25 花祭 ― 夢と現の狭間で ―
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若者 テッドは、小鳥の姿に気がつくと、振られた手に軽く手を上げ返した。
2010/08/07(Sat) 15時半頃
……わからない。
……死者にはもう、遠いことだ。
[俯いて、思うは何か。]
――――― …
[言葉は、少なく。
もののためしか、
高い位置で自分の髪を結い上げる。
鈴が、鳴る]
|
…あー…、もう、平気。 腹も鳴る位にピンピンしてるぜ。
[言えば、くうと腹が自己主張した。]
あと…こないだは、手。 …弾いて悪かったな。
[相手が覚えてるか否かは別として。 淡く笑う霞に苦笑した。 夜光の口から”明之進”と聞くと、何故かぎくりと肩が揺れ。]
俺は…さっき起きたばっかだから二人とも見てねえな。すまん。
[少しだけ騒ぐ胸を鎮めつつ、答える。 霞が夜光にかける話には静かに耳を傾けた。]
(@16) 2010/08/07(Sat) 16時頃
|
若者 テッドは、ふと、鈴の音が微かに耳に届いた気がして。ちらと琥珀を彷徨わせた。
2010/08/07(Sat) 16時頃
似ないね。
……そうしても、白い鳥は変わらない
[鈴の音に、思うた事そのままひとつ。
見遣る先
広がる不信]
…―――― そうか
[手を話せば、
まとめていただけの髪は
するりとほどけた。]
…そう、変わるはずも
ない な
変わりたかった?
[僅かに、首を傾ぐ。
レンズ無くとも、瞳は焦点を定めて]
|
― 本邸・廊下 ―
―――…。
[人狼病の話を聞くと、頭がツキと痛む。 まるでそれ以上その話題に触れるなと言わんばかり。 そして聞こえた気がした鈴の音に視線を外していたが、夜光の声に感情が乗れば、其方へ琥珀を戻した。]
これじゃ、何をどう信じていいのかわかんねえな…。
[霞の話を聞き終えて、静かにそんな感想を漏らした。 去り際の言葉には、どういう顔をしていいものかわからず、思わず変な顔になる。 涼やかな音と共に去る背中を見送ると、夜光に向き直って。]
……大丈夫か?
[常と違う雰囲気を感じたか、虎鉄は一言声を掛けた。]
(@17) 2010/08/07(Sat) 16時半頃
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ん。わかった。
[明之進を見かけたらとの声にはそう言って。 ズボンのポケットに手を突っ込むと、じゃあなと歩き始めた。 ふと、すれ違い様に小さく虎鉄は呟く。]
―――大事ならば手放す無かれ。
[それは陽のような声ではなく、冷たく哀しい、虚ろな声。 今その表情にあるのは、無だけ。]
去りし日は戻らず。 消す事もまた、叶わず。
[声の途切れには、ざぁ、と風が吹いて庭の樹が大きくざわめいた。 樹の声が止む時には其処に虎鉄の姿は無く。 風に遊ばれた木の葉が一片、くるくると*舞い落つのみ。*]
(@18) 2010/08/07(Sat) 16時半頃
|
……―――
…己は、己であろうと。
[一度だけ視線を合わせる。
それから、誰かを探すようにさまよう]
若者 テッドは、メモを貼った。
2010/08/07(Sat) 17時頃
死してなお?
己とは存外にあやふやなものだよ。
……死者の先輩として言っておくけど。
[硬質な声音。
冬の蕾は咲かぬまま、一夜先に此処にあり]
ふたつ心生まれれば
身はひとつ
引き裂かれ
望み叶わず、破れ散る
[散った花が詠う]
若者 テッドは、メモを貼った。
2010/08/07(Sat) 17時半頃
――――っ、……
[眉を寄せた。
紫苑色がつり上がる。]
ふたり、 いたのか。
ひとつの、からだに。
…そんなことが……
[―――声。
それから、
常世ではない鈴の音。
白い鳥は独り堕ちる。
混乱と混沌の中
独り]
――――…
…朧さま
……―――華月
かげつ、 …っ
[手を伸ばしても、隔たりは彼方だ。
りん、と鈴が啼いて
俯いた顔を髪が隠す。]
否
ひとつ、身に 二つこころは
いれられぬ
駒鳥は落ち、花が咲いた
其れが私
[花が謂う]
ボクを殺したのは、噂だよ。
多芸は多才じゃない
それなのに
あの時は、未だ花は選ばれていなかった
それなのに
[臥せっていたあの日
微かな期待打ち砕かれて、冬の蕾は行き場をなくしたと]
[ぽつり。
首を振って、傍らの主に身を寄せる]
……いまは、二人でひとり
寂しさは此処に
淋しさは此処に
埋めてくれるのは、主さま
それから
新たな私が、現世に。
[冷たい色の瞳は、ゆっくりと閉じる。
応接の間に、
手を伸ばせば鍵盤が触れる
それでも、生者に音は届かない]
|
― 食堂 ―
ったく、揃いも揃ってなんだっつーんだよ。 俺みたいな花はセルフサービスでどうぞってか。
[虎鉄はぶすっとした顔で食堂に居た。 机に置かれた饅頭をつまみながら、此方を見もしない屋敷の者に向けてぼやいている。 兄弟子と食事をした時もそうだったなと思い返して、ふと手を止めた。]
………、華月。
[兄弟子の耳にも恐らくもう届いているだろう。 三人の死者の事…その中の一人が、双花である鵠だという事。 虎鉄は少しばかり渋い顔をして、食んだままの饅頭をもぐと齧って残りも口の中へと押し込んだ。]
(@19) 2010/08/07(Sat) 18時頃
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[諌められれば、やがて洋琴の音はぷつり途切れる]
……主さま。
[困ったように見上げて**]
|
…、……?
