197 獣ノ國
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昨日の朝には、これが扉に掛かっていました。 宛先も何も無くて……誰かに向けての物なのか。
[ふと、床に置いた鞄からチカチカとメールの着信を知らせるランプが目に入る。
"獣人"の掲示板に書かれていた内容が脳裏に浮かぶ。「追放」と「研究」の四文字。 そして、ルーカスの手を取った時の違和感。 机の上に出した端末を握りしめたまま、再び黙り込む。]
(86) 2014/10/09(Thu) 23時頃
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『今の君は、そういう恐ろしさがあるな』
[恐ろしさと言われれば、少しだけ心がゆらぐ。外に出たいという自分勝手なわがままを、そのために神隠しに近づこうとしていることを、この人はどう思うのか、と]
ねえ、先生
[少しだけスーツの裾を引き、二人だけにしか聞こえないようにしながら躊躇する口を開き]
...もし、私が、
(神隠しにあったら、先生は、探してくれる?)
[告げようとした言葉は、途中で途切れて心の中にしまいこむ。探させるための言葉なんて言いたく無いし、それ以上に彼が家族を奪われた経緯を思えば、傷つけてしまうことは明白で]
(87) 2014/10/09(Thu) 23時頃
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ごめんなさい、なんでもないわ (傷つけて、覚えていてもらおうなんて、なんて醜い) 指輪を選びましょ?
[自分を責める自分の声も見せないように微笑んで、ペアリングをみて。選ばれたのはホワイトゴールドのS字の指輪]
『メビウスの輪に似ているからね。 君の望みに応えるなら、これが一番良い。 』
[どこまでも続くメビウスの輪に例える言葉が何より嬉しくて こんなに優しい彼を傷つけることを考える自分の醜さがよく分かると内心呟いて。 思わず口から零れたのは、気が緩んでいたからだろうか]
永遠の指輪を共にはめていたら、離れても大丈夫ね ...綺麗
(88) 2014/10/09(Thu) 23時頃
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ー現在・自宅→外ー [はた、と目が覚めて。
…また寝てしまって居た。
熱い頭も少し戻った気がした。 ……本当に、気がしただけかも知れないが。
ゆっくりしすぎも落ち着かない。外に出よう。
其の時に携帯の通知に気づいて。 文面をを見乍ら外に出た。]
(89) 2014/10/09(Thu) 23時頃
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― 昼・大学構内カフェテリア ―
[所望するのが珈琲なら珈琲を頼むべきかと一瞬悩んだが、>>85 それきり黙り込んだ様子に、店員である職員へ声をかけて、 レモンティとホットチョコレートを注文する。
食指が働かないにせよ、カロリーを取らせた方がいいのではと 自身が飲むのは紅茶で、彼女の分が甘味である。
暫しあって注文した分が届いた頃合に 示された袋に視線を移し、開けてもいいかと尋ね。 中身を改めた後に、昨日の朝に見つけたと聞かば>>86]
朝に配達…か。
まるで君が来ることを分かっていて ドアノブに引っ掛けたみたいな話だな。
(90) 2014/10/09(Thu) 23時頃
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誰かに贈るものなら、コンビニにでも預けたらいい。 郵便局がやっていない時間でも、 24時間宅急便の配送受付はしてるだろう?
