134 Dum fata sinunt vivite laeti.
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[――ヤニクという男の意識は、そこで全て、途絶えた**]
(52) hishou 2013/07/30(Tue) 00時半頃
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[己の亡骸を見下ろした。 抵抗らしい抵抗は、ほんの少ししか出来なかった身体は、今やただの物だった。
ここに隔離されたほかの人も気になった。 だから、その様子は、少しの間、見ていた。
シーシャとミナカタがそれぞれ自分の死体を見つけた時。 ガーディが墓を掘り、自分に手向けられた言葉を聞いた時は少し笑ってしまった。
両親が死んでから、自分はいつでも異端者だった。 それを知っているから、一年のうち半分は、村に戻らなかった。 村の中には自分を腫れ物扱いするものしかいない。 大事な人間を作ろうと、考えた事すらなかった。
その枠組みに含まれる、唯一の存在は、あの親友だけだ。]
(53) hishou 2013/07/30(Tue) 00時半頃
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『もっと、俺の中の大切ってのが大きければ、抵抗してただろうなぁ』
[仮定の言葉は、少し、笑って、消えた**]
(54) hishou 2013/07/30(Tue) 00時半頃
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[そんな言葉>>46を聞いた時の彼らの顔はどんなのだったか。 そんな事は素知らぬ顔で、彼らと会話が終わればここに持ってきたバスケットを持ち上げる。
――わざと彼らに当たる様に。
当たったかどうかはわからないが。 そのまま帰ろうとして、呼び止められる。 振り向き、]
……何か?
[今の行動を問われただろう。 ...は緩く首を傾げて]
…こっちは、隔離に、殺人事件に…気分が滅入っているんだよ…。 ん、な事でいちいち……、おおめに見れってんだ。
[そう言い捨てて村に戻ると、村人の視線が何処か痛かった。 容疑者として隔離され、容疑が晴れると今度は被害者と見られてる気がして。 足早に家に戻り、自分のベッドに倒れ込む**]
(55) lobelia 2013/07/30(Tue) 01時半頃
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―祭りの最中―
『祭りだってのに、何でそんな顔してやがる。 俺が居ないって事がそんなに気になんのかよ?』
『馬鹿だなあ、お前も楽しみにしてたじゃねえか。手伝ってた俺の分も楽しんどけよ。』
『……。』
『聞こえるわけはねーな。』
(56) hishou 2013/07/30(Tue) 01時半頃
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[親友の姿に声をかけども、それは耳に届くものではない。 知っていたけれど、いわずにはいれなかった。
まだ、橋は架からない。 ただ、死を得たからか、それとも"記憶"がそれを望んだか。 ヤニクは祭りの会場にいる、親友の姿を見下ろしていた。]
(57) hishou 2013/07/30(Tue) 01時半頃
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[ずっと一緒にいたわけでもない。 異端の自分がこの村に立ち寄り、偶然出会い、そして話し、遊び、時間が過ぎただけの事だ。 この村にいるより、彼と話すよりも、ずっと他の場所で色々な人と話しているほうが長い。 ただ必ずここに寄り、話をし、そして、笑い、喧嘩し。 そういった普通の付き合いができたのは、唯一、彼だけだった。
なぁ、と。 言いかけた声は、言葉は、感情は、止まる。 続く言葉なんて嘘でしかなかった。
忘れろよ、なんて、思っていない。]
(58) hishou 2013/07/30(Tue) 01時半頃
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『なぁ、親友、』
『お前の恋人を拝むまで死ねないって言ったけど取り消すわ。』
『可愛いのつれてこいよ。』
『ちゃんと村の外の話もしてやっただろ、覚えてるんだろうな。』
『嗚呼、違うな。』
(59) hishou 2013/07/30(Tue) 01時半頃
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[聞こえやしないのはわかっていながら、幾つもの言葉を続けた。 触れられるはずもないのに、その青い頭にぽんと手をやって。 浮かぬ顔の彼に、自分だけが知る別れの言葉を、投げた。]
『俺の事、覚えておけよ。忘れたら、祟ってやるからな。』
(60) hishou 2013/07/30(Tue) 01時半頃
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『じゃあな、――…ラルフ。』
(61) hishou 2013/07/30(Tue) 01時半頃
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[青い髪を風が少し浚う。 見上げた生きた友の目と、死した自分の目が、合った気がして、 それは、満足したように笑って、消えた**]
(62) hishou 2013/07/30(Tue) 01時半頃
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やだよめんどくせぇ。
[ミナカタが人狼を判別出来ると知って、村長始め上役の者達が村人全員を確かめろと言ってきた。 触れれば視えると言っても、一日に一度が限度のそれを毎日繰り返すのは面倒以外の何物でもない。 ミナカタは心底嫌そうな顔をして要請を一蹴した]
つぅか確かめる必要あんのか? 他にも居たとするなら、今まで何事も無く村が存続してるわけねーだろ。 そもそも今回のことだって容疑者集めて隔離してんだから、そこに含まれなかった奴の中に居たらおかしいだろうが。 頭煮えてね? 大丈夫か?
