199 Halloween † rose
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研修生 キリシマは、メモを貼った。
mzsn 2014/10/31(Fri) 00時半頃
キリシマは、明之進をわしわし撫でた**
mzsn 2014/10/31(Fri) 05時頃
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[駆けだした悪魔は待てども待てども帰って来ない。 あの馬鹿は一体何をしているんだ。俺は暇じゃないんだぞ。 生憎と言うかなんというか、自分は彼と同じように気が長い方ではない。
深い深いため息をつくと、椅子から腰を上げ歩き出す。 何処ぞで油を売っているであろう、悪魔を探しに。
ここからは、街の風景が良く見える。 オレンジ色の風船飾りと、微かに聞こえる管楽器の音。 ゆっくりと悪魔の行った道を歩んで、徐々に近づく祭の歓声。
不意に、街に落ちた空気が変わった気がした。]
(@4) mzsn 2014/10/31(Fri) 23時頃
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[いや、変わった。 それは繰り返すハロウィンの、歪む空気と魔の香り。 二日目の朝感じた気配は、丁度こんな感じでは無かったか。
ただし今回は、背後の屋敷に吸い込まれるようにして、 魔女の屋敷を振りかえれば、丁度屋敷の玄関が閉まる所だっただろう。
そしてハロウィンは、元来た家へ帰って行った。 来年の今日まで眠欲を貪る為に。 遊び疲れた子供のように、ぐっすりと眠るのだろう。なんせ、5日程ぶっ通しだ。]
…ベネット、 気が済んだなら、薬代全部払えよ。
[ジェレミーに売った奴とかもな。 アレはよく頑張ってたと思うぞ。
知った魔女の気配が脇をすり抜けて、そして、消えた。]
(@5) mzsn 2014/10/31(Fri) 23時頃
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―薬店前―
[座り込むリー>>21の頭の上に、ふと細い影が落ちる。 何時の間に来たのやら、ポケットに両手を突っ込んで煙草をくわえて、 普段通りの無愛想で彼の前に立って居ただろう。]
…――おい、ガキ。 営業妨害だ。
[営業妨害も何も、もう店は畳んだのだが。 薬店の中はもぬけの殻。 古いトランクケースと二つの南瓜に店番を任せて、肝心の店主は今日は不在だった。
今までは。]
(@6) mzsn 2014/10/31(Fri) 23時頃
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…そうだな、 [>>49>>50営業もしてないし、ハロウィンのゴタゴタも全部終わった。
言葉少なに一言だけ返すと、リーの隣をすり抜けて店の扉を押し開く。 カランと、客の来店を告げるベルが鳴っても、店は営業していない。 薬が並んでいた筈の棚は空っぽで、店内は随分と広くなっていただろう。 荷造りは終わっている。]
祭は今日で終いだ。 だから、今の内に遊んで来るといい。
観光客の連中は、祭の間しか居ねえぞ。
[踏み入れた暗い店内。黒を纏って振りかえれば、日に照らし出されたリーが酷くまぶしい。
日が傾き始めたと言っても空はまだ明るく、 店内と店外。二人の男の色を強く塗り分けて居ただろう。]
(@7) mzsn 2014/11/01(Sat) 00時頃
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それと、もうバレてるらしいが、 …俺も此処、出てくからな。
[話した覚えは無かったのだが、とうの昔に計画は漏出>>5:12していたようだ。 アケノシンが漏らすとは思えないし、恐らく態度にミエミエだったのだろう。
闇の中から声を投げて、手はまだポケットの中。 あの手紙を握りしめて。]
(@8) mzsn 2014/11/01(Sat) 00時頃
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[好きなんて、そんな事。手紙を貰う前から気付いてた。 向けられる好意も、パーティーの夜の、布越しの温もりも。
伸ばされた手>>60を引けば、音を立てて扉が閉まる。 触れた肌は冷たかっただろう。 だが、そんな些細な事どうでもいい。]
…最後なんかじゃ、 ねえ。
[>>61音楽も無かったし、服も普段のまま。 何一つあの夜とは重ならなかったけれど、それでもダンスは踊れるのだと、 微笑む温もりを抱きしめて、チークタイムとしゃれこもうか。
有難い事に、会場の照明は落ちている。]
(@11) mzsn 2014/11/01(Sat) 01時頃
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…――お前の事、 好きかどうかは、まだ分からん。
