162 絶望と後悔と懺悔と
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落胤 明之進は、メモを貼った。
2014/02/09(Sun) 02時頃
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な、何故そんなに笑う。
[>>265思わぬ反応に、動揺した]
それなら、ええと。嬉しい。
姉に、私はまた姉になれるだろうか。
[姉と同い年の安吾、弟と同じ年になる子供達もいる。 あの時失ったものをまだどこかで求めている そんな弱さはほかの誰にも見せることはできないまま]
期待に答えて吸血鬼を殲滅できるよう、尽力しよう。 そのために厳しくするのも厭わない。
[突き出された拳に、拳を重ね合わせた。 姉というよりは、鬼教官になる可能性の方が強い]
(266) 2014/02/09(Sun) 02時頃
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[直前まで笑っていても、相談となれば真剣そのもの。]
…わからない。 わかんねぇんだ、どっちが良かったのか。
[やはり物の見えている友人の言葉は自分とは違っていて。>>261 逆に問われて狼狽える。]
知らなかったからこそ、アレと対峙しても冷静でいられた。 …でも。同時に、知りたかったとも、思う。
[決意を秘めた子どもらの眸を思い出して。 これを伝えても、彼らの気持ちは変わらないだろうとは思いつつ。]
(267) 2014/02/09(Sun) 02時頃
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[周たちのように、「外」で喧嘩していたわけではない。 本気で殴り合いをしたことも殆どなかった。
喧嘩をしても、所詮子ども同士。 手が出てしまうこともあったが、怪我をさせたことも稀だった。 喧嘩をするよりも、一緒に遊ぶことの方が楽しくて。
ぼんやりと見ているだけだった明之進>>195が、一緒に遊ぶようになった時は嬉しかったのを覚えている。 それが、一緒に買い物に行った時のことがきっかけになっていたとは、覚えていなかったけれど。 皆と一緒に過ごして、遊んで、眠るのが。 どんなに幸せなことだったか、今ではよく分かる。]
(268) 2014/02/09(Sun) 02時頃
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――じゃあ。もう少し。 もう少しだけ、待ちたい。今すぐでなく。
俺も、それまでに考えたい。どちらが彼らのためになるのか。
[守護隊員として、成長していく過程で。 それは自然と明るみに出ることだろうから、その時まで。
正しい答えは見えていたはずなのに、結論を先延ばしにしようとした自分を、ジャニスは叱咤するだろうか。 反対にあえば、自分の軟弱さや愚かさを呪いながら、それに従おうとするだろう。
…傷はまだ、癒えていない。 冷静に向き合えない自分に気付かされてしまった。]*
(269) 2014/02/09(Sun) 02時頃
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―事件後の孤児院にて―
[キャロライナと、同行を望む者がいればその子らと共に、 すっかり焼け落ちて様相の変化した孤児院を訪れる。 ゆっくりと、施設の周囲を正面から裏手へ、ぐるりと一周。]
「国は僕たちを護ってくれますよね?」 「…安全を保障してくれますよね?」 「…ねぇ、ねぇねぇ?!」>>0:404
[大丈夫だ、護ってやる。と、狼狽する直円の背を叩いたのはこの辺りだったか。 あの後、この正面玄関では、ジャニスと檜江隊長、始祖らが対峙していたという。]
(270) 2014/02/09(Sun) 02時頃
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[あの時、傍をすり抜けようとした円を制止していれば、>>0:426 咄嗟にその耳を塞いでやれたなら、どんなに良かっただろう。>>0:429
扉から離れることもできずにただ震えるあの子>>0:435を置いて、自分は外へと飛び出したのだ。 ジャニスも、傍にいてやれと言ってくれたのに>>0:415。
反射的に駆けていってしまったから、ジャニスから話を聞くまで知らなかった。
あの後、自分が閉めた扉の傍に、まだ円が動けずにいたこと。 それを蹴破って”始祖”が現れたこと。>>0:449>>0:454 外からの通報を受けて隊長がその場に駆け付けたことも>>0:@6。]
(271) 2014/02/09(Sun) 02時頃
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―回想・襲撃のあった日―
[駆ける。元凶は外にいる。 少しでも早く対処しようと玄関から飛び出せば、思っていたより多くの吸血鬼に囲まれていて。
苗刀を抜刀しつつ、咄嗟に飛び出してきた”雑魚”を斬り捨てた。 斬ることに最早抵抗はない。…柄を握れば、冷徹さが顔を覗かせる。
次々と襲い来る敵を薙いでいれば、屋根に油を撒いて逃げる集団を見つけ、>>0:443>>0:449]
…待て!やめろ!
