204 Rosey Snow-蟹薔薇村
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[肩越し、振り返る。 煤のように暗いものを目元に漂わせたディーンが、こちらを見ていて。
その顔は今まで見たことのない種類のものだった。 すぐ近くの火を映した目で、彼の瞳を見つめる]
なあに?
[口元に笑みを浮かべて、ゆっくりと尋ねた]
(79) 2014/11/17(Mon) 21時頃
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[>>85この黒いものを取って、瞼を開けたら傷が見えるのだろうか。 指の下、ひくひくと動く瞼を探りながら思う。
時折、指に圧をかけて。 幾重もの壁に阻まれた、人の体の中でも柔らかなものを確かめた]
うん。
[振り返ったのをきっかけに、指からはするりと感触が消える。 子供に言うみたいな言葉に、こっくり頷いて。
残された熱いお皿を手に。 床に座るのをやめて、よいしょって立ち上がった
>>86大人の。 まともな大人の、声変わりしている、声。 が。 途切れ途切れに、こちらに呼びかけるから]
(94) 2014/11/17(Mon) 21時半頃
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うん?
[>>86彼は、口の中に蜂が入ってきたみたいな顔をしていた。 白くて細い腕。 多分、彼はあんまり重い物を持たないんだ]
……。
[目を開いたまんま、口元を柔らかく歪めたまんま。 彼を見る視線は、相変わらず無遠慮に。
こつり、と。 冬靴の分厚い底が、足元で音を立てた]
どうしたの、ディーン。
[伸ばされた手。それには触らない。 ただ、さっき独眼の彼がしてくれたみたいに。
手を差し伸べて、その綺麗な表情を見つめる]
(96) 2014/11/17(Mon) 21時半頃
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[>>101欲しいのなら、求めろと。 伸ばす手は、彼に触れないまんま。
ただ、瞬きもせずに彼をじっと見ていた]
あ。
[そうして、その手は取られる。 乱暴な動きに、手から熱い皿が落ちて。 がちゃんと音がしたけども、それはどこか遠い。
近いのは、彼だけ。
冷たい指が、少し開いた唇に触れた]
……うん。
[大人の声。 低く、掠れた、声。 近くで聞こえるそれを確かに聞いた]
(114) 2014/11/17(Mon) 22時頃
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うれしい。
[手を伸ばす。 頬に触れて、そっとその質感を確かめる。
薄く開いていた唇が、うっそりと笑み。 幸せな気持ちが、水の油を落としたように一面に広がった]
うれしいな。
[ぎゅっと首筋に抱きつく。 頬をすり寄せて、繰り返して。
甘い匂いに、息を小さく吐いた]
(115) 2014/11/17(Mon) 22時頃
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[触りたい。 舐めたい。 口に入れたい。 抱きしめたい。 ずっと眺めていたい。
――彼に輪切りにされたい]
……うん。
[殺されるなら彼みたいな人がいいな。 瞳の色が綺麗だし、睫毛の角度がとても素敵だから]
(116) 2014/11/17(Mon) 22時頃
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[抱きしめて、抱きしめ返されて。 暖かさに幸せを思うと同時に、奥から湧き上がる動物的な感情。
彼の奥。 もっと温かなところへ触れてみたい。 きっと彼の皮膚と肉は血は甘いもので出来ていると、そんな気がした。
そうして多分それは本当の事だ]
ん……。
[聞こえるのは呼吸のような声。 それでも、トレイルの声よりは聞き取りやすい。 初めて感じる幸福感に目を細めて、酔った顔で頷いたとき。
>>126名前を呼ばれた。 悪いことしたときみたいに、どくんと心臓が跳ねた]
(136) 2014/11/17(Mon) 23時頃
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[ノックスに相談しないと。 ちゃんと約束したから。 何度も言われたことだから。 離れなきゃ。
思っても、思っても。 手の中の可愛い、可愛そうなそれから離れられなくて]
……。
[顔を半分向けて。 困った顔で笑って、肩を竦めた]
(137) 2014/11/17(Mon) 23時頃
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[>>139伝わる体温は、近い色彩は。 相変わらず素晴らしくって、火の光が映ってきらきらしていた。
