162 絶望と後悔と懺悔と
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[だから僕は罪をさらして、認めて、贖ってもらわなくちゃいけないのに]
おねがい。 おいて、かないで……!
[なんだろう、ほんとに、聞き分けのない子供に戻ったみたいに、 それしか、言葉が出てこない。
泣けなくなってるから、やっぱり、ちゃんと戻れたわけじゃないんだけど**]
(147) 2014/02/20(Thu) 20時頃
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―踏むは鬼か人か―
[地に着いたジャニスの、三日月斧の柄を握る右の手首に零瑠は踵を乗せて踏みつける。その足首を摑んだのは彼女の左手。]
こ、の、……ばか、ぢからっ!
[見上げてくる視線の内、紅が潜んで居るのか、主に似た―――そして、何故か懐かしい色を見付けてしまった。]
お、母、さ……
[口に出た言葉に驚き目を張るが、 刃が肉を断つ感触にすぐに我に返る。
――似ているだけだ。
鬱金の光、濃い闇、焦がれる熱、凍てつく冷。眼差しひとつに胸が鳴り、名を呼ぶ声に耳が鳴り。]
(148) 2014/02/20(Thu) 20時頃
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ジャニスさんのことは、お姉さんだと……思っていたのに。
[言い直す。]
ねぇ。 本当にヒトではなくなってしまったのじゃあないの?
それでも、ジャニスさんでは…… あの方を越えることなんて、出来やしない。
[後ろに下がった主の、好機を探す。 隙を作らせれば主の一撃があるだろう。]
(149) 2014/02/20(Thu) 20時半頃
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そんな目で、……俺を見る、なっ
[ジャニスの両脚を警戒しながら、痛みに喘ぐ。捻った上半身の、肩から落ちる赤雫はどれ程彼女を染めるか。
ヒトから離れた力は周を思い起こさせる。
これが聖水銀のせいだと言うのなら。 始祖の血のせいだと言うのなら。
子である身の、力ある濃紅を一部としたこの身の、何と不甲斐ない動きよ。]
(150) 2014/02/20(Thu) 20時半頃
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は、ぁっ!
[まだ戦える。そう、まだ。
幾度刃を突き立てれば、その腕は使い物にならなくなるだろうか。腕に腹に胸に首にと狙いを変え。
目を潰さんと、一閃。
ジャニスの左手が離れるのと、 零瑠の足が潰れるのとどちらが先か。*]
(151) 2014/02/20(Thu) 20時半頃
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[小さな手を握る指に力が籠る。
やだ──と、リカルダは言った。 それしか言葉を知らない子供のような口調で。]
リッキィ──…、
[だけど──。
絢矢は何も答えない。 手を握り膝を曲げ、 昔に戻ったように近い目線でリカルダを見る。
絢矢は知っている。 リカルダが見た目通りの子供でないことを。 誰よりも長く側にいたリカルダが 誰よりも良く絢矢を知っていることを。]
(152) 2014/02/20(Thu) 21時頃
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[>>130 彼が振り返った時、ふる、と肩の震えた。 片手は自分自身を抱くように、問いかけにはただ頷いて。
鬼たちが、取り囲むその殺気の理由、 それは己の身にも振り抱える、強い強い呪縛だ。
――始祖の命令。
遠ざかっていくように感じるのは、自分自身だ。 俯いたまま口唇を噛み締める、 優しい言葉が遠くなる、引かれた手を振り払おうとして、 それは力なく滑り落ちただけ]
……サミュエル、……ごめん、ね
[――どく、と脈打つ血の流れ。 緋色の世界の中に残像が見える、紗がかかる、たくさんの彼の姿。どうしてか、いつも彼を少し後ろから見つめていて、その眼差しは交わらない]
(153) 2014/02/20(Thu) 21時頃
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[──だから、それに甘えて。
何を言われても連れて行く気はなかったのに。 今だけは我儘を通すつもりだったのに。
五年前と変わらぬ声で──]
リッキ──
[“あの日”と同じ泣きそうな顔で]
…──……、
[“あの時”と同じ小さな手が、 置いて行くなと縋るから──]
(154) 2014/02/20(Thu) 21時頃
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[>>131 遠くから聞こえた言葉に遠くから返す]
(なにいってるの、 吸血鬼のお嫁さんなんてだめでしょ、 そもそもお父様なんて本当に関係ないし、だから、
…………だから、)
[なにひとつ、音にはならなかった。 俯いた顔が持ち上がる、ずると滑り落ちたスカーフの下、 まだ癒えきらぬ濁った色の緋い双眸。
強張った口唇が歪んで微笑う。 それは酷く悲しげにも、愉しげにも見える鬼の貌]
(155) 2014/02/20(Thu) 21時頃
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……ミュ、エル
[全ての吸血鬼に届いた命、守護部隊を全滅させろ。 一際強烈に響くのは、父たる者の命令であるから。 先ほどの“目に収めた命を殺せ”という命令とは違う、抗いようなきその呪縛。
けれどその爪は、押し寄せる鬼たちよりも出遅れた。 安堵と落胆を覚えながら、けれどその身は軽く地を蹴る]