[朝に配達、今朝も伺った。 その意味は宛先人の住処を知らないものと解し。]
俺だから音信不通にしているのかも知らんがね。 何かと詮索好きな性分は見破られているし。
………ルーカスにおかしな点は無かったかい。
(91) 2014/10/09(Thu) 23時頃
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― 回想・昨晩の宝石店>>87>>88 ―
[スーツの裾を引く指に、どうかしたのかと視線を向けて。 内緒話でもするように小声で紡がれた言に耳を傾けるも、 窄んで消えてしまう儚さに、線香花火に似た其れを思う。]
じゃあ、此れに―――
[賛同を受ければ、そのまま指輪を出して貰おうと。 しかし、響きの違和感と、彼女が語っていた“夢”を思い出し、 空気を噛むのと同時、沈黙を。]
君は俺から離れるつもり、なんだな。 [裡を返せばそういう意味だと、悟るは易く。 いつかの話>>0:219を思い出し、口を開く。]
――、 飼い主の俺を置いて、 どこに行くつもりなんだ。
[留学支援ならしても構わないと思っていた。 けれど、まるで離れることが決まっているような言い回しは――]
(92) 2014/10/09(Thu) 23時半頃
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[店内の灯りを受けて輝く宝飾の飾られた指輪から スザンナの横顔へと視線を移し、彼女の指を握りこんだ。]
赦さないと言っても、聞かなかろうな。 ………君の半分は、ヒトだから。
[握りこむ手の力に、自然と圧が篭る。
彼女の人権と夢を尊重すべきなら、 見送ってやるべきと想像していても、 手放したら二度とかえってこないような、そんな気がして。]
(93) 2014/10/09(Thu) 23時半頃
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錠は、ヤニクという半狼は、どんな人物なのだろうか*
2014/10/09(Thu) 23時半頃
ヤニクは、錠というお馴染みさんが本屋に訪れていたようなことを思い出す。*
2014/10/09(Thu) 23時半頃
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―回想・自宅アパート―
[辿り着いたのはきっと、群青色の空が散らばっている頃だろうか。
シャワーを軽く済ませた後、おざなりに置いた端末が点滅していたことに気付く>>83
表示された名前はこのアパートに暮らしている隣人のもの。 目元を指の側面で擦り付ければすぐに返事を打ち込む。]
(94) 2014/10/09(Thu) 23時半頃
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―――――――――――――― 差出人:ヤニク 宛先:オスカー ―――――――――――――― Re:ふわふわの狼より 20xx年 10月4日 ―――――――――――――― それは楽しみだ そうそう、僕も素敵な人から赤ずきんをまた貰ってしまってね 流石にいただけないから返すけれど、少しの間お揃いだね
おや、覚えていてくれたのかい? なら気長に待っていようかな お婆さんの皮は…友人に却下されたから、猫か山羊の真似でもするよ
神隠しだなんてそれこそ御伽だね バイトか… まあ、都合が悪かったのかも …また会えるさ、きっと お疲れ様 そう言えば君、本好きなの?
…なら、お願いしようか 食べられないことを祈ってるよ ――――――――――――――
(95) 2014/10/09(Thu) 23時半頃
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"悪いオオカミがいなくなって、みんなはひと安心です。 (ああ、怖かったわ。これからは二度と道草をしないわ) 赤ずきんは、自分に言い聞かせたのでした。"
――Charles Perrault。
[読み進んだ物語。
お母さんの言いつけを守らずに道草をしたばかりにお婆さんと赤ずきんは狼に食べられたけど猟師に助けられて、赤ずきんはいいつけを守っていい子になりました。概要はこんなものだろう。
友人を探す前に彼が赤ずきんに拘ったこの物語を確かめたかった。 日差しが強くて額から汗が流れたかもしれないが、御伽噺に夢中になって友人が後ろを通った>>78ことには気がつかない。]
(96) 2014/10/09(Thu) 23時半頃
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[綴り終えれば一度端末を閉じる。時間を確認すれば、そろそろ眠りに就ている可能性もあったから。
だから、彼の元へとメールが届くのは、日付の変わった4日目以降だろう。]*
(97) 2014/10/09(Thu) 23時半頃
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すみません。アップルパイをお願いします。
[近場を通った店員に注文をしたアップルパイを頼み、作者と書かれた人物の名前を検索しようと携帯を手にした。掲示板はあれから更新はなく、"未読"のままの受信Box>>75>>76を見つけると親指をそこに合わせる。]
あいつ…メールくれてたのか。
[未読のままになっていたメールの送り主は友人だった。 "お婆さんの真似、練習していた"その一文に不覚にも笑みを零してしまうが返信をしようとした刹那――…]
(98) 2014/10/09(Thu) 23時半頃
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ガシャン
[周囲に響く陶器が割れた音。 振り返るとそこには割れた皿の周辺に落ちたアップルパイ。 店員が慌てた様にこちらへ来て、聞けば割れたアップルパイはこちらの物だと告げた。謝ってくる店員に「気にしないでください」と告げて、溜息を吐けば席に座る瞬間に見えたのは友人の姿>>77>>78。]
なんでお前…。
[目が合えばいつもの挨拶をして相席を申し出る。 こちらが探すと行ったのにこのような形になるのは遣る瀬無いが、 アップルパイが届けばもう一つの追加を店員に頼むだろう。]
(99) 2014/10/09(Thu) 23時半頃
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[先生の意見>>90>>91に、妙に納得してしまって袋の宛先の真実には気恥ずかしさに肩を竦めた。]
ルーカスさんは大体可笑しな人でしたよ、なんて……
[不発となった冗談の尻尾が切れて、気まずさに、届いたホットチョコレートに口を付ける。 ジワリ。甘さが舌先に染み込んだ。 机に置いたマグの中でさざ波立つ液体を、ただじっと見つめる。]
嘘みたいな話をします。 信用と疑心、半分半分で聞いてください。 ……先生は、獣人をご存知ですか?
