30 ─今夜、薔薇の木の下で。
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―自室― [少年の部屋は昨日食事の前に出て行った時のまま。 日頃几帳面で規則に忠実な彼らしくもなく、乱雑な部屋。 開け放した窓、寝乱れたベッド、床に散乱する布切れ―― それらを一向に気にした様子も無く、彼はトニーを中に導き入れた。]
さ、入って――
(99) 2010/09/08(Wed) 08時半頃
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―自室― [自分とほぼ同じ大きさのトニーの手を取り、ベッドに腰掛けるよう促し、自分もその隣に座る。 繋いだ手と、触れそうで触れていない、体温を膚に感じる距離。スプリングの軋み。 スッと身を寄せ、顔を近付けて、]
キス、する?
[熱い囁きで誘ったその直後に、自分からトニーの唇を奪った。]
(100) 2010/09/08(Wed) 08時半頃
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―自室― [最初は小鳥の啄ばむような軽いキス。それを二度三度と繰り返し。 徐々に口唇を触れ合わせる時間を長くし、口を塞いで、舌先で歯に触れ、こじ開けて。 遂には口を大きく開けて、相手の口腔に舌を送り込み、舌を絡め、口蓋や歯の裏側や舌の根を舐めて。
その頃には、握り締めた手と寄り添うだけの接触には飽き足らず、空いた手でトニーのほっそりした太腿やまだ薄い胸をまさぐっていた。]
(101) 2010/09/08(Wed) 08時半頃
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―自室― [ふたり、夢中でキスを繰り返しながらベッドの上に倒れ込む。 子犬がじゃれあうように、上に下にとなり乱れたシーツの上を転げ周り――けれども、ロビンの方は、淡い接触の快感を堪能しつつも冷静にトニーに愛撫を施していく。
胸に下腹に太腿に手を這わせ、指先で少しずつ着衣を乱しながら、荒い呼吸の合間を縫って、耳元に駄目押しの囁きを。]
っ――ね、しよう? トニー……
[情欲に掠れたアルトの声。もうずっと以前から張り詰めたままの股間をトニーの脚に摺り寄せ、同時に彼のそれを半ズボンの上から優しく撫で上げた。**]
(102) 2010/09/08(Wed) 09時頃
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―自室―>>117 [覚えたての官能で潤んだ瞳で、困惑の表情を見せるトニーに嗜虐と……同時に奇妙な愛しさを覚える。 くすりと小さく笑って、またひとつ甘い口接けを口唇に落とし、]
じゃあ、教えてあげる。
[トニーの胸元、手を置いて、シャツのボタンを外し始めた。]
(121) 2010/09/08(Wed) 16時半頃
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―自室― [それからは。 トニーを導きつつ、口接けを幾度と無く繰り返し服を脱ぎ捨ててゆく。 生まれたままの姿で抱き合い、乱れたシーツを更に乱して、谺のように愛撫を返し合い。 トニーの日焼けしたなめらかな膚に唇を寄せ、甘く吸い、或いは歯を立て、舌で汗の雫を味わう。 片手は下腹の、そそり立った若茎をやわやわと握って擦り、相手にも同じことをするようにと甘く吹き込む。]
ここ……こうすると、気持ちいい、でしょ?
ほら、ここも……
(122) 2010/09/08(Wed) 17時頃
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―自室― [唇と舌の与える官能の洗礼は首筋から胸、腹へと徐々に下がって、最後は先端に露を宿す若茎へと。 先に味わったサイラスやドナルドとは異なる、自分の鏡像の如きトニーのからだを口に含んで。 甘い飴を舐めるように、口蓋や舌も全部使って優しく、けれども強い快楽を与えていく。
トニーがそれに溺れ切らないうちに、一旦口を離すと、舌から若芽の間に唾液の糸が引いて、日の光に煌めく。 細い指で根を押さえて堰き止めつつ、自分の腰をずらしてトニーの頭の方へ持っていき、]
ね……分かった? 僕がやったのと、同じように、して、ね?