[ミナカタはつらつらと調べる必要のない理由を述べて、終いには相手を小馬鹿にするようなことまで言う。 言われた相手は禿頭を茹蛸のように真っ赤にしていた]
(63) rokoa 2013/07/30(Tue) 02時頃
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分かったなら解放してくれ。 俺はしばらく休むんだからよ。
[人狼を始末すると言う大仕事をしたのだからともぎ取った1週間の休暇。 その間は寝て過ごすつもりでいる。 実のところ、他人を”視る”と言う力には副作用があった。 代償が遅延型だったのは良かったのかどうなのか。 ともあれそのことを”思い出した”ミナカタはとある人物の元へと向かった]
(64) rokoa 2013/07/30(Tue) 02時頃
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タバサぁ、一週間専属契約、どうよ?
[声をかけたのは馴染みの娼婦。 家事もそれなりに出来る、気さくな相手だ。 ミナカタの手には通常渡す金額の一週間分プラスαが入った金子。 希望条件は期間内におけるミナカタに対する様々な世話。 本来の条件に無いものでも、金額次第で相手は受けてくれると分かっているための人選だった]
足りなきゃもうちょい出す。
[薄給のミナカタのどこにそんな金があったのかと突っ込まれそうだが、ダメ押しの一言で相手は条件を呑んでくれた。 世話好きのおばさんに頼めばタダだったろうが、どうせなら若い方が良いと言うしょうもない理由。 条件にある”世話”にはそれこそ様々な意味が含まれていた]
(65) rokoa 2013/07/30(Tue) 02時頃
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[そうして世話役を手に入れたミナカタは、休みの前半分をベッドの上で過ごすことになる。 力を使った日数分、視力を失ってしまったためであった**]
(66) rokoa 2013/07/30(Tue) 02時頃
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……ヤになるよ、まったく。
――ね?
