233 逢魔時の喫茶店
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−−…どーも
[開けた視界に映る双眸の真摯さに、
からかい混じりでもいいやと世辞を受け取り。
答えを探し、見つからない間に投げられた問いに、
物思いは一時中断して、睫毛を震わせ。
そうだなあ、としばし逡巡するうち、
心地いい涼が掌に伸び、指先を包む
利き腕から心臓まで電流が走った。気がした。]
……
[答えはとうに出ているが、でも。
店に着くまでは無言で、歩く。
逸らそうとしても捉えられる視線に、
愉快そうな笑みに、つられるように笑って。]
[手を繋いで歩くなんてこどもっぽいと、
数年前のトレイルならすぐ振り払っただろう。
今はそんな、もったいないことはできない。
ぎこちなく指先に力を込めたり緩めたりを繰り返し、
温い夜風の中を進む。
石畳を踏むスーツケースの無骨な音が、
心音を誤魔化してくれないだろうか。
重なる鼓動は、より大きく響いて耳朶を擽る。
やがてツタに覆われた、怪しげな外観の先。
普段開けることのない扉が見えれば足を止めて。
一寸、向かい合い。空いている方の手で、
さらりとした絹の如き一束を掬う。]
[ここから先は、彼らの領域。
中に何が待ち受けているかなんて知り尽くしているが。
客として訪れるのは初めてで、深く息を吸う。
畏れは、ない。不安もない。
あるとすれば常連や同僚の揶揄くらい。]
さっきの、あれだけど
……どっちも、千冬でしょ?
選べないから、楽な方でいいよ
[本来の姿の、天然の銀髪や広がる翼も。
仮初めの東洋の神秘も、
トレイルにとっての価値は同じだ。
欲しいのは、惹かれたのは器だけじゃない。]
あ、でも店が混んでたりして
邪魔になりそうだったら
翼はしまっといて
[さりげなく、意を決して名を呼んだ後。
こみ上げる恥ずかしさとか、
解禁となった悦びを誤魔化すように早口で追加するのは、
店員らしい注意混じりの冗談。
摘まんだ毛束を離すついでに、
するりと払うように肩を撫でて、いざゆかんと扉に手をかける。]
……どーも
どこ行く? 奥のテーブルでいい?
[できるだけ、なんでもない風を装って
出迎える店員に軽く挨拶を送る。
自然に剥がれない限り、指先は触れたままで。]**
――― 寝る前 ―――
[喫茶店に人間を招いたことも初めてだが
人間の部屋に、きちんと玄関から訪れたのも初めてだ。
鍵の掛かっていない夢の扉を開くこととも、違う。
ぼんやり、眺めていたら、促す声
獏は素直なので、うん、と、頷く。]
天井、届きそうだな。 …… 届いた。
[背の丈と、腕の長さで、言った矢先。
伸ばした指が天井に触れて、笑った。
それから、ベッドの隅に腰掛け、リツが来るのを
じい、と、躾けなく、眺め待っていたのである。]
[解いた指先は、両手を組み、腕は膝の辺りに。
すこし気を抜いた姿勢で
如何するか、と、リツに対して、首を傾ぐ。
明らかに、何を指されているのか理解していない顔。
だから、なにが、と、言おうと、口を開いたのに
視線の先がそそくさと逃げてしまったので、瞬く。]
…………
…………
[おれは素直なので
座って、と言われたベッドから
リツが戻って来るまで離れなかった。
物言いたげな面くらいは、していた。]
――― 夢 ―――
[獏の添い寝に
腕で攫って、呼ぶ名前を子守唄に、目蓋を降ろした。
その次の視界、目を開けば、黄昏の街並み。
夕陽に向かって男女が仲睦まじく歩く、光景。
その陽を受けて、おれの影が長く広く伸びていた。]
うん。
[ぱたん、細長い尾が地面を叩く。
どちらが先に見付けたか、僅差でリツだな。]
おはよう。
腕が短いのは、難だねえ、
今まで考えたことがなかった。
[両腕を揺らした。人間の半分だ、この長さは。]
[でかいだろう、と、黒い生き物は、黒い目を眇める。
短い足で器用に尻餅を付いていて
視線の先に、知らない二人組、改めて映す。]
あんたの夢を覗いてから
ずっと、この夢は何なんだって、考えてた。
悪夢なのか、大切な夢なのか。
結局、後者……… だったのか?
