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…………、……!
[声をかけようとして、その言葉を飲み込む。
聞こえるはずがないのだ、自分の声は。
老婆は生きているのだろうから。]
………………。
[その姿が湖に映っていないなどと気付かず。
老婆の背中をじっと見つめる。]
おばあちゃん………ありがと……。
[届かなくてもそれでいい。
小さく感謝を伝えると、また走ろうとその姿は霧に消えた。]
メモを貼った。
メモを貼った。
![]() | 【人】 ランタン職人 ヴェスパタイン[>>71ハナは僅かに気落ちした、ようにみえた。 (74) 2014/08/19(Tue) 21時半頃 |
──回想:昨夜の部屋──
[椅子を進めても座らない少年の立つ姿を、
黙ってみやって、中へ入るようにと促す。
夜も更けて、鉄格子の向こうに見える窓は、
すっかり黒々としていた。]
……、中には入りな。
[そう言って、立ち尽くしたような、
少年の後ろのドアを閉めた。
ぱたん。と、軽い音だけが廊下に残る。]
───。
[外に声が漏れなくなった部屋で女が窓を背中に子どもに見向く。そうして、少年はあちこちとつっかえながら、話をはじめた。]
[やさしい人が好きだ。と、
子どもが言う。
──掃除夫の青年を、同じにやさしい人と、
そう評した言葉を思う。]
……
[優しい人が、人間が好きだから、
自分もやさしくしたい、、
守りたいのだと、そう少年は話を続けた。]
[黙り、その言葉を聞く女の前で、
あの日。と、不意に話は過去へと飛んだ。]
────。
[先を促すような言葉はないまま、
ただ、黙って常の表情を変えず、
けれど目を子どもから離さずにいる。]
[説明しづらそうに、言葉はぽつりぽつりと繋げられる。
──魚屋の女の表情が変わったのは、
気がついたら、と、子どもが言ったとき]
……
[──ああ。と、思った。]
[最初に感じたのは、落胆だった。物悲しさのような胸に
すうっと冷たい水が沁みる感覚。
ついで、悪戯心でなされたと、そう聞こえた言葉に
──とまれなかったのかと、腹立ちのようなものと共にそう思った。
やさしい人が好きだと、
そういうのなら。
自分なら、できないからと、
酷く単純な理由で、
──掃除夫の青年を、子どもが食べるようなことはないのではと、
そんな風にも、思っていたからだ。]
[ラルフを殺すことができないのなら。
目の前にいる子どもは、
狼ではないのじゃあないかと、
──そう、信じることはできないかと、思っていたからだ。]
……
[リーの忠告を思い出す。
イアンが挑発めいて、自分で狼を見つけられるのか、と
そう言った言葉がついでよぎっていった。
自分は結局、情のようなものや、
村で生きる自分の常識や、
ごく狭いものの見方でしか、
きっと、判断ができていないのだろう。]
[これまでは、その狭い視野で、
生きることに不都合もなかった。
好きな相手を殺す感覚なんてものはわからない。
魚屋の女にとっての好きな相手は、
一緒に、時間を重ねていきたい人間だ。]
……………
[ただ漁師、と。少年が口にするのに、
ぴくりと瞼が引きつった。]
[少年が、オスカーが、一歩一歩を歩みくる。]
……そりゃ、何年前の話だい
[── 違うかもしれない。
サイモンの部屋に、
最初に行ったときと同じに、
声が震えかける。
けれど。]
…そいつは、
[漁師だった、その男は。
ときおり、湖の近くを歩くのが好きな男だった。
口数は多くはないが、優しい男だった。
もとより、暗く人の輪から外れがちの女の傍に
随分根気強くいてくれた、根っこがどこか、心配性の奴だった。]
[微かに震えそうな声で、女の声が尋ねる。
──2年も前の話だ。そのときのオスカーは、
まだ年齢も一桁の子どもだ。]
──ダンって 名のりゃしなかったかい。
[だから、──違うかもしれないと思いながら、
確かめずにはいられなかった。]
……
[一歩、また一歩と距離が詰まる。
足は、その場から動かなかった。]
……
[ラルフの名前に、眉を寄せて、
女は、大きく口を曲げた。