[制止したところで、彼らが止めるはずがない。 ――絶対外には出るな、と。>>0:409 安吾の言葉を信じた子らが、中に留まっているのならば、]
くっそ、この…!
おい、誰か手伝ってくれ! 中にまだ子ども達がいるんだ!
(272) 2014/02/09(Sun) 02時頃
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[周囲の隊員を引き連れ、施設内へ戻ろうと。
斬りながら移動したため、今は裏口の方が近い。 勝手口を蹴破って中へと踏み込むと、そこには既に吸血鬼の影。>>39
幼子を腕に抱いたまま、斬り裂かれる明之進の姿が、そこにあった。>>54]
明…!
[…咄嗟に理解する。彼を助けている暇はない。>>72 近くで呆然とする子らを引き連れて逃げようとするも、その場に留まり厭々と首を振り続ける絢矢に困って、無理矢理リカルダと繋いでいた手を引き離す。>>64
自ら絢矢を脇に抱えて>>79、リカルダを隣の隊員に預け。 涼平の手を引き駆け出すも、振り向けばその隊員とリカルダは吸血鬼の手に落ちていた。>>92
他の吸血鬼に押され、こちらの隊員も既に多くの死者を出していて。 苦渋の決断――踏みつけられ、絢矢の名を叫ぶリカルダに>>91、]
リッキィ!必ず戻る…!待ってろ!
(273) 2014/02/09(Sun) 02時頃
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[聞こえたかどうかは、わからない。 一声叫んで背を向け、絢矢と涼平だけでも救おうと。
強く手を引けば、抵抗するように暴れる涼平。 こちらの方が力があるとはいえ、13の男子相手では少々辛い。 咄嗟に手刀を落とし>>81、肩に担ぎあげて走る。
途中で襲われ、庇いきれずに右腕を大きく負傷するも、 どうにか勝手口から転がり出たのだった。]
[外で待機していた救護班に二人を託して、ようやく中へと戻るも。 既に明之進、リカルダの姿はそこにはなく――
そして。 たしかに勝手口を通ったはずなのに、 そこで気絶した零瑠>>22と、許しを乞い続けた直円>>26に会うことはなかった。
…当時の自分は、知るはずもなかった。彼らがとっくに攫われていたなどとは。]*
(274) 2014/02/09(Sun) 02時頃
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『とうさま、どうしても──お外へゆくの?』
[童女が四歳になって間もなく、 『父』は急に屋敷を出ると言い出して、 童女と、使用人達を驚かせた。
座敷で出立の支度を整える父の背に、 童女が投げた問い。
父は答えた。]
『待っておいで。 あや、お前に兄を連れて来てやる』
[童女は不安げに菫色を揺らし、 しかし何処かしら期待の篭った眼差しで、 一振りの刀を携えて屋敷を出てゆく父の背を見送った。
そして──。 それきり二度と、父が屋敷に戻って来ることはなかった。*]
(275) 2014/02/09(Sun) 02時頃
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『お前のせいね──あや』
[父が旅立ってひと月あまりが経った頃、 戻らぬ父を待って母と庭を眺める童女に、母が言った。
紅の引かれた美しい朱唇から、 零れ落ちる言の葉は毒花のように芳しく、 童女の髪を梳る母の細い指先が柔肌に甘く爪を立てても、 童女は小さく──痛いよかあさま、と溢すのみで、 その行いに、何らの疑心も芽生えることはなかった。
───母が屋敷から姿を消したのは、その数日後。
それから季節を三つ跨いだ春の夜。 母は、父の首を携えて屋敷へと帰る。
その日まで、 童女は二人の親がいっぺんに離れて行ってしまった悲しみに 泣き濡れて過ごす日々を送ることになる。*]
(276) 2014/02/09(Sun) 02時頃
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そう、だろうね。
[でなければ安吾は包み隠さず子供たちに伝えてしまう、 そんな予感さえあって]
私にも、どちらが良いかわからない。 子供達全てに、言うのではなく性格を見て 伝える伝え無いを決めても良いかもしれないが。
徹底出来るかどうかはともかく、 いずれは知ることだ。
安吾が言わないというのであれば、私は黙ろう。 しかし彼らが聞きに来るのならばそれは、 話してしまおうと思う。良いかな?
[その事に気づくものがいれば、だけど]
(277) 2014/02/09(Sun) 02時頃
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―むかしのおはなし―
[――もしかして私も喧嘩を売られるのかな?