[見上げる視線を、受け止めて>>43。 ちいさく、わらった。
その笑顔は、彼女の目にどう映っただろうか。 反応も待たずに、ふらりとその場を後にする。
――宛もなく。]
(67) Shin 2013/07/30(Tue) 03時頃
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[夜が明けても、至極残念なことに、命を落としているなどということもなく。
異常だったこの数日の中で、唯一平凡な朝に反吐が出そうだった。]
――生きてるんだ、よなぁ。
……めんどくせぇ、
[独りごちたとて、現実は変わってなどくれないのだけれど。 寝台の上で、何をするでもなくただずっと横たわっていた。寝食も忘れて。 意図して摂らなかった訳では決して無く、ただ、必要性を感じなかっただけだ。 乾きも飢えも、眠気も。どこか遠く、どうやら友人として寄り添ってくれる気も無いようだ。
橋がかかったと気づいたのは、警邏の人間が踏み入ってきてから、だった。]
(68) Shin 2013/07/30(Tue) 03時頃
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[己を此処に呼びつけた男も、その中に居た。 彼はどこか驚いたような顔をして――、呟いたのだ、「何でだ」――と、]
――ふ。
やぁっぱほら、
逆だったら良かったんだって……、
[掠れた声で紡いだ言葉は、囁きのように空間に霧散した。 容疑者として集められた人々の中で。村に来てあまり経たないミナカタや、外部の人間であるヤニクを除けば――自分だけが、はみ出し者だった。
身体も弱く、陽に嫌われた異端児。]
(69) Shin 2013/07/30(Tue) 03時頃
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[ああ、なんて。
"お伽噺の化け物"のような存在なのだろう。]
聞いたでしょ、
[警邏を脅かした獣の名を。誇り高く、人として斃れた青年の名を。 未だに信じられないといった風情で遠巻きに見つめる視線を無視して、異端児は云う、]
(70) Shin 2013/07/30(Tue) 03時頃
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俺じゃなくて残念だったね。
[其れだけを。**]
(71) Shin 2013/07/30(Tue) 03時頃
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[村役場に記されたガーディの年齢は十八。 十五年前、引っ越してきた時に 三歳であるとしたのだからそれも当然。 幼かった頃は人間の血肉など口にできようはずもなく 同じ年頃の子供たちより随分と成長が遅れていた。
育たぬ子供と両親が奇異の目に晒されたのも自然な事だろう。 両親はガーディを連れ引っ越す事を余儀なくされた。 異端であると知れる前に、友達が出来ても直ぐに別れる。 そんな事を繰り返してこの村に辿り着いたのは 生を受けてから十年の月日が経った頃だった。
本来なら十と刻まれるはずの書類には 見た目にそうように三と記されたのも仕方ない事だった。 真実を記そうにも偽りとみなされるだろう。 知識も知恵も歳相応にはあったから 両親のすることにガーディは異論を唱えなかった。]
(72) helmut 2013/07/30(Tue) 09時半頃
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[好奇心も人並み以上で人懐こくあったから 村の大人たちにはすぐに受け入れて貰えたけれど 己と同じ年頃の友達を作るのは難しかった。
或る日。 一人遊び疲れたガーディが広場の大樹で休もうとすると 頭上から、ナァ、という鳴き声がふってきた。 仰ぎみるとそこには白い仔猫が枝の上で震えている。]
……ネコ?
[助けを求めるように鳴き続ける仔猫は 大人であろうと手の届かぬ高さにある。]
随分高くまでのぼったものだね。
[見た目に似合わず大人びた口調で言い、肩を竦めた。]
(73) helmut 2013/07/30(Tue) 10時頃
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[周りに大人はいない。 成長が遅いだけで快活であった子供は 大樹の幹へと手を掛けて枝を支えに上を目指す。 するりするりと危なげなく仔猫のもとにゆくと 手を伸ばしてみるが仔猫は何かに怯えてより細い枝先に後退る。]
そっちはダメだって。 ほら、こっちこい。
[身を乗り出し、手を限界まで伸ばすと 仔猫はさらに後ろに下がって、足を踏み外してしまった。 落ちる仔猫に飛びついて左腕で強引に抱き寄せた。 右の手は一つ二つ下の枝を掴み何とか落下を免れる。
葉擦れの音は思いの外大きかった。 樹の枝に片手でぶら下がり片腕に白い仔猫を抱く子供が 音に気づき窓から顔を覗かせた少女と目が合う。
本来ならば同じ歳くらいの少女。 想い抱く高嶺の花との出会いは生涯忘れ得ぬもの――**]
(74) helmut 2013/07/30(Tue) 10時頃