(156) 2014/02/20(Thu) 21時頃
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───っ
[絢矢はあの瞬間に戻ったように──、
痛いほどにその手を握り、 リカルダの幼い肩を抱き締めた。]
(157) 2014/02/20(Thu) 21時頃
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邪魔、しない、で――、
[低い呻きは己と敵を遮る鬼たちへ。
鞭振るう空気裂く音、それが標的。 視界はいまだに緋色のままに、道塞ぐ鬼の首を抉った。 生ぬるい飛沫、ざわつく脈の不愉快なその音を抉り取る、 腕を振った勢いで、サミュエルの武器――九節鞭を握った左手は、 その先端の錐を鬼の煩く響く胸の鼓動へ、打ち込んだ]
……ちがう………、 ごめん、なさい…… サミュエ、っ、
[道が開けば彼の元へかける、 その己を乱す鼓動目掛けて鋭い爪を振り下ろした*]
(158) 2014/02/20(Thu) 21時頃
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…………いかない。
おいていかないよ。 もう、二度と……。
[嗚咽のように咽喉が震え、 何度が細い吐息が漏れたけれど、 やはり涙は出なかった。
でも、なぜか──、 今はそれも、一人ではない気がしていた。]
(159) 2014/02/20(Thu) 21時頃
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>>158
[その動きは、やっぱりホリーのものだったから。 瞬間、こちらに駆けるマユミの動きに呆気にとられるが、 翻り、振り落とされた鋭い爪。 きしり、と受ける九節鞭]
――……ッ
[わかっている。 この速度は、知っている。
火花とともに、一度マユミの緋色の眸を見た。 その顔に眉を寄せる]
(160) 2014/02/20(Thu) 21時半頃
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[次に駆け出せば、その速さに、周りの鬼はついてはこれないだろう。 知っている速さ。そして、その速さを目掛けて、自分は今ここにあるのだから]
――……約束しだがらな
[風切る中、頃合、図りながら。 その吸血鬼と対峙した場所は、果たして、始祖の目から届く場所だったかどうか?]
(161) 2014/02/20(Thu) 21時半頃
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サミュエルは、マユミからの攻撃は受け止めるれど、なかなか自分は攻撃できないことは確か
2014/02/20(Thu) 21時半頃
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[右爪を留めた鞭、響いた痛みが快を齎す。 見えてはいない、ただそこに標的の在ることはわかる。
眸に留まった視線を知らない。見えない。 身を返し、駆け出す的を追う]
まって……、ううん、ちがう、だめ、
[こころと反する行動はけれど、口唇を笑ませるのだろう。 その血の本能は、嗜虐を愉悦とし、嬲るを悦びとする。 人の心の遠ざかるような]
(162) 2014/02/20(Thu) 21時半頃
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[そして彼の速度が緩んだ頃、 手の中にある、サミュエルの武器、 慣れぬものが見えぬまま、器用に使いこなせるようなものではない。
左手で掴んだのは己の鞭の刃側の節、 そのまま重みのある持ち手を単純な鈍器として、 横から叩きつけた。 一度震えた手元は、きつく閉じられた眼差しは、 けれどやはり愉悦と苦痛を滲ませながら微笑うのだ]
……サミュエル、
[喉首を、胸を狙う、右の爪。 見えぬままでもそれは正確に、 脈動を――鼓動を、狙い続ける]
(163) 2014/02/20(Thu) 22時頃
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落胤 明之進は、メモを貼った。
2014/02/20(Thu) 22時頃
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[ふらついて近付くリカルダに手を添えて支える。>>144 円の事、口で説明出来る訳もなかっただろう。 はりついた笑みが苦しげに歪むのを見れば、 いいよ、と、小さく首を振った]
絢矢……
[そして、先を急かす絢矢に顔を向けると、>>137 リカルダは彼女を引き留める様子で。>>145 悩んで一度、唇を結ぶ]
(164) 2014/02/20(Thu) 22時頃
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>>163
[闇の中、それでも、その妖気と殺気は凄まじい。 紙一重で避けながらも、反撃に移れないのは、まだ心の中、どこかマユミが正気に返るんじゃないかという淡い期待だ。
だが、正確に狙われるその爪は喉を掠め、リーから噛み付かれたとは違う場所に紅の一筋ができる ちり…と痛むのは、傷ではない]
――……マユミ……駄目だがか?
[自身の武具を防御としてしか使えない。 だが、そんなことでは、やられる、わかっている。 相手は、マユミであると同時に、あのホリーだ]
(165) 2014/02/20(Thu) 22時頃
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――……くっ
[また胸に振るわれた爪を受けながら、そのときは力の限り突き飛ばすように押した]
――……おまーは、きんいろを倒せば正気に戻るだが?!
