197 獣ノ國
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――回想昨日午前:本屋前――
…――知らないの?
[ 否定を示し尋ね返す友人>>3:314には、思わず眇めていた暗灰色を軽く、見開く。無知を表す子供のようなそれに、また柔く首を擡げては。 素直に問われたのには手首を掴む力を弱めて、 ――もう一度強く握った。強張った鳶色を、細めた暗灰色が掴もうとする。
――その“友人”にと。顎を下げ鹿角を震わせた仕草に。 戸惑ったように瞬く鳶色に。 自分をこわいと告げた声色を思い返しながら。
今、彼の問いを踏み躙ってしまえば、と思考の端が波立ち始める。 子供染みた期待とも、苛立ちとも付かないそれ。 頬を引き攣らせる彼へ、流す様に一度だけ頷く。 口角の震えは止まっていた。]
(34) 2014/10/09(Thu) 16時頃
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[ ――傷つけばいい。
耳を塞ぐように。緩み切ったねじは咀嚼音を、擡げる首を否定するように、鳶色へと真っ直ぐに向きかけて。]
……――、…
[ 控えめに告げられたそれ>>3:315 と、絡めとる前に据えられた瞳には、はたと沈黙を落とす。腕はそのままに、しかし自然力は弱め。取られる視線には僅かに、低く暗灰色を逸らしかけるのを堪えた。咽喉奥が浅く音を鳴らし、 ――引かれた手を、交わした視線を意識に散らしながら。]
(35) 2014/10/09(Thu) 16時頃
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[ ……やがて緩く、鹿角の生える友人へと顔を傾げる。 度胸がない、と嘲笑うのはただ己へ。]
――一人で、図書館行けないから。 付いてきてよ、友達だろ。 ……ねえ、その角さ、この前生えてなかったけどどうしてたの?
[ 一つ前の問い(>>314)には応えず、空気を浅く吐くのを悟られないよう早口に告げた。吐き捨てるように、それでも鈍く色を滲ませては。顳かみの付け根へ暗灰色を向け、“触ってもいい?”と尋ねかける。
……腕を静かに離しては立ち上がり、改めてしゃがみ込む彼へと手を差し伸べた。]
(36) 2014/10/09(Thu) 16時頃
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――回想・昨日:???――
[ ――オズと別れたのはいつ頃だったのか。路地に背を向けて、端末を開きながら画面を流し見ていた。通知欄を見れば、幾つかの新着に気付く。以前約束を交わした彼からの短かな通知>>3:26を見れば、癖付いた姿勢のうちに、文を打ち込み始めた。題名には揶揄いを含んだまま。] ―――――――――――――― 宛先:ジャニスさん>>3:26 ―――――――――――――― Re:Re:Re:こんにちは恋人サン 20xx年 10月3日 ―――――――――――――― おかげさまで。 じゃあ単なるファンとして誘うよ。 ヨハンさんの相手役サンに悪いか。 黒髪の学生服着た人なら俺の好きな人。
獣人に、凄いね。 ヨハンさんの出会った獣人は、どんな人だった?