だが、付いて来るっつーんなら、 お前が嫌と言うまで引きずり回してやる。 店番としてコキ使ってやる。
だから、お前に、来てほしい。 お前と行きたい。
いいな。
[いいか。と、伺う訳ではない。 いいなと言う強制と確認を重ねて、拒否権なんて与えてやるつもりイチミリも無い。 一度言った事を楠がえすつもりなら、同等の対価を毟り取ってやろう。
最も、その心配はなさそうなのだが。]
(@12) mzsn 2014/11/01(Sat) 01時頃
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悪かったな。 愛想悪くて。
…鼻水付けたらハッ倒すぞ。
[>>67>>68付けられたとしても、恐らく今日は怒らないだろう。 押しつけられた熱を抱きしめ不器用に撫でて、 触れた端から広がる温もりに、心臓が目を覚ました気がした。
付いて行くと言う同意の言葉に、口元は無意識に弧を描く。
人を引き込む。その事に悦を覚えるのは魔の者である証明のような物。 ただ、もう隠さなくていいのなら、 彼の前では魔物らしく、振る舞って見せようか。]
置いて行かん。 お前の気が途中で変わっても、引きずって行く。
ずっと俺の店で、タダ働きしてろ。
(@13) mzsn 2014/11/01(Sat) 02時頃
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[そうして笑みを深めて、包む腕もきつく、きつく。
バックミュージックは無い。 踏む筈のステップは忘れたまま緩やかに時は過ぎて、ハロウィンの日は落ちて行く。翌月へ向かって。]
(@14) mzsn 2014/11/01(Sat) 02時頃
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[暗い店内。どれほどそうして抱き合っていただろう。
大好きと、彼の言葉に返すのは、何時かと変わらぬ曖昧な答え。
伝えた通り、彼の事が好きかどうかはまだ分からない。 好意とはずいぶん久しい感情で、それに対する答え方も、責任の取り方も忘れてしまっていた。 ただ、向けられるソレは不快では無く、むしろ心地よいとさえ感じる。
困った事に、二人分。
好きかどうかは分からない。ただ、選んだのはリーで、 共に行くと、そうまでして想ってくれた彼に応えなければと、その手を取った。]
(@20) mzsn 2014/11/01(Sat) 20時半頃
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[身支度と、知り合いへの挨拶と、受けていた仕事の引き継ぎと。 リーは自分と違っていきなり消える訳にはいかない。 これまでの生活に別れを告げる時間を与えて、その猶予は18日程。
そう急がなくていい。 お前の準備ができるまで待っててやると、それでも薬屋の看板は下げたままだっただろう。
ほんの少しの列車の旅の予定と、次の街の目星を伝えて。 ハロウィンの夜は深けて行く。*]
(@21) mzsn 2014/11/01(Sat) 20時半頃
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―11月1日―
[ノイズ混じりのラジオが吐いたのは11月の日付。 街は急に静かになって、今朝は祭の残り香さえありはしない。
やっと繰返しを止めたハロウィンに、安堵のような落胆のような、どちらともつかないため息をついて、 店の二階、住居用にと儲けた部屋の窓を開けた。]
…アケノシン?
[>>86見下ろした二階の窓の真下。揺れる、見覚えのある頭。 微かな呟きは、異国の彼の元へ届いたか。]
(@22) mzsn 2014/11/01(Sat) 20時半頃
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―最後のハロウィン―
[>>107別に、俺が居なくなったって困る奴居ないと思うけどな。 ああ、でも、腕のいい薬屋が閉店したらそれなりに迷惑かもしれん。 それでも、俺自身はこの街に痕跡が残り過ぎぬよう生きて来たつもりだと、10年の歳月を思って寂しそうに笑った。]
…ああ、行って来い。
[>>106笑みと言葉に目を細めて、腕を解く。 別に、ずっと闇の中で飼い殺しにするつもりはない。彼は人で、人には、日の下で輝いていて欲しかった。 コントラストは分かれたまま。それでも、昼と夜の中間の、夕暮れの空間は狭く、狭く。
不意に近づいた距離と触れた温もりに珍しく目を瞬かせて、 悪戯と言って飛び出す背を見送って、見送ってから触れられた個所が唇と気付いたか。
…次顔見たら、ゲンコツの一つでも食らわしてやろう。 口づけられた頬に触れて、暫くは、そのまま。*]
(@23) mzsn 2014/11/01(Sat) 23時頃
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―11月―
