162 絶望と後悔と懺悔と
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明之進は、城の中で一、二日ほど熱出して寝込んだ。>>145
2014/02/12(Wed) 20時半頃
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[外套の下から、 五年の歳月を窺わせぬ幼さの残る容貌が表れる。
眇めた眼は理依の瞳へ。 虹彩の色を確かめようと視線が注がれる。]
───、
[ホリーがはっきりと名指しで眷属と呼んでいた理依。 確かめるまでもないけれど、僅か距離を縮めて]
何をしに、来たの。
[感情の読み取れない、機械の貌で尋ねた。]
(147) 2014/02/12(Wed) 20時半頃
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落胤 明之進は、メモを貼った。
2014/02/12(Wed) 20時半頃
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君と殺し合いにきたんじゃないのは確かだよ。 ここで何か騒ぎを起こす気も無い。 ただ、あの部隊に…ほ孤児院の皆はいるのかと思って。 誰かに会えたらいいな程度なことは考えていたけど。
サミィと会ったんだ。あと、安吾兄。 元気そうだった。 アヤは…ずいぶん変わってしまったようだけど。
[もう笑ってくれないのだろうか。 縮められた距離、自分から開きも縮めもせず]
(148) 2014/02/12(Wed) 21時頃
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どうして?
[理依が殺し合いを否定した直後、絢矢は尋く。]
直お兄ちゃんを、ボクは殺したのに。 ボクを殺さなくて──いいの?
[構えはまだ取らない。 白い外套の下、周の白鞘を撫でて]
円もサミュエルも、キャロも。 みんないる。
[現状を説明しながらも 笑まぬ菫は無感情に瞬く。]
(149) 2014/02/12(Wed) 21時頃
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───…。
[変わったと言われると、 絢矢の視線は一度空へ彷徨いでるように揺れた。
けれどそれを知るのは本人だけ。 遠目には変わらぬ眸が理依を見据えている。
訊くべきことを訊け。 感情を凍り付かせて得た強固な理性が告げる。]
周ちゃんと涼ちゃんは──どこ?
(150) 2014/02/12(Wed) 21時頃
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―吸血鬼の城・零瑠自室―
……。
[背中の引き攣るような痛みに身を捩じらせる。 微かに動いた手が、誰かに握り返された>>138
――リッキィ、か?
まだ子供だった頃、喧嘩をする度、 小さな手を重ねてくれた少女の名を口にしようとして ぼやける視界に映るのは、気遣う表情の零瑠。
急速に、意識が現実に呼び戻されていく]
(151) 2014/02/12(Wed) 21時頃
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…あぁ。直円をやったのはアヤなんだ…。 でも、俺がアヤを今殺す理由にはならないよ。 アヤだって望んでいたわけじゃないはずだ。
[そして、「皆いる」の答えに、 一度目を閉じてため息をつく。 言葉にできないけれど、「よかった」と 改めて直円に黙祷するように暫し言葉を発しなかった]
あの2人は…こっちの城にいるよ。死んでいない。 柊と零瑠が連れて帰って来た。 どうするつもりかは知らないし聞いていない。 俺には…関係ないし。
[もう家族とは思っていないのだから]
(152) 2014/02/12(Wed) 21時半頃
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―現在・自室にて―
[寝込んで寝て起きて、部屋を出て、また戻って来た。 十全ではないが、それなりに動ける。
因みにこちらが寝込んでいる間も涼平は 生活の用については不自由なく待遇された筈である。>>145 城内に暮らす吸血鬼、あるいは『家畜』と呼ばれている 下働きと食事に供される人間の厭味や怨嗟以外には。
着替えてちんと涼平の前に座った。]
……皆の事を教えてくれる?
[あの夜、別れ別れになった家族達の悉くが、 帝都守護隊に身を寄せている、という事実を。]
(153) 2014/02/12(Wed) 21時半頃
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そう。 でもボクは、
ボクは──…
望んで直お兄ちゃんを────狩ったよ。
[理依が目を閉じ溜息をつく間、 絢矢はその様子を眺め、再び目を開けると唇を開く。]
明ちゃんと零お兄ちゃん。 やっぱりいるんだね。 まゆお姉ちゃんもいるんでしょ?