― 夢 ―
[尾が揺れる。
なんだか、愛嬌があった]
――おはよう、
[夢の中で、変な感じ、だけど。
部屋の中でさえ
天井に手がつくくらいだったのは、この元の姿のせいもあるに違いない]
そか。
届かない、か。
[ゆれる腕にも愛嬌がある。手を伸ばしてみたが、でかいせいもあってなかなか遠い。]
―夢―
―――、……
[黒い獏から、遠くを歩く男女の背に顔を向けた。遠い、とおいな。親友(あいつ)は、何にも知らないのだ。しあわせそう。
唇を引き結ぶ。
なんだろう。
なんと、言おう。]
……大切だけど、
悪夢でもある、か な
……俺の中で、だけ。
[ぱたん、ぱたん、左右に揺れる尾は
おれの意思と関係なく揺れるので、始末に悪い。
夕陽が落とす影の下。
立ち上がるのが億劫なわけではない――― が
起き上がらず、のったり
5M近い高さからリツを見下ろす。]
うん………
[よいしょ、まあるく腰を折り曲げる。
短い足の裏を、ぽふん、リツの頭にタッチ。]
届いた。
[しかし、バランスが取り辛い、全体的に震えている。]
[夕陽に向かって歩く二人の影は
遠いのに、距離は開くはずなのに、消えない。
此処は夢のなかだから。
しあわせそうな様子は、背中を見ても、分かる。]
遠くに行ってしまうから、?
それとも、一緒に居られないからか。
…… ああいう、風に。
[どちらが、その大切な背中なのか。
確かめるように、黒い目は、まるまる、眺めて。]
うん。
でも、大切な悪夢なら、あの日に食わなくて良かった。
[ぽふ、と触れた足の裏、
頭を撫でるように触れてくる]
……転げるなよ?
[そ、と。撫でてみる。
うん、なかなかの毛並み。
――店で、エフは聞く、と
言ってくれたから。
俺は、いままでろくに開いたことのない思い出の蓋をじわじわと、開けた]
……俺、 仲いいやつがいて
……そいつに、彼女ができた
そのときのこと、夢に見てる
[掌、と呼ぶより、前足と呼んだ方が良い。
重心を傾けるのも難しくて
ぽん、ぽん、二度リツに触れて、離れた。
身体を起こすとそのまま引っ繰り返りそうだ。]
………
[転びそうなので返事をしない、素直なおれなので。
撫でる指が心地よくて
バランスも取れなくて、前後にゆらゆら揺れる。
――― それから、身体に比べれば小さな耳を
ぴくぴく揺らして、彼のはなしに耳を傾けた。]
うん。
…… 何時のはなしから、繰り返し、見てる?
あんたは、寂しくてああいう顔をしていたのか。
[返事がない。大丈夫じゃないのか。
ゆらゆらゆれる。そっと支えるように
手を添えたまま。]
――、そう だな
遠くに、 行かれたみたいな。
気持ちに、なった
半年―――いや、もう、ちょっと前か。
[自分の頬に片手を当て、それから胸の前に滑らせて、服を握り締める。]
……情けない顔、してたか
[じわじわと、喉の奥が痛むような感覚。]
さみしい――くるしい。
なんか、どうしようも、なくて。
いまだに、こうして夢に見る。
[俯く。ああ、バーじゃ耐えたのに、泣きそうだ。]
……食べなくて、よかった、っていったけど
あんたに食べてもらえたら、
見なくて、すむようになるのかな……
[前後する身体を腕に支えられて
巨体のくせに、体重を、感じさせない、夢だから。
何処か首だか分からない首を傾ぎ
リツに目を落とす。辛そうにも見える、仕草。
眇めた視界に見えるのは、主に頭上だ。]
そういう感覚は、おれも、分かる。
寂しい……… ような気持ちだな。 うん。
[頷き、]
半年。
…… も、ずっと、見てたのか、あんたは。
[人間の半年は短くもない、と、分かるので
すこしおれまで寂しくなって、表情を歪めた。
分かり辛い。]
してた。
[隠れていたから、背中ばかり見ていたが。
夢に生きる以上、なんとなく、理解る。
――― そういうもんだ。]
いまも、苦しい?
