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――…、…わからない
[首を横に振る。
――りん。鈴が鳴る。
己を殺した刷衛へ抱く思いも、
人狼でありながら情を強く見せる
本郷や、ロビンや――霞月夜。
微笑み浮かべる胡蝶とは対照的か。
全てが重ならない故に双花足りえる。
胡蝶の衣の裾を、く、と握った。]
さて。
ここは、あちらと死した世界を結ぶ場所、なのかもしれません。
場所は同じであるのに。
あちらに此方の姿は見えず、声は聞こえず。
ああ、でも。
二人には聞こえているようですね。
[いずこかを見る。
そしてまた夜光の方を向いた]
憎めといわれたのなら、憎むと良いでしょう。
けれど、それで何が変わるわけでもなく。
憎むことは、己の醜さを表に出すこと。
それが悪いことだとは思いませんけれど、ね。
[夜光の視線を受けて、冬色を細める。
主が応えるなら口を挟む事はしない]
[邦夜の無事を願う言葉に、怨の念は幾らか薄れ]
獣であっても、変らぬと。
[獣に裂かれた人の言葉なれば、それは深く心に響く。
迷うように、ロビンへと法泉へと視線が彷徨う]
見えず、聞こえず。
…二人?
[法泉の視線を追いかける。
此岸にいる人々。誰を指しているのかは分からず]
[傍らの花、握る手を強くして]
解らないのなら、解らぬままでも良いのではありませんか。
それとも、解るので考えるのか。
――ここに後どれほどいられるのかわからぬ。
考えるには、時間はあまりに短く。
ここにこのまま留まれるのなら、どれほど良いか。
[あの、二つの花のように。けれども、あの花たちもいつまで]
私は、人を獣をと考えるよりも。
今傍にある花と――。
メモを貼った。
[主の許可出るまでは、二人の間に口を挟まない。
其の様は飼い慣らされた狗のようでもある。
握られた手に力が篭ると、瞬きを一つ。
見上げ、切なげに眉を寄せた。
瞳を伏せる]
【人】 さすらい人 ヤニク―本邸・廊下― (128) 2010/08/08(Sun) 23時頃 |
[胡蝶は、正確には華月は、
誰かを怨みつらみする感情が希薄だった。
それは、初めが主に共の死を求められ、添えれなかったが故。
怨まれはすれど、怨むことはできない、と。]
わからんくても、えぇんやない?
[りん――鳴る鈴の音。袖引くに気がついて、ポツリと返す。]
感情いうんは、変わるもんでもあるしなぁ。
見て、聴いて、識って、
それでも変わらんかったら怨めばええんよ。
[鵠に返しながら、夜光にも重ねる言の葉。]
わては頭かしこないから、むずかし考えとったら頭壊れるわ。
どんな答えだしても、鵠は鵠や。
多分、わてが鵠好きや謂う気持ちはかわらへん思うしなぁ。
メモを貼った。
…恨んで憎んで、苦しんだ人を知ってます。
醜く、何も変らない。
[時には直接身にも受けた。
落花は苦しくてもそうせずに生きられなかった]
……悪いことではなくても。
[法泉の視線から逃れるように顔を背け。
双花の姿にも気がついた]
鵠殿。華月殿。
[華月がどう散ったのかはまだ知れてない。
けれど鵠は。そう。獣に寄らず散らされたのだ]
人も、人を、殺す…。
[花の様子にくつりと笑い]
ロビン、言いたいことがあるのでしたら、言って構わないのですよ。
[人には人の、獣には獣の言い分があろうと、花を見る視線は柔らかく注ぐ]
[夜光が眸に宿す怨のいろ、それがゆらり、ゆらりと変わり往くのに己の紫苑色を重ねる。]
…分からぬままでも、…よい、…?
[法泉と、――胡蝶の言葉と、
重なる。鈴が鳴る。]
――…、――
己は、知らぬこと、多く
見て聞いて、そして、惑っている。
……にくめたら、楽なのに
[零した胸のうち。
憎みきれないのだと、そういう。]
…否、胡蝶は、……――凝り固まった己より、余程…、…ッ
[好き、と聞こえた所為か。紅くなった。]
手妻師 華月斎の言葉に、微笑を一つ見せた
[華月の言葉に考える。
邦夜は違うと知っているけれど。若し。
若しも彼が獣で。獣であっても同じに温もりをくれたなら。
自分は、恨むことが、憎むことが出来たのか?
感情は変るもの。再び視線はロビンへ。
あれだけ拒絶されたのに、其方から声を掛けてくれた]
……頭が痛い。
[蟀谷を押さえて首を振った。
華月の言葉は頭でなく別の場所で分かる気がした]
[柔かな主の視線に促されて、口を開く]
憎み、嫉み
幾ら向けても構わぬのに。
……道天満月の彼も
同じ道を辿らせる手筈がしくじった様子
二度同じ手は、あるかどうか。
[人食いの花が聞く言の葉は
現世と狭間と、もうひとつ]
まだ、痛みがあるんだ?
