193 古参がゆるゆるRPする村
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[森の中を一人歩く。花を求めて、一人歩く。 ふと、足を止めた。赤い花が咲いている。
――リコリス――
この花が、求めていた花だと、すぐに分かった。 リコリスの別名。 ――死人花―― そして ――地獄花――
迷わずに、花を手折る。惨酷に、花の命を奪いゆく。 群生するその花は、茎がポキンと力を入れずとも容易く手折る事が出来た。 赤い。赤い。花束が出来る。]
(171) 2014/09/11(Thu) 18時半頃
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[赤い花束を抱いて、女は歩く。 さて、何処で彼を弔おうか。
最初に見に行った、海を思い出した。
広く。広く。何処までも続いていそうな海。 墓は無い。死した地も知らない。地獄が何処にあるか、私は知らない。 けれど、海ならば、地獄の底までも、続いている気がした。 運んでくれる気がした。
女の足は、海へと向けられる。]
(173) 2014/09/11(Thu) 18時半頃
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――海――
[波が、寄せては返し。寄せては返し。広大な海は、今日も雄大な自然を感じさせてくれる。
花束から、数本、分けて地面に置く。 そして残りの多くの――赤――を、海の波に、そっと乗せた。]
「それじゃあ」
[彼の最後の言葉だった。自分の知る事の出来た最後の。]
「優しくされたく無い?」
[彼に聞いた事もあった。 短い付き合いだった。本当に、短かった。けれど、付き合いの長さで、想いの深さが決まる訳ではあるまい?]
(175) 2014/09/11(Thu) 18時半頃
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こんな事をすると、貴方は嫌がりそうですわね。ヤニク。
「――――――――。」
[リコリスの花言葉を、言おうとして、辞めた。 本当に嫌がりそうだし、自分は地獄に行く気は無い。 花言葉は、友人の為に、とっておこう。 代わりに、最期の挨拶を。]
さようなら。貴方との会話は、楽しかった。 ――――さようなら。
[リコリスの花を、海の波が遠くへ、遠く、深く、波の間に運んで行った。 消えゆく花を、じっと、見守り、海のほとりに佇んでいた。]
(177) 2014/09/11(Thu) 19時頃
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[震えるスマホ。我に返って返信すると、砂浜に置いたリコリスの花を拾う。 既に赤の見えなくなった海を、また見詰めた。]
(186) 2014/09/11(Thu) 20時半頃
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