162 絶望と後悔と懺悔と
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[零瑠が周の名を呼ぶ声は涙に濡れていた。 首筋に立てられる牙。 流れ出す血と共に、生命そのものを奪われる感触は、 おぞましいものの筈なのに、どこか甘美なものを内に秘めて]
これ、が おまえの いたみ、……なんだ、な。 [言葉を紡ごうとしても。僅かに唇の端が引き攣るように歪むだけ。体が担ぎ上げられる感覚>>261 やがて、意識は暗闇に*溶けていった*]
(267) 2014/02/11(Tue) 02時半頃
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[初めまして―直円の顔をした男が赤い瞳でそうつぶやいた>>168>>173]
なに言ってるの? にいにその子だれ? ほら、まどかだよ
[ホリー様と呼ばれる少女と直円を交互に見つめた。>>173 明らかに二人はこちらの敵意をみせているのだけど体は底から冷えついたように動けないでいた]
(268) 2014/02/11(Tue) 02時半頃
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[リカルダは何を怯えていたのだろう。 触れた小さな手に、囁いた言葉は――]
……だいじょうぶ、 敵は殺してあげるから。
[歪んだ唇は――微笑まない。 ただそんな言葉を紡いでた。
鮮やかな色が間近にある、 何の色だろう、覚えのある色だ。 夕暮れ時の色ガラス、シチューの中の彩り、 ―――あの日の家]
(269) 2014/02/11(Tue) 02時半頃
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[両腕に装着した禍々しい鈎爪 赤くらんらんと光る瞳はまさしく鬼のものだ]
にぃに…なにいってんだよ。 ずっと待ってたんだよ
[きゅっと傷ついたように唇をかんだ>>176]
(270) 2014/02/11(Tue) 02時半頃
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[目の前の敵。 爪先が掠った傷口から、血が滲む。 これだけで済んだのは日頃の鍛錬のおかげだろう。 周との稽古のおかげ、と。息を吐いて。
気を抜いていた心算はない。 ただ、今までの敵よりも早い動きに少し反応が遅れた。
足を狙い沈んだ敵の顔>>266が、ちらりと見えて。]
……え?
[零れる、間の抜けた声。]
(271) 2014/02/11(Tue) 03時頃
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[5年前のあの日から、探していた一人。 大事な家族の、一人。]
まゆ、み……?
[想像していた、彼女の姿よりも僅か幼い顔ではあったが。 しかし見間違うはずもない。
やっと会えたと思う心がここにあった。 まさか、と思う心がそこにあった。
武器を向けていた手が、緩む。 それは、油断とは違う、戸惑いと混乱の証拠。]
(272) 2014/02/11(Tue) 03時頃
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[全員散れ――絢矢の声が戦場に響く>>178
しびれたように動かなかった四肢が その声に反応して一歩後方に飛跳ねると臨戦態勢を取った。その一瞬の間に何人もの機動隊が傷ついていくのが横目に見えた。]
あいつ、くっそつよい女だな
[軽やかに刀を振るうホリーをきっと見上げる。 気づかないうちにしっとりと汗に濡れた両手で もう一度双刀をしっかと掴み直すと。祈祷台の仲間を助けるために戦いの中へ飛び込もうとした瞬間。
絢矢の言葉にひゅっと息を止めた>>190]
…絢矢
(273) 2014/02/11(Tue) 03時頃
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[>>271 緊張の緩んだ声、――隙だらけだ。
潜り抜けるように身を寄せた、 容赦なく銀の爪撃を重ねて、
引き結ばれたままの唇が動く。首がゆるりと傾く。 なにか聞こえた、なんだったのか]
……ああ、
[>>272 場違いにも自分の名前だった、それを理解した。この場に自分の名を呼ぶ者があるのをおかしいと考える、けれど]
(274) 2014/02/11(Tue) 03時頃
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[おかしいけれど、 今、目の前にいるのは――]
でも、あなた、吸血鬼を殺すのよね。
[感情の剥離した声で、 その尖った先端を、突きつける]
(275) 2014/02/11(Tue) 03時半頃
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………、てき……。
[真弓ねーさんがこんな顔してるってことは。間違いなく敵がそこにいるんだ。>>269
敵とはすなわち、“僕ら”に刃向う者。 “僕ら”とはすなわち――5年前、鳥籠のような世界に放り込まれて、吸血鬼になった“家族”のこと。
だから、だから―――]
(276) 2014/02/11(Tue) 03時半頃
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え……?