(123) 2010/09/08(Wed) 17時頃
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―自室― [二つ巴の双魚の形、互いに相手の股間に顔を埋め、貪りあう。
殆ど初めて味わう筈の刺激に、ともすれば口淫が疎かになり勝ちのトニーとは異なり、蒼薔薇の洗礼を激しく受けたロビンは、まだ三人目とは言え事前に学んでいた知識もあって、確実かつ貪欲に学習を進めていた。 その躊躇いを知らない技巧が、トニーを追い詰めていく。
余裕の無くなったトニーが口から取りこぼし、哀訴にも似た快感の声を上げ始めれば、絞り上げる動きは速さを増し。 程無く、がくがくと腰を震わせトニーが達すると、彼は口腔に溢れた液体を甘露と飲み下した。]
(124) 2010/09/08(Wed) 17時半頃
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―自室― [荒い息を吐いて横たわるトニーの傍ら、半身を起こして、唇から溢れて顎に零れた白濁を指先で拭う。 汗みずくのトニーの顔を覗き込み、静かに見せるは淫蕩な微笑。]
気持ち好かった? でもね、まだまだこれからなんだ。 今度は僕を楽しませてよ。
[いつの間にか胸の尖りから滴っていた白い樹液を、自ら抓んで搾り取り、指先に絡める。 それを萎えたトニーの先端の萼皮を捲ってなすりつけ、媚薬の効果が現れるのを待った。 ついでに自分の後孔――その蕾にも指を差し入れ、樹液を潤滑剤に押し開いていく。]
(125) 2010/09/08(Wed) 17時半頃
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―自室― [カーテンのはためく窓の外は、今日も素晴らしい晴天が続いていた。 蝉の声が聞こえる窓辺から明るい光の差し込む室内には、だが、既に生殖液と汗の匂いが充満する淫靡な空間に変わり果てていた。
その中央、性愛の刑台と化したベッドの上、トニーの上に跨り腰を振るロビンの姿があった。 蒼薔薇に侵された躯は弱い刺激では満足できず、樹液の媚効を使ってトニーが身動きできなくなるまで幼い果実を勃たせ搾り取り。 最後に、自分がトニーの蕾を犯して無理矢理に絶頂に導くまで終わることは無い。*]
(130) 2010/09/08(Wed) 18時頃
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―自室― [――ひと時のまどろみの後。 死んだように眠るトニーの傍らで目を覚ます。 眼鏡の無い貌は普段より更に少女めいて、ぼんやりとトニーの寝顔を眺める灰いろの瞳はいかにも無垢に見える。 ねえ、トニー、と彼は未だ眠り続ける「恋人」に語りかける。]
僕も君のことが好きだよ。 今ここに居るなかの誰よりも。
だって君はいつも正直で、自分を誤魔化したりしないから。 きっと君は嘘をついている時だって真っ正直でいるに違いないよ。
[首を伸ばして、そっとトニーの頬に口接ける。 しっとりとやわらかい感触を唇に感じて、彼は小さく笑ってトニーに寄り添い、その首筋に顔を埋めた。]
(135) 2010/09/08(Wed) 19時頃
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―自室―
他は皆愚か者ばかりだ。 欲しいものが目の前にあるのに手に入れようとしない。ないものねだりで、自分のところに「偶然」落ちてくるのを待つだけなんだ。
気持ち悪い。
そりゃあ歳をとっても賢くなれない人間も多いけどさ。 それとも、大人に近付くと分からなくなってしまうものなのかな……僕らと何歳も違わないのに。
[ね、と返事が返って来ないのを分かっていての同意を求めて、耳朶を食んだ。]
(136) 2010/09/08(Wed) 19時半頃
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―自室― [と、ふるり、身を震わせる。 こうして素肌を寄せていると、また勃然と下肢が熱くなってくる。 シーツの隙間、肘を突いて身を起こし、トニーの顔を見下ろす――おそらくは先程の酷使の所為で疲労の色の濃い、まだ幼さの残る顔を。
ちゅ、と眠れる口唇に口接けを落とし、起き上がってベッドから足を下ろした。]
(137) 2010/09/08(Wed) 19時半頃
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―自室― [薔薇香の示す肉欲の導きに従い、素肌に直接服を着込んで、立て続けの情事の穢れを隠す。 トニーが付けた三条の背中の傷も隠され、そこに在るのは甘い馨りの吐息を零す欲望の使徒――]
(138) 2010/09/08(Wed) 19時半頃
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ロビンは、掛けた眼鏡のブリッジを押し上げて、部屋を出て行く。**
2010/09/08(Wed) 19時半頃
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―廊下― [軽やかな足取りで廊下を駆ける。 まるで――そんな筈は無いのだが――交わった相手から活力を吸収しているかのように。]
(148) 2010/09/08(Wed) 21時半頃
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―廊下― [寮内はまるで無人であるかのようにひっそりと静まり返っている。
少し前であればディーンがいたシャワー室の前に来ると、ロビンは足を止める。 そぉっと窺うように中に歩を進めるが、既にそこは無人。 しかし、水脈(みお)の如く濃密な薔薇の香りの軌跡残り、確かにそこに薔薇の棘に呪われた者が居たと示していた。
ふと思いつき、着衣を無造作に脱ぎ捨ててシャワーブースに入る。 熱い湯を全身に浴びるのは、穢れを洗い落とす為ではない。羞恥でもない。 「何事も変わっておらぬように装わねばならない」という邪知がそうさせるだけだ。]
