139 【飛歓】暇を持て余した神々の【RP村】
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――祟り神のための祠は、すでにこの地にございます。
ただ、先代月詠が人としての生を終えてから、名すらない祠を祀る者がおりませんでした。
[華月がなぜ祟り神の浄化を願うのか、それには踏み込まないで。
そっと笑った。]
桃の木を、植えましょう。
厄払いの、木をいくつも…。
名すら残せない、神の祠の周りを埋め尽くして…たくさんの人に祀ってもらいましょう。
[先代の月神が祟り神のために祠を建てていたことをあかし、静かに、祈りを重ねた。]
へえ、先代さんが?
――……あの人らしいな。
[今まで思い出すこともなかった先代の事を思い浮かべ
ふと、笑んだ。
嗚呼、確かに、そういう神――いや、人であらせられた。]
いっそ、桃の名所にでもしたったらええのとちゃう?
そうしたら、祠が荒れる事もなくなるやろう。
[荒れた祠は避けて通るが人の常
とは、よくいったものだ。]
嗚呼、それと――…… いらんよ、様も。
僕はもう、神でも何でもない、ただの人やし。
[そんな事を言い、名も無き祠に祈りを重ねたろう。**]
ええ、桃の木も、葡萄も、筍も植えましょう。
良いとされるもの全て。
[華月の声にそっと笑う。]
いつだって人の訪いの絶えないように。
[そして、華月の言葉にきょとりと瞳を瞬かせる。
かつて神同士であった時には、呼んでいた名。
人として神を呼ぶときの尊称。
人同士の呼び名。
自分なりに分けていたつもりだが――]
華月様…目上の方をいきなり呼び捨てにするのは無理です。
[困ったように言えば、彼は聞いてくれたろうか。]
[明の眸が瞬いて、少し、困ったような表情になる。
このまま困らせるのも愉しいかもしれないが
なんとはなし、そっと、引いておいた。]
そう?
じゃあ、いきなりが無理やったら、そのうちにでも。
[元来、様、なんて柄ではない。
そんな事を思っていたけれど
呼んでもらいたい者に、
そう呼んでもらえる機会はもうないだろう。]
[彼が引いてくれたことを察し。微笑む。
優しいばかりの人でないことは薄々気づいてはいるが…。
それが、優しくないと同じことではないことも、また知っている。]
いずれ、それすら気にもならない間柄になりましたら。
気安く、お名前を呼ばせてください。
[その時までは、華月様と呼ばせてほしいと少しだけ年下の甘えを含ませた。]
―― 朧が堕天した朝 ――
[早朝、靄のかかる中、白装束を身につけて注連縄を身体に巻き付けた女が、下界へと繋がる穴から静かに身を投げた]
[朧が祟り神によって堕天したという報せを、池の鯉を見に伺った際に心配で放ってきた火鼠から知った。
そのあとの事は、良く覚えていない。
ただ、明が堕天した時のような暴走はせず酷く冷静に準備を進めていた。
祭壇から注連縄を持ってきて、朧の邸に寄って水を貰い、身体を清めて白装束を身に付けた。
底の見えない雲海が広がる穴の淵に立って静かに目を閉じて。ただただ下界で朧に出会えることだけを一心に祈った。
いざ、飛び込もうとしたとき、ふっと置壱の顔が過る。
ひとりぼっちになる置壱。大好きな置壱]
―――…一緒に堕ちるという約束、守れなくてごめんね。
[最後の力を使って火鼠に託し、放てば。
女の横をひと際強い風が吹き抜けて。
その風に抱かれるように、女の身体は穴に吸いこまれていった]
ねえねえ、おきいち!
おぼろさまってほんとにすてきよねえ!
わたし、おぼろさまのおよめさんになるの!