平気なら良いんだけど。 獣にでも襲われたみたいな勢いだったから。 ――――――――――――――
(37) 2014/10/09(Thu) 16時頃
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[ 続けて開いた>>3:340.>>3:341目新しい差出人からの通知に、緩んだ表情が思わずぐ、と引き締まる。 透明に映る薄い色素を思い返し、――借りたままだった、と玄関に閉じ置いた借り物へ意識が向く。 ひとまず、と手早く返信を打ち込んでは、自室へと足を向かわせた。]
―――――――――――――― 宛先:カリュクスさん ―――――――――――――― Re:こちらこそ 20xx年 10月3日 ―――――――――――――― ありがとう。あの後風邪引かなかった? 俺からお願いして交換してもらったのに連絡できなくてごめん。 大切な傘かもしれないのに。
分かった、今日明日のうちに伺う。 俺が借りた傘もそこに置かせてもらうように。 こっちが悪かったんだから気にせず。地図までありがとう。 ――――――――――――――――――
(38) 2014/10/09(Thu) 16時頃
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――回想・自宅――
[ 幾度か撫ぜるように陰茎に触れられれば息を漏らす。裏に回った手には己も応えるように、相手の裏筋へと指の腹で擦り上げては。先端へと掌を押し付ければ、また同じ様にしごき上げた、――と。
上半身を起こした相手の言葉>>13に、汗の浮いた眉間に皺を寄せる。緩い笑みにこちらも顔を傾け、しかし示すように己のそれに顔が近づけば、前傾を起こしソファに片膝を付いた。 引いていたそれを口腔へと向ければ、腹に促し這わせる手は止めず。そのまま付け根付近まで湿った感触が陰茎を包めば、浅く息を飲み込む。]
…――っ、先輩、…は、ぁ…ッ…
[ 肩を押されるままソファに腰を横たえ、再開される奉仕には唇を噛み締める。口を外した相手が横へと舌を這わせた頃には、その鴉色に手を触れて。 促す様に頭を撫でれば、先端の液が飲み込まれ声を詰めた。もう片手は相手の胸先へと回し、塗りこむように押しつぶす。*]
(42) 2014/10/09(Thu) 16時半頃
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…ッ、…いれる…?…っ、ぐ、
[ 後孔に触れられれば、慣れない感覚に顔を歪める。示唆される行為に語尾を上げながらも、入り込む指には腹に力が篭った。 ――続いた言葉には噛み締めた口端を微かに上げて、訪れる口付け>>15に応える。 “現実”を確かめる様に。 舌が入り込めば音を立て軽く吸い、唾液を絡ませつつ。微かに残る己の匂いも気にならなければ、なぞるそれを捕まえ柔く噛んだ。]
…っ、…選ばせてくれるんだ、…先輩になら、いいよ。先輩に、だけは。 でも“今”は、――こっちがいい。…先輩、
[ 手を付くその腕を掴み引き寄せ、自らの腹へとうつ伏せにさせる。 膝裏に手をやりぐい、と相手の下半身を股上にずらせば、重なる熱には腰を微かに揺らし、互いの粘液を絡めた。]
(43) 2014/10/09(Thu) 16時半頃
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[ ……下着は片足にかけさせたまま、後ろに手を回す。背筋から伝わせた指を臀部へと移せば、同じ様に後孔に触れ幾度か突き、手のひらで表面を揉み腿へと添わせつつ。もう片手で合わせた陰茎に手をやり、互いの先端を包み擦り上げ透明を手に取る。
濡らした指を差し込めば、幾度か割開くように壁を摩った。ぐ、と指の腹を押し付けるように掠らせ、奥深くまで入れ指を腹側へと曲げ。
――そうして解れれば、相手の目に余裕無く熱に浮いた視線を送る。膝をつき顔を近付け、耳朶を舐めては舌先を耳孔へと差し込んで。行為の直前の言葉を思い返しては、確かめるように名を呼び。自身も、とただ欲の向くままに。]
……名前、呼んで、
[ 相手の体を引き反転させ、もう一度ソファへと押し付けようと。その奥を覗くように静かに見つめながら。]
(45) 2014/10/09(Thu) 16時半頃
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……好きだよ。…“こっち”に居て。…――俺と。
[ 蜘蛛の糸を掴む声色は微かに震えている。強欲な罪人は血の池に沈んだ結末を辿り、
――それでもいいと我が儘に任せたのを、どこかで嘲笑う声が聞こえただろうか。
そのまま強い抵抗を見せなければ、腿を持ち上げ体を差し込み、後孔へと陰茎の先を緩く擦り付ける。]
…横、向いて。足、肩かけていいから。 ――そのままいれて、平気?
