17 吸血鬼の城
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そう……か? 我を忘れるほどの取り乱しようを、未だ見ておらぬ。 お前の感じる其れには未だ先があるだろう?
[>>2首筋に冷たい唇を寄せる。 さらさらと銀糸が擽った。 いつかと同じ光景。 ただいつかのようにフリではなく、牙をもって]
我侭だな。 では、後で私の頼みも聞いてもらおうか。
――…ん……っ
[鼻に抜ける甘いこえ。 五感全てを犯していく]
(7) 2010/06/23(Wed) 23時半頃
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お前の何処も、私に勝るものは無いと言うのにか?
そう、簡単な事。 お前が持ち出した手記を今一度私の手に。 書き足さねばならぬものが、増えたのでな。
[牙が皮膚を貫く。 其の痛みはじくりと甘い痺れを齎すもの。 縋るように倒れこむ記者の身を反転し、壁へと押さえつけ 露になった首筋へ、再び牙を立てた]
――…あァ
[あかい血が咥内に溢れ、喉元を過ぎる。 身が熱くなるのは、吸われる側と変わらぬ快楽 濁流のように押し寄せてくる その流れに飲まれ、己を見失わぬよう 長い爪を掌に握りこんだ]
(14) 2010/06/23(Wed) 23時半頃
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[己の掌へ滲む血が、城主に正気を保たせる。 喉を潤すだけに留め、記者を解放した。暫くは力も入らぬだろうその身をベッドへ寝かせ、紡がせた言葉の通り机を探る]
ああ、確かに。
[目的のものは引き出しをあけて間も無く見つかった。 筆を取り、サイモンの名の下へ三人の名を綴る。 詩人と狩人と、葬列の娘。 同族として逝った男の名は、其処には記さない。 書きおえると、乾かす間机に広げて]
用件は済んだ。 ……お前の血は、思ったよりも甘いのだな。 まるで生娘のようだったぞ?
[薄く笑い感想を告げ、ゆらりと緩慢な仕草で扉へ向かう]
(23) 2010/06/24(Thu) 00時頃
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僅かな吸血すら、人の身には過ぎた悦楽だろう?
[去り際にかけたのはそんな一言。 闇色の夜着を纏った城主は、 緩やかな足取りで部屋を出、廊下を進む]
(29) 2010/06/24(Thu) 00時頃
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―廊下― [窓辺に身を預け、下を見遣る。 霧が立ち込めていようと、 其れは城主のものなのだから、視界の妨げにはならず]
……随分と大人数で 賑やかな事だ。
[墓を作って遣れと、 其の亡骸を抱えた白薔薇の行く先を見る]
(40) 2010/06/24(Thu) 00時半頃
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……
[ひとの血を啜った後とはいえ、中途半端なもの 女の群れに身を投じれば、本能が牙を剥く。 意識を投げる先は、執着している玩具のひとつ]
(44) 2010/06/24(Thu) 00時半頃
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叱って欲しいと、聞こえたが?
[>>41居らぬ間の事を口にして 従者の背後に姿を現すと、両肩から首輪に触れるよう、両手を伸ばす]
ケチなことはするな、だったか。
[冷ややかではなく、寧ろ甘い情事の名残を含むこえ。 唇からは先刻吸った血のにおいが未だ微かに残っている]
ベネット……アドニスラモサ ミッシェルの血縁、だったな。
[深紅の瞳に映し出した男の名を呼ぶ。 記憶の中から探るように]
(53) 2010/06/24(Thu) 01時頃
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そのように警戒されると 何かせねばならぬ気になるが―― どうして欲しいのだ?