ねえおきいち
おきいち
―――……置壱。
―― 火守の神 ウトの最期 了 ――
―― 回想:兄妹の旅路 ――
[人の身体で生きる下界は愉快なことばかりではなく
それでも、花々や蝶、闇夜を照らす月光、美しいものを幾つも志乃が教えてくれたから、人の世を愛することも悪くはないと思えるようになっていた。
――何より妹が、こんなに明るく笑う娘だったとは。]
(お前は、僕などいなくとも、闇などなくとも歩いていけるのだね。)
[何より美しいのは強く明るい妹の姿だった。
それに気付くのは、きっと遅かったのだろう。]
……まれびと、か。
[そうして妹に問い掛けた後、一つの噂を彼女から知る>+30
天上の知己、過ぎるは穏やかで慎ましい堕とされた月光の神。
その里を目指そう、決断は直ぐに。常のように微笑む妹と共に、穏やかな日々を過ごして]
[その里へ向かう最中、烏の雛を見つける
見えなかったけれど、その言葉を未だ深くは考えることはなく]
ああ、頼むよ
[と、別れたのだった*]
―下界・泉―
[ぱしゃり、と泉の中に体を潜らせる。
たまこに会えた。
華月に会えた。
まだ、祟り神の騒動は治まったとは聞かないけれど。
大丈夫、大丈夫。
自分に言い聞かせて。自分の知っている神々の名前が聞こえてこないように祈る。
大丈夫。
人として生きていく覚悟は出来つつある。]
…。
[でも。]
―― 漁師の家 ――
[天界から自ら堕ちた自分が果たして人間になれるのかなんて全くもって考えていなかったけれど。
どうやら誰かさんの編んでくれた注連縄のお陰で、無事人間として生まれおちる事が出来たようだ。
女が堕ちた場所は海であった。
水中で息ができないことに驚愕しながらあっぷあっぷと溺れていたら、ちょうど沖に漁に出ていた船に救いあげてもらった。
どこからきた、歳はいくつだ、何してた、と散々質問攻めにあったが、話せたことは「ウト」という名前だけで。
いく当てがない事を話したら、漁の手伝いをしてくれるなら置いてやると言われ、今に至る。
朧がどこに堕ちたのか、明が、志乃が、華月が、朝顔が、亀吉がどこにいるのかもわからず。何の手がかりも得られていない。
ただの人間に、この中つ国は広すぎた。]
|
[自宅に戻り、ウトのから預かった箱と、お団子を風呂敷で包む]
よし!準備完了!
[と忙しなく駆け出す]
えーっと雪客さんも何かあるんだっけ?
[あー忙しい忙しいと言いながら再び麓に駆け出す]
(108) 2013/08/17(Sat) 00時頃
|
―― そうして出会ったは:追放されし豊穣の神 ――
[虚言を、そう華月が言えばくすくすと意地の悪い笑みを零し
急に神妙な面持ちを見せられたならなんだ、とこちらも真面目な表情になるが]
――ふっ、ふふふ……
魑魅魍魎、闇に這いずる妖だったものが閻魔を、地の獄を怖がると?
[残念ながら諫言は妖だったものに笑い飛ばされてしまう。]
虚言ばかり口にしてるわけではございませんよ、華月様。
もう貴方を誑かす理由も、正体を隠す必要もないのですから。
[只、天に遺した未練が貴方だったなどと言えばまた咳き込むのだろうからその真実は口にするつもりは無いが。
そういえばあの子は髪紐をどうしたのだろうか、自分無しで高天原にただの妖は存在出来ないだろうに――まさか華月に届けたなどと知る由も無く]
―― ある町の市で ――
[あがった魚や昆布なんかを売りに、女たちは漁師を見送った後、町の市へ赴く。ついでに布や糸なんかも仕入れたりして、昼過ぎにはまた小屋へ戻っていくのだが。
今日は不思議な噂を耳にした。
とある村に数百年ぶりに稀人が現れたというのだ。
なんの確証も得られなかったが、女の胸は酷くざわついた。
行かねば、逢いに。
その日から女の心を占めるのはその思いばかりだった]
―下界―
[里人の、近隣の住人の駆け込みが今日も続く。]
「運気が良くない。きっと悪霊が憑いているに違いない。」
「作物の出来が昨年よりも遅れている。」
[悪いものは憑いてなどなく、無精や偶然の原因を他に求めることを諭し。
天の理が乱れ、地に影響を与えている間は我慢するように、とひとつひとつ、言って聞かせ。
ずっと、待ち人たちの姿を待っている。]
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