[ 首を振られれば一度腰を引き。無言のままなら肯定と取っては先を埋め、焦らすように何度か浅く抜き差しを繰り返す。やがて肩にかけられているならその腿に微かに口付けて、強く腰を押し込んでは奥へと突き入れながら。**]
(46) 2014/10/09(Thu) 16時半頃
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――回想・自宅――
[ 緊張か硬く閉じたそこを、宥める様に指の腹で円を描きつつ触れながら。胸元にその顔が落ちたなら、僅かに湿った相手の髪が息がかかり、昇る熱に重ねた下部が濡れた音を立てる。 激しく息をする>>56のには埋めた指をゆっくりと抜き差しし、間接を軽く曲げては馴染ませつつ。 異物感に震え、肩へしがみつく様にはただ満足げに息を零した。一層その奥深くを探るように指腹を壁に抑え、擦り上げる。]
……っ…、声、もっと。
[ 吐息に紛れた声に、耳孔に差し込む舌先をゆるく縁へと走らせる。出して、と芯から溶け落ちるようなそれを求める為に、その鼓膜へと掠らせ落とした。 開いた口の向こうに舌が覗けば、縫い止められたように視線はただ相手へ。探る指はそのままに、舐め上げる口端へと顔を寄せる。そうして間近に映る瞳には息を潜めたまま。*]
(124) 2014/10/10(Fri) 00時半頃
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……、ッ …――、
[ 呼ばれる声には同じ様に、乾き切った咽喉から名前を零す。 切望じみた視線には微かに残った余裕も奪われては、奥からの欲のまま、相手をソファへ押しつけ。応える言葉>>60 には、滲む目には静かに口元を近付ける。啄むように軽くそれを重ね、脳髄に声を染み入らせては。]
……先輩のところにいるよ、心配しなくても。
[ 求め追いかけて、行方不明のその先に、ただ強欲の罰として沈むだけの終わりだったとしても。 手放すことなんて疾うから出来るわけも無ければ、淡いそれにはただ静かに答える。頬に触れ、湿った鴉色に指を滑らせながら。胸に柔くかかる感情には眉を寄せ、口角を小さく緩めた。]
―― ……俺も、先輩、
[ 己を乞う言葉には一間息を止めて、焼け付くような咽喉奥から絞るように返す。シャツを掴む仕草にはその手を取って、指を絡めてソファの端に縫い止めながら。頬に落ちるそれ>>61を軽く拭っては、閉じた唇を緩く触れさせる。
――戸惑いを持って、それでも大人しく従った身体に陰茎を擦り付けつつ。揶揄いを含んで投げかけられた問いには、口付けるだけに留めずその柔い皮膚に歯を立て、応えた。]
(125) 2014/10/10(Fri) 01時頃
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――、っ先輩、……っは…、…ッ
[ 求める声>>62に浅く入り口を擦っては、ただ煽られるまま直ぐに奥へと腰を打ち付ける。片手は上げた腿に触れ、絡ませた指を握り込むようにしては身体を揺らした。 時折相手の下部へ手をやり擦り上げながら、汗ばんだ息を噛み締め、漏らす。先ほどの行為通り、陰茎の先をぐ、と奥深くまでを貪るように押し付けては。
その腰が揺らされれば、情欲に満ちたそれにこちらも吐く息を荒くして、粘着質に響く音を激しくする。 求められるまま口を塞ぎ、舌を絡めては唾液を流し込んで。離れては唇を軽く噛むようにし、また口付けては咥内を舐る。 その間も動きを止めなければ、昂ったそれを二三度大きく引き抜き、やがて律動を早めて限界を示した。
――そうして一度強く奥を突いては、相手の中で陰茎を震わせる。 長く吐息のような声を漏らして、その身体へと重心を傾けては。自身は埋めたままに、顔を近付け息を重ねた。離しては細い唾液の糸が互いの間に途切れ、それでも繋がった身体に柔く微笑みながら。
――手を伸ばし続けていた相手へ。]
(126) 2014/10/10(Fri) 01時頃
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…好きだよ。ずっと前から、欲しかった。――先輩だけ、が*
(127) 2014/10/10(Fri) 01時頃
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――今日・午前頃:自宅→カリュクスさん宅――
[ ――玄関先に閉じてたたんで置いた透明傘をもう一度形を整えつつ、手に取る。端末を開けば、再度メール>>3:340.>>3:341の返信に、短く今から出向く旨を。 はた、とまた新着があったのに>>297.>>298気がつき、配達員の彼女からの通知を開く。画面に映った文面に、また添えられた追伸に吹き出して。それでも一度それを閉じ、また改めて家を出た。