[>>111>>112此方を仰いだ顔は笑って居て、不意に彼に伝えるべき内容を思い出し、ずくりと、胸が痛む。
ぽつぽつと言葉を綴る声は弱々しくて、下手をすれば霞んで、彼の存在ごと朝の空気に消えてしまいそうだった。]
…今、そっち行く。
[探していた。怖い。会えてよかった。 そう言って見つめ合ったまま、逸らそうとしない彼の視線を無理やし外して、部屋の奥に引っ込んだ。
古い階段はミシミシ音を立てて、やがて足音は一階の店舗へ。 歩幅は広く、足音はあっという間に扉の前へ辿りついただろう。
店の扉を開けて開口一番は「おはよう」と。 それ以外に言葉が見当たらない。 さて、何からどう、話した物か。
ゆったりとした、11月にしては薄過ぎる服。 覗く手頸や首元は細く、色は、悪い。]
(@24) mzsn 2014/11/01(Sat) 23時頃
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[幾ら月が変わって直ぐと言えど、暦の上ではすっかり冬で、 防寒器具など無い薬屋では、死体は殆ど外気と同じ冷たさだっただろう。
突然飛び込んできた熱>>127をよろめきながらも反射的に抱きとめて、結果抱きしめる形に収まっただろうか。 転んだようには見えなかったが、下手な嘘>>128をそうかと流して、 半透明で無い彼の髪を、優しく撫でた。
そして、小さくため息を一つ。]
…――その、事なんだが。
[>>129言わなくてはいけない。が、口は重く、中々言葉は出て来ない。 こんな物先延ばしにしたって、なにもいい事は無いだろう。 彼にとっても、自分にとっても。何一つ。]
(@30) mzsn 2014/11/02(Sun) 01時頃
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[いっその事、身体と一緒に心まで朽ちてしまえば良かったのに。 戸惑い、躊躇い、淡々と言葉を紡げない自分を酷く呪う。
ただ、悲しい顔は見たくないと、強く強くそう思って。 それでも、その顔を崩してしまう言葉を、紡がなくてはと、]
俺も、 …お前と一緒に過ごすのは好きだ。 ハロウィンのループだけじゃ短すぎる。 もう少し、お前の話も聞いてみたい。
(@31) mzsn 2014/11/02(Sun) 01時頃
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………が、一緒には、行けそうに無い。 すまんな。 先客が出来た。 折角、匿ってくれるっつったのに。
お前とは、 この街でお別れなんだよ。
[緩く抱いた腕はそのまま。 放したら、彼の泣き顔が、見えてしまいそうで。
甘い香りが近い。 それはあの、小さな砂糖菓子の香か。 それとも彼の香か。]
(@32) mzsn 2014/11/02(Sun) 01時頃
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[>>178>>179今後この街に戻る予定は無いし、数年で居所を変える身。 リーと共に行くならばそれも多少は落ち付きを見せるだろうが、それでも、再びこの男と顔を合わせる可能性はゼロに近いのだろう。 住所を送る気も、あまりない。]
…そうだな。 多分、二度と。
[彼と、リーと。何処が違うのかと問うてみても答えは曖昧で、 それでも選んだのは彼では無いのだと、昨夜と同じような温もりと笑みを強く抱く事はしない。 ただ、彼の笑みだけは昨夜のリーの物と大きく違って居て。そして、それを違えてしまったのは自分だった。
縋る男をゆるりと撫でていれば、差し出されたのは11月の菓子。>>180 恐らく彼のクニの菓子なのだろう。異国の珍しい品で、目にした事はあまりない。
押し当てられた欠片を加えれば、彼の指にカサついた唇が触れたか。]
(@42) mzsn 2014/11/02(Sun) 21時頃
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[人の食べ物は、魔にとっては時に脅威に。
ぐずぐずと、 口内を焼きながら溶け行く砂糖を転がすと、]
…うまいよ
[そう呟いて、閉じ込めていた手を離す。
ハッカは魔を祓う。 砂糖と薄荷と、血肉の味をさせて、星は溶けた。 唇を僅か爛れさせて。]
(@43) mzsn 2014/11/02(Sun) 21時半頃
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[正体を知った人間をこのまま帰すのは、気が引ける。 数日分の記憶を飛ばす薬もあるし、それこそ、殺して今度こそキッチリ幽霊にしてやってもいい。 それでもそれを実行しないのは、特別な情が沸いたからか。]
…――百年か二百年位したら、 その時は匿ってくれ。
運が良けりゃ、まだ生きてる。
[自分は。 しかし、彼はとっくに灰になった頃。
温もりがうつった身体は徐々に冷え、再び冬の外気を纏い始めるだろう。最初から彼の抱擁など無かったかのように。