>>234 彼が自分の顔をまじまじと見た時に、 そう思ったのは、>>131気絶してた彼を交代で看病したからだ。 どっちが見ている時に目が覚めるかな、なんて話してた相手は誰だったか。結果、彼の目覚めを見ることは無かったけど、彼がどうしてこうなったかその経緯はもちろん聞いていた。
看病の間、寝顔を見ていたせいか、 その少しきつい眼差しもあまり怖いと思わなかった]
(278) 2014/02/09(Sun) 02時半頃
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[彼が来た頃には、もう今の自分と殆ど変わりが無かった。 つまり、町の子に絡まれたら加減もわからず言い返してた。 それはきっと危なっかしく見えてただろう、けれど]
……え、別に大丈夫なのに。
[自覚は無かった]
でも折角だから一緒に行きましょう。よろしくね。
[その頃にはもう、 彼は年下さんたちからの絶大な信頼を受けていたから。 “ヒーロー”くんにはもちろん興味があったのだ]
(279) 2014/02/09(Sun) 02時半頃
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[なのだけど、吃驚するくらい会話が続かなかった。 ――これはもしかして、嫌われているのかもしれない。
話題として気絶してるの看病してあげた。 というのもあったけれどそれはさすがに言えなかった。 むしろ、こちらが喧嘩を売ることになってしまう。
>>236 足音の他に、小さなため息も混ざった]
(280) 2014/02/09(Sun) 02時半頃
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― 孤児院のある日:雨 ―
[僕は嫌な顔ひとつしないで頷く。>>207 手伝いながら雨の音を存分に聞くんだ……。ここで窓を開けっぱなすわけにはいかないし]
僕のお願い事はね、………ぇと、
[外は雨のせいで青く霞んだように見えてて、 僕らがいる中では『希望』の文字が、黒いインクみたいなので雨の音よりも静かに書かれていった。 ふたつの漢字が書き終わる頃に口を開いて]
アヤと一緒に遊びに行くの。…外で。
…………僕だけじゃ足りないってこと?
(281) 2014/02/09(Sun) 02時半頃
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[鬼ごっこの時以来、アヤはいっそう外に出たがらなくなったから。 僕が願うだけじゃずっと叶わないのかな。 アヤとふたりでならどこにでも行ける気がするのに。
涙をこぼしたみたいに雨の雫が落ちた紙を持って、書く順番を覚えるまでもう一回、もう一回、って。
そのたびに『希望』って書かれた紙が増えていった**]
(282) 2014/02/09(Sun) 02時半頃
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―むかしばなし―
[明之進の前から立ち去ろうとすると、服の裾を引かれて制止される。振り返れば無色の笑み。
内面を窺うことすら出来ない不思議な貌を見せる、明之進という少年に少なからぬ興味を覚え、母の喪失>>241を問われれば、今更隠すこともないので包み隠さず話した] 生きてんだかどうだか、 もう、それすら分かりゃしねえだろうな。 お袋代わりに面倒見てくれたのは何人もいたけど、 本物の母親ってェわけじゃないからな。 [だから、明之進の口する感覚は実感したことがない。
娼婦達は周を可愛がってくれたが、あれは息子ではなく、捨てられた犬猫の仔の面倒を見るような心情ではなかったかと思う。 それでも、彼女達への感謝は変わらないのだが]
(283) 2014/02/09(Sun) 02時半頃
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[基礎のきの字も知らない為、訓練は基本から教わった。 基本的な身のこなし方、それから身の守り方。
誰かが守ってくれていた、子どもではなくなった。 自分の身は自分が守る。 そんな簡単なことができなくて、誰のことを守れるというのだろう。 そう自分に言い聞かせて。 伸ばす手の届く範囲が少しでも広くなるようにと、訓練を続けていた。]
(284) 2014/02/09(Sun) 02時半頃
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[彼がふと足を止めたのは、 自分のため息が聞こえたせいだろうか。
頼まれていやいや来てくれたのかもしれない、とか。 やっぱりヒーローくん律儀なんだな、とか、 そうならそうでちゃんと断ったのに、とか。 いやでも、嫌われる理由はあったかな?とか。
ぐるぐるしてたので、すっかり悲壮感漂う顔になっていた。 それで彼はきっと吃驚したのだろう、と思う。 ――逆光なんて、背負ってる側からはわからなかったのだ]
……周くん、わたしのこと嫌い?
