151 雪に沈む村
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─10年前─
[神の居ない祭壇の前で軽く目を伏せ、誰も知らない古い言葉で祈りを捧げていたチャールズは、背後から聴こえた物音にふと顔を上げた。 微かに届いた声はよく知った彼女の物に思えて。振り返りながら、名前を呟く。]
……エリサ、?
[空いた扉の隙間に見える、この村では余り見掛けない、質の良い生地のワンピース。 扉を押したであろう華奢な腕はふわふわとした薄い羊毛に包まれている。 どうやら名を呼んだ人物に相違ないようで。少し安堵を滲ませてそちらにゆっくりと歩み寄った。]
いらっしゃい、エリサ。どうしたのです?寒いでしょう、どうぞ中へ入って下さい。
(+8) 2013/11/24(Sun) 20時半頃
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ええ、勿論ですよ。……ああ、アリス君ですね、こんにちは。今はおねむですか?ふふ。
[外に控える執事に会釈を交わし、(こういう時、どれだけ勧めても彼は中へ入っては来ないのだ。)彼女を祭壇のほうへと誘導する。ベビーカーの中の存在に気付けば、頬を緩めて覗き込み、小さな柔らかい頬を指先でそっと撫でて挨拶をする。
眠る赤子から離れると、ふとエリサの肩辺りに視線をやる。薄らとそこに纏い付いた氷の結晶。ハンカチで顔を隠して、こほ、と短い咳をする彼女に、一歩近付く。]
……エリサ、雪が。
[細い肩のうえをそっと払う。気付けば、自分よりも背の低い彼女の顔が直ぐ下。体調が思わしくないのだろうか、先日会った時よりも骨が浮いた首筋。幾分顔色も悪い。
意識せずとも心配が表情に透けたかもしれない。 少し近過ぎるかもしれないその距離も忘れて、チャールズは労わるように髪に残る雪も、指で梳くように払ってやった。]
(+11) 2013/11/24(Sun) 23時半頃
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…直ぐに用意します。どうぞ、楽にして。
[お決まりの銘柄を口にして、エリサが椅子へ座る。 花が綻ぶようだった笑顔は、今はどこか弱々しかった。 努めてそれに気付かない素振りで、此方も何時もの笑顔。 手際良く茶器の準備を整えていく。蓋を開けられ圧力の変わった紅茶葉の缶が、ぺこん、と小さな音を立てた。]
さあ。御茶が入りましたよ、お嬢さん。
[何時ものカップに、何時もの紅茶。 口にしたその呼び方も、勿体ぶった言い方も、彼女に初めて此処で御茶を振舞った時から何年も続く、二人の習慣だった。**]
(+13) 2013/11/25(Mon) 01時頃
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──…勿論、覚えています。 八年前でしたか。村で一番の器量良し、なんて言われていた君が、突然村を出て行くと言い出すものですから。 …あの後、随分沢山の若い衆が懺悔室に訪れたのですよ。
[>>+14エリサの問いにくすりと笑って、当時、彼女が出て行ったあとの荒んだ若者たちの様子を思い出す。 予想した以上に彼らの嘆きっぷりは酷く、宥めるのに結構苦労したものだった。暫し懐かしんでは目を細め、自分のカップにも紅茶を注ぐ。
ふいに、惨めだ、と。エリサが零した言葉に、チャールズの顔は僅かに翳る。天真爛漫な少女だった、過去の彼女であれば決してしなかったであろう、陰のある表情。 正面の椅子に腰掛けると、その哀しい笑顔を覗き込むみたいに少し首を傾げて。]
……どうして、そんな風に仰るのです? 生涯の伴侶も、愛しい子供も、君の傍にはちゃんとあるのに。
(+15) 2013/11/25(Mon) 15時半頃
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……、………。
[わたしは、あなたを。 >>+18向かいの席に座った、うつくしいひとの唇から滑り落ちた言葉に、チャールズは何も言わずに静かに目を伏せる。 落とした視線はカップの揺らめく湯気を、ただ眺めて。]
……時間と言うものは、優しく、そして残酷なものですね。 早くと望めば早く過ぎてはくれない、待てと望めば……すこしも、待ってはくれない。
[彼女の言葉の、その続きを知っているから。知っているのに、応える事の出来ない我が身の業の深さを分かっているから。 分かっていて尚、その静かな水面の様な心の奥底に、断ち切れない思慕があるのを自覚しているから。