[問うてみる、だが、返事は期待できない。 その顔は、それまでとは違う、妖艶で狂気に満ちた笑みを乗せて]
――……
[だけど、思う。 それでも……などと]
(166) 2014/02/20(Thu) 22時頃
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[もし、その様子を見て取れる者がいたとしても、 始祖以外、その速度についてこれるものはまずいないだろう。
振るう鞭は空気を切り裂き、
次には、マユミの脚を狙うけれど、きっとそれでは甘い]
(167) 2014/02/20(Thu) 22時頃
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[人ならざる身に堕ちてからの長い一瞬に、 武器を向けるだけが戦いではなかった。 抗う事に必死で、そして諦めて受け入れるまで]
……守ってあげて。
[贖いの途中、あるいはその果てにでも、 潰えてしまったら、それが誰かの傷になる。
心身を削ぎ落して捧げるだけが贖いではないと、 ――望んでも良かろうか。]
ね。
(168) 2014/02/20(Thu) 22時頃
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[>>165 問いかける声は、遠く聞こえる。 駄目じゃない、といいたかった。けれど、言葉は出ない。 それは慰めでしかなく、きっともう諦念の中にあった。
諦めは、絶望という痛みを遠ざける。
掠めた喉と、胸にいたる傷。 抱きつくように両手を伸ばせば突き飛ばされて、 その勢いには逆らわず、地に手と膝をついた。
――突き飛ばされなければ、その鞭で首を絞めていただろう]
(169) 2014/02/20(Thu) 22時半頃
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[>>166 問いかける言葉、 それはしぐさに現れた、ゆると乱れた髪をふる。
問いかけの答えは肯定だ、 >>88 それは先ほども交わした言葉、 支配から解き放つ、けれど、そんな余裕はないはずだ。 そんなことを考えていては――。
>>167 膝を着き低くかがめたままの身に、打ち付けられる九節鞭。脚を打たせて、その切っ先を捕らえ――持ち主ごと引き寄せることは適うか。 刃を握った手も打たれた脚も血に塗れ、大きく喉を震わせた]
っ、
……だめよ、そんなこと、考えていては、
[歪んだ妖しの笑みのまま、、 ようやく癒えかけた双眸からは濁った涙がはらりと落ちた]
(170) 2014/02/20(Thu) 22時半頃
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[気付けば夜が明けようとしていた。 人間はその光に希望を見出すと言うが、今の家畜達には どう見えるのだろう。 希望の光に照らされるのは紅。 多くの人と鬼の死体を平等に照らす光に僅かに目を細めた]
これが平等と言うものだろうな。
[鬼も人も、生者も死者も関係無く。 そこに想いを見せる事無く平等に注ぐ]
(171) 2014/02/20(Thu) 22時半頃
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[ピリピリと、どこか肌を刺す気配を、殺気を感じながら 自分も行くべき場所へ行こう、と。 静かに、リカルダと絢矢の前から退く。]
(172) 2014/02/20(Thu) 22時半頃
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後、平等に注ぐとすれば…死か? そう思わぬか。ジャニス?
[そう、家畜にも鬼にも死は平等だ。 ただ訪れ方が違うだけで、死ぬ時は死ぬ]
私にとっては夢物語だがな。
[永く生き続けた身には、ただの御伽話の様で。 もしその身にも降るとすれば、そこにあるのは恐怖か歓喜か。 訪れる事を想像すらしない傲慢さは未だ変わらず。 零瑠との戦いでそれどころでは無いかもしれない ジャニスに嗤って問い掛けた]
(173) 2014/02/20(Thu) 22時半頃
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──。
[>>168明之進の言葉を背中で聞く。 その声に籠められた願いは、きっと──。
──けれど]
明ちゃん、待って。 ボクも、
ボク達も行く。
[ひとたび放たれた矢は、もう、止まれないのだ──。]
(174) 2014/02/20(Thu) 23時頃
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…… アヤ―――
[あれ、絢矢ってこんな、大きかったっけ。 その時になって僕はようやく気付く。絢矢が、かつてと同じ目線で僕を見てたんだってことに。
だけど今は、大きくなった分、力も強くなった分、 僕のことを包み込むみたいに抱きしめて、僕の手をしっかり握ってくれてる]
……、〜〜〜〜〜っ。
[泣けてくるのに涙が出てこないのは苦しいけど、 それもひとりじゃなければ、ひとりじゃないから、どうにか乗り越えられる気がしてた]
(175) 2014/02/20(Thu) 23時頃
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真弓はなかなかに強いな。
[気配を感じる。 眷属でありながら、また違う能力を得て強さを得た鬼。 心は傍にありはしなかったが、ホリーを斃すと言う 大事をやってのけ愉しませた。
そして反旗を翻す意志を見せて愉しませ、 今また、私の抗えぬ呪いに苦しんで愉しませてくれているはずだ]
真弓はホリーの力を得た。 力だけなら、お前よりは上だ。
[右腕を紅く染め上げ、尚主の為に戦う零瑠を煽る]
(176) 2014/02/20(Thu) 23時頃
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