17 吸血鬼の城
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― 広間 ―
――――っ……!
[轟雷に身を竦め。 白光に瞼を落とす。
閉じた眸を開いたのは、城主の言葉。
視線に、絡め取られ
―― 息を、止める。]
(3) 2010/06/19(Sat) 23時頃
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[ ふるり、と。
柳にも似て細い身体が震え。 ヴェールの下で眸が伏せられた。
無言のまま、ドレスを摘み 腰を折って城主に恭順の意を示す。
言葉を口にせぬのは、抗う意図があるわけではなく。 ただ、声が出せぬゆえ。]
(15) 2010/06/19(Sat) 23時半頃
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[死んだ詩人、と自らを表した男性へ、城主が近寄っていく。 それを、伏し目がちに見ながら
そろり――、と
扉の方へ、後ずさった。
――ここにいては 息が、出来ない…。
微かに呼気を荒げて、 そっと扉の傍へ寄る。]
(37) 2010/06/20(Sun) 00時頃
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[従者だと示された白い男性が、 食事の準備が整っていることを知らせる。>>42
しかし、今はなにも喉に通るとも思えなかった。
城主に近づいていく数人の人影をそっと見遣り、 突然響く一喝>>54 に、びくりと身を竦めて
逃れるように、広間の扉を薄く開き、身体を押し込む。
薄暗い廊下の壁にもたれて、幾度も深い息を吐き、 胸元に小さく十字を切った。]
― 広間→1F 廊下 ―
(70) 2010/06/20(Sun) 00時半頃
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― 1F・廊下 ―
[不意に掛けられた声に、飛び上がる。
いつの間にか、近づいてきていた男性に視線を合わせ、 その首に、銀の環を見留めて、 呑み込んだ息を、そっと吐いた。]
いえ、少し……風に、当たりたくて――
[服装を咎められれば、首を横に傾ける]
――わたくしどもが、こちらの城に参ります際の 正装にございます。
城主様が、死の側におられるお方ゆえに。
(88) 2010/06/20(Sun) 01時頃
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― 1F・廊下 ―
―― …、……はい。 わたくしは、あのお方へ捧げられた物でございますから…。
[美しい。そんな形容詞に睫を伏せる。 それから、もう一度、首を傾げた。]
……不躾な問いをお許しください。 この城には、城主様と御同族の方は、 いかほどいらっしゃるのでしょうか……?
[すなわち、この城に棲む吸血鬼の数を問い、 目の前の従者が吸血鬼なのかを推し量るもの]
(101) 2010/06/20(Sun) 01時半頃
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― 1F・廊下 ―
―― お二方……
[零れる声に、僅かに滲む焦燥の色。 自らを「醜い」と称する従者に僅かな疑念の視線を注いだが 問いには、頷きを返す。]
…そう――ですね。 少し…口を湿らせるものがあれば…。
(113) 2010/06/20(Sun) 01時半頃
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― 1F・廊下 ―
ロビン――黒薔薇、さん。 ……では、あの白い方は、白薔薇さん、なのでしょうか…?
[名を繰り返し、ふと思った事を口にする。 それから、胸に手を当てて会釈した。]
マーゴット・キャンベルと申します。
[森の外にある街の領主が、キャンベル家であると、 知るものであれば気付くだろう。]
――果物なりとあれば、嬉しいのですが…。
(133) 2010/06/20(Sun) 02時頃
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長老の孫 マーゴは、聞こえてきた大声に、また、びくりと身を竦ませる。
2010/06/20(Sun) 02時頃
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― 1F・廊下→広間 ―
はい…その――機会がありましたら…。
[自分の推測が当たっていたらしい事よりも つい、口にしてしまった事に恥じらい、 小さな声で答える。 そして、広間へともどった。
黒薔薇の言葉通り、広間には既に城主の姿はなく 食堂に集まって、飲食に興じている人々が見える。
賑やかなその声が、この宴にはそぐわないような気がして。 同時に、自分の存在が、彼らの時間を壊す気もして。
そっと、宴席の隅に腰掛けた。]
あの…ロビンさん。 わたくし、こちらにおりますので、 なにか選んで頂いてもよろしいでしょうか…?
