308 【R18】忙しい人のためのゾンビ村【RP村】
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[懺悔と希望を込めて。
そういえば、たくさん(じゃないけど)投稿したなぁ。 以前のわたしが知ったら驚くだろうな。なんて。
時間は巻き戻せないけど。 地獄になった世界に、幸せを願いたかった。 もし少しでも世界に幸せ成分が増えたら、パパとママにも会えるかもしれない。そんな奇跡を願ってもいいよね。
消えそうな意識の中で思い出すのは、 過ぎ去りし"日常"**]
(24) 2020/10/24(Sat) 19時頃
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[少し遅れているのだろうと、 まだそう思っていたころには SNSを眺めたり、町に住む他の住人に電話をかけたりして 情報を集めたりしていたけれど。 1日たち、2日経った頃には焦燥ばかりが募っていった。
何も食べる気がしない。 それでも体力は残しておかないと、と 無理やりにのどの奥へ押し込んだ 梅干しがはいったはずのおにぎりは、 何にも味がしなかった。
テレビはもう、何も映さなくなっていた。 どのチャンネルに変えてもノイズが走り、 耳障りな砂嵐ばかりが鼓膜を揺らす。]
(25) 2020/10/24(Sat) 19時半頃
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[まったく、生きた心地がしない。]
(26) 2020/10/24(Sat) 20時頃
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[美奈子の時は、病気だった。 だからある程度覚悟はできていた。 だけどさ、このまま息子たちに会えない、 なんてのはあんまりじゃないか?
あの、大切な人を失った時の、 とてつもない喪失感から 立ち直れたのは、あの子たちがいたからだ。]
『お客様のおかけになった電話は、 電波のないところにいらっしゃるか、 電源がはいっていないため……』
くっそ、なんででないんだ……!
[もう67(0..100)x1回ほど耳にした その機械的なメッセージに さらにイライラが増す。]
(27) 2020/10/24(Sat) 20時頃
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百姓 ワットは、メモを貼った。
2020/10/24(Sat) 20時頃
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[その頃。 グループLINEは騒然としていた。]
……マジだ……。
ここ、写ってんの……サダじゃねぇか!!
[ダチのひとり、ニシが見つけたネット画像のなかに、サダミツらしき人物……いや、ゾンビが写っていたのだ**]
(28) 2020/10/24(Sat) 20時半頃
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[前にゾンビが二階に入ってきたときは 僕が寝ぼけて壁を蹴ったりしたのが原因だろうと。 不必要に音さえ立てなければ、 奴らは中に入ろうとしてこないだろうと。
兄貴のその推測は当たっていた。 それから今まで、ゾンビは家に入ってきていない。]
(29) 2020/10/24(Sat) 21時頃
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……兄貴。もう、大丈夫だよ。 じっとしてれば……ゾンビは、来ないんだ。
[一階の居間の横の、両親の寝室。 そこにあるクローゼットの前で体育座りをして 目の前で鈍く光る銀色を見つめる。]
「えー、くん………… そ、か……よ、かっ た……」
[獣が唸るような音が混ざった兄貴の声が、 クローゼットの中から聞こえるのに、 僕は膝の間に顔をうずめた。
クローゼットは中から簡単に開かないよう、 外の二つの取手同士を紐で結んである。]
(30) 2020/10/24(Sat) 21時頃
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[兄貴が噛まれてから、五日。
兄貴は最初、僕に逃げるよう何度も頼んで、 僕が逃げないなら、自分を殺してくれと言った。
――まだ、ゾンビになるって決まった訳じゃない。 なってもいないのに、殺すなんてできるもんか。
僕は毎回、そう言って断った。 ワクチンの開発とかが間に合って ゾンビになった人も助かるかもしれないじゃないか。
その言い分が何の気休めにもならないのは、 僕自信がが一番よくわかってた。 だって。毎日、テレビをつけてみても、 ネットのニュースを漁ろうとしてみても。 ここ数日は何の情報も流れてこなくなっていたから。]
(31) 2020/10/24(Sat) 21時頃
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[対策を練る筈の政府や医療機関の人だって 今どうしているかの情報が、何も無いんだ。 今一番、リアルタイムの情報が流れてくるのはSNS。 それも悪い情報ばっかりで、 事態が良くなりそうな兆しは欠片も見当たらない。
