314 突然キャラソンを歌い出す村5
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――「フィオーレ」>>4――
そうだな。 どこぞで逢ったやもしれないし――そう"感じた"だけかもしれない。 だが、今"逢った"。それは意味あることだ。
[ページのめくられた物語。このカフェの主は、その登場人物になったということだ。 名乗った名の通り、そろそろ学園も放課後ともなれば、かすかに日も陰る。 滲む秋色を背に、男は雑踏に消えた*]
(53) 2022/09/03(Sat) 00時半頃
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["魅了"の黒い夕暮れ>>18。 そのような名がついたのは、果たしてどれほど前のことだったか。 名乗った覚えはない。自身の本質を示す言葉でもない。 魅了するのは、引き合うのは、物語の性質だ。こちらが魅了したわけではない。 それでも、そう呼ばれるのは――人の本能が、闇に幾ばくか惹かれてしまうからか。
あるいは、闇に囚われた姫も過去いたからやもしれない。]
(54) 2022/09/03(Sat) 00時半頃
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――放課後の桃園学園――
[闇に溶けるように、するり、とそれは学園内に現れる。 あくまでこれが自然なこととでも言うように、そこにある。
訪れに気づかず、平和に不可視の友を連れて下校した生徒>>29もいるし、それを追った弟もいた>>43。彼にとっては、いっそ姉の姿のほうが一大事かもしれない。 だが、男はそれらに構わず、すぅと息を吸い込んだ。 物語は止まらない。この男は舞台装置でしかない。 鍵盤が力強く和音を打ち、深く、低い音程ながらも鼓舞するような力強いメロディが空気を震わせる。 鴉が飛び立ち、ぬるく湿った風が巻いた。]
(83) 2022/09/03(Sat) 01時半頃
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―――― ♪
其れは刹那 瞬きの間に 揺らぐ視界 変わる世界 昼と夜のあわい
白日は朱く燃え 迷い子は深い森 夕闇は路奪い 樹々は茨に栄う
紫炎匂い立て 狂った歯車が回り出す
さあ征け 牙ひそめし餓狼たち 応えよ 我らが時は今
さあ征け こうべ落ちた騎士たち 応えよ 我らが時は今
(84) 2022/09/03(Sat) 01時半頃
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[この物語の『姫』は、この歌声を聞くだろう。 彼女には聞こえる。聞こえてしまう。主人公であるが故に。 彼女がどこにいようと、その脳裏に直接、語りかけた。]
―― お初にお目にかかる、此度の姫君。 私は夕暮――いや、"ヴェスパタイン"。
『逢魔が時』と呼ばれるものだ。
[その言葉を挟み、歌声は続く。]
(85) 2022/09/03(Sat) 01時半頃
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さあ征け 三千世界の蝙蝠たち 応えよ 我らが時は今
さあ征け 地の底よりの悪魔たち 応えよ 我らが時は今 ――――
[朗々と呼びかけるような歌声。 それらは、只人なら耳に心地よくは思わないだろう。 心を奥からざわつかせ、裏側を撫ぜるような響き。 声は桃園学園の中庭に広がり――"本来聞くべきもの"のところまで、風に乗って届くだろう*]
(86) 2022/09/03(Sat) 01時半頃
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[中庭に我先走り出てきたのは、件の姫君ではない>>108。 当の彼女は怯え、逃げ出してしまったようだ。 しかして、舞台から逃げることは叶わないだろう。 追いもせず、悠然と中庭の木立の下にいた。]
……どうした? 私の喚び声に応えて来たのか。
[それとも、騎士のつもりか。 運命の王子候補――そう呼ぶのは、容易い。]
(114) 2022/09/03(Sat) 03時頃
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案ずるな。 直接危害を加えようという気はない。
私はな。
[暫く中庭に留まっていたからか、気づけば弱い妖気のもやが近くに溜まりつつあった。 単独では何物にもならないそれらを指先で絡め取り、ふぅと吐息で風に乗せる。
奇しくも、保健室>>97>>107のある方か**]
(115) 2022/09/03(Sat) 03時頃
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[>>169小さなもやの塊が散らされたことを知る。 ただの挨拶、いや児戯のようなものだ。あれで何ができるとも思っていない。 勝手に寄ってくるものを、散らすついでに差し向けてやった程度のこと。]
――良い。 こうでなくてはな。
[さて、王子が誰になるかは知らないが。 守り手もいなければ話は進まない。]
喜ばしいな、少年。
[夕暮はくつくつと喉を鳴らして笑っている。]
(182) 2022/09/03(Sat) 14時頃
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[放課後。化学室の前で平和な学生のやり取りが起きているとも知らず、中庭はどこか緊迫感に包まれていた。
こちらに警戒を向けてくる少年、もやを握りつぶす何者かの存在。 にも関わらず、夕暮は笑って――ぱちり、と指を鳴らす。 周囲に纏っていた妖気が、指先で弾ける。
まるで、花火がどこかで上がったかのように。 それを合図に、オルガンの音が天空に伸びていく。]
(191) 2022/09/03(Sat) 14時半頃
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―――― ♪
瞳を伏せればそこは闇 暗夜の世界は迎え入れよう
廻り踊るグラン・ギニョール 乾いた指先は糸切れ堕ちる その手を取るは虚ろの王子?
