94 眠る村
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…、ああ。分からないさ。分かるはずもない。
誰かの、本当の望みなど───…
[ゆるり。と、視線を巡らせた。
クラリッサの姿はそこにあろうか。
しにたくない───しにたいと、望み紡いだ娘]
人狼でも、「成り代わり」でも、
分かるはずは…、ない。
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[けれど、
" わたしは、わたしなのに "
――けれど、本当に、信じるならば]
――――。
[半開きの扉から、聴こえる声に見開く目>>47]
…、ローズ…
[すれ違い様、老人の肩を撫で落ちる手は力なく 二人の前に姿を現した男の顔色は蒼白に。 戦慄く唇が、恋人の名を呻いた]
おまえは――…
(49) 2012/06/19(Tue) 18時半頃
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ケヴィンは、ローズマリーに話の続きを促した。
2012/06/19(Tue) 18時半頃
もっとも仮面を被るのもまた人狼、か。
……、加護はローズマリーにも与えられているはず。
だから…、いや。
[男は首を振ると、宿の様子に目を*細めた*]
[かなわない]
[とどかない]
[なにひとつ――――――手を伸ばさなかった]
[魂を喰われ、形さえ保てずただ青い炎の欠片となって。
もはや抜け殻のような娘は現世をみない。
とざされて
とざされて
くらい仄い水底から、手を伸ばせずに沈んでゆく―――]
おば ぁ……さま、
[力を持たず、かすれた声。
喰われた命を元通りにする術など――――。]
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…いやだ。
[揺れる恋人の瞳。長い睫に濡れた跡。 男は目を逸らさず見詰めて、はっきりと口にした]
(51) 2012/06/19(Tue) 19時頃
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[―――――それは、ほんとうに気まぐれなのか。
"貸してあげるよ"
声が聞こえた。
青い炎は大きさを増す。
燃え盛る――――その中から象る手足。
燃えた時と同じように、娘の体を炎が包む。
燃えるのではなく、"つくる"ために。]
[炎が消える――――
自らが切り盛りしてきた店の床に、ぺたりと座り瞬いて]
……―――なん、で
[問いは、誰から誰へのものなのか。
今しばらくは、*彼岸の幻*]
気付いてなかったのかィ…
[自分の死を今認識した様子の幼馴染に溜息を一つ。
フィルらしいといえばそうなのだが。]
…寝てる間にやられたんだと思うよォ。
君が殺されるなんて、思わなかった。
生きて、欲しかったのにさァ…
[命を落としたことは幼馴染のせいではないけれど――
握った拳で幼馴染の胸を小突いた。]
うん、ごめん、
[項垂れたまま。
小突かれた胸が痛い。]
ごめん、オレ――……お前を護れなかっただけじゃなくて、自分すら護れなかった。
[チラと見上げる瞳は捨て犬の風情で。
生を願ってくれた人がいるのに、こんなにあっさり死んだ自分。
本来なら合わせる顔がない。
けれど。]
……………も一つごめん。
オレ、またお前に会えてすげぇ嬉しいんだ。
絶交とか言わないでくれな…………?
[生きようと思っていた。
叶わなかった。
それは覆らない。
それならば。
――離れたくない。]
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おまえの…
[そばに、いると。開きかけた唇から漏れるのは]
――――…
[乾いた、音]
(54) 2012/06/19(Tue) 19時半頃
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[目の前が、暗くなる]
(55) 2012/06/19(Tue) 19時半頃
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まさか死んでまで追いかけてこられるとは思わなかったよォ。
[絶交なんて、出来るわけが無い。
住まう世界を隔てても忘れないで欲しいと思った。]
君は、僕が居ないとダメだからねェ。
しょうがないなァ。
[止まってた涙がまた出てきそうだったから。
自分の死にすら気付かない間抜けな幼馴染に背を向けた。]
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[歩み寄ろうとしていた足が、ぐらりとたたらを踏んだ。 息ができない。周りの声も音もやけに遠い。 鼓動だけが、鼓膜を打ち続ける。
ちりちりと黒く狭まる視界に、恋人を見詰める瞳がひどく歪む]
――――…て、やる。
[腹の底から、低く、重く]
(56) 2012/06/19(Tue) 19時半頃
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――――殺してやる。
(57) 2012/06/19(Tue) 19時半頃
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[憎しみに目を滾らせ]
…わかって いたのに
[一歩、ゆっくりと踏み出して喘ぐように呼吸をする。 潰れてしまいそうな喉を、左の手が締め付ける]
胸が――張り裂けそうだ
[また一歩踏み出し、右の手を彼女へと伸べる]
(58) 2012/06/19(Tue) 20時頃
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やっ…… たあああ!!