両親だってもうゾンビになってしまったんだろう。 兄貴ももう、助からないんだろうか。 ゾンビになってから助かったという情報はない。 こんなんで、希望を持つことなんてできなくて。]
(32) 2020/10/24(Sat) 21時頃
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[そして、兄貴は僕に言った。]
「多分もう、俺には猶予がない。 今のうちに、手を縛って。閉じ込めてくれ。 俺……えーくんや、他の人達を、 食べたりなんて、したくないんだ。 だから、えーくん。こんなこと頼みたくない、けど 逃げないなら……俺のことを、]
……ゾンビに、なっちまったら、だからな。 まだ、ならないかもしれないじゃないか。 でも―――、兄貴。約束、するよ。
[閉じ込めるのは、僕へ考える時間をくれたからだ。 ゾンビになって暫くは、迷えるように。 逃げるか、……兄貴を、殺すか。それとも。
僕は全部わかってた。もう避けられないことだって。 わかってて、兄貴を閉じ込めた。 けれどまだ僕は、どうするか何も決められてなかった。]
(33) 2020/10/24(Sat) 21時頃
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[クローゼットに背を預けたまま、話す。]
なぁ、兄貴。
「な、に……えーくん、」
兄貴は……心残りとか、悔いって、ない? 僕は……後悔ばかりだよ。
「……あるけど、さぁ………… でも、俺は、最後、 えーくんの声聞けて、良かった。 あぁ……そうだ。この後のこと、かな、 俺の分まで、えーくんに生きて、ほし、、 ……げほっ!!ごほ、っ……!!」
[ぜぇぜぇと、背中の下の方から蒸せる声。 クローゼットを開けようとして立ち上がりかけ、 "殺さないなら何があっても開けるな" 兄貴の言葉を思い出し、その場にまた座り込んだ。]
(34) 2020/10/24(Sat) 21時半頃
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[背中からは、辛そうな息遣いに、笑い声。 僕がしたことは筒抜けだったんだろう。 その後また、咳き込む声と唸り声が続いて、]
僕は、……兄貴だけだったんだ。 兄貴が居なくなったら、僕、
[背中から聞こえてくるのは呻き声ばかりになった。]
(35) 2020/10/24(Sat) 21時半頃
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[……ポケットで、震える感触がする。 SNSの通知だろうかと、スマホを取り出し。] [通話相手の名前を見て。嘘だ、と思った。]
―――父さん…?
[酷い雑音の中で。発砲音や、呻き声がする。 その中でも近くで聞こえる、荒い息遣い。]
『……エニシ。良かった、無事だな。 ヨスガも、無事か。』
[父親と話したのは、本当に久しぶりだった。 間違いない。本人だ。でも……なんで、"僕"に。]
(36) 2020/10/24(Sat) 21時半頃
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[こみ上げてきた涙を堪えて 数秒の悩む間を置いてから、震える声で答える。]
大丈夫。僕も、兄貴も、無事だよ。 ……母さんは?
『そうか。……良かった。 母さんは…………無事だ。』
[心配するな、とその後に続いたけれど 僕は、気づいていた。 僕が答えるまでの間と、父親が言い淀んだ間。 その意味が、殆ど同じものだってことに。 父親も気づいていたに違いないのに、 そのことに触れてこなかったのは、優しさなんだろうか。]
(37) 2020/10/24(Sat) 21時半頃
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『やっと電波が入るところにこれたんだが ヨスガに電話する暇は、もう無さそうだ。』
[ (え、…………) 言葉を、失った。 兄貴に電話してから、僕に電話したんじゃないのか。 僕は大学に入ってから学部に馴染めなくて、 苛めにもあった挙句不登校の引きこもりになって。
たまに家で顔を合わせても父親は僕には文句ばかり。 僕も食卓で父親と会っても一言も会話せずに 二階に上がることが殆どだったっていうのに。]
(38) 2020/10/24(Sat) 22時頃
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『……最後に、お前に言わせてくれ。』
[最後って何だよ。 僕は父さんに、まだ聞きたいことが、]
『俺も、母さんも。 お前のことを本当に大事に想ってた。 ヨスガだって、お前が居ないところで あいつは自慢の弟だって、いつも言ってた。 だから―――お前は、胸を張って、生きるんだ。』
待、っ…………!!!
[プツッ……ツー……ツー……ツー……]
(39) 2020/10/24(Sat) 22時頃
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――――パリーン!ガッシャン!!