(156) 2010/09/08(Wed) 22時頃
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[身支度を終えるまでは然程長くない。 まだ湿り気を帯びた髪から水滴が滴るのも構わずに、再び駆け出す。 今度は惑わされず、開ききって散りかけた薔薇の馨りを追おうと、最後に「その人物」を見かけた地点から順番に捜索を始める――]
(162) 2010/09/08(Wed) 22時半頃
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[廊下を抜け、人の気配のする空き部屋の前を通り過ぎ、そして、]
(164) 2010/09/08(Wed) 22時半頃
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見つけた。
[次なる餌食を求めて彷徨い歩く赤毛の獣の姿を見出し、口の端を吊り上げた。]
(167) 2010/09/08(Wed) 22時半頃
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[蒼い茨の紋様は既に半身に拡がっているようだ。 外から見える部分だけでも、アイパッチの下から首筋に掛けて、侵食が進んでいる。 熟れた馨りは末枯れる薔薇のそれ。 酷く消耗しているように見えるのは、ドナルドの精気が吸われ尽くされる寸前であるからか、それともルーカスが本体である蒼薔薇の樹に損傷を負わせた所為か。]
(171) 2010/09/08(Wed) 22時半頃
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ロビンは、ドナルドにゆっくりと近付いてゆく。**
2010/09/08(Wed) 22時半頃
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>>174 苦しい?
[尋ねる声は実に楽しげに。]
……ああ、もうその身体、限界なんだね。 だったら、
僕に頂戴?
[艶然と笑いかけた。]
(192) 2010/09/08(Wed) 23時頃
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>>191 [荒々しい腕に引き込まれて、非常階段へ。 隈の浮かんだ隻眼、そこに浮かぶ貪欲な笑み。
恐らくは自分の返す笑みも同じだろうと――]
(195) 2010/09/08(Wed) 23時頃
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―非常階段― [両手を広げて赤毛の獣を招き入れる。 その髪を細い指で掻き混ぜて。 片手で胸元のボタンを外し、曝け出した胸乳へと引き寄せる。]
(198) 2010/09/08(Wed) 23時半頃
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―非常階段― [それは、 先刻のドナルドを抱いたベネットの反転した摸造のようであり、 聖母像の戯画のようでもあり。]
(200) 2010/09/08(Wed) 23時半頃
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―非常階段―>>202
……っ、ふ……
[痛みがもたらす快感に酔い、もっとと強くドナルドの赤髪を胸元に押し付けて掻き乱す。 背中の傷を反転させたような胸の爪痕――啜られる痛苦の悦に喘いだ。]
(208) 2010/09/08(Wed) 23時半頃
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ロビンは、注ぎ込まれた蒼薔薇の毒が急速に全身を侵していく。
2010/09/08(Wed) 23時半頃
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―非常階段― [平らな胸を赤子のように吸う赤毛の獣――否、ドナルド。 巨体の重さを支えきれず、階段の段差に腰掛けるようにして尻をついてしまう。 それでも彼の頭を抱いたまま、白く色変わりを起こした髪に顔を近付けて優しく口接けた。]
(215) 2010/09/09(Thu) 00時頃
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―非常階段―
あの蒼薔薇も、全部全部くだらない、
だから僕が、この身体で新しく、
[衰弱にもう答えることもできないのだろうドナルドか、或いはその先の薔薇の精に向かって低く囁いた。]
(219) 2010/09/09(Thu) 00時頃
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[深い昏睡に誘われつつあるドナルドの髪を、幼子にするように撫で続ける。 そこから触手のように生え出て巻きつく、目に見えぬ茨を自ら望んで身に纏う。 灰色の瞳に醒めぬ陶酔を浮かべながら。]
(226) 2010/09/09(Thu) 00時半頃
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芽を育ててあげる。
[くくっと喉奥で嗤った。]
(229) 2010/09/09(Thu) 00時半頃
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ロビンは、何処かから聞こえてくるハーモニカの音を聞きながら。
2010/09/09(Thu) 00時半頃
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――トニー。
僕に神はいない。 でも、もう見つけたよ。
(237) 2010/09/09(Thu) 00時半頃
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