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[鉄格子の隙間は鷹一匹なら通れる程度。
顔をのぞかせたアンジェラに笑み、自身は動かぬままビーフジャーキーを翳す]
おいで。
[鷹はどうしただろうか。その丸い瞳を眺める。
壁の向こうでガンゴン音が聞こえるのは気にしない]
お前が私の所に連絡を持ってきたことは一度もないね…駄目かな?
[手に持っているのとは別のビーフジャーキーをぱくりと自分も食べた]
―回想・拘束室―
…義理を受ける資格も無いとは、俺自身も思います。
[彼の皇子殿下にしては、聊か冷たい物言い
――良くも悪くも、ランドルフ皇子殿下が“優しい”事は、
これでも長らく帝都に勤めていた身だ、…知っている。
だからこそ、というべきか。何故か思わず小さく笑みが漏れた。
喩え、切り捨てる方が酷く簡単で、時には其れが最も賢い方法だと気付いていても。
実際どうなるかはさて置き――救済の道を、最後まで捨てぬのだろうと容易に想像できたから。]
…それは数字上の損失の話ですよ、殿下。
――ヴェスパタイン皇子殿下が居たとしても、
それはランドルフ皇子殿下の代わりとして存在している訳ではありませんし
其れを『代わり』だと称するならば、師団長共にも言えることです。
…希少価値高く、存在が少なかろうと。我々の代わりは確かにいる。
そうですね。…落ちついたら、お話します。
[話すべきだと、そう告げる言葉
言いたい事も理解出来る。
奥底では、そうすべきなのだろうとも、思っている。
それでも、その場で語る気は何故か起きなかった。
まだ、その時ではないと。
そう言いたい訳では――無いが。
ふと、窓の向こう。
壁から離れる気配に、この会話が暫しの終息を迎えたのだと理解する。
ともすれば、此方から話しかける事はしない。
己も窓へと見上げていた視線をゆるり落として、口を閉ざした。]
[それは、運ばれてどれほどしてからだったのか。
医療班の救護もあり、また丸一晩も気を失っていたならそれなりに早く目覚めたかもしれない。
目を開けて、最初に見たのは見慣れない天井。
思わず反射的に跳ね起き、]
――痛、っ……!
[――ようとして、脳から揺さぶられるような頭痛に阻まれた。]
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…他に、誰か来たんでしょうかね。
[部屋の外から聞こえた物音は、誰の発した物だったか。
聖書をデスクの上に置いて、そっと個室の外に出る。]
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………あ。
[鷹は誘われるままに鉄格子の向こうへと。
一声鳴いて、ゲイル
待っ…―――!!?
[ふらりと転びそうになりながら駆け出そうとして。
盛大な音を立てて、急に開いた扉
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おっと、すいません。
[
おや、エンライ師団長。貴方もこちらへ?
[支えた相手の顔を見て、きょとりとした。確か彼は、第一皇子を推していたはず。
表の状況がどうなったのかまではわからないが……]
貴方も疑われてこちらへ?
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【人】 本屋 ベネット それが、貴方の覚悟ですか。 (106) 2011/03/28(Mon) 23時半頃 |
[倒れかけた瞬間に助け手
顔面から全力で床に突っ込むことは避けられた。]
あ、ありがと……。
アークライト師団長……!
やっぱり、此処は拘束室、なんです、ね…――。
[分かってはいた事。
それでも、声のトーンは落ち込むように僅か下がる。
体の不調は結界のせいかとも思う。
頭の横の制御装置の不安定さが増す。]
いいえ。
……いえ、疑いよりも悪い、です。
能力を暴走させてしまい。
襲撃者と同じと。
そう、判断されました。
[双眸を伏せ、此処に居る理由を告げる。]
[
鷹は軽い鳥ではないし、留まる爪が食い込むのはシャツだけの腕では心もとない為、タオルをまいておいた。
実際留まって見ればその爪を見て正解だったと思う。
ビーフジャーキーを啄ばむアンジェラを邪魔することなく眺める]
素直ないい子だ。
ナユタが育ての親とは思えんな。
……冗談だよ。
[せがまれるままにビーフジャーキーをやりつつ、食べる様子とその丸い瞳を見て、一時表情を緩めた]
ええ、確かにここは拘束室です。
……能力を暴走?