[敵の動きが、鈍る。>>272 気付いたんだ。さっき戸惑いながら真弓ねーさんの名前を呼んでたし]
覚えてて、くれたんだ、 …キャロライナにーさん。
[忘れられてた方がどれほどよかったんだろうね。 違う、僕は心のどこかで、忘れられててほしいって願ってたんだ。 その方が傷つかないで済むんだから。 “始祖様”や“お姉様”に服従しながら、今の“家族”のことしか信じなくなってる僕のことを。
姿かたちは変わらない。 たった一つ変わった部分を隠すように選んだ帽子の色は、 塗り替えられる前の眼の色と同じ、朽葉色]
(277) 2014/02/11(Tue) 03時半頃
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落胤 明之進は、メモを貼った。
2014/02/11(Tue) 03時半頃
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[直円を任せる そう先に口にすると、絢矢はその名の如く まっすぐに混戦の中へと飛び出していく]
いっつもみんな、 そうやって
[憎々しげにちっと舌打つ そして一瞬のすきに見失った直円の姿を捜した]
(278) 2014/02/11(Tue) 03時半頃
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あっ!
[ホリーと直円の二人に囲まれる絢矢 いつも ――わたしは遅い このままでは誰も助けられはしない 躊躇いを振り切るように首を振るよ 絢矢の死角を守るように傍につく]
(279) 2014/02/11(Tue) 03時半頃
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[崩れ落ちる身体を咄嗟に抱き抱える。 思わず名前を呼んでしまいそうになるのを必死に我慢して、少しだけ乱暴に明の身体を地面へと。]
…………余計な手出しすんな、お前は周の援護に。 こいつは、俺がやる。
[そう睨み付ければ女は狼狽えながらも他の仲間も連れ去っていった。]
……明、大人しくしててくれない? 悪いようには、しねぇから。
[吸血鬼を見下ろす白。 周りにはきっととどめを刺す寸前に見えただろう。 けれど、涼平には見逃してやることも、傷つけることも出来ずに下手くそな笑みを浮かべるので精一杯だった。*]
(280) 2014/02/11(Tue) 03時半頃
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[武器を向ける相手は、「敵」だ。 でも、真弓は家族だ。「敵」ではない。
敵ではないのに。 なのに、どうして彼女>>274は攻撃してくるのだろう?]
……なん、で、だよ。お前、は。まゆみ、だろ?
[甘い、と言われたことがある。 言われてから、甘さを捨てようと思ったけれど、できなくて。
それが、こんなところで出てしまうなんて。]
(281) 2014/02/11(Tue) 03時半頃
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[容赦なく繰り出される銀の爪。 一撃、辛うじて避ける。早い。気を抜いたら致命傷を負うだろう。]
俺は!家族は殺さない! 家族は、
[叫ぶように、感情のない声>>275に答える。 それは、自ら弱点を晒すようなもの。
本人ではないかもしれない。 ただ偶然、似ているだけの「敵」なのかもしれない。
しかし、それでも攻撃できずにいる。 武器を取り落とさないだけましだ。]
(282) 2014/02/11(Tue) 03時半頃
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[>>281 問いかけに肯定の言葉は無い。 >>282 言葉が矛盾であると考えるのは、 家族であることを肯定してるか、でもそう。 ならば、その武器は何のためにあるのか]
あなたの武器は、 吸血鬼を殺すものでしょう?
