25 花祭 ― 夢と現の狭間で ―
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― B棟廊下 ―
…、……?
[大きな物音がして、虎鉄は漸く我に返った。 頬をぐいと拭い、声のしてきた方へ歩いてみれば、そこには。]
……何、やってんだ?
[転んでいる姿の天満月の姿。>>2]
(@2) 2010/08/07(Sat) 03時頃
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若者 テッドは、メモを貼った。
2010/08/07(Sat) 03時頃
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何だそりゃ。 …あんま慣れねえ事して怪我すんなよ。
[鼻をぶつけたのだろう、押さえる仕草にふはっと小さく笑う。 立つ手を貸そうと相手の前に差し出そうとしたが、何かに気付けば躊躇って。 結局、その手が差し出されることは無く。 身体の脇できゅ、と握りしめただけ。]
―――…さあ? 俺、此処にはあんま来ねえし。
[目の前の部屋の主を尋ねられれば首を傾いで。]
あ…でも。 ……この蓮の…、もしかしたらアイツじゃねえかな。 あの鳥頭の嫌味陰険大王。 確か、…本郷とかいってたか。
(@3) 2010/08/07(Sat) 03時頃
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暴力男も付け足してもいいぐらいだぜ。
[フン、と鼻を鳴らして。 来た道を引き返す背を見送った。]
……視点を変えて、か。
[先程天満月の言っていた言葉を反芻して。 宙に視線を投げて何かを考えてから、虎鉄も再び歩き始めた。]
(@6) 2010/08/07(Sat) 03時半頃
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若者 テッドは、メモを貼った。
2010/08/07(Sat) 03時半頃
若者 テッドは、メモを貼った。
2010/08/07(Sat) 13時頃
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[弾け飛ぶ珠は過ぎ去った日々の如く。
羽ばたく羽音は誰のもの。
冷たい鈴の音は哀しげに りんと啼き。
千切れた糸はもう 元には戻らない。]
(@12) 2010/08/07(Sat) 14時半頃
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― 朝・雛菊の間 ―
[虎鉄は、ハッと琥珀を開いた。 額には薄らと汗が滲んで、背中も湿り気を帯びていた。 気がつくと虎鉄はまた机に突っ伏して寝ていた様子。 いつ戻ったんだったかと朧げな頭で振り返って。]
それにしても…何か夢見悪いな…。
[先程まで見ていた夢を思って、ぽつと呟く。 起き抜けの感情は気だるいと言うより、何処か寂しく、哀しい。 それはこの屋敷で起こった事件のせいか、それとも―――]
………腹、減ったな。
[くう、と鳴った腹には溜息をつくように呟いて。 虎鉄は服を着替えると廊下へと出た。]
(@13) 2010/08/07(Sat) 14時半頃
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若者 テッドは、メモを貼った。
2010/08/07(Sat) 14時半頃
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― A棟渡り廊下→本邸・廊下 ―
[本邸へと向かう廊下。 何やら屋敷の中は慌しい。 人を捕まえて何かあったのかと聞いてみようとしたが、声をかけてみれど此方に反応する様子は無い。]
忙しくても一言位返してくれりゃいいのに…。
[少しだけムス、とした口調で呟いて。 廊下の先に羽織が見えれば、丁度いい所にと駆け寄った。]
おーい、夜光! …なあ、何か朝から皆バタバタしてっけど、何かあったのか?
[昨夜の封鎖時よりも淀んだ屋敷の雰囲気。 宵にあった出来事が未だ耳に届いていない虎鉄は、何か知らないかと問いかけるのだった。]
(@14) 2010/08/07(Sat) 15時頃
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― 本邸・廊下 ―
知らせ?
