25 花祭 ― 夢と現の狭間で ―
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南の家の負う役目は、どんなものかは伝わっておりませぬ。 …それがあれば、獣達が蔓延ることはないだろう…とは。
(145) 2010/08/07(Sat) 12時半頃
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何も……?
血の繋がりもあったでしょうに
……背は、そうやもしれません
実の所
唆しも後押ししていましたが。
[首筋触れた指、促されたように顔を上げた。
それから、白い鳥に視線を流し]
案はどの道先送り
先ずは忌わしき使者の片割れをと
……謂うてあったのを
二人に独断で
私が主さまを。
高嶺さまには、
選んだ花の一輪散ったさまを
見せ付けて
そう煽ったのはかの人
私は其れに乗っただけ
其の後どうする気かまでは知らねども
嗚呼、元は花故に
人を誘い捕らえる術は
芽吹いたばかりの私とは、比べようも無い
今も
……声が
…―――――
[睨んでいた眼が、
一瞬、揺れた]
霞月夜
か
それは……―――
[りん、と鈴が鳴る]
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…えぇ。微力ながら。 [イアンへと畏まって頭下げつつ。]
因果なものです、わたしには…生きたものの見分けはつきませぬ。 私の力を使うときには、あやまちであろうと…もはや手遅れ。
天満月さまのものだけが、役立てばよいのですけれど…
(153) 2010/08/07(Sat) 13時頃
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……髪を同じに結えば良いと
かの人に。
[鈴の音にそうと取れる答え]
ボクの、巣箱から
雛鳥を浚っていった月は
私の花開くを待っていてくれたひと
真意は知らぬが
彼も、彼も
望みは望んだ数だけ
願いは願った数だけ
手に入れる
血など。
今の世にはさほど重要ではありはせぬ。
それに、どちらにしても残せなかったのですから。
[父はどうであろうか。
自分が亡くなれば、又新しい子を作るのかも知れずと]
元は花、霞の方か。
あの方は――。
[夢で契った相手。夢と思えばこそ。あれはただ一度だけのもの]
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…それと、もういくつか気がかりが……
[声潜めて囁くは、いつかの夜に見たものたち。]
闇夜に…、庭や屋根に潜んでいた者たちが居りました。 草の陰には夜光が、月差す屋根には桜色の髪の猫が如き子が…
彼らから、目を離さぬよう。
(157) 2010/08/07(Sat) 13時頃
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わたくしは、夜光の先代と浅からぬ因縁もございます。 …ともすれば、命を狙われるかも。
(160) 2010/08/07(Sat) 13時頃
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嗚呼、そうだ
ひとはもう
血を受け継ぐものでは、ありませんでしたね。
今の世ならばこそ
私の血は必ず、後へ残さねば
[霞の。
主の口から出た言葉に、淡い笑みを浮かべた。
冷たい色の瞳が見上げる]
……その霞の方が
良い体つきと、褒めていらっしゃいましたよ?
[そう謂って、視線を外す]
知って、いらしましたか。
褒めてくださったのならそれは嬉しいことでしょう。
花は花主だけのものですが、花主は、一人の花のものではなく。
けれど今は。
私にはお前しか映らぬと言うのに。
[はずされた視線を追う]
何故、…そんなことを。
[怪訝そうに
ロビン、を、イビセラを、見た。
髪結いを叱られた、なのに]
もう
届かない
[唇を噛んで、俯いた。]
――――、朧様…
…かげつ…
[自分を抱くようにしながら、俯いた。]
誑かしてはと、煽ってくれたものですから。
ただ
私は未だ、人食いの花としては未熟もの
すっかり主さまのもと根付いてしまいました。
……花主は一人の花のものでなく
けれど今は、主さまには私だけ
[外した視線は白い鳥に]
もう、届かない?
これまでも
届いていたとでも、思うの?
さあ……何故そんな事をしたのか
総てはあの方の手の内やも
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獣同士のつがいでは、子は生まれぬ…と? それでは…五匹居るならそれを全て…となるけれど、ほんとうに?
