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![]() | 【人】 道案内 ノックス[居間でのことは――…煩いと癇癪を起こした時とはまた違う行動だった。 (427) 2014/11/20(Thu) 20時半頃 |
![]() | 【人】 道案内 ノックス 取り戻したいのも分かってる。でもね、トレイル。 (428) 2014/11/20(Thu) 20時半頃 |
![]() | 【人】 道案内 ノックス ……あー、困ったね。 (438) 2014/11/20(Thu) 21時頃 |
メモを貼った。
― 少し前の居間でのこと ―
[名を呼んだ後、ディーンはしばらく気配のした方を見ていた。
――……シメオン。
[ディーンはもう一度呟く。
確かに彼はこちらを見ていた。
ニコラにさえ見えないこの姿を、確かに見ていた。
それは、彼が自分と同じ状態であるということを表している。
つまり、彼の命もまた、潰えたのだ。]
[ディーンは、ニコラの金の髪に視線を落とす。
彼の幸せを願っていた。それを一緒に探すことは出来なくとも、幸せになって欲しいと願っていた。
彼と共に旅をするきっかけになったのは、彼が右脚を食われたことだ。彼の右脚を食べたのは、ディーンのいた旅芸人の一座の一人だった。
足が上手く動かなくなった彼の面倒を、誰かが責任を持って見る必要がある。そうして白羽の矢が立ったのは、彼の遠い親戚でもあるディーンだった。
日常的に触れ合っていたほど近しいわけでもなく完全に無縁とも言えない遠い親戚という関係性は、周囲の大人たちにとっては都合の良い理由になった。
共通点といえるのは、せいぜい金の髪の色ぐらいのものだ。
しかしそれでも、シメオンと初めて会った時、ディーンは彼が自分の太陽だと思ったのだ。
彼が、我慢の上に成り立っている暗い道を照らす光だと。
しかし、ディーンの太陽は他にあった。
今ならば分かる。自分はただ、縋るものが欲しかっただけだ。
だからこそ、子供である彼を太陽だと思った。思おうとした。]
メモを貼った。
[いうなれば彼は、我儘の犠牲者だった。
最低限の接触以外を避け、まるで神聖なもののように扱って、結果的に彼に寂しさを植え付けた。
そうして最後には彼の為だと詭弁を使って彼を捨て、自分だけが楽になろうとした。
それは、許されざる罪のように、ディーンには思えた。]
…………。
[唯一、醜い自分を受け入れてくれたニコラの髪に触れる。
一房抓んで、唇を落とした。それは祈りの代わりだった。
全てをニコラに差し出した。
しかし、今残っているこの、ひとかけらは。
彼に差し出そうとも差し出せない、今の自分は。
最後の機会、なのではないか?]
ニコラ。少し、行ってくる。
……必ず、君の元に帰るから
――少しだけ……許して欲しい。
[ディーンにとっての唯一は、ニコラを置いて他には無い。
今、彼に声が届かないことは分かっている。
分かっていても、そう言い置いて居間から階下へと向かうニコラの側を一時離れて、シメオンの去った方向へ向かう。]
――……シメオン!
[そうして、一際大きな声で、名前を呼んだ。]
[階段を上る。
薄暗い扉が並ぶ廊下。
空っぽの部屋の前で立ち止まった。
扉に手をかけて――触れられはしなかったけれど――そのまま、立ち止まった。
どうしようかな、と首を傾げて、
何故此処に入ろうとしたのだっけ、とまた考えた]
………え?