おや、それはいけませんねえ。
[悪戯をした子供を諭すような口調でナユタの顔を覗き込むと、笑みを浮かべた。]
襲撃者と同じかどうかはともかく、大事になる前に休むことは必要です。疲れや精神的不安から暴走する場合もありますし。
慣れない会議やプレッシャーもあったのでしょう。
……大丈夫ですか?
自分で立てますか?
[なおも調子の悪そうなナユタの背に腕を回したまま問いかける。]
……。
[何を想うでも、何を言うでもなく、ただぼうっとした視線で鷹を見ていた。
単純に寝起きで思考することができていないだけなのか、それとも治まらない軽い目眩と頭痛に妨げられているのか、自分にもわからない。]
これはヴェスパダイン皇太子殿下。
かのような場所へ何用でございましょう?
[ナユタを支えたまま、現れた姿に視線を向け、笑みを返した。
サイラスが皇子に応じるようなら、一歩引いて様子を伺う。]
―拘束室/共有スペース―
[ナユタが拘束部屋へと運び込まれてから暫し
男は椅子に腰掛け、暇潰しに寄越して貰った書籍に眼を滑らせていた。
…正直、書籍の内容は興味の無いジャンルだったのだが、
能力も封じられ、職務も無く、カフェテリアがある訳ではないこの空間では無いよりはマシだと半ば言い聞かせて。
時を同じくして隣の部屋でも、慌ただしい気配がしていた故
…誰かが搬送されてきたのだと直ぐに検討も付くが。]
――…、
[がたり、と個室の方で音が立ったのに気付いて、視線を向ける。
此方からは見えないが、どうやら起きたらしい――少しだけ話声が聞こえた。
…しかし、ナユタが疑われたとは思い難いが、
会議室では一体どんな事になっているのか。
確かに気になりはすれど、確認する術がある訳ではない。一つ吐息を落とす。]
………大丈夫です。
休めとは、もう言われ……休まされました。
[まっすぐ立っていられないのを支えられたまま。
チャールズ
可能性という曖昧な理由で拘束されることとなった師団長。]
貴方は襲撃者ですか?
[ベネットにしたのと同じ問いを向ける。]
ヴェスパタイン皇子に名を呼ばれた事に気付いて、何事かと視線を上げた。
……ヴェスパタイン殿下。
[拘束室に皇子が現れる。
全くの予想外の出来事に蒼灰を若干見開き。
まっすぐ立とうとして、またふらついた。]
[一方その頃――。
鷹はゲイル
ビーフジャーキーを貰い、機嫌良くしていた。
『ナユタ』と主の名を出されれば軽く首を傾げ。
鉄格子の "向こう側"を見上げる。]
[まだ意識がはっきりしない様子のヨーランダには、アンジェラを載せていない方の手を伸ばしその銀糸に触れた。
緑の光が仄かに灯った後。
まだ本調子とはいえぬ為、あまり多くを分け与えることはできなかったが、幾分意識ははっきりしただろうか]
ヨーランダ殿。
大事ないようで何よりです。
[ひとまずそう声をかけながら、アンジェラに新しい肉を与えた]
いいえ。
私は襲撃者ではありませんよ。
[
証明する術はありませんし、十五師団の総意には反しない。とも宣言しましたからここにこうしていますけれど。
もっとも、濡れ衣を着せられたというわけでもありませんから、調査が進めば疑惑は晴れるだろうと甘く考えていた節はありますがねえ。
[思いの外拘束が長引きましたね。と笑いながら続けた。]
ヨーランダの下肢の脱臼はすでに医療班により治療済である。多少痛みは残っているかも
[主人の名に反応した鷹に目を細めた]
お前は賢いね。
だが、知らない人間に食べ物を貰うなど少々危ないんじゃないかな。
これが毒入りだったらどうする気なんだ?
