか思い浮かばないけれど。
何か、共通点がある筈で。
どうしても見つからないならそれは、内でなく外に。
周りのひとに、あるんじゃないか と]
調音と成人が来たんなら、日向は、別荘のみんなは、まだ頑張ってんだ。
だったら、助けられたヤツが、いつまでもメソメソ引き篭もってたら、何のためにあいつが頑張ってくれたのか、誰かが助けてくれたのか、分かんなくなっちまうじゃねーか。
[断定的な口調は、言い聞かせるような響き。
表情は晴れないし、今は笑顔ひとつ作るのも難しそう。
だけど。だから。
時折、背後の声に応えながらも、基本黙々と動かし続けていた手が、ふと]
……?
[呼ばれた、気がした。
あちらが夜明け前なら、さして時間は経っていないのだろうに、ひどく懐かしく―― しい声に。
はっと顔を上げるも、当然、其処には誰も居ない。
表情を変えぬ少女が、こちらを窺っているだけだ。
その存在も、生きているのか死んでいるのかすら、曖昧で掴みがたい]
…… っくしゅ。
[寒さで耳鳴りでもしたのかもしれない。
頭をふるふる、軽く振った。
そういえば夕輝が、風邪フラグとか自分を棚に上げたことを言っていたけれど…… まあ、彼の心配は自分がしなくとも良いハズ。
生来のお節介はどうしようもないから、広間の前でドスの利いた声を掛けられた時の二の舞は避けたいものだが、これからは大丈夫なんだろう。
大丈夫じゃないと困る。
シャツと包帯越しの腕を擦って、はあ、と両手に息を吐きかけ。
再び、床へ手を伸ばした*]
メモを貼った。
自分で言って、何照れてんだよ。
[普通でない方のホテル、実はそういう所を利用したことだってある。
甘い空気には慣れなくていつも通りツッコミを入れて、室内を見回った事、クローゼットの中に衣類が使えそうな事、風呂にはもう湯を張ってあることなんかを伝えたら驚くだろうか]
俺はいいよ、お前の方が、男とで大丈夫なのかなとは思うけど。流石に無いだろ?
[二年の頃に自暴自棄になっていた時期があって、女性だけでなく男性とも関係をもっていたりもした。恋人なんて甘い関係ではなく、互いの欲を発散させる為の都合の良い、なにか。
三年になってからは落ち着いて、最近では清く正しく麻雀ばかりしていたから気づかれる事は無かったと思う]
とりあえず、試してみよっか。
[挑発するようにちろりと唇を舐め、ベッドから降りてバスルームに向かう顔は学校では見せない種類*]
[呼ばれる、名前。
この身体で生まれてきてからずっと変わらない名前。
おれがおれなんだって意識できる、名前。
何度も、何度も、その名前を、哲人が呼んでくれた。]
てつ。……てつひと。
[多分、今初めて、この人のことをおれはそう呼んだ。
少しでも長い間、その響きの色を感じて居たくて……。
時間を掛けて、最後までその名前を呼んだ。]
[抱きしめられるがまま、哲人の腕の中に身体を預けて。
胸が苦しくなるくらい、ひたすらに抱き合った。
彼の体温と自分のそれが合わさって、温め合う。
……確かに彼はここに居て、そしておれも、ここに居る。]
哲人、てつひと……っ。
[俺の、と言ってくれた人。明るく笑ってくれた人。
だからおれも、屈託なく笑み返そうとした。
けれど胸の奥から、形にならない熱さがたくさん込み上げてきて……。
また涙が止まらなくなって、それでも、安堵に表情が緩んだ。
掛かる彼の重みが心地良かったり、くすぐったかったり……。
おれもそれがすごく嬉しくて、夢中になって、じゃれついた。
何もこわいものなんてなかった幼い子供の頃。
一度その時代を失くしてから、ずっと忘れていたように思う、その感覚。
まるでその時みたいに無邪気な心で、]
好き、大好きっ、哲人……!
[泣きながら、そう叫んだ。
今のおれは、他の誰でもない夕輝。
そしてそう認めてくれる哲人が今、ここに居る。
その人の存在を。彼を通して自分の存在をも。
もっともっと、確かめたくて。
小さく吐息を零しながら、額を寄せて。
それから唇をもまた、寄せた。]
メモを貼った。
【人】 奏者 セシル>>90 (92) 2011/05/23(Mon) 19時頃 |
だ……って、調子狂うんだよ!
[友達っぽく接するのも恋人っぽく接するのも恥ずかしいのだとぼやく。
室内の説明を聞いているうちに一度落ち着いたが、続いた言葉に]
え、……えー、あー、うん。無いな。
[一瞬何がないのか考えてしまった。
そして、あれ?と思う。――良数は、ある、のか?
でもそれを今問い直す勇気はなく]
……ん。
[試すって何を、と切り返そうとして見たのは挑発的な表情。
――そりゃあ、年上のお姉さんからそういう色っぽい表情を見せてもらったことだって一度や二度じゃなくあるけれど。それとはまた違う。
――緊張を気取られないように表情を繕うのに集中していたから、結局声に出せた返事は、ただの肯定の音]
【人】 奏者 セシル 強く想うこころがあれば、甲斐をきっと珀の元に送ることができる。 (106) 2011/05/23(Mon) 20時頃 |
メモを貼った。
俺だって、彼氏が出来たのは初めてだっつの。
[緊張するのはどちらも似たようなものかと、バスルームまで歩いた後、躊躇わず服を脱いでタイルの上へ。
女性としかしてこなかった道也が、いきなり同性と、というのにはとてもハードルが高いのだろう。
露骨に萎えられたら、どうしよう]
怖いのは、お互いさま。
メモを貼った。
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