胸の内が苦い。]
…… ずっとね、
[問うた言葉に返事はあったかどうか。
女は子どもの顔を見たままに、
顔を顰めたままに、
低い声を漏らした。]
あんたが泣く気持ちがあたしにゃあ
よく、わからなかったよ。
[ダンがいなくなったときには、実感がわかなくて。
結局、今にいたるまで女は、夫のために泣いたことがない。]
[目の前にいる子供の手にかかったのか。そうだとするなら、と考えるだけで胃が焼けつくようだった。]
……、ガキだからって甘えてんじゃあないよ。
[その感情を押さえ込みながら、
詰まる距離から逃げずに子どもに真向かう。]
男の子なんだろ。
守りたいんだろ。
……生きていきたいんじゃあないのかい。
[きっと楽しい。と子どもが言った、
夢の話をうちこわしてもだ。
少しは。後悔を──しているのか、それともそこまで演技なのか。
女にはわからない。]
[ただ、リーは、話のわかる人狼がいると言っていて、
ラルフにとっては、この少年は、
──大事な人間だったのではないかと、
そう、ワンダは思っていて、
だから]
泣くぐらいなんなら、
──我慢のひとつでもしてみせな。
[要求を、ひとつ子どもに*投げつけた*。]
[遠く、遠く]
[ ── 狼の とおぼえが聞こえる*。 ]
![]() | 【人】 ランタン職人 ヴェスパタイン[いつもは、違った。 (77) 2014/08/19(Tue) 21時半頃 |
メモを貼った。
![]() | 【人】 ランタン職人 ヴェスパタイン[>>76リーの指摘に、喉が引き攣るような気がした。 (78) 2014/08/19(Tue) 21時半頃 |
―集会所 外―
……………っ
[集会所の中に入る、という頭は働いておらず。
窓の外から集会所の中を背伸びして覗きこむ。
人参頭が広間の窓の外からちょこちょこしているが。
鉄格子が邪魔して――――――。
いや、そもそも見えないだろう。]
……………。
[ああ、まだ、出られないんだ。
そう思ったまま、暫く広間の中を覗き込んでいた。
背伸びをしたまま無言で首を傾げる。
魚屋のあの人の姿が見えない気がした。]
……………。
[もしかして、が頭を過ぎる。
名前を書いてもらったメモを思い出して。
そして眉を下げた。]
![]() | 【人】 ランタン職人 ヴェスパタイン…………………… はぁ。 (83) 2014/08/19(Tue) 22時頃 |
……………うー……?
[なんだか、想像以上にもめている。]
わたしが……バケモノだったら……
よかったなぁ………。
[そうしたら、今日で全てが終わっていたはずで。
みんなが、こんなに苦しまなくていいのかな、って。
背伸びが疲れたのか、一度降りて。
もう1度、背伸びを繰り返した。]
―村長宅―
[また日が落ちて、街の影が深く深くなっていく]
[部屋の中も同じ。まだ灯りのともされていない部屋は暗く、
夕闇に暮れる部屋の中にホリーの息遣いだけが続く]
[ホリーとその見張り結社員が二人程。そして見えもしない幽霊が一人。そんな部屋の中に部屋に数人の結社員が入ってきた。
手には薬を持っていた。どうやら薬の時間らしい。
静かな部屋に人気が増えると、幽霊は黙ったまま、
そこから立ち上がって霧のように、姿を消した。]
―集会所 外―
[ふらふらと、霧のような幽霊が集会所へ向けて歩いている]
[歩く途中の茂みの中から、一匹の兎が顔を出した。
鼻を引くつかせてこっちを見ているようにも思えた。
その姿を、幽霊が見る事は無い。視線はずっと地へと向いている]
[僅かに頭を上げると、見覚えのある人参頭が、
背伸びをして窓から中を伺ってるのが見えた]
……。
何してるの。
[声をかけた後で気付く。この子に声は聞こえるんだろうか。
…そういえば、朝。集会場の中に
この子の姿は無かった気もした]
![]() | 【人】 ランタン職人 ヴェスパタイン…… 晴らそうと、してるように、見えない。 (85) 2014/08/19(Tue) 22時半頃 |
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