宴の花火は打ち上げられた 残り灯ゆらりと誘蛾灯 舞い散る薔薇に天使と悪魔 誘われたのは何方の翅か?
(192) 2022/09/03(Sat) 14時半頃
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[重い音は、勢い良く開けられた扉とは反対側の窓ガラス越しに微か、中へも届くだろうか**]
(193) 2022/09/03(Sat) 14時半頃
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――桃園学園・中庭>>205――
苦情か。 邪魔をしに来てるわけではないのだがな。
私なりの言祝ぎだ。
[威勢よく駆け出てきた少年は、敵意を隠さない。 それもまた微笑ましくて、笑みは深まった。]
(223) 2022/09/03(Sat) 16時半頃
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少年は、物語が幸福に終わるためには何が必要だと思う?
答えは"闇"だ。 幸福は、闇を超えた先にある。
そう考えれば、私はこの物語の幸福を願う存在だよ。 そして、君のように勇敢な若者が向かってくる。 穢れをものともしない存在がいる。 喜ばしいことだと思わないか。
超えるものがいなければ、闇は闇でしかない。
[>>208歌い返されたメロディを、眉を顰めるでもなく、ただ心地よさげに受け止める。 逢魔が時を明るく照らすような響きが男を蝕まないわけではないが――それは、ダメージとまではなり得ない。]
(224) 2022/09/03(Sat) 16時半頃
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[が、効果をまるで成さないわけでは、なかった。]
礼には礼を――と、言いたいところではあるが。 その歌に免じて、今は鎮まろうか。
まだ、姫君への挨拶も済んでいない。
[メジャーに書き換わった音楽は、再度転調することはなく、そのまますぅと静まった。 ぬるい夏風も清涼なものに変わっていく。 保健室からの視線>>210も、警戒が制止に変わるまでもなく、爆発音に慣れた学生たちに微かな不安を呼んだ程度。]
(225) 2022/09/03(Sat) 16時半頃
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[そのかわり、すたすたと校舎の方へと向かっていく*]
(226) 2022/09/03(Sat) 16時半頃
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[>>244声が上がる。一度足を止めるが、制止ではないようならそのまま再び歩きだす。]
何もしやしない。 案ずるなと言ったろう。
私は誰の敵でもない。
[同時に誰の味方でもないとも言えた。 生まれ出た闇の因子を鼓舞するが、それらが乗り越えられることを望む。幸福な姫の結末を願いながら、彼女に試練を与えようとする。 男は何者でもない。今は、まだ。]
(248) 2022/09/03(Sat) 18時半頃
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[校舎内に向かう。 真っ直ぐ、あまりにも普通に、玄関から。
下駄箱で帰り支度をする、その場>>247に現れる。]
そこにいたか。
[明らかに怪しい、黒ずくめの男。 その口から出た音は、少女を怯えさせていた響きと、同じもの*]
(250) 2022/09/03(Sat) 18時半頃
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[>>252深淵を湛えた瞳は、少年の背後に隠れるメアリーを微笑のままに見る。]
怯えることはない。――というのも、無理のある話だろうか。 此度の私は挨拶に来ただけだ、花輪メアリー。
君が王子を求めるように、私は君を求める。 それだけの話だ。
[一方的な理屈を並べ、胸元に手を当てて頭を下げる。 まるで、振る舞いだけであれば王子のように*]
(264) 2022/09/03(Sat) 19時頃
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[>>265こちらの王子は、先程のよりはずっと"人の子"だ。 震えている足元に気づけば、ふ、と吐息で笑う。]
……誰、と問われるなら、夕暮と名乗ろう。 その名にどれほどの意味があるかはわからないが。
恐れることはない。 危害を加えに来たわけではないのだ。
[何もするなと釘も刺されている。 そうは言っても勝手に集まってくる穢れたちがひやりと夏の空気を冷やしているが。]
(269) 2022/09/03(Sat) 19時半頃
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王子候補――に見えると言うなら、随分と平和な思考をしている。 だが、どう思われても構わん。
[そう、選ぶのは彼女>>268だ。 こちらの立ち位置など意味がない。 私自身の話ではないが、深淵の花嫁になった姫の逸話もないわけではなかった。]
そちらの彼は、正しく候補らしいが。 選択肢が豊富で結構なことだな?