周ちゃんと涼ちゃん、返して貰えない? 家族──“だった”でしょ、ボク達。
(154) 2014/02/12(Wed) 21時半頃
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[紅の瞳に、憔悴はしても衰えない視線を据える。 傷の具合を聞かれれば、僅かに考える表情]
……手当て、してくれたんだな。
痛むが、あれだけの怪我だ。 まぁ、こんなもんだろ。
[傷を縫い合わせただけの背中>>118は、 苦痛と発熱で周を蝕むが、痛みは生きている証だ。 ぎり、と歯を噛んで耐える]
(155) 2014/02/12(Wed) 21時半頃
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―城内にて・明乃進の部屋―― [明乃進が倒れたと聞いて、その部屋を訪れた。 目的はそれだけであったのかどうか、 少なくとも“その話”は耳に届いていた。
熱にうなされた明乃進の額を一度撫でて、
そして、
ひたと見据えた、緋色の目。 眼差しの先には、記憶と重なる涼平の姿。 怪我らしい怪我も無い、自分の意志でここにいると見えた。 そこに感情は何も浮かばないままに、口を開く]
妹たちを、裏切ったのね。
[そう音にして、部屋の扉へと足を向けた]
(156) 2014/02/12(Wed) 21時半頃
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[>>138「まだ少し、生かしてるだけ」 零瑠のそんな言葉に露骨に顔をしかめ] ……あの野郎の命令か? だとしたら、随分悪趣味なこった。
[死ぬことすら出来なかったとは情けねぇ――そんな自嘲の言葉を零す]
(157) 2014/02/12(Wed) 21時半頃
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そう。望んで…か。 そう望む前に何を思っていたか俺は知らないからね。 何度もいうけど今ここで何かをする気はないんだよ。 アヤが望んで直円兄を狩ったとしても、さ。
うん。いるよ。 俺の一存で2人をどうかできる権限はない。 だから連れてきた零瑠と柊に言うといい。
──あの2人はまだ君たちを家族と思っているから。
[言外に、既に自分にとっても「家族」とは過去形であることを伝える]
零瑠と柊を返してとはいわないんだね。 真弓のことも。
(158) 2014/02/12(Wed) 21時半頃
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―現在・帝都の夜道― [道を歩く袴姿の女学生がひとり。 皮のブーツと足音と、紫衛門のひらりと揺れる。 雨もないのに傘を差し、さらり零れる黒髪は月の清か、 ガス灯りの薄明かりの下を歩いて――]
――……、
[足を止めた、 あの壁を越えるのはさすがに危険だろう。 ――偵察、といっても近づきすぎる。 けれど、見たいものは、きっとその先にあっただろうから。
キャロライナの口から出た“養成所”という言葉]
(159) 2014/02/12(Wed) 21時半頃
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[その庭を一目、見たいと思った。それだけだ]
(160) 2014/02/12(Wed) 21時半頃
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……で、結局、戦況はどうなった? みんな、生きているのか。
[答えを期待しないまま尋ねるのは、 自分が脱落した後の戦場のこと。 サミュエルたちは無事、撤退出来ただろうか。 それだけが気がかりだった。
――周が零瑠の虜となり、目覚めるまで既に三日が過ぎていた]
(161) 2014/02/12(Wed) 22時頃
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[絢矢は首を傾げた。]
返してもらう。 明ちゃんも、零お兄ちゃんも、お姉ちゃんも。
[リッキィも──。]
理依のことも、ボクは取り戻す。
ねぇ、どうやったら会えるかな。 みんなに。
周ちゃんと涼ちゃんを早く返してもらわなきゃ。 鬼に──される前に。
(162) 2014/02/12(Wed) 22時頃
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―城・自室―
……
[『そうだよ』だなんてリカルドの物真似をしたら白い目で見られてしまいそうだし、何よりすぐ近くに彼女が居たとしたら気まずい。なので、零瑠は大人しく黙っていた。>>151
手当ての言葉にこくと頷く。>>155 歯を噛み締める音に、眉を寄せる。]
悪趣味……。 なに、周。目覚めなければ良かった?
[手の力を緩めていく。>>157]
(163) 2014/02/12(Wed) 22時頃
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>>163
……どうだろうな。
勿論、死にたくはねえし、お前が俺を助けてくれたことは、 素直に嬉しいんだが――な。
[気を失う前、最後に見上げた紅い瞳。 零れ落ちる程の殺意を注いだのは、かの金色の鬼にかけられた呪い]
(164) 2014/02/12(Wed) 22時頃
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………周の知りたい『みんな』って、誰の、こと?
[守護部隊の、陸軍の。 そして吸血鬼の。死体の数は多い。]
直円、は……死んだ、よ。 殺された。形見のひとつも、ない……
(165) 2014/02/12(Wed) 22時頃
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[>>96 畑仕事をあまり手伝わせてもらえなくなったのは、 何時からだろう。冬をひとつ越えた季節のことだった気がする。
きっとそれもまた“さみしい”と思っていたのだ。
院に来てからは淋しいと思うことなどなかったのに、 それを思い出させたのはいつだって彼だった。 ―――思い出させるのはいつだって]
(166) 2014/02/12(Wed) 22時頃
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そう。取り戻せるのかな。
[自分達は一度人間を手放してしまった。 そして今に至るまでの経緯を思えば、 もうあの頃には戻れない]
どうすれば?……さぁ。どうすればいいんだろうね。 俺たちを鬼にした吸血鬼は2人いる。
だからこの2人を何とかしないといけないってことだと思うけど。
[ある程度の知識は書物から得ている。 けれどそれをそのまま伝えるのは きっと彼女らの死期を早めるだけだ]
(167) 2014/02/12(Wed) 22時頃
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――何、言ってやがる? 『みんな』って言やあ、俺たち仲間全部のことだろが。
[敵味方に分かれても、そう簡単に情は捨てられやしない]
直円が――死んだ。……そうか。
だが、形見もないって ……誰も、最期にあいつの傍にいてやれなかったのか?
