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【人】 透明女子会 ヒナコ (13) 2015/06/13(Sat) 13時頃 |
【人】 透明女子会 ヒナコ[てをのばす。「みんな」はどこかへきえていく。 (14) 2015/06/13(Sat) 13時頃 |
【人】 透明女子会 ヒナコ― 朝 ― (15) 2015/06/13(Sat) 13時頃 |
【人】 トレーサー キルロイ[学校からの帰り道、路地の隅で死んでいる鴉を見た。 (16) 2015/06/13(Sat) 13時半頃 |
【人】 トレーサー キルロイ[空から数羽の鴉が新たに舞い降りてきた。 (17) 2015/06/13(Sat) 13時半頃 |
【人】 トレーサー キルロイ―図書室― (18) 2015/06/13(Sat) 13時半頃 |
【人】 トレーサー キルロイ[昨日、タルトも"連れて行かれた"ことを知るまで、 (19) 2015/06/13(Sat) 13時半頃 |
【人】 トレーサー キルロイ[隅の席に腰かけて、持ってきた本の頁を捲る。 (20) 2015/06/13(Sat) 13時半頃 |
【人】 トレーサー キルロイ[そのまま頁を捲ると、 (21) 2015/06/13(Sat) 13時半頃 |
【人】 露店巡り シーシャ『 (22) 2015/06/13(Sat) 14時半頃 |
【人】 露店巡り シーシャ― 「その日」の夜 ― (24) 2015/06/13(Sat) 14時半頃 |
【人】 露店巡り シーシャ
(25) 2015/06/13(Sat) 14時半頃 |
【人】 露店巡り シーシャ[ (26) 2015/06/13(Sat) 14時半頃 |
【人】 露店巡り シーシャ[壁の傷痕は醜く爛れ、やがて気触れる。 (27) 2015/06/13(Sat) 14時半頃 |
【人】 露店巡り シーシャ*[ 誰かが言いました。 (28) 2015/06/13(Sat) 14時半頃 |
―眠りの奥―
――…どこかで、子どもの泣き声がする。
静かに。ただ静かに。小さく丸まって泣いている子ども。昨日からやたらと煩いその声はどこか聞き覚えのあるようで、無いような声。
メルヤはその泣き声のもとに行き着いた。
それは幼いメルヤ自身だった。七年前の僕が、泣いている。あの声は、自分の内側から聞こえていたようだ。
うんざりとした調子で、中庭の木に背を凭れ掛ける。夢か幻か知らないけれど、どうして何時もこの年齢なのか。
――”終わりのはじまりだからだよ”
子どもには随分と可愛げのない泣き方をしている、幼いメルヤの声が、響く。
ひどく寒い。まるで、冬の夜空の下にいるかのようだった。
幻覚症状の仕組みが解明されているかどうかはわからない。深層心理と記憶に働きかけているのはメルヤもうっすらわかっていた。
頻繁にピエロの男が出るのが、顕著な証だ。憂いも躊躇いもなく慕った唯一の、人。
幻であれ、会えたことに喜びを感じなかったと言えば嘘になる。
―夢の奥―
受け入れるわけにはいかなくても、目を、心を奪われるわけにはいかなくても視界の隅で見てしまうのだ。
他にも共に過ごしてきた、連れて行かれて二度と会えないひと達の姿を何度も何度も幻視する。
寒い。吐く息が白い。粉雪が舞っている。小さな体が白く染めようとしている。
「昨日は納得したじゃないか。往生際が悪いよ、戻ろう。」幼い自分に語りかける。
――”……ほんとうに、イヤな大人になったね”
夢でも自分に言われるのは、奇妙な気分だった。自分自身を責めているような、錯誤をしそうだ。
――”昨日と今日では……ちがうんだよ”
―夢と幻の境―
何が? 何も変わらない。
タルトが運ばれたことは少し意外だったけれど、ナナオもいるからきっとどうにかなる。トレイルが長くないことはわかりきっていた。
「何も変わらないのに、駄々こねないでよ」
――”……ぼくはここからうごけない、うごかないよ”
我ながら可愛げのない子どもだ、と思う。
冷たい地面が足元から冷気を漂わせる。無理やりにでも連れて行かなければいけない。何故だか、そうしなければならない気がして、蹲っている幼い自分へと手を伸ばし――。
その体がすり抜けた。
幼い自分が顔をあげた。どこか憐れむような、恨むような目で大人になった自分を睨む。その生意気な瞳からは、音もなく涙がこぼれ落ちる。