[これほど堂々とした恋慕の前に、運命を探すとは。 興味深い姫君だ、と目を細める。]
(278) 2022/09/03(Sat) 20時頃
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ふむ。 釘を刺されて穏当に来たのだがな。
こやつらが不快か? しかし私の意思で集めているわけでもない。
[>>279身に纏う穢れのもやを再びゆらゆらと指先に絡めて集め――今度は、霧散させる。]
連絡など、必要ない。 願われればそこに在ろう。
もっとも、あまり歓迎はされていないようだから、願われることも少なそうだが――
[数歩、前に歩み出る。 護られるように少年の背後にいるメアリーの隣に立ち、冷たい指を伸ばそうとして――空を切る>>282。]
(283) 2022/09/03(Sat) 20時頃
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「変なこと(>>244)」は、しなかったな。
[正面から挨拶をし、頭を下げた。それだけだという認識をしている。 逃げられるのは、快不快でいえば快ではないが、想定はされている。
男はその背を追いはしない。 ただ、見つめ。]
(284) 2022/09/03(Sat) 20時頃
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―――― ♪
玉の枝 火鼠 何を求める? 夢見るままの月の姫 それらをもしも手に入れたとて その手を取ると決めてもいない
心に秘めた銀の指環 誰の手に――
[脳裏を掠めたワンフレーズを、軽く口遊むだけ*]
(285) 2022/09/03(Sat) 20時頃
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ヴェスパタインは、ズッテルアンコールした。
2022/09/03(Sat) 20時半頃
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[さて。 あとは任せた>>288>>294――と任されたはずの少年は、気づけば近くにはいないようだった>>349。そちらに視線を向けたところで、もぬけの殻。 先生を呼べ、と言われていたことから、誰かに言いつけに行ったかもしれない。 面倒は避けたい。ここを去っても構わなかったが、夕暮には気になることもひとつあった。 いとも簡単に、瘴気のもやを潰して払ってしまった存在。顔くらいは拝んでいってもいい。
幸いにして、それがいる場所はおおよそわかっている。 文字通り目を光らせているものがいる>>365とも知らず、こちらから出向くのも悪くないと、校内へ踏み込んでいく。]
(368) 2022/09/04(Sun) 01時頃
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ヴェスパタインは、保健室に向かってぺたぺた廊下を歩いている*
2022/09/04(Sun) 01時頃
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――放課後・廊下>>416――
[学園という場所の性質上、他の人間と会うことなど当然あり得る。 だが、夕暮は微か驚いたように目を瞠り、足を止めた。]
――……
[それから、出処を聞かれる。 軽く息を吐いて、ゆっくりと瞬いた。]
あちらから、と言うのは、野暮だな。
[玄関の方を指差す。]
私がどこから来たのか、わかって問うているのではないか。 答えるのは無意味だ。
(427) 2022/09/04(Sun) 10時半頃
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運命の歯車が廻り出し、呼ばれたもの。 『扉』と『鍵』が揃った。そこに『錠』をかけるもの。 『姫』と『王子』が出会うのを、言祝ぎにきたもの。
これで充分だろう。
[出処は秘め、代わりに自身の在りようを答える。 こちらの方が雄弁であろうと。]
人探しをしている。 お前か?
[内心は、違うと予想をする。 この男の目に見られると、瘴気くずたちがざわつくものの、消えてしまうようなことはない*]
(428) 2022/09/04(Sun) 10時半頃
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……ああ。お前か。 探し人の方からやってきてくれて助かる。
[邂逅の場にもうひとり、やってくる>>434。 その気配。肌に馴染むような、それでいて粟立つような。 正しく名を呼ばれてうっそりと笑むと、視線を相対していた男より奥、新たな来訪者の方へ向けた。]
先の挨拶が気に召したようだったのでな。 直接顔を見に来たまで。
宴がはじまる。
[長い髪をふわりと揺らしながら、告げる。]
(435) 2022/09/04(Sun) 12時頃
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[否、正確には、もうひとり>>432。]
この学園は、良いな。 平和で、穏やかで――故に、舞台にふさわしい。
誰が覚醒めるのか、あるいは牙を剥くのか……
楽しみだ。
[まだ、校内からは生徒の声が他にも聞こえるだろうか。 校舎を眺めるように、視線をぐるり巡らせた*]
(436) 2022/09/04(Sun) 12時頃
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ヴェスパタインは、ヒイラギを見かけると穏やかに笑んで同じく会釈した。
2022/09/04(Sun) 12時半頃
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それほど睨むな。 「お客様」なのだろう?
「招かれざる客」という言葉も存在しているが……
[こちらに向いた敵意と足が止まった>>445。それに、おかしそうに首を傾げた。 生徒たちには、それほど構う様子を見せない。 この場で事を荒げるつもりはないし、そもそも対立を深めようなんて気もなかった。]
文化祭か。 朗らかでいいことだ。
私も参加しても?
[などと、目の前の教師たちにのたまうだけ*]
(453) 2022/09/04(Sun) 14時頃
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