[幼馴染が背を向けた理由など分からない。
ただ嬉しくて、両肩に腕を伸ばして背中にのし掛かる。]
うん、オレ、お前がいなきゃダメだ。
[存在を確かめるように、腕の力を強くした。]
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ああ。
[庇わない。押さえた喉元、握りつぶしてしまいそうだ]
お前を残して、ひとりにはさせない。
[触れる前に拒まれる手を、握り締めて。 それでも男はもう一歩、距離をつめ女の瞳を間近で見詰める]
(61) 2012/06/19(Tue) 20時頃
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う、わ…ッ
[不意に伸し掛かられて膝から崩れそうになったのを堪える。
幽霊になっても重さを感じるなんて、不思議なものだ。]
フィル重いよォ…
[苦しいくらいぴったりくっついてくるフィルの腕に触れる。
フィルの方が少しだけ体格が勝るようになったのは何時からだろう。
幽霊になったらもう変わることはないのかな。]
お前がいなきゃダメだなんて。
愛の告白みたいだよねェ。
[もしくは女にフラれた男みたいだと。
ぺちりとフィルの腕を叩いた。]
――…あぁ告白といえば死ぬ前にクラリスに好きっていえてよかったねェ。
[にやにや。いつ聞いていたのやら。]
……もっと、はっきり……
乗っ取られていた、ら……
判断も、たやすい、のかしら……
[従兄弟が人狼だと見たクラリッサも、
自ら人狼だというローズマリーも。
娘の目には、違いがわからない]
[幼馴染と、その恋人のやり取りに、菫色の眸をそらす。
――その視線の先。
ぼんやり、とした青い炎から出でる娘の姿に一つ瞬き]
――クラリッサ。
[呼びかける声は、生前と代わらぬ、音]
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…、それでも ――――。
[歪む恋人の唇を見詰め、 免罪符のように紡げず噛み殺す言葉。 女の肩口へ額を落とせば、己の喉と女の手を握る手の力が抜ける]
…、…
なぜだ。
[ぽつりと、落ちる言葉]
(64) 2012/06/19(Tue) 20時半頃
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てッ
[皮膚を弾く音が響く。
渋々離れた。]
……んな軽いモンと一緒にすんなよ。
[鼻を鳴らす。
恋や愛などの括りに入れられるような――そんな簡単な想いじゃないから。]
[真顔で告げた後、シメオンのニヤニヤ笑いにぶつかる。]
……お前、アレ、見てたのか……。
[今更ながら恥ずかしい。
あの時はとにかく、彼女へ向かう気持ちが否定的なものだけだという誤解を解きたかった。
淡い暖かな気持ちをくれた彼女を救いたくて。
――結果的に告白の形になって、「ごめんね」が返って来た訳だ。]
クラリスは……クラリスに、戻れたかな……。
[彼女が少し向こうにいる気配に、鈍いフィリップはまるで気づかない。
ただ、彼女の救済を心から願った。]
……………………………………………って、
[クラリスを思い出して、自動的に思い出す。
ひどい心残りを。]
……告れたんはいいけど、両想いもキスも経験しねぇまま死んだんだなオレ……。
[がくり。]
[名を呼ばれた―――その声は。
最後にみたのは、赤い海の、中。]
…………、 ラディ ス ラヴァ、さん。
[――じくり。
死して尚、痛む記憶と、心に。]
あの―…、わたし、
わたし、
[言葉がもつれてうまく出ない――
なにを言えばいいのか、まとまらずに。]
ごめ、なさ――……
[音にした、謝罪――]
[死が訪れたときの記憶はない。
それは、きっととても幸福なことなのだと。
クラリッサの様子を見て、思う]
――いいの。
貴女のせいじゃ、ないもの……
[ゆるり、とクラリッサの傍らにしゃがみこむ]
私が、こうなったのは、人狼のせい。
貴女が、ここにいるのも、人狼のせい。
ね、おなじ、でしょう。
[首をかしげて、小さく笑む。
ここにいるのは、昔から知っている彼女で。
――成り代わっていた人狼ではない、と思ったから]
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[恋人の肩に額を乗せたまま男はしばらく押し黙る。 脳裏を巡るうそとほんとうの狭間で、 きつく眉間に寄せた皺は布越し女にも伝わるか。
無理やり吐き出す吐息が熱い。 弛緩した男の手指はそれでも女の手から離れずに]
……、それで、これから、どうする?
[そっと指を絡め、男は顔を上げる]
(68) 2012/06/19(Tue) 21時頃
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