["名前"が聞こえた。
よく知っているような、けれど何故だか馴染みの薄い名前。
二人旅、元々言葉少なな彼との道行きで
名を呼ばれることはそう多くはなかったから――]
[ノブを回さずにそのまま扉を押すと――"開いた"
中に入り、後ろ手に閉める。
いつかとは違い、そのまま部屋の中へ進み、寝台に腰掛けた]
なんだったかな…
[聞こえた名前。呼ばれた、名前。
覚えているのに、忘れてしまった。
――もう呼ぶ人なんて、いないと思ったのに。
覚えている想い、靄のかかる記憶。
足を組んで、右足を擦って
息を吐いても、もう白くはなかった]
[シメオンの去った階段を昇り、
これまで彼の名を呼ぶのに、声を張ったことなどなかった。
その必要性がなかったからだ。
ディーンは、ふと考える。
自分が子供の頃、飲み込んだ我儘がいくつあっただろうか。
言ってはいけないと思っていた事がどれだけあっただろうか。
――それらを溜め込んだせいで、より一層苦しむことになったのではないか。]
……シメオン。
[
寝台に腰掛ける姿を見てもう一度、今度はいつもの音量で名前を呼んだ。]
……それ、俺の名前?
[入ってきた彼の姿は、確かな存在に見えるのに
明らかに話しかけてくるその様子は生者のものではない。
わからないのに、胸が痛んだ。
思わず、顔が歪み、涙が出そうになって俯くほどの、痛み。
わからないのに、覚えてないのに
感情だけ残るなんて、そんなの理不尽だ]
何か、用?
[これで、違うと
それは君の名前じゃないと言われたら。
想像したら少し笑えた。
彼も誰かに食べられたのかな――
顔をあげ、真っ黒に見える瞳を見つめながら、思いを巡らす]
…………ああ。
[
どうやら彼は自分の名前を覚えていないらしい、と理解して、ディーンは僅かに目を伏せ、彼の問いを肯定する。
それから、彼の前に歩み寄って
君は、シメオンという名前で……
僕の、たった一人の 家族、だった。
[言い慣れない言葉に、眉を寄せる。]
家族に会うのに……理由は、いらない。
[どんな物語でも、芝居でもそうだ。
現実がそうであるかどうかは定かではないが――そうであって欲しいと、思う。]
![]() | 【人】 道案内 ノックス―オレンジ/過去/愛し子が1人― (526) 2014/11/20(Thu) 23時半頃 |
![]() | 【人】 道案内 ノックス[医者からの診断結果は、風邪。 (528) 2014/11/20(Thu) 23時半頃 |
………家族
[声にしてみても実感がわかない。
またひとつ、"記憶"が消えた気がしたけれど
忘れたものがなんなのかなんて、わかるはずもない。
すぐ近くにある瞳を見上げて、
その表情が――読めなくて。
手を伸ばしてみた。
理由はない。
だって、理由なんていらないんでしょう?]
![]() | 【人】 道案内 ノックス[帰り道。灰色の夜空。起きた気配に振り返り、背中の愛し子に呼び掛ける。] (529) 2014/11/20(Thu) 23時半頃 |
[家族といっても、所詮は他人だ。
ならば他人でも家族になれる。
そう、思っていたこともあった。
思い出して、なくしたもの。
もうきっと、彼の表情は読み取れない]
名前
[いらない、もの]
名前、なんていうの
[それでも呼ぶのは、好きだった]
[
これまで、彼に手を貸す以外――つまり、自分の手以外を彼に触らせたことはない。
反射的に逃げそうになって踏みとどまった。
触れられることを厭う理由は、もう無いのだ。
シメオンの指先は頬に触れた。
体温は感じない。
ディーンの眉間に寄った皺が、僅かに緩む。]
……ディーン・クロフォード、だ。
君の名前は、シメオン・クロフォード。
僕の、弟だ。
[姓なんて必要がないと思っていた。
しかしそれは、家族であるということを示す為の記号だ。]
[頬に届いた指がびく、と震える。
そこでようやく、触れられるとは思っていなかったことに気づく。
少し前、痛みに冷たくなっていた胸の中がふわりと温まって
そのまま頬を引っ張ろうとしてみる。
ちょっとした悪戯心、避けられるだろうと、やはり思いながら]
ディーン
……ディーン、 おにい、ちゃん?
[幼い呼び方。
どっちがおにいちゃんなの――幼い声が過って、消えた]
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