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[よく知ったベッドの温もり、シーツの肌触りの中で目が覚める。 それは家に帰って来たと実感できるもので。 微睡む意識を無理に起こして。 いつもの様に、今までの様に窓を開ける。
きっと、そこには――。
けれど、いつもあった姿は無く。 視線を彷徨わせる。]
………、
[窓の淵に乗せた手をぎゅ、っと握り。 事件があった事を、居なくなってしまった事を、認めなくてはならいのかと痛感させられて。 暫く窓辺の近くにある椅子に腰掛けて、風に揺れる大樹を眺める。 頬を撫ぜる風は優しかった。]
(75) lobelia 2013/07/30(Tue) 22時頃
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[――居なくなって初めて気が付く大切さ。
それはまた好きとも違うけれど、 「愛していた」と言えばそうなるのだろう。 馴染みとして、人として――。
そうして何かを決意して、席を立つ。
まだ夏の日差しが残る中...は村長宅に向う。 ガーディの亡骸をどうするのかと訊く為だった。 ...が家を訪れた事に村長は驚くものの、快く家の中に招き入れてくれる。 回りくどい事は一切せずに単刀直入に本題を。 村長の話を聞けばやはり、“人”としてではなくて、今回の事件を扱うと言う事だった。 その言葉に苦虫を噛み潰したような顔をする。 ...は人を説き伏せる術は持ち合わせていない。 だから、思った事を切実に述べるだけ。 村長がどう受け取ったかわからないが、言いたい事を言ってその場を後に**]
(76) lobelia 2013/07/30(Tue) 22時頃
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[3日もすれば視力も戻り、生活に支障は無くなったミナカタだったが、残りの休暇も借家に籠もって過ごしていた。 身の周りのことは専属契約した娼婦任せ。 ”視る”ことに対する代償は解消されていたが、身体に残る倦怠感はなかなか抜けては居なかった。 昼夜人の温もりが恋しくて、娼婦に手を伸ばすことも多々。 死に触れた後であるのが一番の原因だろう。 生を確認するように、ミナカタは眠る時、常に娼婦を腕の中に収めた]
………こうやってドツボに嵌ってくんだろうなぁ。
[他には見せない弱さを曝け出しながら、ミナカタはぽつりと呟く。 彼の腕の中でそれを聞いた娼婦は顔を僅かに上げることで反応を示した]
(77) rokoa 2013/07/30(Tue) 22時頃
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なぁ、金払わずにこの生活続ける方法を考えたんだが。
「碌な考えじゃない気がするけど、聞いてあげるわ」
なぁに、簡単なことだ。 お前が俺のもんになる。
「アンタの給料でアタシを養えると思ってるの?」
そこを突かれると痛ぇな。 じゃあ村の外出て良い仕事でも探すか。
[本気かどうか分からない会話。 こんな取りとめの無い会話も、ミナカタにとっては心地良かった。 何でもないことが、生きていることを一番実感出来る]
(78) rokoa 2013/07/30(Tue) 22時頃
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「本気で外に出るつもり?」
さぁて、どうすっかな。 まだ何にも決めてねぇ。
[そう言って、ミナカタは話の終わりを告げるように娼婦を抱き締める腕に力を込めた。 それはもう寝ると言う合図でもあり、しばらくすると穏やかな寝息と共にミナカタの腕の力が緩む。 その様子を確認し小さく息を吐いてから、娼婦もまた瞳を閉じて眠りへとつくのだった**]
(79) rokoa 2013/07/30(Tue) 22時頃
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[村長がどんな処置をしたのかは一部の者にしかわからなかっただろう。 村では意見が分かれていただろうけど、...は何処吹く風の様に知らぬ顔をする。 友人には聞かれたりもしたが、曖昧に言葉を濁す。
――口許は僅かに笑んでいたかもしれない。
また、いつもの様に日常が過ぎて。 初めのうちは、辛かったが徐々に今まであった事を受け入れていく。
それから、...は朝になると窓を開け]
―― おはよう。
[彼がいつも居た大樹に声を掛ける**]
(80) lobelia 2013/07/30(Tue) 23時半頃
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[大樹は毎朝のように声掛ける彼女を見守るように静かにある。 ある朝、何時もと同じように開かれた窓の下。 大樹の根本に柔らかな栗色の毛並みが覗く。 木漏れ日の中、其処で本を読んでいた青年が居た場所に 同じ色持つ仔犬がちょんと座り、開いた窓の先を見上げていた。
はたり、豊かな毛並みの尾が揺れる。 それはあの日から丁度一年後の事だった**]
(81) helmut 2013/07/31(Wed) 00時頃
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