結局、昨晩別の人間と踊ったダンスフロアに、 彼を招く事は無かった。*]
(@44) mzsn 2014/11/02(Sun) 21時半頃
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―11月1日:???―
[その店が開いていようが閉まって居ようがお構いなし。 どうせこの時間なら店主は居るだろうと目星をつけ、勝手に店内へ入って行った。
店主の名前を呼びながらズカズカと侵入して、寝て居たら起こしてやる勢い。 居なかったら、もうひとつの候補先である愛人の家まで出向くつもりで。]
(@49) mzsn 2014/11/03(Mon) 00時頃
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―11月1日:ニコラエの店―
[その顔色の悪いアンデットは、招かれたから来てやったと。そう言うだろう。
要件は特になく、しいて言えば「この街を出る」と、それだけ。 と言ってもこの街に住まない吸血鬼には、あまり関係の無い事だっただろうが。
後は――、]
…次の新しい店は、 少々雰囲気を変えたくてな。
[要望はそれだけ。 特に何を買うかも決めて居ない。 何が置いてあるのか、何がいいのか。イマイチ興味の薄い面倒な客だっただろう。 品物の種類もチョイスも、店主の吸血鬼に全て任せた。]
(@50) mzsn 2014/11/03(Mon) 00時頃
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[薬屋に騒がしい店員が増えるなら、店の空気も変えなくては。…と言うか、どうせ弄られるに決まってる。 次の店はスペースを広く取って、あの忙しない青年が動き回れるようにしてやろう。 一所にじっとして居られない、リアクションの大きい、煩い店番。 薬屋の番としての働きぶりはまだ見ていないが、きっと明るめの店になるのだと思う。
肝心の代金は、支払いは要らんと伝えた筈の輸血パック代と、人の店で素っ裸になった迷惑料と、人の家の前で盛って居た迷惑料と。 それで勘弁してやると言って商品を強奪して帰って行った。
多い出したように、ドナルドのレポートの催促を言付けて。]
(@51) mzsn 2014/11/03(Mon) 00時頃
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[偶に爛れた唇を噛むのは無意識に。 肉の味がしても、別段気にする事は無い。*]
(@52) mzsn 2014/11/03(Mon) 00時頃
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研修生 キリシマは、メモを貼った。
mzsn 2014/11/03(Mon) 00時頃
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―11月18日、出発の日―
[荷物はたった一つだけ。 その中に店の道具を、この街で過ごした10年を全て詰め込んで。 防寒具なんて必要ないが、人間の振りをして若干カビ臭いコートなんかを着込んでみたり。
列車のチケットは二人分。 目的地までは距離がある。まずは大きめの駅に行って、そこから寝台列車に乗り変えよう。 次の街は、やや遠い。
待ち合わせたのは何処だったか。 どこであろうとその大きなトランクに腰をかけて、コートと同じように汚い帽子をかぶって同行者を待っている。]
(@55) mzsn 2014/11/03(Mon) 01時頃
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…おせぇ。 行くぞ。
[>>224>>225>>226夜を歩かせる事に迷いはない。 こいつが自分で飛び込んだんだ。責任も、悲しみも、自分で処理するだろう。 自分はその隣で、今まで通り在るだけ。
ただ、今までの100年とは随分違った生活になりそうだと、騒がしい声に目を細めた。*]
(@56) mzsn 2014/11/03(Mon) 01時頃
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―その後の、 ―
[酒場の近くの大きな十字路を左に曲がって、暖かい頃は変わり者のピエロが佇んでいた角の更に奥の、細い横道。 少し薄暗い道を歩き、突き当りを右。
街の奥の奥。深い裏路地。 深い緑色をしていたであろう扉は木製で、腐ってその役割を果たして居ない。 真鍮製のドアノブはすっかりくすんで回りもしないし、強引に扉を引けば木片が剥がれ、ガランと、ぶら下がって居た鐘が落ちた。
扉をこじ開ければ内部は埃と蜘蛛の巣で満ちて居て、カビの香りが鼻を突く。 木製のカウンターも扉と同じように朽ち果てて、触れれば簡単に破片を散らせた。 壁に並んだ棚も、同じこと。
