56 いつか、どこかで――狼と弓のワルツ――
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神は我等と共にあり!
[出陣前、姿を見せた神父は砦で祈ってくれているであろう。 率いる小隊へ声を張り上げ、男も絶えず弓矢の雨を降らせる。 出来るだけ敵の進行を防ぎ、味方が押し上げる機会を得る為に。]
矢は決して後ろへは飛ばない! 引くな! 我ら緑の騎士は前にしか進まない!
[番えては放し、放しては番える。 もう何本の矢を射ったのか覚えていない。]
(157) 2011/07/02(Sat) 00時頃
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[ 背中に感じた衝撃に 一瞬穿たれた意識 ]
(158) 2011/07/02(Sat) 00時頃
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[>>151 しっかりしろ、そうかけられる声には聞き覚えがあった。 確か、そう、物資を頼む際によく聞いた]
……
[薄く唇を動かしたが、言葉を紡ぐことはできなかった。 代わりに、再びごぽりと肺から溢れた赤が、口から零れた]
(159) 2011/07/02(Sat) 00時頃
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[手が、多分フィリップの手が、赤い床に落ちた。>>147 今にも肩に届きそうな近さで。
神父の周囲は今や夥しい血溜まりになっている。 また別の、もっとしっかりした声が聞こえた。>>151 伝えなければ。助けなくては]
ぉ……ねが、しま フィ……くん、たすけ
[視線を彷徨わせ、声の主を探す]
(160) 2011/07/02(Sat) 00時頃
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本屋 ベネットは、メモを貼った。
2011/07/02(Sat) 00時頃
店番 ソフィアは、メモを貼った。
2011/07/02(Sat) 00時頃
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…ッ
[オスカーの声を聞くまでも無く、 行く手は阻まれて、再び牙が交わる音が手元で響く。]
っは、頼もしーなッ…!
[愛馬を飛び降りるオスカーを横目で見て、言う。
もちろん、自分を狙う「殺気」などに、 興奮の中心に居る彼が気付くはずも無く。]
(161) 2011/07/02(Sat) 00時頃
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>>160あっ!ああ、神父殿、神父殿じゃ― いや、んな、血が、血が…
[少し動いたもう片方が神父殿と分ると同時に。 見たことの無い量のそれに、言葉を瞬間失って。 そして彼の言葉は届いて―]
衛生兵、衛せい兵、えい生へい! 誰か、誰か来てくれええぇ!
[ただ、本能のままに、叫んだ。]
(162) 2011/07/02(Sat) 00時頃
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[中空で硬直する身体。
心臓の裏には鏃が埋まるほど深々と突き刺さった矢。
眼前の彼の名前が小さく鳴かれ、青年の身体は音も無く堕ちる]
(163) 2011/07/02(Sat) 00時頃
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はぁ、はぁ、はぁ。 あぁあ、>>159君は馬の世話の…
[フィリップの姿は補充の飼葉の依頼や、それを届ける際―取りに来た際―見たことが。]
(164) 2011/07/02(Sat) 00時頃
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――――― … っ
[止まるはずだった心臓は、まだ動いていた。
そう、自分の目の前で崩れ去る 『彼』のお陰で。]
(165) 2011/07/02(Sat) 00時頃
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[遠くから声が聞こえる。 視線を僅かにずらすと先日、一喝されたヴェスパタインの姿。>>150 しかし女は再び視線を戻し、目の前で笑う憎き仇に刃を向けて走り出す。]
ほらっ!!どうした! 以前のように刀を振るえよ!! 私の父親を殺した時のように笑いながらさぁ!
(166) 2011/07/02(Sat) 00時頃
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[鳴き声を、発した彼の姿を追い、視線を方々へ向ける。 モザイクがかっても見える世界の中で、鳴き声のした方へ、懸命に緋色を凝らす。
きらり、鋭く光る、何か――― ]
(167) 2011/07/02(Sat) 00時半頃
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[戦況の開始は予想通りだった。最も、そこに至るまでに赤騎士団の方で斥候を捕縛したなど、いくつかの新しい情報の処理にも追われてはいたが]
……ここまでは、じゃが。
[勝利を我らが手に、と号令をかけた副団長の言葉、笛の音を思い出す>>84]
個々の戦に勝つのは、可能じゃろうが、さて、『終わり』の勝利までの道がまだ…見えぬでありんす。
[戦場を見渡せる位置に、赤と緑の参謀は並び立っている。その言葉に、赤の参謀は頷いただろうか]
(168) 2011/07/02(Sat) 00時半頃
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[5年前、目の前で父親が通り魔に殺された。ただの市民だった父親は戦闘能力は皆無。女は目の前で崩れる父親に為す術がなかった。]
『嫌だ!!嫌だぁああぁああぁ。 死んだら嫌だ!!お父さん!!!』
[自分は泣くことしか出来なかった。無力だった。
そしてしばらくして幼馴染みの騎士団入団の話を聞いた。 いつも近くにいた彼がいなくなるという理由が一番大きかったが、この事件がきっかけというのも入団理由の一つだった。]
(169) 2011/07/02(Sat) 00時半頃
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うあぁぁぁぁぁ!!!
[嫌な予感に矢を番えて僅か固まったが、それを払拭すべく声を上げ更に矢を射る。]
手を休めるな! 勝利の為に! お前たちが守るべきものの為に! 矢の雨を持って、奴らの血の雨を降らすんだ!!
[仲間を、何より己自身を鼓舞する為声を更に張り上げた。]
(170) 2011/07/02(Sat) 00時半頃
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まさかあんたが兵になってるとは思わなかったけど。 なんでなってんの?
