25 花祭 ― 夢と現の狭間で ―
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>>3:33
かわいいこと……
[それは複雑な表情で、一度口の中で反芻する。 なにやら続いた言葉には――しばし黙って 冬の言葉を思い返しつつ、返事を返したのは、彼を寝台においてから。 ぽふぽふとかけ布を叩いて、厳しい顔をひとつ]
――深い事情はわかりませんけれど。 ロビン殿は、あなたに生きてほしい、と仰ってました。
あなたの中に自分という存在を残したい、と。 彼を残すべきあなたを、要らないというのですか?
[――むすっとしたまま、 感じたことより少しだけ、 己にはもうあるはずのない熱を込めて]
(@0) 2010/08/07(Sat) 02時半頃
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[落とした命。
ただ、思う。
あの花は、どんな姿をしていたのだろうと。
一度聴いた笛の音。
耳に残る音ではなかったが、笛を聴いたことだけは覚えていたから。
父が摘む花。
今はもう、遠き場所に]
[散った冬色の花を見やる。
最後まで共にあった花を、その爪を病を。
恨むことなどしようか。
自身が望んだのだから]
…ロビン。
[一つ、言葉にして]
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[それを告げたは、 桜花の吹雪をまぼろしに見たからか――]
――とりあえず、わかりました。
私が月瀬殿を“その名”で呼んだら、 必ず意味を説明して下さいね。 説明できなかったりしたら、許しませんから。
約束です。
[一方的に告げれば、ふと視線を彷徨わせる。 それは常世の声、ひびく――名を呼ぶ一つの声]
(@1) 2010/08/07(Sat) 02時半頃
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[人を喰らい、血を啜り
種を植えては、また人を喰う
其の身が枯れ果てるまで。
花で有ることに変わり無いと
人食花の、以後を案じる主を見上げて笑む
爪が皮膚を破り肉を引き裂いていく
深く深く
数珠の音がする。
転がる珠が
心臓刳りださんとした其の時に
魔を祓うというその数珠が効を発した]
[崩れ落ちる主の身に爪をたてたまま
花もまた糸が切れたよう。
薄れていく視界に、歓喜のいろを見て
ひとつ
望みが叶った事を知る
人狼病持つ、人食花は散った]
[祓われた魔は、花が持つ
一族の願い
ひとに種植え付けて
望まぬ生を産む
少しずつ、少しずつ
底からこの世を崩してゆく
幾日も、幾年かけても
血を受け継いできたこの花も
願いはひとつであったのだけれども]
落胤 明之進は、メモを貼った。
2010/08/07(Sat) 03時頃
[何処とも知れぬ、ふわりと浮かぶ意識
閉じたはずの瞳開けば、変わらぬ姿を目前に]
……主、さま?
[名を呼ばれた。
不思議そうに、首を傾ぐ]
ここは
[届く声。
ああ、意識は落ちたのに、この場所は]
狭間か。彼岸か。どちらでも。
お前がいるのだから。
[傍にある花を手繰り寄せる]
落胤 明之進は、メモを貼った。
2010/08/07(Sat) 03時頃
[困惑を顔に浮かべて
手繰り寄せられた相手から視線を逸らす]
ボクは……
私は
[先に散ったのは冬の蕾
後に散らされたのは、病持つ花]
狭間でも、彼岸だとしても
……主さまの傍に、居られるんですね。
[心ふたつ
混じる]
今のところは、というところでしょうか。
仏の教えには、彼岸には浄土があると。
そこに逝く為に、僧は徳を積む。
私は、積まずに参ってしまいましたが。
ですから。
ここも一時の場所なのかもしれぬ。
[声が聞こえる。此岸からの。生者の声。
そして混じるは死したものの声]
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[ふと、その姿はゆらいで、 一度眼差しを落とす、きこえる――きこえる]
いえ、死ぬのは……
[死んだのは、桜ではなく―― 聞こえる声に、指先をこめかみに這わせて首を振る]
要らない、とかそんなことをいうからです。 誤解もします、まぎらわしいです。
[過ぎる声を掻き消すように言い募り]
――枯れ木ということは、ないでしょう。 たとえ狂い咲いたとて、 春には緑も芽吹く、でしょうし。
[桜花でなければ、何であれるというのだろう。 黒紅色はじぃっと見据えて]
(@4) 2010/08/07(Sat) 03時頃
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落胤 明之進は、メモを貼った。
2010/08/07(Sat) 03時頃
私は、浄土まで行けません。
そも人に非ずといわれる身
一時の場所に
何時までも留まっていられたら
[不意に気付く]
声が聞こえる
……セシル、迦陵……
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[口を噤んで、主が言葉を聞いている。 その告白に、俯き眼差しを伏せる。
――交わされる会話のうちに彼岸の声もまた混じる。
冬の友を呼ぶ、声]
(@5) 2010/08/07(Sat) 03時半頃
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[道は分かたれた
友人二人の声を聞き
はっきりと知る。
学びや同じくした花といえど
花同士であれば
何時か別れは来るもの
寂しいと感じるのは、冬の蕾]
私も行けませんよ。
徳を積めばいける場所ですが…。
私はそも徳を積む事をしなかった。
けれど。お前を地の底に落としたくはない。
ここに留まれるのならば、留まりたいものですが。
[友を呼ぶ声。目を細めた。
契った事は知らぬ。けれども、二人が思い合うことは知っている]
そうですね、色狂いの僧では
たどり着けない場所でしょう。