[問いかけは思いつめてのものだったが、 彼にはきっと少年たちに絡まれるよりずっと唐突な災難だっただろう*]
(285) 2014/02/09(Sun) 02時半頃
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温かい、か。 俺にはよくわからんなぁ――
[>>264腕組みをし首を傾げる周の頭に、明之進の手が伸ばされるが、身長差のせいでその手はぺたり、額を叩くことになる。
最初彼が何をしたいのか、全く理解できなかったが 懸命に手を伸ばす様子に何事かを察し、膝を屈める]
……お前なぁ、男はどう頑張ったってお袋にはなれねえぞ。
[そう口にするが、頭を無心に撫で続ける明之進の貌を見て、知らず口元が緩んだ*]
(286) 2014/02/09(Sun) 02時半頃
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[「聖水銀」の話は、いつ聞いたのだったか。 怖いとは思わなかった。 それが必要ならば、拒否するはずもない。
早く、早くと思い、与えられた量よりも多く飲もうとしたこともある。 それを実行する前に止められたが。
分かっていても、気持ちばかりが焦っていた。]
(287) 2014/02/09(Sun) 02時半頃
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─ 帝都守護部隊隊員養成所・寝室 ─
[目覚めた少女の胸を占めるのは、哀痛と悔恨。 夢現に入り交じる喪失感に、 天井を見上げる少女の瞳は脆く揺れた。
けれど──少女は奥歯を噛み締め、 濡れた瞳が乾くまでそうしていると、 やがて立ち上がり、寝台を下りて部屋を出た。]
(288) 2014/02/09(Sun) 02時半頃
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― ゆ め ―
[寒さで目を覚ます。まだ夜だから寝ていないといけないのに、瞼を下ろしても眠気はやってこなかった。 懐を押さえて懐剣の在るを確かめてから身を起こす。
布団から出て一歩。足の裏から伝わる畳の冷たさに身を抱いた。 吐き出す息は白く、火鉢に残る僅かな熱を蝋燭に移して明かりを作る。障子と雨戸を開けた庭もまた、一面真白く眩かった。
桜の枝は白を乗せて重みでしなり、雪の塊を落とす。夜闇の中、はらはらと降る白雪は桜花のようで美しい。心奪われ、淡い炎が消えるまで縁側に座って見ていた。
猫のような泣き声が聞こえ、男児はその方を見遣る。新しい母の腹は大きくなっていたが、産まれるには早い。だからあれは秋に使用人の一人が産んだ赤子の泣き声。]
(289) 2014/02/09(Sun) 02時半頃
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[医者の見立てでは女の子だという。妹が出来るのだ。男児は『兄』になるのだ。
名前は『菖蒲』。男でも女でも『あやめ』。腹の上から何度も呼び掛けた。耳を押し付けて鼓動を聞き、腹越しに蹴られたこともあった。
赤みの強い紫色を思い描き、視線を庭に戻す。 春になったら―――…今度は花を植えようと思った。誕生日祝いに、名前の花を。]
(290) 2014/02/09(Sun) 02時半頃
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[――けれど。
女童が生まれる前に、 男児の姿は屋敷から消えていた。**]
(291) 2014/02/09(Sun) 02時半頃
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―むかしばなし―
ふ、へ?
[真弓の唐突な問い>>285に不意を突かれたせいで、情けない声が零れた]
な、何言ってんだ、お前 ……って。
[逆光の眩しさに細めた目に映るのは、悲壮感漂う真弓の貌。 自分の態度が彼女の気を損ねるどころか、ひどく傷つけてしまったらしいことに気付き狼狽する]
(292) 2014/02/09(Sun) 02時半頃
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違うって! 別に、お前のことが嫌いとか、そんなんじゃねえって! どっちかって、言うと――好みの顔だし…… そうじゃねえ! 何言ってんだ、俺は。
……兎に角だ。お前を嫌ってるとか、そんなことねえよ。
[「わたしのこと嫌い?」と擦れっ枯らしの娼婦にからかわれることはあったが、自分と近い年頃の娘にこんな悲しげな貌で問われるなど、初めての経験だ。
焦りを隠せずに一息に*捲くし立てた*]
(293) 2014/02/09(Sun) 03時頃
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[血塗れた服は洗いもせずに部屋に丸めて置いてある。 洗うか捨てると言うのを、少女が拒んだからだった。
代わりに支給された服は、 動きやすい綿のズボンと上着。
それでも痩せぎすの少女にはぶかぶかすぎるそれを ベルトでかなりウエストを絞って履いていた。
円はまだ病室にいて、 怪我の治療に専念している。 けれどそろそろ、 こちらの部屋に移って来るだろうとも聞いていた。]
(294) 2014/02/09(Sun) 03時頃
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なあ、周。 組み手の相手、してくれないか?
[ある日、訓練が終わった後に周へと頼んだ。 彼が裏庭の片隅で独り稽古をしている>>256と知ったからだ。
武器を持っての訓練はまだ拙い。 技術的にもまだまだではあるが、少しでも強くなりたかった。 技術のない者の自主練よりも、誰かと組んだ方がずっと良い。 そう思って頼んだが、周にとっては迷惑だったろうか。]
(295) 2014/02/09(Sun) 03時頃
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