身体に動物の特徴を持つ人の事です。探せば専用のネット掲示板もありますよ。 彼の手を掴んだ時に虫を触った時のような気持ちになった事がありました。 これは、あくまで私の主観だと思いますか?彼には嫌悪も、侮蔑のような感情も感じた事はありません。 …それとも、彼が本当に獣人だったとしたら……
(100) 2014/10/09(Thu) 23時半頃
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[掲示板で見た内容を反芻する。 文字だけの憶測よりも、現実を元に話しているという事実に穏やかに瞼を伏せた。]
彼は、物珍しさのせいで誰かの手で、何処かに連れ去られていてもおかしくない……のでしょうか? 誰にも、親しい人にも別れを告げる事なく……
(101) 2014/10/09(Thu) 23時半頃
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クラリッサは、錠のレモンティの香りが鼻腔を擽って肩を落とした。
2014/10/09(Thu) 23時半頃
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―――――――――――――― 宛先:おず 差出人:鼬 ―――――――――――――― Re:風邪… 20xx年10月3日 xx:yy ―――――――――――――― 明日か?大丈夫、空いて居る。分かった。本屋の方に向かう事にするな。
知ってしまえば此方の世界に、真っ黒な世界に巻き込まれるかも知れんぞ? 其れでも良いのなら教えるが。 ――――――――――――――
(102) 2014/10/10(Fri) 00時頃
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ー現在・大通りー
[…本当に、良いのだろうか? 彼が、巻き込まれてしまったらどう責任を取れば良いだろうか?
其れでも震える指は送信釦を押してしまう。
……巻き込まれることが無いと良いんだが。
重たく、何時もよりも少し熱い溜息を吐いた。]
(103) 2014/10/10(Fri) 00時頃
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座敷守 亀吉は、メモを貼った。
2014/10/10(Fri) 00時頃
錠は、クラリッサがホットチョコレートを消化してくれないと困ってしまう*
2014/10/10(Fri) 00時頃
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[ちゃぷりと、揺らいだのは葡萄柚。 紡がれる物語の一端>>96に硝子に映った顔は瞬きを忘れる。
思わず顔を逸らし、足早に席に着こうとした。 掠めるような声>>98が、男が彼強請った菓子を口にする。
腑に落ちないような何とも言えない顔を落ち着かせようと、つま先を差し出す。腰を押し付かせたのは結局そう離れていない二人座席。 グラスを傾けジュースを仰ごうとして]
(104) 2014/10/10(Fri) 00時頃
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ガシャン
[派手な音が獣耳を揺らす。
つられたように視線を向けた先では、林檎を焼き上げた甘い菓子が、陶器に混じって散らばっている>>99
シン、と時が泊まるのは一瞬。 すぐに店員が駆け寄る。その際耳にしたのは、そのアップルパイは友が頼んだ品らしい。
何やら店員とやり取りする様を眺めつつ、ようやっと一口喉に通した葡萄柚は、何処か苦く感じ得て。]
――退屈だったからね!