[何も、と首を振り。 続いて紡がれた言葉には一つ瞬いて。]
は――――
[琥珀が大きな円になった。]
…マジかよ……
[呟くも、夜光の表情を見ればそれが事実であるだろう事は見て取れる。 そも、こんな状況下でそんな冗談を言うような奴とも思えないと、唸り。 淀んだ空気の正体を知れば、不思議と身体が重くなった気さえした。]
…お?アンタは…、…。
[やがて下駄の音が近づいて、声が掛かれば其処には先日手を弾いた相手。]
(@15) 2010/08/07(Sat) 15時半頃
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若者 テッドは、小鳥の姿に気がつくと、振られた手に軽く手を上げ返した。
2010/08/07(Sat) 15時半頃
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…あー…、もう、平気。 腹も鳴る位にピンピンしてるぜ。
[言えば、くうと腹が自己主張した。]
あと…こないだは、手。 …弾いて悪かったな。
[相手が覚えてるか否かは別として。 淡く笑う霞に苦笑した。 夜光の口から”明之進”と聞くと、何故かぎくりと肩が揺れ。]
俺は…さっき起きたばっかだから二人とも見てねえな。すまん。
[少しだけ騒ぐ胸を鎮めつつ、答える。 霞が夜光にかける話には静かに耳を傾けた。]
(@16) 2010/08/07(Sat) 16時頃
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若者 テッドは、ふと、鈴の音が微かに耳に届いた気がして。ちらと琥珀を彷徨わせた。
2010/08/07(Sat) 16時頃
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― 本邸・廊下 ―
―――…。
[人狼病の話を聞くと、頭がツキと痛む。 まるでそれ以上その話題に触れるなと言わんばかり。 そして聞こえた気がした鈴の音に視線を外していたが、夜光の声に感情が乗れば、其方へ琥珀を戻した。]
これじゃ、何をどう信じていいのかわかんねえな…。
[霞の話を聞き終えて、静かにそんな感想を漏らした。 去り際の言葉には、どういう顔をしていいものかわからず、思わず変な顔になる。 涼やかな音と共に去る背中を見送ると、夜光に向き直って。]
……大丈夫か?
[常と違う雰囲気を感じたか、虎鉄は一言声を掛けた。]
(@17) 2010/08/07(Sat) 16時半頃
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ん。わかった。
[明之進を見かけたらとの声にはそう言って。 ズボンのポケットに手を突っ込むと、じゃあなと歩き始めた。 ふと、すれ違い様に小さく虎鉄は呟く。]
―――大事ならば手放す無かれ。
[それは陽のような声ではなく、冷たく哀しい、虚ろな声。 今その表情にあるのは、無だけ。]
去りし日は戻らず。 消す事もまた、叶わず。
[声の途切れには、ざぁ、と風が吹いて庭の樹が大きくざわめいた。 樹の声が止む時には其処に虎鉄の姿は無く。 風に遊ばれた木の葉が一片、くるくると*舞い落つのみ。*]
(@18) 2010/08/07(Sat) 16時半頃
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若者 テッドは、メモを貼った。
2010/08/07(Sat) 17時頃
若者 テッドは、メモを貼った。
2010/08/07(Sat) 17時半頃
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― 食堂 ―
ったく、揃いも揃ってなんだっつーんだよ。 俺みたいな花はセルフサービスでどうぞってか。
[虎鉄はぶすっとした顔で食堂に居た。 机に置かれた饅頭をつまみながら、此方を見もしない屋敷の者に向けてぼやいている。 兄弟子と食事をした時もそうだったなと思い返して、ふと手を止めた。]
………、華月。
[兄弟子の耳にも恐らくもう届いているだろう。 三人の死者の事…その中の一人が、双花である鵠だという事。 虎鉄は少しばかり渋い顔をして、食んだままの饅頭をもぐと齧って残りも口の中へと押し込んだ。]
(@19) 2010/08/07(Sat) 18時頃
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…、……?
[その折、また何処かで微かに鈴の音が啼いた気がして。]
――――…鵠?
[鈴の音を纏っていた白鳥の名を呟いてみるも、その者は既に現世に居らず。 しかし辺りを見回せども、其処に啼くような鈴は見当たらず首を傾ぐばかり。]
やっぱ俺、どっか悪いのかな…。
[机に片手で頬杖をついて、唸るように琥珀を伏せた。]
(@23) 2010/08/07(Sat) 18時頃
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[虎鉄の耳に届いたのは、鈴の音のみ。 死者の声は未だ遠く、現の喧騒に掻き消える。]
…ああもう、訳わかんねえ。
[空耳はもとより、人狼病の事も。 急に具合の悪くなる身体の事も。 冷たいと言われた事も。 全てが混ざり混ざって、虎鉄は眉間に皺を寄せた。]
でも、それより今は…
[琥珀を一度伏せ、開くと席を立つ。 わからない事が山積みで、どれを取っても答えには辿り着けない。 ならば、今自分が一番したい事をするまで。 虎鉄は食堂を後にすると、人を探して屋敷の中を歩いた。]
(@27) 2010/08/07(Sat) 19時頃
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― 本邸・廊下 ―
さって、何処から探したもんか…―――
[食堂を出て程無くして、虎鉄の足が止まった。 視線の先、琥珀に映るは。 狭間を仰ぐ、黒椿の姿。]
(@29) 2010/08/07(Sat) 19時半頃
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あけ、の…しん…。
[名を呼び返せば、押し寄せてくる不安。 ずっと守ってきた何かが、壊れてしまうような恐れ。 しかし、縫い付けられたように足は動かない。]
―――…声?同じ…?