[返す言葉に僅かトゲ交じり
は、と気付いて口を噤んだ]
私は……ふたり留まれるなら何処だって
[頬を染めて身を離す。
居た堪れないのは
接触に慣れぬ冬混じる所為]
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[言葉を続けられなかったそれを、 どうやら感じているらしい、 月瀬の姿をいぶかしむ――
己がそれを知っているのも、 また、おかしなことであるというのに]
――……、 学とかそういう問題ではありません。 勝手に案じ――いえ、誤解しただけですから、 謝らずともよいのです。
[緑を摘む、という桜花の言葉に、 込められたるは知らず、ゆるく首を捻る]
――己の為には、咲かぬのですか。
[何処であれど咲く椿はぽつり、零して]
(@7) 2010/08/07(Sat) 03時半頃
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――…主様、こそ。
[告白の意味をあれこれと思い巡らせ、 けれど、それが結びつくは何れであれど、 よい、とはいえぬ答えだから]
ご無理をなさらぬよう。 私も、月瀬殿も、 ……消えてなくなったりはしませんので。 [見上げる双眸は、黄泉の名を冠すはなのいろ]
(@8) 2010/08/07(Sat) 04時頃
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落胤 明之進は、去り行く主が背中に、そう言葉をかけた。
2010/08/07(Sat) 04時頃
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[布団にこもった白い蓑虫、 再びぽふぽふと柔らかくたたいて]
言われなくても、 今出て行こうと、思っていたところです。
……思ってたところですけど、 あなたがそういうこと言うので、もう少し留まります。
[寝台に背を向けて、目を閉じる。 彼岸の声は静まって――聞こえるのはくぐもった声だけ。 返すべき言葉は多々あれど、疲れているだろう彼にこれ以上多くの言葉を投げつけるのは躊躇われて]
描くのは、お好きなのでしょう?
[返したのは、それだけ。 それは、己が舞う理由]
(@9) 2010/08/07(Sat) 04時頃
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[己に返された言葉には、目蓋を伏せる]
――椿は日陰でも日向でも、 何処ででも咲くんです、それは花自身がそう望むから。
けれど…
[落ちた花は、もう]
……案じているわけではありません。
[布団の中のくぐもった声を聞けば、寝入ったふりの桜花。 狸寝入りを気づいたわけではなかったけれど。 しばらくはそこに留まって、時折ぽふりと白い蓑虫を撫でていた。やがてはそれはふいに――気配を失わせるのだけれど]
(@10) 2010/08/07(Sat) 04時半頃
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失言を。
[先刻のトゲについて、謝罪をひとつ]
主さま……
[応接間の、洋琴に目を止めた。
近づき、鍵盤の蓋を開く]
現世で聞かせられなかった
うたを、聞いてくれませんか
[触れる
指がゆっくりと白と黒の上で踊る。
音符の連なりにあわせて主の為に歌うのは
優しくも物悲しい鎮魂歌
この世ならぬものなれば音は*聴こえるか*]
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……そうでもないのですけれど。 あなたが逆のことを言ったのかと思ったので。
[捻くれ者、との言葉にはさらり、と返して。 もぞもぞ動く気配、そちらは見ずに手だけを寄せる]
――あなたの好きな絵も、 誰かの為に、描いているものなのですか? 誰かの為にしか、描けないものなのですか?
[声は届いたかわからない。 彼岸より届く音楽に、ふわり、その気配は揺らぎ誘われて―― 優しくも物悲しき響きは八十八の鍵盤の音色、鎮魂のうた]
(@11) 2010/08/07(Sat) 04時半頃
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落胤 明之進は、メモを貼った。
2010/08/07(Sat) 04時半頃
[―― 鳥は。]
……―― 厭だ
[鳥は、青から射落とされる。]
…っ、厭だ――…!
朧様、
――っ
……
[白い鳥が、 啼いたのは]
華月…!!!
[届いたかどうか知れぬ]
[―― りん、 と。
鈴の音が 最期に 啼いた。]
[色狂い、との言葉に僧は眼を伏せる。
口元に笑みが浮かぶ]
美しきものを見れば、この手に抱きたくなるのとは必然と――。
ロビン、貴方はいまだ私の花。
傍におりなさい。
[離れる姿へ手を伸ばす。
触れると、生前と同じようにその髪色へと指を絡ませる]
事実ですから、問題はなく。
お前が謝る必要も、ない。
――ああ。聞かせておくれ。
楽しみにしていたのだからね。
[触れられぬはずの洋琴。奏でられる音。
唄われる声。
音がやむまで、その傍で聴き続ける。
此岸の声はまだ届かぬ。
楽が終われば花に手を伸ばして、その*腕の中に*]
落胤 明之進は、メモを貼った。
2010/08/07(Sat) 10時半頃
美しい、なんて
可笑しなひとだ。
[苦笑いは冬色、続くは花の色]
嗚呼、おかしなことは
私欲に主さまを使おうとした、私にも。
…………見る間に咲いた花に色がつくとは
是を美麗と謂うのなら
主さまがつけた色故に他為らぬでしょう
[冬の蕾持つ戸惑い僅か含みながら
冷たい色持つ貌は哀愁含む笑みを浮かべる
応接室の洋琴が鳴り響くを、
たどり着いたセンターの人間は聞くことが出来ぬ。
己が爪でころした
主の為に歌う声も]
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