[アンジェラに言う声は穏やか。
動物とのふれあいは、疲れを幾分忘れさせた。
伝書用として訓練された鷹がそう簡単に知らぬ他人の手から餌を貰うものかと首を傾げた。
それとも一度も手紙を運んだことなど無くても、主人の知り合いだと解るのだろうか]
あ……
[伸ばされる手を咄嗟に拒むこともできず、受け入れる。
そこに光が灯れば霞がかる意識が晴れるような気がした。]
貴女も、襲撃された身なのですから……放っておいてくださって、構いませんでしたのに。
……すみません。
[跳ね起きなければ、身体を起こせるくらいには回復した。
上半身だけを起こして、申し訳ないと苦笑する。]
相変わらずやんちゃなお人ですねえ。
[
しかし、仰ることは尤もです。
たまに体を動かさないと鈍って仕方がありません。私も最近、聖典より重い物を持っていませんから腰痛が酷くて……
[言いながらも、視線は油断無く剣の行方を追った。
それがサイラスの目前で止まれば、ナユタを支えたまま二人から距離を置く。]
― 救護室 ―
……そうですね。
信じる事しか出来ません。
[ヨーランダが運ばれてくる前。ゲイルの言葉にそう同意した。飲みに行く、という宣言には少し笑って]
[暫く後。
ふいに隣室から聞こえてきた羽ばたく音と鳴き声に]
……鳥。……
……エンライ師団長が?
[やや間があって、鷹を飼うその姿を頭に思い浮かべ、呟く。アンジェラを呼び、餌をやるゲイルの姿を離れて見ていた。そのうちにヨーランダが起床すれば、やはり困惑げな表情で其方を見やり]
殿下の命とあらば、億する訳にもいかないでしょう。
…お手柔らかにお願い出来ますか。
[投げられた剣に、僅かに翠が見開いたのも、一寸。
手にしていた書籍をぱたりと閉じてテーブルへを置くと、其れを拾い上げる。
向けられた切先に、僅かに苦笑を滲ませながらその柄を握る。
…かくいう声は平然としているが、内心結構な動揺をしていた。
如何せん、事実士官学校ぶりだ。
有事の際に対応出来るよう、其れなりに鍛えているとはいえ
他の師団長に比べれば格段に劣る自負がある。
諦めか覚悟か、深い溜息を一つ落とした。]
…しかし俺を御指名とは、物好きですね殿下。
――相手のし甲斐も無いでしょうに。
[ゆるりと、ヴェスパタイン同様に先を向ける。
刃を持ち上げた以上、何はあれ相手をする心算では、あるけれども。]
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[申し訳ないというヨーランダに、ついぞ見せなかった柔らかな笑みを向ける]
お気になさらず。
救護を務める者は長く伏せってはいられません。
専用の特効薬位は用意しているので、もう平気です。
お陰で部下たちにいいようにこき使われる毎日ですよ、まったく。
[肩をすくめて見せ。]
……貴方も、襲われたのですか。
[状況を知らないので、問うように首を傾げた]
【人】 本屋 ベネット そうですね。ショックでぽっくりいってしまわないと良いのですが。 (119) 2011/03/29(Tue) 00時半頃 |
[きっぱりとした否定
『 ――……僕、ですよ。』
朦朧とした意識の中、聞いた言葉
シェルベリ師団長が襲撃者であった時点で。
貴方が疑われた理由はもうないです。
ブランフェルシー師団長も貴方は違う、と、言った通りですね。
……普通の"人"は、違うのならばはっきり否定しますよね?
[普通とは言えない自分でもそうすると、思うから。]
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……扱えなくは、ありません。
殿下の相手を出来るような技量ではありませんが。
[ヴェスパタイン
ずっと前線に居たのだ。
剣――鉄は確かに武器として扱える。
ただし、鈍器や投擲武器としてであり、本来の用途に使った記憶はあまり無い。]
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