(40) 2020/10/24(Sat) 22時頃
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[けたたましい音があたりに響いた。
3階の事務所の窓を体当たりで蹴破り そのまま路上へと転がり落ちる。
衝撃。胃が浮く嫌な感触。落下。
素人が香港映画のスターのように 受け身を取れるはずがない。 男は無様に肩を強打し、血反吐を吐いた]
(41) 2020/10/24(Sat) 22時頃
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ち、くしょう。 死んで……たまるか、よぉ。
[落下の衝撃で、眼鏡のレンズが割れた。 よく前が見えない。
ぼやけた視界の中で、 コンクリートジャングルを歩き出す。
強打した全身が痛かった。 刺さった硝子の破片が痛かった。 痛くて、痛くて、ぐずぐずに涙が溢れた]
(42) 2020/10/24(Sat) 22時頃
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なんで、こんな目に。 ちくしょう。ちくしょう。ちくしょう。
[情けなかった。 あんなに必死になって金を稼いでいたというのに。 結局のところ、金なんて何の意味も為さない]
(43) 2020/10/24(Sat) 22時頃
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(オレは今まで、何をしてきたんだろう)
(44) 2020/10/24(Sat) 22時頃
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[嗚咽した。 泣きながら走って、無様に転んで、立ち上がって。 無人のコンビニにやっとのことで辿り着いた。
眼鏡のレンズには蜘蛛の巣状の罅が入り、 無精髭は伸び放題。スーツはボロボロだ。
消費期限なんてとっくに過ぎた、 腐りかけのパンを齧る。 何日ぶりの、ちゃんとした食事だろう]
(45) 2020/10/24(Sat) 22時頃
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……おいしい。
[乞食のように、貪る。 子供のように泣きじゃくりながら、 ただパンを齧り続けた]*
(46) 2020/10/24(Sat) 22時頃
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[ ] [ ]
[電話が切れてから、どれだけ経ったのか。 僕は呆然と、画面がついたままのスマホを見ていた。
打開策を調べる気力ももう起きなくなっていて ここ数日、SNSを見る頻度は落ちていたけれど。 それでも、数日間充電をしていないスマホの電池は 後数%だと表示されている。
かりかりと、ドアを齧るような音を背にしながら いつもスマホを持ったらするように、 僕は無意識に、SNSを開く。]
(47) 2020/10/24(Sat) 22時頃
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[本当は、兄貴に噛まれてしまうのもいいと思ってた。 兄貴を殺す勇気なんてないし、 一人で生きていく自信もないから。 約束までした頼みを聞けないのは悪いけれど、 僕は、臆病で何もできないやつなんだと、思ってた。
でも。これが最後かもしれないっていうなら 託された想いに応えるのもいいかもしれない。 だって、今頑張らなかったら、もう。 僕は本当に、兄貴のただのお荷物になってしまう。
僕は生きていていいのかと そう思っていたのは間違いだった。 兄貴と、両親の言葉を、思い出す。]
(48) 2020/10/24(Sat) 22時半頃
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[生きていていいか、じゃない。 がむしゃらに、生きないといけないんだ。
僕の大好きな兄貴の分まで。 父さんと、母さんの分まで。]*
(49) 2020/10/24(Sat) 22時半頃
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[健司たちを迎えに行くべきかとも思ったが、 今どこにいるかわからず、行き違いになる 可能性がある以上、家で待っていることしか できなかった。]
くそ……、
[毎朝毎朝、仏壇の前に座って、 美奈子にあの子たちを守ってくれと祈った。
いや、あの子たちだけでなく、 俺の家族の健康を願ってくれた 心優しい少女やその家族も。 SNSを始めてほんの数日だが、 何かの縁で繋がって、知り合った人々が、 みんな無事で過ごしているといいと。]
(50) 2020/10/24(Sat) 22時半頃
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[いくら情報が遅いとはいっても 世界がもう日常からかけ離れた場所に なってしまっていることは、 町中の人が理解していた。
八重ばあさんの家や沼太郎の家、 他にも応援にいった人々の家の方面には 行かないようにと通達が回ってきた。 親戚の子どものうちの一人が、既に感染していたのだと。
ああ、やっぱり。
その知らせを聞いた時に、 俺は間違っちゃいなかったんだと思った。 思わずにはいられなかった。 見殺しにしたのと同じようなものだと、 わかってはいても。]
(51) 2020/10/24(Sat) 22時半頃
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[町長からの連絡だったが、 田舎だから、家と家との間には 数百mの距離がある。 そっち方面にさえ行かなければ、 いきなり襲われることはないはずだ、との考えらしい。
戸締りをしっかりして、家の外には でないようにと、ニュースと同じような 注意もされたけれど、 それでも毎日畑にいき、圃場管理はしていた。 毎日山ほど収穫しては出荷していた野菜たちが、 収穫しない分は少しずつ痛んでいったが、仕方ない。
7日目には、ごっそりと、 一部の区画の野菜がなくなっていた。]
(52) 2020/10/24(Sat) 22時半頃
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[猪よけの柵はしているが、 触れてもわずかにビリっとくるだけのものだ。 畑の敷地に鍵なんてかけるわけもないから 人の出入りは止められるもんじゃない。]
……食うもんがなかったんだろうな。
[実際、SNSの向こう側でも、 そんな言葉があふれている。 見も知らぬ人たちだが、 この野菜たちを届けられたらどんなにいいか。
健司たちが来ても困らないだけの食料は すでに収穫して、 保存がきくように加工もし始めている。
このまま畑で腐っていくよりはずっといいかと、 いくらか収穫して、青いゲージにいれ 畑の前の道路の隅に置いておいた。]
(53) 2020/10/24(Sat) 22時半頃
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