[ふと、投げかけられた言葉に琥珀を細める。]
お前、…前にも「私と同じ」って言ってたけど…どういう意味だ?
[さらりと告げる相手とは対照的に、訝しげに黒椿を見た。]
(@32) 2010/08/07(Sat) 20時頃
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…おい!
[地に縫われた足が動いたのは、黒椿が屑折れた折。 大丈夫かと駆け寄り、手を貸そうとしたが。]
…え…? だから、何言って…
[そういえば、微かに何か聞こえた気がしたが。 現世に色濃く囚われる虎鉄の耳には未だ遠く、緩く首を振る。 だがそれも、黄泉に影置く椿の言の葉を聴き、その手に触れたなら。
守る殻は脆く――――儚い音と共に崩れ落ちる。]
あ…ああ…、……ッ!!
[みるみるうちに琥珀は見開いて、掻き毟るように頭を抱いた。 何かを振り払うように、力の限りに首を横に振って。 後ずさるようによろけると、そのまま踵を返して廊下を*駆けた。*]
(@34) 2010/08/07(Sat) 20時頃
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若者 テッドは、メモを貼った。
2010/08/07(Sat) 20時半頃
若者 テッドは、メモを貼った。
2010/08/07(Sat) 22時半頃
若者 テッドは、メモを貼った。
2010/08/08(Sun) 00時半頃
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― 雛菊の間 ―
う…、…っく……
[押し殺しても、押し殺しても。 嗚咽が、部屋にこだまする。
物が乱雑に置かれた部屋。 心の殻が砕けた今。 自室だと思っていた部屋は、ただの物置だったと現は伝える。
その物置の古びた机の前、崩れ落ちたままの虎鉄は己の身を抱いて涙を流し続ける。]
(@51) 2010/08/08(Sun) 02時頃
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俺は…俺は…
[かち、かち、とピースが嵌っていく。 冷たい身体も。 主を想う胸の痛みも。 ゆっくりと、答えが導き出される。]
…そう…、……王璃さまに…
[伏せた瞼の裏に映るは、散る椿の花弁。 それは事切れる前に見た、赤い、花。]
(@52) 2010/08/08(Sun) 02時頃
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『虎、すまない。 私はお前とはもう…居られない。』
[鮮明に思い出す、あの時の主の言葉を。]
『理由も話さないまま突き放す私を、赦して欲しいとは言わない。 だが、お前がどうか新しい花主の下で。 幸せな日々を送れるよう、祈る事だけはどうか…赦してくれ。』
[いつかの、満月に近い夜。 旅先の小さな街の宿で告げられた言葉。 泣いて、縋って、けれど王璃は虎鉄を置いてその街を発った。 それから数日後、共に伺うはずだった屋敷へと、虎鉄は単身向かう。 彷徨い、辿り着いたのは寒い満月の夜。 苦難の末に乗り込んで、探した末に見つけた求めた姿は。]
(@53) 2010/08/08(Sun) 02時頃
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『…虎、どうして……。』
[あかいろを纏う、王璃。 手にするは、なまなましい肉の塊。
それからは何を話したかは覚えていない。 ただ、頭が真っ白で、もしかしたら会話等無かったのかもしれない。 唯一覚えているのは、主の酷く哀しそうな顔。 虎鉄は伸びてくる手に抗う事も出来ず。
その夜、ひとつの花が無残に散った。]
(@55) 2010/08/08(Sun) 02時頃
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俺は…後、何度この心を砕けば…。 貴方は赦して下さいますか…。
[一度目は、あの満月の夜に。 二度目は、自害する主の姿を目にして。 そして三度目は、閉じ込めた記憶を取り戻して。]
どうして、未だ現世に等…貴方はもう、居ないのに 何故―――ッ
[未だ留まる魂の意味がわからず、蹲ったまま床を拳で叩いた。 流れ続ける雫は、雨のように。 しとしとと、哀しさを纏って、床へと落ちた。]
(@56) 2010/08/08(Sun) 02時頃
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[誰も居ないはずの部屋に届く。 それは夢と現の狭間の声。]
―――…これが、声……か…。
[先刻、廊下で明之進が言っていた事を漸く理解した。 そして「同じ」という言葉の意味も。]
確かに…、冷てえな…。
[触れた手の冷たさを思い出して、ぽつと呟いた。 空っぽになった琥珀は、ゆらり、揺れて。 とん、と靴が床を蹴れば、虎鉄はふわと微かな風を残して部屋から姿を消した。]
(@62) 2010/08/08(Sun) 03時頃
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若者 テッドは、メモを貼った。
2010/08/08(Sun) 03時半頃
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