……そうだね、色々まだ此処は感じる事が出来る。
彼岸にたどり着いたなら、消えてしまうかな
[冬色の瞳が夜光を見遣り、気遣わしげに揺れた。
拒絶が無いだけで随分印象が変わる]
【人】 さすらい人 ヤニクあ、 (131) 2010/08/08(Sun) 23時頃 |
そう、ですね。
[夜光の言葉に頷いて]
そも、人の生き死にには獣より人が多く関るもの。
縁あるものを屠られれば、人であろうと獣であろうとあまり良い感情は浮かばぬでしょう。
…。
獣を恐ろしいというのなら、人はもっと恐ろしい。
けれど、だからこそ、どちらも恐ろしいものではない。
[おそらくは、乾がロビンを獣でなく花と見ることに、
どうあっても鵠は鵠と思うのは似ているのかもしれない。
乾の微笑にそのようなものを感じ、胡蝶もまた微笑む。]
人も人を殺す。
わても、朧様に殺されたけど、感謝こそすれ怨む気はおきへん。
ま、人それぞれやろ。想いも事情も。
あんま、考えこんだら、頭莫迦になんで?
考えるより感じろ!……とか謂うてみよか。
[光夜に己が死の原因を告げ、傷むという頭を心配した。]
門下生 一平太が痛がる様子に首を傾けた
……憎めたらええのに、ってのが答えな気ぃもするけどな。
裏返せば、憎みたくないってことやろ。
わては、鵠のそういうとこ、好きやよ。
[そして、好きという言葉に反応した鵠に、
重なるようにまた好きという言葉を向けた。]
なんや、かあいらしいなぁ……――
[紅く染まった頬を突いてみたり。]
……あれを初心と謂うんでしょうね。
幾らか見習った方が良いでしょうか。
[生まれながらに艶ごとは知っている。
経験こそなくても媚態を取るのは人食花
白い鳥が紅く染まっているのをふと見て呟いた]
なっ!
[同じ道をといわれれば、憎しみ浮かばぬわけがなく。
されど冬の瞳は気遣わしげで、以前のそれとはまるで違う]
…変るんだね。
人も。獣も。同じように。
[ほぅと息を吐いて、法泉の言葉に頷いた]
ロビン、私は造られたものはあまり好ましく思っておりませんので。
お前はお前のまま、傍に在るといい。
[花の言葉に僅か目を細めて、白鳥を見やり、また視線を戻す]
【人】 さすらい人 ヤニクえ、……死んだ……? (141) 2010/08/08(Sun) 23時半頃 |
[同じ道をと言っても昨夜の話。
それ以上は告げず]
利用して謀る気で近づいたのに
主さまがあまりに心深くいらっしゃるから。
[同じように変わるのか
己の変化については頷いた]
主さま……
[つ、と視線を流し見遣る。
少し下げた眉と、薄く開いた唇。
躊躇い、音にした]
お誘いしたあの時は
笑みも仕草も、計算の上であったのですよ?
お部屋に招いて頂いて
……そのような余裕は直ぐになくなりましたが。
造りもの交じりが私の顔なれば
主さまは、幻滅なさいますや?
…、…――
[頭が痛い という夜光へ
気遣わしげな視線を向けた。]
いたい、
まるで――生きていた頃の、ようだ。
……人は変わる、……変わる、か…
[呟き、惑いは晴れない。
胡蝶の声に、顔を向ける]
――…、……そう、なんだろうか
[もう一度聞こえてくる声に、
視線を彷徨わせて眼を伏せた。]
…や めろ。
[困ったように頬を防御した。]
心深いかどうかは、さて。
私はただ、欲深いだけのような、気がしますから。
[白鳥と蝶の戯れる様子を目に映す。
やがて視線はあちらへと向いた]
どちらも。
滅びの身を向かっているように、見える。
人も獣も。
[冬花の声に視線巡らせ。
鵠と胡蝶の様子を見れば小さく頷いてしまったり。
羨ましいとも思うのは、どうにか心の裡のみで]
そう。それは。
良かったと、思う。
[獣を厭う思いもまだ消えないけれど。
そこには共感できるものが確かにあって。
まだ蟀谷押さえながらも、冬の瞳に小さく頷きを返した]
【人】 さすらい人 ヤニク……やっぱり、側へ置いておくべきじゃなかったんだ。 (144) 2010/08/09(Mon) 00時頃 |
ああ。
だから、私はお前の顔をもっと見たかった。
手折ればその表情は変わるだろうかと。
手折ってなお変わらぬようなら。
どうしていたでしょうね。
[花へと向ける笑みは変わらず穏やかに]
幻滅などするなら最初から花と認めず、
――造り物が混じるのがお前の顔なら、それもまた良しと。
今は思っておりますから。
[夜光の頷きを見遣り、少し眉を下げる]
良かったと、そう謂ってくれるんだ。
[冬の蕾の仕草。
大分間を置いて]
ありがとう。
[瞳閉じて呟いた]
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