[ベネットの態度をくすくすと笑い、首を振る]
ああ黒薔薇、お前は謙虚だな。 しかし、仕置きを願うのも可笑しな話だ。
[冷たい首輪と同じ冷やかさを持つ指が、 輪の縁を、首の周りをなぞる。 鋭い爪で薄く筋を引きながら]
(64) 2010/06/24(Thu) 01時頃
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遠慮は要らぬぞ? ……ワインが気に入らぬなら、私が紅茶を淹れようか。
[ベネットへ首を傾ぎ、黒薔薇を弄びながら話しかける。 乱れた衣服は従者の身が隠していて見えぬ筈ではあるが 名残の気配は隠そうともせず]
これはまだ、熟成中だ。 ……良いいろに染まるまで、喰らうにはまだ早い。
[従者の首に、脈打つ血の流れを感じながら、なぞり終えるとあっさり其の手を離してしまう]
嗜虐、か。 黒薔薇にそういう趣味でもあると言うか?
(72) 2010/06/24(Thu) 01時半頃
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[枕へ手を伸ばす青年を 城主は柳眉を寄せて眺めている]
そうか……? 血縁の仇に、刃を向けても良いのだぞ。
……勿論、効果は無いが。
[肩を揺らして嘯く。 銀ならば、鼓動の生まれる其の場所を抉れば 身も残らず灰と消えるのだけれど 其れを態々教えてやる気は無い]
そうだな、極上のワインのようなものか。 ゆっくりと育てる心算だ。
(76) 2010/06/24(Thu) 02時頃
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そう――…大人しくしておいで 私の黒い薔薇。
[つ、と流れる深紅へ、一度だけと唇を寄せる。 其のままちらりと視線だけをベネットへ向けた]
ベネット 私を誰だと思っている……? この城で私の知らぬことなど、何も無いぞ。
そう、例えば今 弱き人間が己を棚に上げて拗ねている事も 願い叶わぬからと皮肉を並べていることも
全てお見通しだ。
(85) 2010/06/24(Thu) 02時半頃
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……おや
[ナイフを仕舞い込む様子に、一度瞬いた。 黒薔薇を解放し、仕事へ戻るよう言いつけながら]
私を消し去る気は、無いのか。 そうか……生きて此処を……其れがお前の望みか? お前一人くらいなら、叶えてやろう。
仕度を終えたら、一度鏡の間へ来るが良い。 場所は影に案内させよう。
[城主は薄い笑みを浮かべて甘く囁く。 魔力を帯びた血色の瞳が、有無を言わさぬ圧力をかける。 しまいこまれた銀で何処まで魔除けとして対抗出来たか。 彼の返事を待たず、城主は踵を返した**]
(92) 2010/06/24(Thu) 03時頃
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――…護衛が必要に、見えるか? ならば、傍に。
[従者に触れた唇は、ただ、流れる血を舐め取るだけのものだった。 足りぬのだろう、薄く笑い 共に付いてくる事を許す。 乱れた夜着を直させ、そのまま鏡の間へと足を向ける]
猫でも躾けている気分だ。
[多少爪の鋭い黒猫ではあるが。 主人に仕えているのか 其の快楽に仕えているのか 城主が彼に決定的な其れを与えぬのは その先を見ての事**]
(101) 2010/06/24(Thu) 09時頃
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―廊下― [傍に従えた従者が口を開くのを ちらと振り返り血の瞳に映している]
……そうだな、人では私と共に有ることは出来ぬ
猫の寿命は人の其れよりもまだ短い お前もまた、おいてゆくのだろう?
[置いていく 老いてゆく 眷族とすれば全てが滞り無いのかもしれないが 未だ決めかねるのは、其れを愉快だと彼が言うからかもしれず]
(103) 2010/06/24(Thu) 13時半頃
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―合わせ鏡の間―
森の何処かで朽ちるくらいなら、私がこの牙で殺してやろう。 お前はお前の望むまま、此処にあれば良い。
[胸の間を生暖かい何かが通り抜ける感覚 つかみ所の無い其れの正体は、魔たる城主には解らない。 合わせ鏡の間へたどり着くと、ターコイズを埋め込んだ取っ手に手をかける。 三方の壁を埋め尽くす鏡映り込めば、全てを見透かされるような不思議な感覚が襲う**]
(104) 2010/06/24(Thu) 13時半頃
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[>>153人間達の多くが恐れる其れを救いだと従者は言う。 望み通り生き血を啜り屠ってやろうと思った事もある 永遠に傍にとどめておこうと思った事もある 結局城主は手を下さぬまま、生殺しのような事を続けているのだけれど]
……揺るがぬ真理か……
[黒き薔薇の為に墓を作る気は無かった。 ひとと魔は相容れぬもの。 其れが揺るがぬ真理]
お前はいずれ私が喰らう それで、良いな?