[尋ねる声は、囁くくらいの、温度。
鼻先を額の辺り、狙って、押し付ける。
泣きそうな気がして、撫でるんだか、そんな、ぐりぐり。]
これは、リツの夢だから、なあ。
あんたが辛いままだったら
食っても、…… 夢を見たことを忘れる、だけだな。
おれは、あんたが辛くなくなれば良いと、おもう。
……ん
[わかる、と言ってくれることに
変な話、安心する。
大きいのに、夢の中だからか
ふわふわと、雲のように軽いおおきな獏]
みてた
――最初のころより、随分、ましになったけど
[仰ぎ見る獏は
わかりづらいながらも
つらそうな顔をしているように見えた。]
……もう過ぎたことなのに
俺が女々しいだけなんだ
[黄昏の向こう、親友に向けてたのは
こい、だったのだきっと。
気づいたときには何もかも手遅れの。]
――そか
[はっきり言ってくれるから、
いっそ、たすかる。
ぐりぐりと寄せられる鼻先、夢の中だからと言い訳して自分も摺り寄せた。震えた息と一緒に、目じりから涙が伝ったのが、わかる]
……――、忘れるだけか
それじゃ、いみ、ないな
[ごく微か、苦笑気味。小さく、息を吸う。]
[店内はいつもより隙間があった。
優しい悪魔が、新米魔術師のために。
或いは親交の厚い店員の、特別な一夜の為に。
早速、無償で働いてくれたお陰、
だとは気づかぬまま。
これくらいなら、休んで問題なかったかと。
密かに安堵の息を吐く。]*
――つらくなくなる、……か
[額に押し付けられる鼻先、撫でながら
意を決するまでの
長い間のあと]
……、――あんたと、いると
……うれしい
[ぽつりと、俺は。
正直なきもちを、
告げる]
たぶん、
つらいことも、
少しずつ、忘れられる、気がする くらい
[人間の感覚と差異があれど
理解は出来る、と言う感覚は、伝わったか。
短いいらえに安堵を覚えて
ゆら、ゆら、揺れて、リツに支えられる獏。
瞬きは、ゆるい、未知ではない感覚よりも
彼が辛そうにしている方が、苦く、感じて。]
過ぎたことでも、それも、大切だったんだろ。
あんた、悪夢でも、大切だったって、言ったな。
その、……… 友達のこと。
忘れたら、あんたじゃなくなる、と、思う。
なん、だけど
その
[そこまで言って 恥ずかしくなった。俯いたまま顔を上げられない]
だから、覚えていれば、良い。
……… どっちにしろ、おれにそれは、食えない。
[黄昏の向こう側に進んでいく背中。
相変わらず消えない背中を
隠すみたく、ずんぐり、姿勢を、傾けた。
影が、深く、長く、伸びる。]
その上で、
[視界で、涙が零れた。
夢でも、確かにそれは、黄昏色を映して
きらきら光るその筋に、鼻先を押し付ける。
拭う、溢した苦笑いごと。]
おれの方、見てろ。
[喫茶店で、そう、口にしたのはトレイルだったか。
ことばの矛先もまるで違うけれど
此処で借りるのは、ズルじゃあないと、良い。
うれしい
そう告げるリツに、重ねるかたち。]
うん。
[正直なことばが、羞恥心か、何か
消えそうになるまで、小さな耳で、聞いて。]
そりゃあ
嬉しいが増える方が、良いねえ。
[ふ、は、洩れる、笑み声、獏から。
苦くした表情が緩むのを、感じた。]
おれも、あんたと居ると、楽しい。
辛そうに見えるのは、辛い。
……… だから、おれの方を見ていれば、良いな。
[そう、ことばを重ねて、しかし
獏の身体は矢張り、腕が短くで、リツの顔を
上げさせるには、至らないのだった。]
[獏は、身体を擡げて、リツの身体に身を寄せた。
腕は届かないが、―――口も、ことばも届くから
良いか、と、うれしく、笑い声を溢して。
起きるまで、起きても、このままで居る心算で**]
[夏の空は、冬より低い位置に、蒼が広がる。
率直な問いは、湖水を閉じ込めた彼の瞼を振動
隣に居る彼まで影を伸ばし、意向を待つ最中
―――…
一向に返事が来ないと
僅かばかりの驚愕に、彼を盗み見る
それを大義名分に
ずっと、指を繋いだ侭と、申した筈
悩ませる意地の悪い質問だった自覚在れ]
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