人狼議事


191 忘却の箱

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【人】 お針子 ジリヤ

[それも束の間、左手首に痛みを感じて
 わずかに顔をしかめる

 見ると蔓は伸び、肌に棘が食い込んで
 咲き誇る花は一層深く赤くなり
 香りが強くなってゆき、さらに蕾が増えてゆく

 花開き、根づきたいといわんばかりに

 ゆるやかに進んでいたはずだったが
 急な変化に首を傾げる

 理由はよくわからない
 ただ、生きるためにそうありたい
 そんな思いだけが、ここにある**]

(55) 2014/09/12(Fri) 03時頃

お針子 ジリヤは、メモを貼った。

2014/09/12(Fri) 03時半頃


―鳥籠の中で―

[白い風に乗って。
勿忘草の元を離れ、ふらり、ふらり。
天高く昇る陽に誘われて、また外へ。]


[中庭で会話する、二人の妖精。
やがて去りゆく金色を見送って、
――留まったのは紅の君。

何かを探す素振り薔薇に、風が、花々が語りかける。]


"――見つけて。"
     "―――見つけて。"

 "―――そこに、いるから。"


"君の傍に"
  "すぐそこに、いるから―――"


[蝶は想う。

紫の花に込められた願いを。
藍の花に込められた幸せを。

白いレースが隠した色が、
――彼女の喜びと為らんことを。]


[深まる紅の香りが誘うから。
白雪の如く舞う花弁に紛れ、そっとその背に留まろう。

――見えなくていい。今は。
   ただ、そっと見守りたいだけ。"彼女"の選択を。]**


─自室─

[中庭から香る夕陽色の花。

窓からひらりと舞い遊ぶ蝶から伝えられるは、一つの物語。

口吻から紡がれる旋律は、斜陽に溶け込むフードを身に纏った青年の姿を朧気ではあるけれど浮かび上がらせて。

彼が“約束”を果たそうとしてくれたこと。
そのことを刹那の間ではあるけれど、確かに花は受け取った。]


(…ああ、結局共に奏でることは叶わなかったけれど)

[こうして戯れている間は、不思議と音の世界に溺れているような、そんな心地良い感覚に花は揺れる。

それはきっと、鱗粉と共に蝶が離れてしまうその時まで。

受け取った花粉に紛れるよう奏でるのは、星の砂を掻き集めたような、夜半に似合う子守唄。

暫しの眠りと共に、新たな生を育むために。

揺蕩う中、朝の空に溶け込むように勿忘草は。
希望を宿してふわりと、小さな音を立てて揺れた。]*


─回想・夢見鳥─

[振り返った先。
見慣れた“先生”の顔に目元が強張る。
随分と花に詳しいと記憶に刻み付けていた彼のことだ。
花を無碍に扱っていれば小言の一つでも頂戴してしまうかもしれない。

なんて、失礼な在意は唇から転び出た呟きに薄れてしまうのだけど。]

……楽しいよ。
俺には、これしかもう無いから。

[部屋に乱雑に置かれた紙面。
おたまじゃくしと記号が六本線に綴られたやや草臥れた譜面に、視線を落としながら呟く。]


[日々抜け落ちていく記憶と共に、滑る指。

朝を繰り返す度に拙く惑う指に気付いてはいつつも、弾かぬ。そんな選択肢は無く。]

…弾いてると、まだ忘れずにいられる。……なんて。

[たくさんの音が奏でられる室内で、苦笑をひとつ。
問いかけに対して浮かべられた笑みは、少し迷う素振りを滲ませた後で

彩られた花びらを宿した左手を見やっては、僅かな時間、瞳を伏せた。

綻ぶ花の数だけ、花は色めき揺れているのだろうけど。
それは彼の記憶と身体を媒介にしているのだと、知っていたから。]


[だから、少しだけ言葉を選ぶように口を開かせる。
いち、にい、さん。
有した時間は3秒。顔を上げて、真っ直ぐと見つめる。]

…あるよ。

[中指を一つ、弦に触れさせて。
ピックではなく指で弾くように右手で弦を摘び音を奏で、首を傾げる。]

……せっかくだから、あんたと曲を作ってみるのもいいかもね。
音が足りないのなら、歌えばいい。

[口遊む声はどこか調子外れであるから、誤魔化すようにストラップを外しながら、隣を指差し彼を傍らへ促そうと。]

…勿論、喜んで。

[零された言葉には、瞬きを数度すれど、やがては破顔したような。
花が綻んだような笑みを向けて。
新しい旋律を紡ごうと、指を滑らせたのだっけ。]**


─回想─

[手前の椅子が小さく軋む。
見上げた先、褐色の青年を映す。]

…やってた、かも。

[不明瞭に答えてはまたすぐスープの入った皿に視線を落とす。
揺れる波紋と、花。]

まあ、今は音が鳴らないんだけど。

[弦を弾けどシャリシャリとした小さな音しか紡げぬギター。
自分はよくそれを弾いていた、筈で。]


アンプ…だっけ。備品室にあればいいけど。
……行くなら俺も行きたい。

[確かそんな名前の機材と繋げば音が拾えた筈。誘いには頷いて。
約束なんて大して信じていなかった彼は、軽い様子で一匙啜り。

“でも今度って、大抵無くなるもんだよ”そんな冗談を一つ、下手くそな笑みを添えて。

そしてようやっと目の前に腰を降ろす青年の瞳を覗き込む。]


俺はサミュエル。
…あんたは?

……もしかして、アコーディオンの人?

[湯冷めするスープなどお構いなしに問いかけたのだった。
彼の問いに青年はどのように答えたのだっけ。
朧気な記憶の中、揺蕩う意識と共に少しの間、思考する。

それは蝶が囁く前の話]*


メモを貼った。


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