[その折、また何処かで微かに鈴の音が啼いた気がして。]
――――…鵠?
[鈴の音を纏っていた白鳥の名を呟いてみるも、その者は既に現世に居らず。 しかし辺りを見回せども、其処に啼くような鈴は見当たらず首を傾ぐばかり。]
やっぱ俺、どっか悪いのかな…。
[机に片手で頬杖をついて、唸るように琥珀を伏せた。]
(@23) 2010/08/07(Sat) 18時頃
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|
[虎鉄の耳に届いたのは、鈴の音のみ。 死者の声は未だ遠く、現の喧騒に掻き消える。]
…ああもう、訳わかんねえ。
[空耳はもとより、人狼病の事も。 急に具合の悪くなる身体の事も。 冷たいと言われた事も。 全てが混ざり混ざって、虎鉄は眉間に皺を寄せた。]
でも、それより今は…
[琥珀を一度伏せ、開くと席を立つ。 わからない事が山積みで、どれを取っても答えには辿り着けない。 ならば、今自分が一番したい事をするまで。 虎鉄は食堂を後にすると、人を探して屋敷の中を歩いた。]
(@27) 2010/08/07(Sat) 19時頃
|
|
― 本邸・廊下 ―
さって、何処から探したもんか…―――
[食堂を出て程無くして、虎鉄の足が止まった。 視線の先、琥珀に映るは。 狭間を仰ぐ、黒椿の姿。]
(@29) 2010/08/07(Sat) 19時半頃
|
[狭間に呼びかけるこえ
主の傍から、そちらへ
意識を向ければ気配は傍に]
……嗚呼、思い出した
昨年喰われた……明の
[そう聞いたのは霞の月に。
今時の幽霊はあれほど存在感あるものかと謂ったのを覚えている。
ふ、と自らの手に視線を落とした]
[呟きは揺らぐ。
狭間からうつしよへ
届くとも解らず。
まどろむように、意識はまた
温もり求め、主の傍**]
|
あけ、の…しん…。
[名を呼び返せば、押し寄せてくる不安。 ずっと守ってきた何かが、壊れてしまうような恐れ。 しかし、縫い付けられたように足は動かない。]
―――…声?同じ…?
[ふと、投げかけられた言葉に琥珀を細める。]
お前、…前にも「私と同じ」って言ってたけど…どういう意味だ?
[さらりと告げる相手とは対照的に、訝しげに黒椿を見た。]
(@32) 2010/08/07(Sat) 20時頃
|
…―――
…華月…
[―――――紫苑色が揺れる、揺れる。]
|
…おい!
[地に縫われた足が動いたのは、黒椿が屑折れた折。 大丈夫かと駆け寄り、手を貸そうとしたが。]
…え…? だから、何言って…
[そういえば、微かに何か聞こえた気がしたが。 現世に色濃く囚われる虎鉄の耳には未だ遠く、緩く首を振る。 だがそれも、黄泉に影置く椿の言の葉を聴き、その手に触れたなら。
守る殻は脆く――――儚い音と共に崩れ落ちる。]
あ…ああ…、……ッ!!
[みるみるうちに琥珀は見開いて、掻き毟るように頭を抱いた。 何かを振り払うように、力の限りに首を横に振って。 後ずさるようによろけると、そのまま踵を返して廊下を*駆けた。*]
(@34) 2010/08/07(Sat) 20時頃
|
若者 テッドは、メモを貼った。
2010/08/07(Sat) 20時半頃
己は
何も、…
……っ、
[何も知らないで。
何も。何も。
ロビンの声が聞こえても答えられない。
射落とされた鳥は
きつく眉を寄せ俯いた。
――――りん、と
重なるように
鈴が
*鳴った*]
私の声が……聴こえるのなら
其れは生者としてはおかしな事
[白い鳥の視線はあちらへ。
答えが無くとも冬も花も気に留めず
現世留まる亡者を見る。
己の投げかけた言の葉は、
思うよりも随分広がったようだった。
主の傍にありながら、彼らの様子が手にとるように見える
ここは、狭間]
黄泉が手折りた 花ひとつ
うつつの月に 迷い染まる
あちらの虎鉄と謂う花も
……同じ?
[呟きはあやふや
彼については、人食いの花は聞いて居らず]
[主に何もできなかった己は―――なんて、無様な生贄だと。
すまない、と幾度目か謂って。
ふいに、聞こえたのは蝶の声]
――――…飛ぶ
[俯いていた鵠が
少しだけ、顔を上げる。]
…飛びたい…な…
[鈴の音に、重なる。]
[漸く眸が常世と現世の狭間を映す。
ロビンの声が聞こえ]
…己たちの、こえが
聞こえる…?
[呟く。
そういえば、虎鉄は――最早あるはずのない場所で鵠の名を呼んだ]
どうして、…
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