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―― 地下聖堂 ――
[鏡を抱く女の指先がピク、と跳ねる。
トクン、と脈打つのは魂に残る魔力]
…… ドナルド ?
[呼ばれたような気がして女は顔を上げた。
高い天井を見上げる。
気のせいだったのだろうか。
女は不思議そうに首を傾げた]
メモを貼った。
―地下聖堂―
ん……ここ、は……?
[視界が慣れるより先に、鼻孔を覆い尽くす濃密な香り。
目を凝らせば、そこは見慣れぬ風景。]
僕は、ん…………っ?
[背中を襲った焼けるような痛みと。
急速に冷え行く肉体。
その二つの感覚は確かにあるのだが。
その記憶と、今のこの状況とが合致せず。
きょとんとした表情のまま、のっそりと身を起こすのだった。]
メモを貼った。
[声さえ届かぬこの場所で
知っても如何しようというのだろう。
じわりと焦燥が女の心を満たしていく。
鏡を床に置き覗き込めば
其処に映るは命奪う者と奪われる者の姿]
【人】 負傷兵 ヒュー ── 1階 大広間 ── (6) 2012/05/01(Tue) 00時頃 |
[鏡に映る光景に気をとられ
女の居る地下聖堂に気配が一つ増えた事に気付くが遅れる。
男の声が耳に止まり
女ははっとして其方に顔を向けた]
――…どなた ?
[身を起こすその人に声を投げる]
[声が聞こえ、ビクリと身体を震わせる。
今の声は――…。
そう思うと、先ほど感じた身体の冷え以上に、ゾクリと背筋が凍るのを感じた。]
………………貴女は……。
[姿が見えれば
僅かに声を震わせ、呟くのだった。]
貴女は、確かに灰になった筈では……?
[嗚呼、ならばやはり自分も既に生身の人間では無くなったという事なのだろうか。
そう、心の片隅で考えながら……。]
嗚呼、あなただったのね
[騎士がラルフの命を奪ったとは知らず
なれど此処に現れた彼もまた
自分と同じで生きてはいまい、と感じ取る]
彼の方の逆鱗にでも触れてしまった ?
[吸血鬼を屠らんとした人。
その吸血鬼に温情をかけた人。
クラリッサが血を奪い損ねた、その人]
【人】 負傷兵 ヒュー[ラルフの服でナイフを拭って元の位置へ戻す。 (12) 2012/05/01(Tue) 00時半頃 |
ラルフ、といったかしら
[確かめるように呟いて
問う彼に一つ頷きを返す]
悪い吸血鬼は討伐隊に退治されて灰となり
魂だけの存在となりました
[物語でも紡ぐように女はそう答えた]
【人】 負傷兵 ヒュー[瞬発的にヒューはラルフのレイピアを掴み上げて、声のした方向へと投げつけた。 (13) 2012/05/01(Tue) 00時半頃 |
魂だけの存在、です、か……。
[クラリッサの言葉
あぁ、やはり身体に覚えた感覚は、間違いでは無かったのだと…。]
その魂と意志を交わせるという事は……。
………………やはり、そうなのでしょうね。
[ポツリ、呟く。]
ふふっ、領主殿の逆鱗には、まぁ確かに触れはしたのですが。
それ以上に、貴女に焦がれる騎士殿が、ね――…。
[くすりと笑みを零しながら、呟く。
自分と対峙した忠実なる騎士を思う。
自らの命を奪った相手ではあるが、不思議と憎めはせず。
きっと、彼は彼なりに真っ当にその勤めを果たしたのだろう――…。]
【人】 負傷兵 ヒュー[「そいつらが憎いか」──人語を語る犬に問われて、ヒューは指を伸ばすとラルフの首の布を解き、彼の死に顔に被せた。] (14) 2012/05/01(Tue) 01時頃 |
――…
[死者である自分が死した彼に掛ける言葉を探しあぐね
少しの間が空いた]
ヒュー、が……?