(146) 2010/06/20(Sun) 02時半頃
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[――失踪事件。
ふ、と耳に入ってきた言葉に反応して、>>144 微かに体を硬くした。]
(149) 2010/06/20(Sun) 02時半頃
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ありがとう――…
[ロビンが持ってきた物を受け取って、礼を言う。 暫し考えた後に、ひとつ頷いた]
―― いえ、ワインも、少しなら…いただきます。 また後で、お水をいただくかもしれませんが…。
[今は、そう。 ざわめく心を落ち着かせるために、 酒精の力を借りるのもよいかもしれない。 そんな風に思うのも、初めてのことだったけれども。]
(155) 2010/06/20(Sun) 02時半頃
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[近づいてくる女性の姿に視線を上げ、>>154 声を掛けられて、小さく頷く。]
ええ、どうぞ――
[彼女も、宴の参加者だと思えば、ふと胸が痛んだ。]
(158) 2010/06/20(Sun) 03時頃
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え……、…いえ――
[女性に問われて。 初めて、自分が表情を表に出していた事に気付く。 そうして、恥じるように下を向いた。
メアリー、と名乗っているのを聞けば、 口元に手の甲を当てた。]
ごめんなさい――わたくし、名乗りもせず…。 マーゴット・キャンベルと申します。
[座ったまま、軽く頭を下げる。]
(169) 2010/06/20(Sun) 03時頃
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はい――…ええ。
[キャンベル卿の、と聞かれれば、肯定を返す。 メアリーの柔らかな物腰に、ほんの少し口調を和らげて。]
悲しいこと……
[悲しいことがあるとすれば、それは。 この宴にいる方達が、自分と同じように "捧げられて"しまっていることで。
笑みを向けるメアリーに、それを入ってしまってよいのか 少し悩んだ後に、胸に手を当てる]
……皆様の無事を、お祈り申し上げたい、と…。
[裏を返せば、無事では済まぬということ]
(179) 2010/06/20(Sun) 03時半頃
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わたくしに、出来る事があれば――、と、思うのですが…。
[嘆息と共に言葉を紡ぎ、 野苺の紅い果肉を口に含む。
それは、十分に甘かったにもかかわらず、 ひどく酸いもののように感じられた**]
(180) 2010/06/20(Sun) 03時半頃
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― 食事の間 ―
[メアリーのために小さく十字を切ったあと、 食事の席に、特徴のある象牙色の上着を着た男性を見つけて 幾度か、目を瞬いた。]
――ごめんなさい、トレメイン様。 少し、席を外しますね。 お話し出来て、嬉しく思いました――…
[メアリーに一礼し、席を立って、薬売りへと近づく。]
(201) 2010/06/20(Sun) 10時頃
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―― サイラス様…でしたね。 お久しぶりです。
[薬売りに近づいて、浅く腰を折る]
…覚えておられますでしょうか。 キャンベル家の、マーゴットです。 以前、"お薬"を頂いた…。
(202) 2010/06/20(Sun) 10時頃
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[ほのり、と微笑んで。 相手が覚えていてくれたことに、安堵の息を零す。]
――…はい。 あの時は、父もたいそう喜んでおりました。
その……サイラス様が、宴にいらっしゃっているなんて――
[一瞬目を伏せ、胸の前で指を組む。]
――いえ、これも神のお導きかもしれません。
……その、お薬のことで相談があるのですが、 よろしいでしょうか――?
[父が望んだ毒薬。 それは、長年飲み続ける事で血に溜まり、 血そのものを毒へと変えるもの。
父はその毒の存在を知って、驚喜したものだった…]
(205) 2010/06/20(Sun) 10時半頃
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[ロビンが近づき、サイラスの前にグラスを置く間、 僅かに息を詰めて、口を閉ざしていた。
それから、細く息を吐いて。 静かに、言葉を置く。]
……、わたくしが、この場にいる理由は、 あなた様ならはお察しでしょう。
わたくしは、そのお勤めを、 もっと確かなものといたしたいのです。
わたくしの血が
あのお方にとって、十分なものとなりますよう――
…そう、なるためのものなど、 お持ちになっておられませんか…?
(210) 2010/06/20(Sun) 11時頃
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[促されるまま、隣の椅子に腰掛け、手を差し出す。 袖から伸びる白い腕は細く、僅かに青みがかって白い。
爪の先は、ほのりとした、すみれ色。
目を閉じて、薬師の指を待つ。]
(215) 2010/06/20(Sun) 11時頃
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……、… わたくしは、こんにちのために … 生きて、おりましたから。
―― ぁ……っ…
[ゆるゆると首を振り、 指先に翻る舌の感触に、息を呑む。]
――…、はい。 あとで、参ります――。
[俯いてサイラスの言葉に応え 慌てたように立ち上がって、一礼した]
(219) 2010/06/20(Sun) 11時半頃
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― 1F・廊下 ―
[石造りの壁に閉じこめられた空気を震わせて パイプオルガンの音色が届く。 それは、耳に慣れ親しんだ祈りの曲。]
――――… ……。
[暫しその場に佇み、指を組んで聖句を胸の内に唱える。
毒を呑む苦しさも、身を喰らわれる恐ろしさも 全て父と、街の人達のことを思えば耐えられた。
否 ――そうする事が生まれてきた意味だと 教えられ、育ってきた故。
不意に襲ってきた目眩に、額を押さえ、 壁を伝うようにしながら、目的の場所を目指す。]
(277) 2010/06/20(Sun) 16時半頃
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― 薬売りの部屋の前 ―
[影のような者たちに幾度か道を尋ねながら、 客間の並ぶ一角を訪れていた。
目的とする部屋を見つけて、控えめに扉を叩く]
サイラス様、いらっしゃいますでしょうか。 マーゴットです。
[部屋の中へ呼びかけた後、応えを待った]
(279) 2010/06/20(Sun) 17時頃
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― 1F 廊下・薬売りの部屋の前 ―
……あ…。
[思わぬ声を掛けられて、僅か、狼狽えた風を見せる。]
――いえ…、サイラス様に、 お薬の処方をして頂く約束をしておりまして。
[説明する言葉を紡ぎながら、 声を掛けてきた男を上目づかいに眺める。
食堂で大きな声を上げていた人物だと気付けば、 ほんの少し、身を固くした。]
(281) 2010/06/20(Sun) 17時頃
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[傍らに動かされたチェストを見て、目を軽く見開く。]
――ぁ…ありがとうございます…。
[小さな声で礼を言って、チェストに腰掛けた。 部屋の扉を叩いている姿を眺めながら、 ほんの少し、首を傾ける。]
……あの…あなたも、宴に招かれたの…ですか?