[舌に痺れる渋みを誤魔化すように笑みを。]
(105) 2014/10/10(Fri) 00時頃
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―回想/自宅前→大学への道―
大学があると、苦笑を漏らした彼女>>17には思わず僕も苦笑を漏らしました。「忘れてました」と頬を掻けば、彼女はどう反応したでしょうか。
だけど一応欠席をしたことのない僕はその記録を止めるわけにも行かず、結局彼女と共に大学へ行ったのだったか。
「…ねえ、まーちゃん」
そして気にかかるのは先ほどの彼女の様子。まるで嬉しそうにはにかみ笑う様はまるで「好い人」が出来た様だと、僕は思いました。「――彼氏、出来たんですか?」僕は恐る恐る尋ねました。別段悪いことを聞いているわけでもないのに、妙に下に出て卑屈になる心は一体何なのだろうか。 僕は商店街の景色を横目に、ただ彼女を見詰めていました。
胸に蟠るそれを、抱えたまま。
(106) 2014/10/10(Fri) 00時頃
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[潜伏かバレてしまえば開き直ったのか促されるまま、向かいに移動する。途中交わされたいつも通りの挨拶には男も片手を上げて閃かせる。
そうして間も無く一つのアップルパイの甘い匂いが男の鼻を掠めるのと同時に、友が頼んだ砂糖もミルクも無しの黒い液体>>69には、露骨に顔を顰めてみせて]
――…あ、炭酸。
[忘れ物に、目を見開かせた男の頭から頭巾>>23が落ちた。]
(107) 2014/10/10(Fri) 00時頃
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トレイルは、ヤニクの席に移動しようとしている
2014/10/10(Fri) 00時頃
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『飼い主の俺を置いて、 どこに行くつもりなんだ。』
[指を握って告げる飼い主が、まるで迷子の様だと思って、抱きしめてしまいたくなる それをしたら、きっとごまかしていると思われてしまうだろうけど』
『赦さないと言っても、聞かなかろうな。 ………君の半分は、ヒトだから』
...すごく、すごくずるいこと、言っていい?
[赦さないと言ってくれたことが嬉しくて、ヒトだと言ってくれることが幸せで、本当に、本心から、こんなわがままな娘に付き合わせてしまったことが申し訳ないと]
(それでも、もう離れられない。離れたくない。 ...心を、はなしたくない)
(108) 2014/10/10(Fri) 00時頃
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私を、奪って 全部、夢に手を伸ばしても届かない場所に わかってるの。私の自分勝手なわがままだってこと、痛いくらいわかってるわ ......獣人は、外に出られないって、言われた だったら、神隠しに賭けてしまえばいいなんて、バカなことを考えてる 神隠しに会って、外に出られても、先生が傷ついてしまうなら、それはすごく嫌なのに なのに、それでも子供がわがままを言うみたいに、外に出たいと思ってしまうから だから...私が、貴方を傷つける前に
私の全てを、貴方に鎖で繋ぎとめて
[情けなく歪んだ泣きそうな顔で、子供が泣きわめくかのように涙の流さない嗚咽をあげ、震える手で相手のスーツの袖を握りながら。 自分の所有権を受け渡すと、全部言う通りにするから責任を背負ってと、細い声で懇願して]
(109) 2014/10/10(Fri) 00時頃
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ティソは、シメオン(名も知らないマユミの後輩)が高校の頃時折彼女と共に居ることを思い出した。
2014/10/10(Fri) 00時頃
ティソは、シメオン(に話の続きを促した)
2014/10/10(Fri) 00時頃
オスカーは、ヤニクの新しい赤ずきんは一体どんな物だろうか、と。(促)
2014/10/10(Fri) 00時頃
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―現在―
さてどうしようかと、僕は考えあぐねていました。 結局一昨日も昨日も、晩ご飯にししゃもや蟹を食べることは無かった。蟹の殻をあげると言ったまま音信の途絶えたししゃも師匠こと、「蜘蛛の糸」さんは今頃どこに居るのだろう。僕は首を傾げ照り付ける太陽を見上げども、やはり答えは見付からずに疑問として残るだけ。