『どうして』。あの時もそうだ。八年前。村を出て行く彼女を、引き留める事などできる訳が無かった。 どうして、と、そう言ったのはきっと理由を尋ねたかったからではない。 けれどその真意など、年若く、輝かしい時間を生きていく彼女に悟られてはいけないものだった。]
(+19) 2013/11/25(Mon) 22時頃
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[そうやって、互いに核心に触れぬまま、沈黙が祈りの家の一室を覆う。飲む気になれない紅茶のカップに口を付け、直ぐにソーサーの上に戻した。
不意にエリサが口を開く。 問われた事に、ひと言で答えるのは難しい。なにせ、自問自答を繰り返して、決着を着けるのに百年以上掛かった。チャールズの、人ならざる命の在り方。少し悩んで、カップの淵を親指でなぞる。]
……祖国を、護りたかった。否、護らねばならなかった、のです。 少なくとも──きっかけは、そうでした。
[豊穣と戦いの女神を信仰した、龍の護りし聖なる国。 かつて大陸を交易と戦火で支配したその国の名を、知っている者は殆ど居ない。 下ろしていた視線を、祭壇の方へ向ける。ステンドグラスの正面、本来ならば神の偶像が在るべき場所には、今は何も据えられていない。
この世に全き物など存在しないのだ。人も物も国も獣も妖精も龍も、神ですら──いずれは衰え、滅びる。 護りたかった祖国は疾うに、地図の上から永遠に消えてしまった。そうして、悠久の刻だけが、チャールズの手に遺された。]
(+20) 2013/11/25(Mon) 23時頃
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女神に剣を捧げ、騎士となるべく龍と契約を結びました…身に余る力と命を手にいれて、戦い続ける事に意味が有ると盲信して。 …けれど、護りたかったものは、全て砂粒みたいに零れ落ちていった。この手をすり抜けて、何もかも。
[どれほど傷を負っても、痛みを受けても。寧ろ、そうある事が正しいのだと信じていた。護る為に、自分の命を切り落としたかった。
半身と共に、戦って、死ぬ。
心臓を捧げたその契約は、若き日のチャールズにとって共に生きる為ではなく、共に死ぬ為のものだった。 たとえ護り切れていたとしても、その先に在るもの等考えもしなかった。 なんて愚かな、自分。]
(+21) 2013/11/25(Mon) 23時半頃
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──…それでも、今は。この生にも、意味はあったのだと。 生きていくという事は、全て等しく、無意味で、価値の有るものなのだと。そう思えていますから、……。
[そう思わせてくれたのは。 静かに目を伏せ、この村で過ごした二百年に近い時を思う。 忌み嫌われた事も、怖れられた事もあった。けれど、折り合いを付け、和解し、受け入れられ。今も、自分は此処に在る。
生きていてもいいのだ、そう思わせてくれたのは、何時だってこの村で共に生きていく者達の温かさだった。 そしてそれは無論、目の前に居るエリサもそうであって。
だからこそ彼は、今この瞬間も、愛おしむ様に彼女を見詰めているのだった。]
(+22) 2013/11/25(Mon) 23時半頃
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……っ、………エリ、サ、…。
[黙って昔話を聞いていた彼女に、名前を呼ばれ。ぽつん、と、呟かれた言葉に、反射的に息を飲む。 痛ましい程に痩せた彼女の細い手を、握る事が出来たならどんなに良かったか。 たったそれだけの事すらしてやれず、それでも代わりの様に彼女の名前を呼んだ。息が詰まって、途切れそうになる。
死にたくない、そう言った彼女に何もしてあげる事が出来ない。 病を治す事も、代わってやる事も。
テーブルの下で強く拳を握った。爪が皮膚に食い込んで、鈍い痛みを訴える。いっそこの血に、他の龍族の様に他者の命を永らえる魔法が備わっていれば。──いれば、何だ。この呪いの様な生に、彼女を付き合わせるというのか。
ぐるぐると巡りそうになる思考を振り払う。 何を言ったところで、実際に病で苦しんでいる彼女の、何の慰めにもならないだろう。]
──…私は、君に。幸せで居て、欲しかった。どんな時でも、たとえ──終りが来ると、しても。
[絞り出すような声の、小さな呟きは、果たして届いてしまっただろうか。]
(+25) 2013/11/26(Tue) 00時頃
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