――……
ひら、と本秋前の空気に落ちかかる木の葉を眺めながら。やがて郊外のそこへ辿り着く。梢の辺りから鳥の囀声が聞こえている。地図と見比べては、慣れない足を進めた。
――やがて辿り着けば、軽く礼をしながら扉を押す。文面通り鍵はかかっていなかった。玄関先に黒い傘を見ればそれを取り、こちらも透明傘をそこへ立てかける。辺りへ目をやる事も無く、すぐにその場から踵を返した。
……と、扉を開いて。足下からやがて目線高く、視界のうちに白い細かな羽が舞ったのは気のせいだったろうか。*]
(145) 2014/10/10(Fri) 15時頃
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――回想昨日午前:本屋前――
――、…言っとくけど、俺覚え悪いよ。 [ 合う鳶色が微笑むのに、暗灰色は地面に微かに落とされていれば、気付かず小さく呟いた。 友達だから、と言われれば薄笑いはただ元通りに、相手の方へと向き直る。薄く涙の跡を残すそこには、また緩く口角を上げて。ただいつも通り自らの視線を交わす。鳶色はまた柔い色を持って絡んだのだったか。]
……痛そう。
[ >>80 信じる?と尋ねられれば首を再度大きく傾けた。 半信半疑、と軽い口ぶりで告げるのを、緩い頭に反芻させながら。
顳かみ付近から生える両角に目を添えては、一夜にして伸びるそれを想像しては僅かに表情を顰めた。間近で揺れるそれを見れば、現実に触れる表面が湧いては、自然そこへ指を伸ばしかけ。]
(172) 2014/10/10(Fri) 20時半頃
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…そう。じゃあ止めておく。 オズは、飼って欲しい相手がいるの?
[ 揶揄いじみたその言葉に。 飼うのも、飼われるのもと手を止めては。――学生服に揺れる鴉色を微かに過らせる。
ただ友人の腕は緩く取ったままに。潜めた声色がマフラーに落ちれば、す、と顔を寄せ覗き込むように尋ねた。 “恐がりなんだね”と小さく自身との合間に、地面に微かに零す。
手のひらを取れば、引かれることも無いそれに薄い笑みを擡げながら。困ったように向けられた鳶色>>80には小さく瞬いて、思わず口角を歪めた。課題もやらないなら特に図書館に行く用も無い。道を覚える必要も、また。
――かといってキャスケットの彼と迷子になる気もなければ、付近の店でも周ってみたかもしれない。特に多く語りかけることもなく、歩を進め。*]
(173) 2014/10/10(Fri) 20時半頃
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―今日>>145後夕刻・路地―
[ 雲影は一つも石畳にかからず、陽がこちらにかかるのを避けるように歩いていた。
通りかかりに通いの本屋への道を見かければ、以前買った文庫本を思い出した。朝の僅かな時間に読み進めては、栞を挟みサイドテーブルに載せてあるそれ。作者の他の作を店主に尋ねてみようかと思っては、普段通りに足が逸れる。 今は、と。 ――カウンターに立つエプロン姿の彼が、行方不明だという噂も知らなければ。
再度端末を開けば、>>3:297.>>3:298 配達員の彼女へと返信を書き出す。そういえば、と。よく大学の講義に顔を出すのを、彼女自身から聞いた気もする。確か先輩の、と思い返し文を付け足しながら、路地へと背を寄り掛からせ。
また彼女の現状>>188を、こちらも知らないままに。]
(191) 2014/10/10(Fri) 23時半頃
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―――――――――――――― 宛先:クラリス>>3:297 ―――――――――――――― 件名:この前ぶり。 20xx年 10月4日 ―――――――――――――― 傘持ってなかったみたいだけど平気だった?
昨日なら黒い子。多分。会えたよ、ありがとう。 白い子の手の感触が不思議だったって、その白い子?
ところで、俺も聞きたい事あって。大学の講義についてとか。そっちこそ恋人について、とか。聞きそびれた事もあるし。また学校始まったら会える?
P.S.プロポーズって花束でいいの?** ――――――――――――――
(192) 2014/10/10(Fri) 23時半頃
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