わたしや、――リカルダを。
[そして一度リカルダを振り返ったのは、 >>277 声が聞こえたからだった]
(283) 2014/02/11(Tue) 04時頃
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[――もっとも、振り返っただけで、 再び前に“敵”があるのであれば、刃を向けるだけ]
――……
[>>210 もらった白い折り紙の百合の花束、 嬉しくてみんなにも見えるように飾っていたら、 きれいだと触ろうとして、絵の具のついた手でぐしゃりと潰してしまって泣いたのは、ネルだった。
つぶれた百合は一緒に折りなおしたけれど、 赤く汚れた花びらは、塗りなおしても違う色。 ――元の綺麗な白に戻すことなんて出来なかった*]
(284) 2014/02/11(Tue) 04時頃
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[たまたま、「敵」が真弓と似ている顔だった。 そう思おうとしたのに、見てしまった。 後ろにいる、もう一つの影。
何故確認してしまったのだろう。 しなければ、気付かないで済んだ。
気付かなければ、良かった。 気付いてしまった。]
リッキィ……。
[懐かしい姿>>277。 あの時追いかけられなかった、彼女の姿。]
(285) 2014/02/11(Tue) 04時半頃
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[たまたま。 たまたま、真弓やリカルダと似た敵がいるのだと。 そう思いこもうとした。 偶然だと。
――そんな偶然など、ありえないと分かっているのに。
彼女が告げた名前>>283に、言葉はなくとも肯定の意味だと知る。]
(286) 2014/02/11(Tue) 04時半頃
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直円にぃ…
[ホリーという少女の前に這いつくばり、媚びへつらう兄の姿 見たくない目をそらしたい
――だけど
直円のすることだから何か意味があるだと 犬だ 虫だと自分を貶める言葉を連ねる兄の姿をじっと見つめて
―哀しくなる]
(287) 2014/02/11(Tue) 04時半頃
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しゃばっ つまんねぇ女王様ごっこかよ
[綽綽然とほほ笑む姿>>222 行き所のない怒りに ペッと地に唾を吐いた]
(288) 2014/02/11(Tue) 05時頃
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難しい本ばっかりよんでたから そんな変な趣味に引っかかるんだよ
だけどね、私も―しっているよ。 わたしも あの時床をなめるほど這いつくばってた 大きな恐怖の前に力をなくし震えていたよ。 だけどね…あれからがんばって力を付けたんだ
兄ちゃんたちの仇打ちする為に
(289) 2014/02/11(Tue) 05時頃
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なんでだよ。なんでだよぉぉぉぉ!!!!!
[叫ぶ声は悲鳴だ。
吸血鬼を殺す。
そう。 殺すことを使命としてこの白い軍服を着ている。 でもそれは、家族を取り戻す為に、だ。
吸血鬼は殺すべき対象。 家族は守るべき、取り戻すべき対象。
家族を取り戻す為に、辛い訓練をした。 あの試練を乗り越えた。]
(290) 2014/02/11(Tue) 05時頃
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[では家族が吸血鬼になっていたら?
考えたくなくて、考えたこともなかった。 だから甘いと言われるのだろうけれど。]
皆、探してたんだ、よ。 サミュエルも、周も、円も……皆、皆、探してた。
[呟く声には力はない。]
(291) 2014/02/11(Tue) 05時頃
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俺、は。 家族を殺さない、って、言った、だろ。
……俺、は。 お前らと、家族だって、
[思っているのに。 何故、そんなことを言うのだろう。]
(292) 2014/02/11(Tue) 05時頃
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死んじゃってたと思ってた だけどこうやって会えたから
[一瞬の赤の揺らぎ 静まる狂気 震える鈎爪
――ほら、やっぱり兄は変わらない]
帰ろう、またみんな一緒に!
殺るのならこいつだろ!
[相対する直円と絢矢に声をかけて、 二つの刀をクロスに持ち体を回転させながら ホリーへ向かい飛び掛かっていった**]
(293) 2014/02/11(Tue) 05時頃
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[ずっと探していた。 会えれば、また一緒に暮らせると思っていた。 なのにどうしてなんだろう。
見た目は変わっても、そんなことは関係ないと思っていた。 なのにどうしてなんだろう。
渡せなかった贈り物。 手当てのお礼の髪飾り。 渡せると思っていたのに。 なのにどうしてなんだろう。
また今年も人参が入った蒸しパンを作ろうって相談していた。 色は好きだと言っていたリカルダも、きっと食べてくれると思っていた。 なのに。
その場から離れることもできず、武器も構えることもできないまま、そこに立ち尽くしていた。**]
(294) 2014/02/11(Tue) 05時半頃
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っぐ、あ……ぁ
[歯を噛み締めて、呻く。 こんな焼かれるように熱を持って痛む傷はもう、 何年も味わった事がないものだった。 ――守護隊の武器は、吸血鬼への毒を持つ。
抱き止められた手の頼もしさは一瞬で、すぐに地面へ。 ――そこで、信じられない声を、聞いた>>280]
(295) 2014/02/11(Tue) 09時頃
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それで良いわ、ならそちらは任せようかしら。
[相変わらず、奇妙な体勢>>233だがこれはこれで面白い。 そして、狂気に囚われた振りを止めた彼に笑みを見せた。
そして、絢矢の言葉>>244にもこの場にはそぐわないような声をかけていた。]
敵ながら良い覚悟ね、その年で見事だわ。
[サミュエルと違って、5年前を知っているわけでは無い。 だが、かつての兄にここまでの覚悟を持って相対する精神力は正直に賞賛した。]
(296) 2014/02/11(Tue) 09時半頃
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