――”もう……いない。……………いないんだ。”
途切れ途切れの涙声を最後に意識が緩やかに浮上した。
七年前の幼いメルヤは、そこに蹲ったままだった――。
―早朝:空室―
[目が醒めた時に、全身を強打したような激痛がメルヤを襲った。
触感がある時点で予想していたことだが、幻の中で怪我を負えば、そのまま怪我をするらしい。
油断した。変幻しつつある幻覚症状に、咄嗟の対処など不可能だった。
幸いにして、見つからなかったようだった。手の包帯はすり切れて背中も酷い怪我を負っているようだった。手にしていたノートが無事なことにほっと安堵する]
[メルヤは懐から、シーシャに貰った鎮痛剤を取り出し、用量分だけ飲み干す。水はないが、この際仕方ない。早く効いてくれることを祈るばかりだ。
一度自室に戻って、包帯を巻き直そう。全身の痛みに耐え、壁に這うように立ち上がる。
ひやり。寒気が走った。怪我のせいなのか、全身が身震いをするように、寒い。
まるで。冬の夜空の下に投げ出されているような感覚にメルヤは戦慄した*]
[――大事な何かが、壊れる夢を見た気がする。]
……。
[――起き上がれない。
固定されているわけではない。
じわり、じわりと――欠けているような。
磨り減るような――疲れを感じる。
ただ、寝ていただけなのに。身体の中では、生きるために体力を使いきってしまっているようで――。
サイドテーブルに、新たに水差しと紙が置かれていた。
――なんとか、手を伸ばして――。]
[ようやく、取れた紙には――、]
――!?
[ナナオは紙を見るなり、顔を青くして。
まずい。
まずい――。
まずい。
ドクリ、ドクリ。
落ち着け、ゆっくりと息を――。
一気に上がった心拍数。
それは――まずい。
二人のことを考えながら、ドクドクと脈打つ心臓を意識しながら、過呼吸を引き起こさないように手を当てて――。
落ち着いて。
――と、頭の中にトレイルの声を響かせる。]
[落ち着いて――、ゆっくりと。
息を吸って――、はいて。
記憶が紡ぐ、指先のリズム。
――不安に脈打つ心臓は、次こそもう耐えきれそうにない。
静かになるまで、どれだけ時間が過ぎたろう。
二人のことを考えるだけで、胸が張り裂けそうになる。]
――。
[とにかく――、落ち着いて。
水差しに入った、水を飲んだ。]
メモを貼った。
【人】 露店巡り シーシャ目蓋の裏に誰かの口笛が泳ぐ。 (30) 2015/06/13(Sat) 16時頃 |
―自室―
[慎重に自室に戻ったメルヤは寝台の上に腰を下ろした。強めの鎮痛剤が効いているのか、どうにか動けるようだ。
全身の震えは止まらない。薄着で雪の中を投げ出されているような感覚がする。
怪我のせいだろう。メルヤはそう思い込んだ。
かじかんでいるような手で、血がこびり付いた包帯を剥ぎ取る。包帯には幾つか鱗が付いていが、固い鱗のおかげで余り血は出ていないような気がする。
背中の怪我の度合いは、軽傷ではないだろう。
治療を受けてから動いた方がいいだろうと冷静に判断を下した。
メッセージと地図をケイトとナナオに残している。タルトがいつ目覚めるかわからないが、満身創痍で会えばあの病を悪化させかねない。
筋弛緩剤を投与されるのは嫌だったが仕方ない。
タルトとトレイルのとこに地図を届けよう、とこれからの計画を練った。]
(……あれ?)
[些細な違和感が、小さな針のように突き刺さる。チクチク、と。小さな痛みがあったが、強打した背中と擦りむけた手の方が痛かったからメルヤは明確には気づかなかった]
[包帯を巻き直す。血の付いた白衣と包帯をベッドの下に隠して、鍵を掛けずに手錠と足枷を付けている”振り”をした。
治療を受けて、タルトの部屋に行き、起きていなければ地図を置いていく。その後はトレイルのところに、地図を持って行こう。
ふと。ノートに手を伸ばす。シーシャから貰ったノートを、治療を受けるまでに読んでおこうと思った。
寒さに身を置くような体の震えは、止まらなかった*]
【人】 露店巡り シーシャ― 翌朝 ― (31) 2015/06/13(Sat) 17時半頃 |
【人】 露店巡り シーシャ[水を飲まずに飲み下すのは習慣のようなもの。 (32) 2015/06/13(Sat) 17時半頃 |
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