25 花祭 ― 夢と現の狭間で ―
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[かけられる言葉に、沈黙。
蝶の翅に絡む新たな細い糸は、まるで手妻の種のように。
死ねば、唯の蝶になれると思っていた。
けれど、所詮、胡蝶の夢
――……夢の中を花であったと覚えながら、蝶は飛ぶ。
細い糸の先は、主の傍らに咲く双花の片割れに。]
『わすれへんですよ。朧様。
きっと、片割れの花も……』
[もとは果たして何色だったか。
紅に染まった花の隣、白の花から蝶は糸を引く。]
鵠……―――
[その糸を渡すべき片割れの名を呼んで、蝶は青い空を翔る。
生きる時の夢では、届かなかった手を翅にかえて
――共に飛ぼうと。
姿を見つけし鍵は、りん――と鳴る鈴の音。]
――…己は仏にはなれない
[僧の言葉に、
鵠は首を横に振る。
嫌いで
いとしい
そう、囁く声がある]
…憎みたいのか、
……行き場がない。
憎みきればいっそ楽なのかも知らん…。
[苦さ混じるこえ。
――――りん、と
鈴の音すれば顔を上げた]
―そして夢から醒めた狭間の場所で―
[りん――鈴の音に誘われるよう。]
[夢から目覚めるに似た、薄ぼんやりとした意識。
頭を掻く――その仕草に、今自分は蝶でなく、人の形と識る。
狭間を彷徨う3人にも、その姿は、初めは霞のように朧げに。
しかし、次第にはっきりと見えるようになるだろう。]
……何の話、しとん?
[3つの魂は、そろってあるやなしや。
聴こえる声に、問いを向ける。
かんばせに浮かぶ表情は、その場の話題には似合わないか
――生前と変わらずの微笑。]
……かげつ?
[紫苑色は空を見る。
手をまた伸ばせば
微か糸が煌めいたように見えるか]
鵠、さん、ちょっとぶりでえぇんかな。
[花の名で呼ばれれば、
相手の名を呼ぶのに惑ったような違和が生まれる。
ひらひら――何かを誤魔化すように手を振れば、
まるで手妻の種のように糸が煌いた。
――……幻の糸手を、どこか躊躇いながらも
空に伸ばすような手に向けた。]
…、―――― っ、
[名前を戸惑うように呼ばれて、
表情が何処か泣きそうに歪んだ。
差し出された煌めく幻の糸、
指先に絡めて]
…胡蝶、
[震えた声で漸く呼んで
彼の手を取って
体預けるように側へ。
―――りん、と鳴る]
そんな顔しぃへんといて。
ひどぅしとなるやろ?
[泣きそうに歪む顔を見て、
褥の言葉を重ねて、揶揄うように紡ぐ。
あの時と同じよう。
言葉とは裏腹に、優しく、けれどしかと絡める手。]
鵠……―――
[朧の花である証、渡した後。
花でない名を呼ばれれば、今は鳥に寄り添う蝶となりて。
敬称なく、惑いなく、呼ぶ名。
―――鳴る音と共に、寄る身をかき抱いた。]
憎みたいなら、
ひとは獣を
獣はひとを
ひとが獣を殺し
獣がひとを喰らう限り
我等はこの先も
相容れぬ
[うた紡ぎ終える頃、蝶が舞うを知る
主の腕に擁かれたまま、高き嶺の花が揃うを
遠くを見詰めるよう流し見た]
[獣とひとは相容れぬ。
ひとのように情を見せる少年は
少年の声で獣をうたう。
ひとをうたう。
それは最早さだめだろうか、
けれど今、答えは出せず。
―――見るは、対の花、高嶺の花、蝶――]
[褥での囁きと同じ言葉、
目元赤くして]
ばか、
[小さく謂った。
絡める手を握りかえして
かき抱かれた腕の中、
背に手を触れて、精一杯力を込めた。
―――煌めく糸は確かに結ばれ]
胡蝶、…
―――――っ、こちょう…
[堰を切ったように名前を繰り返す。
涙の気配を滲ませて]
ほら、今も其処に
[つと指差す先に、対峙する二人]
獣故に
人故に
想いあれど、交わらぬ
[溜息。
主の胸に頬寄せて、秋の心が漏れる]
あれが本来あるべき姿だよ。
ボクもきっと主さまが居なかったら
[口を噤んだ。
花が花を呼ぶこえを、かき消さぬように]
嗚呼、胡蝶、胡蝶やで。
鵠と朧様のおかげで、胡蝶に戻れた……―――
[鵠を白以外の何かに染めようとして、
白に染められたのは華月だった。
そして、花主に死を望まれながら死ねなかった花としての業を、
花主として断ち切ってくれたのが朧だった。
――今、抱き寄せる人が強く抱きしめる背の業も
二人が居たから、忘れずに在れる。
華月であり、胡蝶であれる。
白に染められたからこそ、改めて紅に染まることができた。]
[抱き寄せた胸元に、涙の気配感じて。
莫迦となじられた言葉の後の行動をとろうとする。
鵠の顔を上げようとして、
ふと乾に抱かれて在るロビンと視線があった。]
哀しいな……―――
[聴こえた言葉に、一言だけ漏らす。