[思わず、そんな問いを投げかけていた。]
(284) 2010/06/20(Sun) 17時半頃
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――あ…その……薬売りの方をお呼びして…
[新たな人物の登場に、困惑したような声を上げる。 現れた女性の顔を見れば、少し、眉を顰めた。 もっとも、ヴェールに隠されて、見えはしないだろうが。]
バイルシュミット家のグロリア様――でいらっしゃいますよね。 わたくし、マーゴット・キャンベルと申します。
[立ち上がり、腰を折って一礼する。]
――グロリア様まで…どうしてこちらへ……?
(286) 2010/06/20(Sun) 17時半頃
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――病死、ですか…。
[男>>288 の言葉に、不思議そうに呟き、 今、自分は病で倒れそうに見えるのかと、思い至る。]
わたくしは、サイラス様にみていただける事になっておりますから。そのような心配は…。
(293) 2010/06/20(Sun) 18時頃
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[グロリアからの礼と、問いの答えには頷き、 謎かけのような言葉を唱えながら扉に向かうのには 慌てて居住まいを正す。]
―― 不思議な、言葉。
[ぽつりと呟いて。]
(295) 2010/06/20(Sun) 18時頃
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[開いた扉に目を丸くして。 現れたサイラスに一礼する。]
あ……え、と――
[用件を切り出そうとして口を開き 余人がいるところでする話でもないと思い至り、言い淀む]
その―― 少し、気分が悪くて…。
[悩んだ末に、そうとだけ言い、小さく頭を下げた**]
(302) 2010/06/20(Sun) 18時半頃
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― 薬売りの部屋>>307 ―
ありがとう、ございます…
[部屋に招き入れられ、導かれるままにベッドへ腰を下ろす。 差し出されたティーカップは、両手で受け取った。]
良い香りですね――
[香り立つ湯気を吸い、薄く色付いた暖かな液体に口を付ける。 爽やかな滋味が、体に吸い込まれていくようだった。]
(324) 2010/06/20(Sun) 21時頃
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…… 、…――― 父は…
[手にティーカップの温もりを抱えたまま、 サイラスの問いに、ぽつりと口を開く。]
街の、人々を救いたいと、 ―― そう、申しておりました。
それが、私のお役目であるとも。
[ティーカップを持つ指先は、すみれの花びらの色。 カップを口に運ぶ際、わずかに見える唇も、 色を差したような、鮮やかな色に染まって。]
街の者を犠牲にする事は、もう、できない――と。
(338) 2010/06/20(Sun) 21時半頃
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[ "貴女はそれでよかったのか"
そんな問いに、きょとり、と首を傾げる。]
……幼い頃より、そのように育てられましたから。 街のみなさまと、父の、お役に立てるのでしたら。
[小さく胸元で十字を切って。 テーブルに置かれた瓶に、これは…?という視線を送る。]
(347) 2010/06/20(Sun) 22時頃
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[カップの中に、薄紅色が広がる。 まるく息を吐いて、その様に感嘆の視線を注いだあと、 サイラスを見て、ふわり、微笑んだ。]
―― はい。 お勤めを無事に果たせますよう、 皆様が、無事にお還りいただけますよう、 わたくしも、祈っております。
[透明な声で、透明な言葉を紡ぎ。 ティーカップの中身をゆっくりと飲み終えて、 長く、長い、息を吐いた。]
(363) 2010/06/20(Sun) 22時頃
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はい。 ――ありがとうございます。
[サイラスが己に投げる視線の、裏によぎる思いなど知らず。 横になった方がよいとの勧めに、初めて帽子とヴェールを取る。
はらり、と、黒い髪が幾筋か、蒼白な額に掛かった。]
少し…御言葉に甘えさせて頂きますね。
[靴を脱いで足元に揃え、 体を倒して、ベッドのなかに潜りこむ。
サイラスに微笑をむけてから、ゆっくりと、瞼をおろした。]
(385) 2010/06/20(Sun) 22時半頃
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[自分で感じる以上に、疲れ果てていたのだろう。 張りつめていた気が切れるのと同時に、 吸い込まれるように、眠りの中へ落ちていく。
額に触れる指先の感触に、 ほんのりと微笑を浮かべて。
すぐに、静かな寝息を立て始めた。]
(405) 2010/06/20(Sun) 23時頃
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