308 【R18】忙しい人のためのゾンビ村【RP村】
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「今度、外回りに行かないか。
腕も治ってきたんだろ」
……あー。まあ。そうなるよな。
[男だし。若い衆だし。内にこもってはいられない。
かつん、と缶詰が開く音がして、
俺はうつむいたまま頷いた。
本当は、もう、現実なんか見たくないけど]**
[明日なんか誰にもわからないから
せめて形に残すことにした。]
「舞原菜々緒。17歳。××高校の二年。
部活はダンス部で、
今度大会に出る予定だったんだよね。
今年は粒ぞろいの後輩たちも入ってきてて
安心して後任せられるねって
先輩に言ってもらったばっかりだったのに」
[せんぱい、と、少女は呟いて涙を零し始めた。
それから、ダンス部の課題らしき歌を口ずさむ。
哀悼のようだった。]
「……榎本直茂。48歳。警官。
家族は妻と子どもが2人。
もういいだろ。見ての通り、
私にはもうこの子しかいない。
三人目はどうしようかって
呑気に言ってた自分が恨めしいな」
[眠る子供を抱きしめながら男が力なく笑う。
子供は時折、「おかあさん」と魘されている]
「米田佳子。歳は言いたくない。
職業も言いたくない。
なに?インタビューなの?ヒマね。
ここの連中の感想なんて総じて
『なんで私たちがこんな目に』か
『ゾンビが許せない』か
『政府は何をしてるんだ』の三つじゃないの。
あたし?
んー。そろそろ新作試すのにも飽きたかな
やっぱり、自己満足だけじゃ続かないわ」
[女の手元には化粧品売り場から持ってきたらしい
いくつかの化粧品が置かれている]
[ここにいる人の事をノートに書き記す。
元帥と外回りに行く日まで、
それで空白の時間を埋めた。
この騒動が終わっても
何か記録が残っていればいいなと思った。]
「なに書いてんだよ」
記録。元帥のことも書く?
いやって言ってももう書いてあるけど
「何それ。俺の許可とれや」
[もそもそとノートに文字を書いていると
元帥がひょいとのぞき込んできて
興味があるのかないのかも分からない様子で
口を挟んできた。]
「インタビュー集ねえ。騒動が終わったら売れるか」
皆経験してることなら
そう価値もねえかもだけどね
終わるかどうかもわかんにゃーし
「全滅エンドってやつ?」
そーそー。
数百年後、荒廃した地球に下り立った未来人は
がれきの下から古びたノートを見つけ
当時の様子をしのぶのでしたー!みたいな?
「全滅してるなら未来人じゃなくて宇宙人だろ。
設定ガバいな。
てか数百年後ってノート残るのか?」
細かいことは気にすんなマジで
[ふんふんと鼻歌を歌いながら猫を描いている。]
元帥さあ。
この騒動が終わったら、何したい?
「はあ? ……咄嗟に思いつかねえよ。お前は」
俺はーんー。
[もういちど、進に会いたい。
謝りたいんだ。色んな事。]
[そう言いかけて唇を閉ざした。
こんな滅亡一歩手前の
棺桶に片足突っ込んだような状況で
唇に湿っぽい話を乗せるのはやめにしたい。]
あんねー、
秋葉原に知り合いの店があんだけど
そこに行って酒が飲みたいかにゃー。
あとあと、
でっけーピザとコカ・コーラを宅配で頼んで
空調の効いた部屋で元帥呼んでさあ
終末ものの映画みんの
「最低か?」
最低だよ
[くく、と笑って、俺は大窓から階下を見下ろす。
人通りのない荒れた町の中を、
時折ゾンビらしき影が過っていった。]
[こんなに身近にある滅亡を、
笑い飛ばせる日が来たなら、
それ以上の幸せなんて、あるもんか。**]
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― 秋葉原 ―
あー、それにしても。 少し疲れたな。
[ウオールオブゾンビ……とは言っても瓦礫やら机やらを積み上げただけの代物だ。 昨夜も強行突破しようとするゾンビは居たし。 力任せに殴っていれば、いつかは崩れてしまうのはやむを得ないか。]
一服っと。
[そう言って煙草を取り出して旨そうに一服していると。 一部からは禁煙と言う声も聞こえてくるが。]
まあ、そう固いことを言うな。 いまさらルールなんて言われても。
そう気にする者もいないだろう?