子供みたいな、顔をしている。
舐めて、触れて、探って。 その不安をないものにしてあげたい。
髪を撫でると、柔らかなそれはするんと指をすり抜けた]
……ノックス。
[>>141その手を掴まれて。 心の底から困った声で、お兄ちゃんのなまえをよぶ。
彼の手に逆らったことなんて、あの時、初めて会ったとき以外は無くて。 彼の言うことはすべて正しくて、彼が間違ったことなんていうはずなくて。
それなのに、僕は首を横に振る。 なんでそんなことしたのか、自分でも分からなかった]
(152) 2014/11/18(Tue) 00時頃
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……ごめんなさい。
[>>159僕の手を掴んでいた力が抜けていく。 もう僕は、彼のいい子じゃなくなってしまったのだと、突きつけられるようだった。 耐えきれず、悲鳴の色を含んだごめんなさいが、口から漏れるのに。
ディーンを見捨てることができなくて]
……ノックス。 ノックスも好きだよ。
[ゆるりと離れる指。 追いかけるための言葉を紡いで、それでもディーンを離さないで。
僕らの中に詰まってるものは何なんだろう。 中で腐って膨らんでいくそれは。 外に出せばきっときらきら輝いてくれる。
その輝きが一瞬だとは、まだ。 幼い未熟な頭は、まだうまく理解してなくて]
(179) 2014/11/18(Tue) 00時半頃
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[>>168>>176周りの大人から、ディーンにかけられる言葉。 それを聞いてるディーンは、とても苦しそうで。
彼の怯えた、緊張した、心乱された目は好きだけど。 自分以外のものに乱されるのは、いやで]
ねえ。
[近くの大人に。 かけるのは、声変わりしてもまだ幼い響きの抜けない声]
……ディーンが可哀想。
[弱い彼を、なぜ責めるのか。分からない。 分からない、から。ゆる、と言葉を紡いで]
行こ?
[ディーンの服を、軽く引いて促した]
(187) 2014/11/18(Tue) 00時半頃
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[ノックスは。 絶対に、間違ったことなんて言わないから。 これは、間違ったことなんだ。
階段に足を乗せるたび、木が鳴く。
ノックスはかなしそうだった。 だから本当はすぐに戻ってごめんなさいしなくちゃだめなんだ。
思いながら、繋いだ手を見る。 握った手は、少し低い温度で。 熱をあげるために、彼の手を包むように握り直して]
うん。
[>>256行こう、の声に、頷く]
(347) 2014/11/18(Tue) 21時半頃
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[今は何時なんだろう。 外は相変わらず暗くて白くて。 三階の部屋、扉を閉めたら雪の明かりだけが光っていた。
手を引いて]
……。
[いま僕は間違ったことをしている。 ディーンは大人だからそれを止めなきゃだめなのに、止めない。 だから多分、ディーンも悪いことをしている。
弱くって、悪い大人で、可哀想な]
(348) 2014/11/18(Tue) 21時半頃
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ねえ、ディーン。
[ふと、口元に笑みを浮かべて。 とん、と彼を白いベッド目がけて突き飛ばした]
好き。
[僕は僕より駄目な人が好きなんだと思う。 僕は僕より可哀想な人が好きなんだと思う。
彼の手を取って。 黒でところどころ汚れた指先に、そっと口づけて、甘く噛んだ]
(349) 2014/11/18(Tue) 21時半頃
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許婚 ニコラスは、メモを貼った。
2014/11/18(Tue) 21時半頃
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[彼は。 彼の目は、熱っぽく。 真白の肌に湖が出来ているようだった]
……。
[彼の爪に指の腹に、牙を立てる。 微かな抵抗感の後、ふつりと口の中にシロップの味が広がった。
撫でる手に目を細めながら、ベッドに乗り、腕をついて彼の体の上に被さる。 温かな身体が近く、心地いい。 顎に力を入れたら、爪が割れて。 ぱきんと飴の砕ける音がして、それからまた固いものに歯が当たった。
噛み砕き、喉へと送る]
(373) 2014/11/18(Tue) 22時半頃
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ディーンは、――なんで食べられたかったの?