[あの夜に引き裂かれた仲間の死を告げられて、胸の奥がしんと冷えた。 運命を弄ばれた挙句、独り死んでいったのなら それは、あまりに悲し過ぎたから]
(168) 2014/02/12(Wed) 22時頃
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− 城 −
[強襲から3日。 守護部隊や軍人たちはある程度立て直す目処が立っただろうか。 直円は失ったが、守護部隊の2人は未だ手の中にある]
さて、どの程度愉しませてくれるかな。
[直円の死は想定外と言えば想定外であった。 ホリーの祝福を受け、戦闘能力も頭脳戦も問題は無かった。 それが斃れた。 彼は諦めたのだろうか。 吸血鬼として生きる事を、嘗ての仲間を殺す事を。 彼が何を思ったかは兎も角、斃れたのは事実。 心揺るがさず、首を落した者がいたと言う事だ]
(169) 2014/02/12(Wed) 22時頃
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次は案外退かずに潰すまで続ける必要があるかもな。
[再会に心砕けず、突き進んだ者がいる。 大層憎んでくれている隊員達もいる。 今度は完全に潰すまでは退かぬ方が良いかも知れないと 1人窓の外を見つめ、思考に耽っていた]
(170) 2014/02/12(Wed) 22時半頃
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出来るよ。 直お兄ちゃんは帰って来た。 他のみんなも、いずれ。
[刈り取った命をして帰って来たと称す。 歯車は狂い出した。
もう戻れないのは──絢矢も同じ。]
二人──? 支配しているのは始祖吸血鬼だけじゃないの?
[尋ねながら、浮かぶのは漆黒の少女の貌。 直円は彼女に従っているようだった。]
もしかして、もう一人はホリー・ニルヴァーナ?
(171) 2014/02/12(Wed) 22時半頃
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仲間全部……は、ふふ。
周、らしい…。俺のことも、うん。 だから、
[だから周は此処に居るんだろう。 ばかな事を聞いたと項垂れる。]
敵方に、捕まったまま――って。
[嬉しいと思ってくれたことに小さく笑み、言葉の先があるのかと待つ。>>164]
(172) 2014/02/12(Wed) 22時半頃
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[屈辱的な撤退の後檜江隊長不在の穴を埋める話で揉めていた]
だから、私では向いていないだろうそう言うのは。 津久居とかいいだろう、下からも信頼が厚い。 それに若いのも育っている。
[それだけ言い残して会議の和から抜けだした。 その後、>>98サミュエルのことと言われて眉を寄せた]
聖水銀の追加だと? それをして彼を使い捨てる気か。
[本人の話次第だとは思うけれど、 簡単には了承はできる問題では無かった。 もう、手遅れな自分は棚の上にあげてしまって]
サミュエルが、この話を聞いてどう思うか次第。
(173) 2014/02/12(Wed) 22時半頃
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ジャニスは、サミュエルが探せばすぐに捕まる場所にいるだろう。
2014/02/12(Wed) 22時半頃
明之進は、アヤワスカが直円を手に掛けたなどとは想像できるはずもなく。
2014/02/12(Wed) 22時半頃
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― 深夜・屋上の柵に背をつけて ―
[部屋のキャロライナは、きっと心配してくれただろう。 でも、同時に放ってもくれてたと思う。
聖水銀の追加。 それは、もう、自殺行為にもほど近い。
けれど、そこまでの覚悟がなければ、 ホリー・ニルヴァーナは倒せない。 そして、周から託されたことも、 5年前、
マユミからみんなをお願い、と言われたことも]
(174) 2014/02/12(Wed) 22時半頃
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トルドヴィンは、アヤワスカの名前に見た事があっただろうかと孤児院を思い出した。
2014/02/12(Wed) 22時半頃
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……あぁ、涼平も、城の中に居るよ… どうして来たのかは、俺、知らないけれど。
[サミュエルが死んだ情報は手に入れてないと 告げ。リカルダも無事だと告げる。]
……ねぇ、周。おなか、空いてない? 俺。食べられるものを持ってくる、から。
[その前に。 夜桜に指先を伸ばし、桜花を撫でる。 紅の眸がいま求めるのは、ひとつだけ。]
(175) 2014/02/12(Wed) 22時半頃
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ああ、そうだ。
[>>172零瑠の言葉に頷く]
生きてる以上、俺は俺であることを曲げられねえ。 ――だから、さ。 [目が醒めない方がよかったのかもしれない。 鬼の虜となっても、決して戦いを諦めるつもりはなかったから]
(176) 2014/02/12(Wed) 22時半頃
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