天満月様も、人の子。 情に流されては居ないと信じたくはありますが…。
高嶺はわたしと同じ血を引きますゆえ、彼がそうならばわたくしもおそらくは…。 かりょうは私の手元におりますが…彼でなければ無いと思ってしまう以上、わたしも情に流されてしまっているの…か。
(170) 2010/08/07(Sat) 14時頃
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天満月様。
そなたの目が曇っておらぬことを、わたくしは信じとうございます。 どうか、たぶらかされず孤高にいてくださいませ。
[それだけを告げ、その場を去る。]
(172) 2010/08/07(Sat) 14時頃
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[風が運ぶ囀り]
ボクは、
[戀は糸と言うと心で出来ているのだと
柔らかくも切ないその言葉に
憧れていた遠い記憶]
失せもの探して
声を裂く
いとしや、いとし
我が吾子は
――…そら、其処にいるよ。
[登る声は拾えども
冬の声は届かない]
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[からころと、下駄を鳴らして廊下を行く。]
刷衛さまは、どちらへ? [なにより気がかりは、同じようにセンターから来たと聞いていたのに、 イアンは…まるで刷衛が最初から居なかったかのように振舞っている。
いったいこれは、どういう事なのか。 人に声をかけ、彼を探した。]
(175) 2010/08/07(Sat) 14時半頃
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[――――りん。
微かな鈴の音を立てて
顔を上げる。]
…―――届いていたなどと
思っては、いない。
死しては
手、伸ばすも 叶わぬ …
執事見習い ロビンのただ傍に立ち、あちらを*見やる*
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刷衛さま。 [仏間に姿を見つければそっと身を寄せて、問う。]
イアンに、私のことを話したのですが…それは貴方には伝わっていますか?
同じくセンターの者だと聞いているのに、 イアンは、貴方のことはまるで気づかず…まるで最初から居なかったかのように振舞うのです。 旧い仲ゆえ、どうにも違和感が…
彼が…あの方恋しさのあまりに気が狂れてしまっていたら、 権限を握らせたままでは、危険かもしれませぬ。 勝手に思い込みだけで、誰かを殺めてしまうやも。
どうか、彼から目を離さぬよう。
(176) 2010/08/07(Sat) 14時半頃
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望みはひとつ
願いはひとつ
二つ心抱いたなら――
[薄い唇から、うたを零すは主持つ花]
ふぅん
飛ぶ白鳥すら
あの高い嶺には届かないんだ。
[複雑な色帯びて呟くのは冬の蕾]
誰なら、届いたんだろうね。
ランタン職人 ヴェスパタインは、始末屋 ズリエルの居る部屋を出て、腰トントンしながらからころ廊下を…
2010/08/07(Sat) 15時頃
[傍らにある法泉の
手を取り指を絡めて寄り添う。
遠く、現世を見遣る瞳は雪空の色
何時しか、気付けば其処にあるべきレンズが無かった**]
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[歩みが多少重いのは、あとさき考えず無理をした報いなのだししょうがない。 ふと行き違うは、夜光と虎鉄。]
おや、お前たち…。 [しばし足を止め、二人を眺める。]
(180) 2010/08/07(Sat) 15時頃
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……わからない。
……死者にはもう、遠いことだ。
[俯いて、思うは何か。]
――――― …
[言葉は、少なく。
もののためしか、
高い位置で自分の髪を結い上げる。
鈴が、鳴る]
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[虎鉄の姿を見て、数度瞬き、眉を寄せる。]
体調を崩したようだったけれど、もう良いの? ご自愛なさいな。
[淡く笑いかけ、夜光にも目をやる。] イアンが、お前は人狼の病に侵されていないと言っていましたね。 検査を受けてきたの?
(185) 2010/08/07(Sat) 15時半頃
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ランタン職人 ヴェスパタインは、小僧 カルヴィンが離れの自室でおとなしくしているのが見えると、いとおしげに目を細めた。
2010/08/07(Sat) 15時半頃
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あと…イアンは妙なことを言っていました。 獣と契れば獣ではない、と。
そんな話は…聞いたことがない。 寧ろ、獣と交わっているのは、獣の仲間か…仲間でなくとも病がうつってしまうのでは…。
(186) 2010/08/07(Sat) 15時半頃
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彼には、気をつけたほうが良いかも知れん。
それに…、いつだかイアンが言っていました。 天満月の御子息に取り入り誑かす方法を教えて欲しい…と。
(187) 2010/08/07(Sat) 15時半頃
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[霞は、嘘は言っていない。事実の全てを伝えては居ないが。
話したことが、不信の種として芽吹くことはありやなしや?]
誰かがわたしを探していたら、部屋に居ると伝えておくれ。 昨夜は、かりょうが甘えるものでね。ついつい夜更かしを…
では、失礼? [からりと下駄の音涼やかに、雛鳥の待つねぐらへと帰る。*]
(188) 2010/08/07(Sat) 16時頃
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─ しばし前、仏間にて ─
[線香をあげさせてもらったあとで、背筋を正して刷衛の前に座る。]
宴を止める前までは…共に舞楽を合わせたときは、あんなふうではなかったのに。 仇を討ちたい一念で、功を焦っているのかも知れぬ。
…かれはいま、とてもあやうい。 [そんな懸念を、縋るように告げた。]
(191) 2010/08/07(Sat) 16時頃
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