[冷徹に言葉を吐き出す女にはもう憎しみの表情でしかなかった。
鈍い剣の音は続く。相手に傷を負わすことは出来ても決定的な一打は打てることは出来ずにいた。]
(171) 2011/07/02(Sat) 00時半頃
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[既に血を失い過ぎた身体は、 目は光を失い、外界の音すら拾うことができない。 バーナードが衛生兵を呼ぶ声も
蒼褪めて土と血に塗れた顔、薄く開かれていた瞼は重く落ち。 痙攣するように震えていた身体が、完全に沈黙した。]
(172) 2011/07/02(Sat) 00時半頃
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… ―――
(173) 2011/07/02(Sat) 00時半頃
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―砦内―
『何か、ありましたか…ひっ、何で…!?』
[バーナバスの大声に、たまたま近くを通りかかった女性が現場を確認にきて。その凄惨な光景に絶句する。>>162]
『た、大変だ…!すぐ看護士を呼んできますから…! あなたは、傍についていてあげてください!』
[運ばない方がいいと判断したのか、女性は踵を返して、その場を後にしようとする。]
(174) 2011/07/02(Sat) 00時半頃
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おい、お前馬から降りろ!
[騎兵は、弓に弱い。 弓が、また番えられる。主に言うのが早かったか。 それとも、オスカーが懐に仕舞った短剣を投げたのが先だったか。
どちらにしろ、地面へ倒れたベネットの元へ向かおうと、次の瞬間には、血で赤く染まった大地を蹴っていた。]
(175) 2011/07/02(Sat) 00時半頃
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記者 イアンは、メモを貼った。
2011/07/02(Sat) 00時半頃
記者 イアンは、メモを貼った。
2011/07/02(Sat) 00時半頃
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[穿たれた意識が、ほんの一瞬の覚醒を促す]
…… ――
[死の直前を思わせる様な、あまりにか細い狼の鳴き声が小さく]
(176) 2011/07/02(Sat) 00時半頃
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[敵兵に阻まれながら、捉えるのは敵将の黒き姿……そして、刃を向ける女騎士の姿。 その翡翠が一時こちらを向いて、無謀にも再び走り出す>>166]
下がれ、クロウ。命令だ!!
[自らに向かってくる剣を受け、落としながら声を張り上げる。 見遣れば、敵の弓兵が彼女向け矢を番えるのを捉え]
――――……下がれええええっ!!!
(177) 2011/07/02(Sat) 00時半頃
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[激しい攻防は続いた。女はそれなりに体力もあったのだが大の男と比べては敵うわけもなく]
「キン―――」
[両手で握られた剣は男の手によって弾かれた。]
―――っ!?
[慌てて近くに倒れた兵の弓矢に手をかけるも、果たしてそれは間に合うのだろうか。]
(178) 2011/07/02(Sat) 00時半頃
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―ガイル・カノッサ>>171― [自分を誰かと勘違いしている様子の女騎士に、面白くもなさそうな冷やかな視線を投げた。 通り魔などと言う、事実は彼にはなく、彼女にも見覚えは無い。 一頻り剣の相手をしたが、機を見て打ち込むと、剣を払うように突っぱねる]
『…下らん人違いだ』
[再び騎乗すると、その場を立ち去る。 しかし、ヴェスパタインの姿が見えれば、翡翠を細めて、そちらへと駆けた]
(179) 2011/07/02(Sat) 00時半頃
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[もう何人目か、数える気にもなれないくらいの処置を施し。そろそろ、薬品の補充も兼ねて戻るべきかと、息を吐いて。
負傷者がいないか、辺りを見て……]
………え。
[思わず、声が漏れた。ほんの少し、目を離しただけだったのに。
イアンのそばに倒れているのは――。 少し距離があったから、最初は見まちがいだと、思った]
(180) 2011/07/02(Sat) 00時半頃
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[ままならぬ視界は、探すものの姿を一つも映さない。 ただ、ふっと傍で、何かが途切れたような、 音が聞こえたような感覚があった。>>172]
……か、みさま
どうして
[振り絞った声が、 最期。]
(181) 2011/07/02(Sat) 00時半頃
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未来を知ることでもできれば、楽なのじゃろうな…。
[ふ、と笑う。それが――とても皮肉な意味を持つことに、まだ彼女は知らない]
――敵は、カロッサが出てきておるかや。……将を討てるか――? 奴ならば、後方に隠れ潜むタイプではないはず…。
[戦闘が始まれば――最も、情報が遅くなる部署、それが参謀だ。どれほどに斥候の網を張り巡らせようと、『現場で起きている』事には追いつけようもない]
――この時が、最も歯がゆいの。信じて祈ることの、なんとつらい事か――。
[戦闘は、続いている。そして――砦内の混乱も、いずれ彼女へ情報が届くのだろう]
(182) 2011/07/02(Sat) 00時半頃
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>>174はやく、はやく来てくれ! え、違う、早くつれてきてくれ!
[女性に必死にお願いをしつつ。 しかし>>172体の動きが鈍くなるのが目に見えて。]
おい、やめよう。 しっかりしろ…しっかりしてくれ。 あああ、おい…。
[フィリップ消え行く命の灯火に、ただ涙を流す事しか出来ない。]
神父殿は…?
(183) 2011/07/02(Sat) 00時半頃
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本屋 ベネットは、メモを貼った。
2011/07/02(Sat) 00時半頃
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[振り向いた、その先。]
>>181あ…
神父殿―?
(184) 2011/07/02(Sat) 00時半頃
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[ か細い声で囁いたのは、夢。
もしくは約束 ]
(185) 2011/07/02(Sat) 00時半頃
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[それを伝え 狼は眠る様に 事切れた** ]
(186) 2011/07/02(Sat) 00時半頃
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