店内にはそれ以外に何も無く、足を踏み入れる毎に埃が宙を舞う。 地下と二階への階段もそれぞれ朽ちて、階を覗いたとしてもこの部屋と同じこと。 酷く暗い店内は、ずっと昔からその姿だったかのようにそこにある。
近所の住人に店の詳細を聞いても、ここは10年近く空き家だと言うだけ。 薬屋があった事など誰も覚えていない。 一部を除いて。*]
(@57) mzsn 2014/11/03(Mon) 01時頃
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―旅立ちの日―
…知るか。 次からお前が手入れしろ。
[>>250身の回りの事に気を使う文化は消えてしまったし、そうまで言うんならお前が気にすればいい。 カビ臭いと文句を垂れる同行者に面倒事を押しつけて、それでこの話はお終い。 近づいた顔には制裁を。ぺちりと額を叩いても、それは対して痛くも無い力加減。 丁度、子供がじゃれあうような。
次の街>>251は、元々自分の候補先には入って居なかった。
街自体の大きさと、住民の数、外部の人間の出入りの加減。 今度の目的地はその条件を満たしてはいるものの些か観光地寄りで、一言で行ってしまえば騒がしいに尽きる。 普段はベッドタウンのような場所が気に入りであったのだが、これは到底それには当てはまらない。]
…さぁな。 別に、適当だ。
(@61) mzsn 2014/11/03(Mon) 15時半頃
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[街から出た事のない彼に、精一杯の外を見せてやろう。 旅の出だしは華やかな方がいい。 静かな街に住むのはまた今度でもいいのだ。どうせ機会は何度も来る。 らしくない店員を雇ったのなら、ついでにらしくない土地に移住してやる。
これから何度も、辛い別れを経験させる事になるのだろう。 その度に次の街への希望と高揚で悲しみを吹き飛ばして、そういう風であったらいい。 それ位しか自分にはしてやれそうに無いのだから。
きっと、次の街のハロウィンも盛大だ。 お前を飽きさせない生活がそこにある。 巡る生活を彼中心に組変え始めた事に、彼は気付くだろうか。気付かれたからと言っても、特に礼を言われる筋合いもなし。 言われてもお前の気のせいだと返すだけ。
放られた玉>>252を器用にキャッチして、俺を狙うなんていい度胸してると、冗談混じりの制裁を。 心底うれしそうな、悪い顔をして。*]
(@62) mzsn 2014/11/03(Mon) 15時半頃
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―いつか来る未来のはなし―
[その身長はとうの昔に止まっていただろうが、体格や顔立ちの変化はずっと続いて行く。 幼さの残る彼はあっという間に過ぎ去り、直凛々しい青年へ。 そして逞しい壮年。この頃になれば何やら力量関係は反転していた気もするが、それはまあ、別の話。
歳を重ねる毎に変わって行く彼を何度も愛し直し、それでもその内面は変わらず彼のままで。 自分の時は止まったまま。 重ねた彼の手にシワが増えても、自分の手は、ずっと色の悪い細い手で在り続けた。
それでも、それなりに楽しくは過ごしていたと思う。 少なくとも先の100年の様に孤独では無かった。]
(@63) mzsn 2014/11/03(Mon) 15時半頃
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[人の一生など一瞬の事。 彼と共にあると決めた時から、ずっと覚悟はしていた。つもりだった。
彼が弱り始めてから、街を転々とするのを止めた。 その土地に腰を添えたまま、薬屋はずっとそこに。 流石に不振がられ手は困る為自分は店の奥に引っ込んで、話相手は店番の老人だけ。 買い出しの為の外出は顔を隠して、歳を取らぬ存在と悟られぬよう。
彼がさらに弱ってからは、店を開けるのを控えた。 薬屋の内情を探る者を殺したりもしたが、それをリーには話さない。 きっと、彼が親しくしていた人物も含まれていただろうから。
彼の死期が見え始めた頃、薬屋は彼に服薬を命じる。 それは死期を早める訳でも、引き伸ばす訳でも無い。
彼が死んでも遺体はそのまま。 幾日立っても腐らぬ遺体に満足そうに手を這わせ、漂う彼の魂にも秘密にしたまま、 ガラスの棺と薬液に彼の身体を横たえると、ようやくその街を後にした。
店の中に、複数の他殺体を残して。]
(@64) mzsn 2014/11/03(Mon) 15時半頃
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[さあ、魔女を探そう。 身体も魂も此処にある。
今までのように逃げ回る旅では無く、明確な目的を持って。 もう一度、お前と踊る為に。*]
(@65) mzsn 2014/11/03(Mon) 15時半頃
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