[いつかそう遠く無い未来に、彼の首に鋭い牙をつきたてる時を想い描く。 グラスに飲み干したあの濃厚な愉悦の味を 貪った後に来るだろう反動を思い、長い睫をそっと伏せた]
(161) 2010/06/24(Thu) 21時頃
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―合わせ鏡の間― [眷族には、鏡に映らぬものも居る。 三方から黒い夜着を纏う城主と、従者の姿が映し出されていた。 数え切れぬほどの覇者がその場に君臨する。 此処は城主の魔力が最も高まる場所]
――…嗚呼、よく逃げずにやってきたな。
[現れたベネットを見て、幾人もの城主がくすくすと愉しげに笑う]
今一度聞こう 仇か生還か、お前が選ぶのは?
(169) 2010/06/24(Thu) 21時半頃
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嗚呼……
[銀のナイフが向けられる。 アレが心臓を抉れば城主の命は灰と消えるのだ。 気分が高揚するのを感じ、全身がざわめいた]
連れて戻りたい者がいたか? お前の連れ帰りたいものは、私がとうの昔に喰らったと 思っていたがな。
(174) 2010/06/24(Thu) 22時頃
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[黒薔薇がベネットのの目前の城主を 守るようにして立ち塞がっている。 ベネットの背後に映る城主が 傍らに映る城主が同じ美麗な顔を歪め哂った]
二人と言うのは……あの男達か?
そうか。 ……良い事を思いついたぞ。
其の二人が私に喰われるのが、厭だと言うなら――
[ちらと視線を従者に向ける。 背後からの気配で感じ取れたのは、 彼の生い立ちが関わっているからだと、城主は知らない。 鋭い二本の薔薇の棘が、ベネットへと襲い掛かる。 其のナイフを落とし、動きを封じる為に]
(181) 2010/06/24(Thu) 22時頃
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嗚呼、お前にとっても悪い話ではないぞ? 生かしてやろうと言うのだからな。
[>>184銀の刃に向かう薔薇の棘はひとつ。 やがて追い詰められる頃には棘はふたつに増えていた。 二人から少し離れた場所で、其の様子を見物していたが ゆらりと近づきナイフを持つ手を其の上から掴もうと腕を伸ばす]
お前に永遠を授けてやろう。 ――…私の眷族となれ。
私に喰わせたくないのなら、お前が喰らえば良い。
(187) 2010/06/24(Thu) 22時半頃
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ふふ…… ひとの身が私に刃向かおうとしたのだ 其れ相応の報いは受けるべきだろう? 元よりお前に選択権など、ありはしない。
仇もとれず お前は私と同じ、魔に変じる
――それほど嫌悪する存在に、自らが変わり やがて本能のままに血を求め お前は其の二人も喰らってしまうのだ。
[ベネットにとっての絶望は何処にあるだろう 城主が思いついたのは其れ。 壁際に拘束された彼のナイフを持つ腕を引き、首筋を露にさせた]
(192) 2010/06/24(Thu) 22時半頃
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……良い子だ。
[銀のナイフを奪った黒薔薇をそう褒める。 またしても、目前でひとを喰らう事を彼はどう思っているのか。 首筋に顔を埋める姿を見せ付けるように、ちらと視線を投げた。 ベネットの視界は一瞬銀に染まる]
嗚呼、ベネット? あまり暴れては傷がつく。
……魔と化せばもう人には戻れぬ 全てを覚えたままに変じるのと 全てを忘れ本能のみを残すのと どちらか、選ばせて遣っても良いぞ?
[様々な角度で、城主が人に血を分け与えようとする様が映し出されていた。 返答を待ちながら、鋭い牙が皮膚に触れる]
(205) 2010/06/24(Thu) 23時頃
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