(15) 2020/10/25(Sun) 13時半頃
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それとな。
これはこれで良いんだぜ? なんと言っても。
……まだ嗅覚がまともだって確認できる。
[それも本当の事。 噛まれるのがトリガーにはなるのだろうが。
最前線であれこれしていると。 何がきっかけになるかなんて分からないのだ。]
(16) 2020/10/25(Sun) 13時半頃
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さ、戻ろうぜ。
たまには他の店。 そうだなあ。萌えキュンセットでも頼みに行くか。
[秋葉原。
まるでかっての姿をどうしても保とうとしているかのように。
ゆるキャラの乗った薄紫のケーキにピンク色のジュース。 そんなゆめかわカラーリングのセットを食べるかなんて話していた。]
(17) 2020/10/25(Sun) 13時半頃
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で、どうするかって話だろう?
徹底的にやるんだったら。 いっそ、戦車でも欲しいところだな。
後は武装ヘリ。
[それらで秋葉原を守れば。 もう少しの間は守れると言いながら。]
まあ、それは逆に。 奪われたら……奪われたら。
あいつらは使いこなせるのか?
[もしも奪われてもただの置物になるのならば。 それは一方的なアドバンテージになるのだが。
後は、最早独立国家のような状態を政府が許すかって問題だ。]
(18) 2020/10/25(Sun) 13時半頃
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[ 娘も、その夫も、おじいさんも、
向こうのご両親も逝ってしまって。
あの子にはわたししかいないと思うたび、
使命感に奮い立たされるのと同時に、
どれだけ心細かったことでしょう。
いつかわたしも向こうにいくとき、
優しい立派な大人になったでしょうと、
胸を張って言える日を夢見ていたわ。
そんな日が訪れるって信じていたの。
……信じていたいの。最後までずっと。]
[ 一夜明けても状況が好転することはなかった。
時折門扉を揺らすガシャンという音や、
裏戸を叩くような荒い音が響いたけれど、
誰もいちいち反応することはなくなっていた。
慣れてしまったのかしらね。
それとも、頭が働いてないのかも。
眠いけれど、空腹で眠れなくて、
なんだかずっと、ぼうっとした気分なの。
きっと皆そんなふうだったわ。
水が止まっていなかったのが救いね。
砂糖を溶かして飲んだりして、
あの手この手で空腹をごまかしていた。
もう本当に残り僅かな食糧を、
どうにかして温存しておきたかったのね。]
[ そんな中、わたしは廊下を歩いていたわ。
いつも以上にゆっくりとした足取りで。
コンコンと数度扉をノックしたら、
やつれた顔のお隣のご主人が扉を開けた。
髪の毛はぼさぼさで、シャツは皺になっていた。
改めてこうして見ると、ひどい有様だったわ。
きっとわたしも似たようなものね。
水シャワーを浴びたりはしていたけれど、
もう身なりに気を遣う余裕なんてなかった。
ご主人は何も言わずわたしを見下ろしていたわ。
後ろから、奥さんも様子をうかがっていた。
わたしは少し躊躇ってから顔を上げたの。]
一晩よく考えたんだけど──、
……確かに、あなたの言うとおりだわ。
今は……生き延びることを優先しないと。
[ 疲れ果てたようなご主人の瞳に、
一瞬、強い光が宿った気がしたわ。
わたしにいいんですね≠ニ念を押したけど、
後戻りなんて許される様子はなかった。]
……ええ。
[ わたしは自分を納得させるように、
もう一度しっかりとうなずいて見せた。
いいわけなんてなかった。
けれど、ほかの方法が見つからないんだもの。
せめて間違った選択ではないと信じるしかないわ。]
[ わたしの意思を確認したあとは、
彼らの手際は非常によかった。
武器として準備していた刃物であるとか、
バケツだとかを粛々と取り出したのね。
今からやるの? と怖気づいたわたしに、
ご主人は有無をいわさない口調で告げたわ。
こういうことをするのにも、
体力がいりますからね。
少しでも余裕のあるうちというわけです
シャツを汚さないよう肌着姿になって、
戸惑っている間に準備が整えられていた。]
[ 行きましょう≠ニ奥さんに言われたとき、
なんとなく、本当になんとなくだけれど、
ようやく合点がいったような気がしたの。
お店から食べるものがなくなってしまって、
家にあるもので食い繋ぐしかないと悟ったとき、
どうしていいわね≠ネんて言われたのか、
わたし、これっぽっちもわからなかった。]
[ できるだけ大きいのにしましょうと、
ご主人が声量を抑えた低い声で言ったわ。
わたしは段取り通りにひとりで部屋に入り、
休んでいる犬たちの中からその子を探した。]
……クーパー、こっちへおいで。
[ うつ伏せになって目を閉じていたのに、
クーパーは耳をひくりと揺らして、
のそのそと機嫌よさそうにやってきたわ。
ゆさゆさとその立派な尻尾を振って、
真っ黒なきれいな瞳をわたしに向けていた。
わたしはその首筋から背を撫でてやった。
こうなってからはあまり、
ブラッシングもしてやらなかったと、
少し脂っぽく束になった毛並みに思ったの。]
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