「…暑いなあ。」
「水槽家」の中で僕はぼうっと空を見上げ、呟く。珍しく本屋を訪れ様と思ったけれど、然し其処は閉まっていて。聞けば何やら本屋の店主が居ないらしい。バイトなら居るとは聞いたけれど、バイトでは詳しい本の場所は分からないだろうと、落胆したままに帰路へ着いたのだったか。
ああ、それにしても――別に何を求むるでもないけれど、ただ淡々と日々を過ごして居ると思う。
(110) 2014/10/10(Fri) 00時頃
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水槽は泡を吐き、いつでも何かを取り入れる準備をしている。 花は未だ瑞々しく咲き誇り、碧の中に一点彩りを付けた。 然し朝ご飯は、…ただ家に篭る僕は、変わらないまま。
「…よし。」
思い立ったが吉日とでも言うのだろうか。僕は帽子を被り、傘を持ち、サンダルを履き、玄関を開きました。 あて先など無いけれど―ただ外へ出たいから。自分の行く先を、自分で歩み行きたいから。 …泡になど、なりたくない。
そうして最近知った―けれども長く居座くことになった掲示板に、ひとつ、文章を落とした。**
(111) 2014/10/10(Fri) 00時頃
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― 昼・大学構内カフェテリア ―
おかしなヤツではあるがね。 少なくとも、メールの返事をすっぽかすような奴でも無い。 なんの事情も無い限りは、な。
[奇妙な人物ではあるが、真面目な男だと客観的に告げ。>>100 珈琲とは比較にならない甘い飲料はクラリッサの許へ。 苦味を調和する甘さを、与える術を持たない男は、 初めから甘い飲料を薦めるのだ。]
……ああ、知ってる。 此れでも一応、俗学に通ずる者だからな。
[それでも掲示板で騒がれている事に毛が生えた程度だろう。 相槌のみ落とし、後は口を挟まずクラリッサの見解を聞く。]
(112) 2014/10/10(Fri) 00時頃
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[虫を触ったような心地、と称する彼女の言葉に、 バッタに改造された仮面ライダーを一瞬思い過ぎらせたが、 あの心身共に飾った友人が跳ね回っているところを 思わず想像してしまったが、なんとまぁ出来の悪いコントだ]
……連れ去られる前に亡命に出たとも考えられる、かな。 此の國は厳しい戒律により、出國が難しい。 まぁ其れも、正規のルートを踏めば、の話だが。
あいつが若しも獣人の一種であり「虫」の姿を取れるなら、 國を抜けるのもそう難しいものでは無い気がするよ。 連れ去られたにしては、随分と余裕が或ると思うね。
(113) 2014/10/10(Fri) 00時頃
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[相席となった友人は苦味のある珈琲を見る度>>107に同じ表情をしてみせる。そんな友人に言う言葉はいつも決まって]
そんな顔をするな。慣れればうまいぞ?
[これだった。言った所で彼が飲んだこともないのだが。送られてきたメールの返信を怠ったことを謝罪しようと]
そういえば―…
[言いかけた所で友人がいつも被っている頭巾が落ちて髪の毛から覗かせる狼の様な耳が露わに。自分だけ、時が止まったかのようだった。目を瞬かせて驚いた表情を作るも口から出た言葉は冷静なとある台詞。]
"おばあさん。 おばあさんの耳は、ずいぶんと大きいのね"
[先程まで読んでいた御伽噺の台詞。落ちた頭巾に手を伸ばしては騒ぎが大きくなる前に友人の頭に戻した。]
狩人やお婆さんの役じゃなくてすまんな。
[そう言いながら。]
(114) 2014/10/10(Fri) 00時頃
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君に贈り物を残したり、俺の家のポストに本を返しに来たり。
それに奴の家の住人に声をかけたが、 憲兵が詰めたような形跡も無ければ 争いの声も聞こえなかったとも。
[レモンティで喉を潤し、ぽつりと告げる。 ――五十蔵と名乗る姓は叔父のもの。
否、戸籍標本を改めた結果、 叔父だと思っていた相手は叔父ではなく、
父親だと、母親だと、妹だと思っていた彼らは、 彼らは――]
(115) 2014/10/10(Fri) 00時頃
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