[彼は。 ずっとなにかをねだる目をしていた。
彼を見下ろして、赤く汚れた口で笑んで。 親指で自分の口を拭いた後、彼の唇へその親指で朱を差す。
そのねだる目はとても綺麗で。 とても辛そうだったから。 これで、彼の望みが叶うというのなら、それはよかったな そうして、その目が。 僕の物になるのだから。
彼にすり寄って、首筋にキスをして。 体をずらして、腹に耳を当てた。
心臓の音がする]
(375) 2014/11/18(Tue) 22時半頃
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[シャツをずらして、見える素肌は白い。 雪明かりに照らされたすべすべの肌にすり寄り、彼の声を聞いていた。 怖いものも優しいものも届かない部屋の中。 聞こえるのは、荒い息、心音、声。
迷子みたい。 迷子の犬みたい。 可愛い]
かわいそう。
[彼の訴える理由に息を吐いて。 こちらに触れる彼の手を握る。 あんなに近くにいたシメオンは。 きっとディーンが必要だったのに。 だって、彼は保護者なんだから。 かわいそう。
ふと、返してあげなきゃと思ったけど。 それは、彼の続く声で簡単に消えちゃった]
(392) 2014/11/18(Tue) 23時半頃
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ほんと?うれしい。
[顔をあげて、笑って。 甘えた顔で目を細めて、彼の笑みを眺める。
腹を舐めた。 唾液の跡がきらきら光って、とても綺麗だった。 少し海の味がする]
僕はねえ。 君の弱い顔が好きだから。
(393) 2014/11/18(Tue) 23時半頃
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だから、君が。 君が僕だけを見てくれるのは。
[うれしい。
くつり、と喉の奥で笑って。 きちりと歯を腹に立てて、僅かに食いちぎった。
やはり、彼の肌は甘かった]
んくっ……。
[動物の子供が乳を飲むように。 血を舐めて、また歯を立てる]
(394) 2014/11/18(Tue) 23時半頃
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[>>404かわいそうと言ってあげた後。 深くなる幸せの顔に、ただ目を細めた。 彼の向こう側、可哀そうな僕が見える。
一番に。唯一に。 なりたくてなりたくて。 なのに手を伸ばすのをしない臆病さ。
それをぼくは知ってる]
ディーン。
[顎まで濡らした顔を、彼の両手が包む。 泣きそうな声。声。子供みたい。 見上げた顔は、たぷりと涙が溜まっていて。 やはり、そのねだる目は綺麗だった。 食いちぎった腹、赤いそこが綺麗で。 触れて、ぎざぎざの断面をなぞり、溢れる赤色に指を汚す。 柔らかくて温かくて、くちくちと小さな音を立てながら。 安心させるために、ディーンの目元にキスをした]
(423) 2014/11/19(Wed) 00時半頃
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大丈夫、どこにも行かないよ。 ディーン、ずっといるからね。
[それが叶わないなんて、僕は欠片も思わない。 笑んで、頬に口付けて。 彼はとてもおいしかったから、彼にもその喜びを知って欲しくて。
自分の舌を噛んで、彼の愛言葉を紡ぐ唇に流し込んだ]
大丈夫、大丈夫。 大好きだよ、ディーン。
[きらきらしてて綺麗だから、その瞳の奥の感情がとても綺麗だから。 もう少し泣いてくれてもいいけども。 思いながら、頭と、腹を撫でてから。
あの日、幼い時に、ノックスにしたように。 彼の瞳へ、指を這わせた]
(425) 2014/11/19(Wed) 00時半頃
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―昔々の話/家族が増えたときのこと―
[>>260ソレをノックスが持って帰ってきたとき。 僕は、口をオーの字に開けてじっとしていた。 怪我でもしているのか、弱り切ったソレをノックスは手当していて。 しばらく、まんまるな目で見慣れない光景を見つめていた。
石の気持ちから解放された後、手を伸ばして]
めっ!