……そう、――そうね
あの方は、ドナルドの傍に居たのだから……
[鏡に映った光景が脳裏を過ぎれば
柳眉を寄せて軽くくちびるを噛む]
――――――――っ……。
[友人の名を聞けば、一瞬息を飲む。
そうして、ゆっくりと重苦しく息を吐き。]
…………皆は、どうなるのでしょうか…。
[せめて、仲間達には無事に城を脱出して貰いたいのだが。
よもや友人の身に牙が迫ったなどとは知る由もなく。
ただひたすらに、その身を案ずるのだった。**]
[騎士が無事ならば嬉しい。
けれど騎士が手に掛けた者が目の前にいれば複雑で]
私の時のように
また、情けをかけてこんなことになったの?
[対峙した時にみせた彼の甘さを思い
困ったような表情で首を傾げる。
騎士の力量は充分に承知していたけれど
女の懐に入り込んだラルフの力の一片を知るから]
[問うような言葉に女は瞬きをして]
――…こうなってしまっては
どちらかが倒れるまで終わらない
禍根を残すような真似
彼の方ならばなさらぬでしょうし……
[止める手立てを失った女は
案ずるラルフに自分の考えを伝える]
[女は鏡に触れる。
其処にはヒューとラルフだったものが映りこむ
私が……
貴方に人を殺させてしまったのね
貴方にも暇を出すべきだった
そうすれば……
貴方を巻き込まずに済んだのに
[犬の残した言葉
女は怪訝そうな表情を浮かべて]
――…ヒューに何を ……、……
[不安げな呟きを漏らした]
[女はヘクターを捜し鏡を操る。
場面は物見塔の屋上へと切り替わり
ヘクターとドナルドの二人が見えるようになる]
――…ッ
[ドナルドの身に起こるのは
女が以前体験したのと同じに見える。
人間であった者が人間でなくなるあの瞬間。
儀式めいたその行為に女は言葉を失う]
ドナルド ……!
[鏡の向こうに呼びかける。
呼びかけて、呼びかけて
届かぬ事がもどかしくて]
“ My Lord ”
如何して、『彼』だったのです……
[消え入りそうなか細い声が問う]
[ヘクターの力は理解している。
此度の討伐隊に屠られる事はない、と。
討伐隊は死すか新たな生を受けるかの二択。
避けられぬと知りながら別の未来を願っていたが]
ドナルドも同じ……
人でない者に――…
吸血鬼になってしまったのね
[深紅の双眸が泣き出しそうな潤みを湛えた**]
【人】 負傷兵 ヒュー[投げつけた銀のレイピアが犬を刺し止める。 (43) 2012/05/01(Tue) 08時半頃 |
【人】 負傷兵 ヒュー[「気持ちいい」と、場違いにも感じられる感想を告げる相手に、自分が今しがた殺した青年が口にしていた「悪しき存在」のことを思い出す。 (44) 2012/05/01(Tue) 08時半頃 |
【人】 負傷兵 ヒュー[片膝をついていた姿勢をといて、ゆっくりと立ち上がる。 (45) 2012/05/01(Tue) 08時半頃 |
【人】 負傷兵 ヒュー[そんな場所であったからか。 (46) 2012/05/01(Tue) 09時頃 |
【人】 負傷兵 ヒュー[中庭へ向かうにはバリケードを再び越えねばならぬ。 (47) 2012/05/01(Tue) 09時頃 |
【人】 負傷兵 ヒュー[テーブルクロスは炎に炙られても動く気配はなく、あの喀血の様を見れば、レオナルドは自爆を最後の反撃として息絶えたのだろうと判断した。 (56) 2012/05/01(Tue) 11時半頃 |
【人】 負傷兵 ヒュー── 厨房 → 中庭 ── (62) 2012/05/01(Tue) 16時半頃 |
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