―――悲しいだけでなく、愛(かな)しい。
だから 哀しい。
浮かべる微笑。
眼差しは、ロビンから濡れる紫苑に移って、
小鳥が啄ばむように露を食んだ。]
[視線は一度、毀れた言葉を追って蝶に。
瞳を伏せる。
愁い混じる冬の色]
……
[独白は音にならない。
誰に届かなくてもいい]
[彼岸にあるべき現世の椿が問い
総ては獣の血が知る事
冬の蕾も人食いの花も、交わりには口を閉ざして首を振る]
夜光を喰ろうたのは、髪を結い上げた男
私はそれ以上を言わぬ
セシルは、友達
ボクはそれ以上を知らない。
――そんな、
……―己は、何も…
[謂いかけて少し、眼を伏せた。
――おぼろさま、と小さく呟く。
そうっと、背をなぜる。
ロビンの声が聞こえ、
ひとと獣の声が聞こえ
眉根を少し、寄せた]
…かな、しい ―――か
[奇妙に、胸に落ちてくるような言葉。
目元に触れる唇に、そっと眼を閉じた。]
ほら。
[それみたことかと、亡者が謂う]
……人は獣を本能的に恐れるもの
獣はひとを、本能的に喰らうもの
たとえ交えたとしても
長くは続かず
やがて
――嗚呼、別離の時だ
[呟き、主の胸に顔を埋めた。
子を成しても月瀬はひとのまま。
彼が生きて此処を出たとしても
遠くない先に、繰り返す事になるだろう
発症してしまえば、きっと*]
―表座敷―
[ゆらり。伏した人の傍で光る。
いまは無力な小さなひかり。
記憶が影と流れてゆく。
あか。
白に飛んだ緋。床に落ちた紅。
ああ、そうだ]
ごめんなさい…。
約束、したのに……。
[命の欠片が、姿を変える。
その目の前で倒れる人
慌てて支えようと手を出しても。すり抜ける]
鵠が鵠やから、双花になれたんやよ。
多分、双花であることが、朧様んとって大事やったんと思うわ。
わての相棒になれるんは、鵠だけやで?
[常世に二つ並んだ花の亡骸。重ねるのは2つの月。
彼岸では瞼を伏せれば、目裏に映る。
そこに、弟弟子の姿を見た気がして、嗚呼と息を漏らした。
悟ること――「また、後で話が出来ればええ」
意識が対岸に強くある人に、密かに想う。]
鵠が鵠であるだけで、えかったんや。
[かなしい――胡蝶が零した音を拾う唇に、
眦に触れた後、掠めるだけの接吻けを贈る。]
獣と人だけやない。
獣と獣、人と人……―――
全部、巡り合わせや。
やから、悲しゅうて、愛(かな)しぃんやろな。
歯車ひとつ、ちごたらと、想うから。
[僅かに離した唇と唇の間で、
ロビンに直ぐに謂わなかった裡を語る。
胡蝶の腕も、鵠の背にしかとまわっている。
歯車一つ違ったならと、その可能性を見て悲しいんで。
今、傍に在れることを、愛しむ。
瞼伏せれば、今、目裏に映るのは、耳奥に響くのは
命生きし世の、獣と人の織りなす物語の切片。
―――胸を満たす感情は、哀しい。]
――巡り合わせ
[聴こえた音に、噛み締めるよう呟く硬質な声]
若し、あのとき
[夢の続きがあったなら]
……若し、あのとき
[手折られる事がなかったら]
嗚呼
そうかな
そうなのかもしれないね。
[自身に置き換え、呟いた]
あれが普通の人間の反応だね。
[ちら、と
視線流す先に高嶺の
対峙する相手の言葉に、吐息でわらう]
[骸に合わせられた手が、また一つ区切りをつける。
苦心する人の傍、か細い光を残しながら。
意識は響く声に向き、引かれた]
若し、あのとき?
[獣の面を持てる者にも哀も愛もあるとはまだ理解及ばぬ所。
声のする方へと顔を向け。
獣と伝えられた花が僧の腕に抱かれているのを見、言葉失う]
[聞こえてきたのは白鳥と対を成した蝶の声。
此方に似合わぬ生者と同じ音。
そちらを一度見て。
揃った花へ薄っすらと笑みを向ける]
仏にはなれぬか。
私も、そのようなものにはなれぬ。
けれど。人を獣を憎むことは出来ぬ。
……やあ、夜光
[庭の見える廊下、
主の膝の上に座り擁かれたまま
片手でひらりと挨拶をかける。
困ったような笑みで]
気分は、如何?
――夜光。
貴方も此方に参ったのですね。
[新たに増えた声。
そちらを見れば花が一つ。
抱いた冬の花へ横に下がるように促して、けれど手は握ったまま。
着物を正す]
[駒鳥の言葉に、瞼を持ち上げる。
向けるは、やはり、生前と変わらぬ微笑。
彼の裡は、親しくあったわけではないから識れぬ。
けれど、放った言の葉に、欠片でも琴線に触れるものがあったなら
獣と人、同じ道をたとえ歩めずとも、悲しいだけではないと。]
[と、揺れる翅に絡まりし細糸。
瞼伏せずとも、浮かぶ情景は、花の主の様。]
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