[ソレの綺麗な髪の毛を、思いっきり引っ張った。 思いっきりしかめっ面をして、ベッドから落とそうとする。
ノックスに止められて、理由を聞かれてもまだその頃は言葉がうまく出なくって。 ただ唸ってイヤイヤをしていただけだったのを覚えている]
やだ、やーだーぁーっ。
[あのとき僕は、ノックスを独り占めにしたかった]
(435) 2014/11/19(Wed) 00時半頃
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[弱った彼のベッドに顎を乗せて、上目でじっと見つめる。 歌を歌えば怒ってくる、ノックスに大事にされる、喋らないソレ。 これはいったいなんなんだろう。って。 そう思いながら、じっと、じっと。
目が合う。 口が動くけど、声は出ない。 いま僕がこの子を噛んでも、この子は助けを求められない。
いまこの場では、彼の方が、弱い。 そう、電撃のように思った]
トレイル。
[手を伸ばす]
(437) 2014/11/19(Wed) 00時半頃
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この前ごめんね。
[頭を撫でる。
そうか、これは僕より弱いから。 僕の弟なんだ。
大事にしなきゃ。 目は笑わないまんま、口だけが嗤った*]
(438) 2014/11/19(Wed) 00時半頃
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うん。 ディーンは、僕の唯一だよ。 ずっといっしょ。
[きっと。彼は。 望めば独占できたのに。 こうするしかないって。 思っちゃって。
指が、涙に触れて。 零れる透明な滴を見つめながら、深い。 深い彼の夜海を、その奥を見つめながら、指を瞼と球の間に潜り込ませた。
可哀想なディーン。 可哀想な、可哀想な――
可哀想なのは、ディーンと、誰?]
(451) 2014/11/19(Wed) 01時頃
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――ああ、生きてるものはダメだって、言ったのに。
[なんとなく、ノックスの口真似をしながら、骨で守られたそこを無遠慮に探る。 指先にぶちぶちとなにかが傷つく感触がする。
指を、引き抜いて]
ねえ、よくきいてね。ディーン。
(454) 2014/11/19(Wed) 01時頃
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……君は僕の唯一だ。 僕の一番だ。
[まだ繋がった視神経にキスをして、噛みちぎった。 彼の、僕のほしい言葉を紡いだ口の中に、ころりとしたものが落ちた]
(456) 2014/11/19(Wed) 01時頃
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これは。 綺麗だから、取っておくの。
――これからも、ずぅっと。
[口の中から球を指で取り出す。 濡れたそれは、やっぱり綺麗な色で。 手の中のそれに口付けて、微笑む。 その唇を、ディーンの欠けた指がなぞった。
向けられる言葉が、くすぐったい。
ああ、なんて素晴らしい日だろうか。 なんて素晴らしい日だろうか。
まだなにも知らないおかげで、僕はただそう思う]
(476) 2014/11/19(Wed) 01時半頃
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ディーン。ねえ。ディーン。 忘れないでね。僕が。
[彼の空白を、灰色の言葉で埋めていきながら。 腹に口付けて、中身を暴く営みを再開する]
僕だけが、ディーンを――
[助けてあげられる。 味方でいてあげられる。
愛して、あげられる。]
(477) 2014/11/19(Wed) 01時半頃
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[言ってやらない。言ってやらない。 本当のことなんて、けして言ってやらない。
『ねえ、シメオンはきっと君が必要だよ』 『戻ってあげて』
やっと、やっと、自分だけを見てくれるものを 逃がしてなんか、やらない。
ああ、彼の臓物は、きっと砂糖菓子で出来ている**]
(478) 2014/11/19(Wed) 01時半頃
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許婚 ニコラスは、メモを貼った。
2014/11/19(Wed) 01時半頃
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