72 人狼戦隊ウルフマン ーThe Movieー
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― 研究所 ―
[トルクの大きな排気音がドッグに喧しく滑り込んでくる。黒木が研究所に戻ってきた。仲間が待つ指令室にまで行く道すがら、メットを抱えていない方の拳を壁に叩きつけた]
クソッ!どうなってんだ
[油圧式の自動ドアが開くのを待つのもイラだたしそうに、不機嫌な顔の黒木が部屋へ入ってきた]
譲司、シュウから連絡はあったか? ――……源太?…杏菜はどこ行った ん?
[優しい声音を出そうと努めるが、眉の間に深く掘り込まれた縦皺は消えていない]
……何かあったのか
[通信のチャンネルを合わせなおし、概況を映し出すコンソールを仰ぎ見た]
(3) 2011/12/18(Sun) 01時頃
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[立ち尽くす黒木の後ろから、真琴が譲司の元へと走り寄る。それが出来ない自分に黒木は一瞬、歯噛みして視線を落としてしまう。だがそうした顔を見せるわけには行かない。すぐに険しい顔を計器類へと向けた]
俺も通信を聞いたまでだ、何があったかはわからないが ワクチンを取り損ねたとか……? ワクチン、一体何が起こってるんだ 譲司が見た病人ってやつはまさか……人狼族の仕業なのか?
[思考の海にまたも漬かり始める。人を息苦しくさせる嫌な沈黙が雪のように降り積もる……その時、背後の扉が音を立てシュウを中へと招き入れた]
シュウ!てめ
[何やってんだ、と怒りのままに続け掴みかかろうとした黒木の腕はやり場を失い立ち尽くした。元気すぎるほど元気なシュウが、今はどさりとものも言わずに倒れかかったのだ]
シュウ…… お前、源太は、杏菜は見てねえか?
[胸の宝玉が悲しげに光っているのに気づいた……]
(10) 2011/12/18(Sun) 01時半頃
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[渋い顔をして、項垂れた。白百合仮面を前にしておめおめと敗走した自分とてシュウを叱りつけられる立場にはないのだ]
白百合仮面……あの女か。 クソッ俺があの時潰せていれば…… [シュウは傷つくこともなかったのだ。本当にワクチンを持っていたとして、それに気づくことができればなおのことだ。傷ついたシュウの姿に苛まれ、奥歯をきつく噛んだ]
譲司、咳は大丈夫か? 奴らの捲いた病気は俺たちにも感染するってのか…? そんな強いウイルスなら……人々が危ねえ 源太…杏菜……無事でいてくれ……
[一度は守った平和がいま、再び崩されようとしている。 今こそ5人が力を合わせる時。なのに]
なんだこの違和感は……
[震えるように光る黒い宝玉を、ドッグタグごと握りしめた ―――*つづく*]
(22) 2011/12/18(Sun) 02時半頃
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― 研究所 ―
[マコトからシュウにきつい一発がお見舞いされた>>25。横目で見ながら、鼻で大儀に溜息をついた]
この忙しい時に……
[若者ってものは。青春ってものは。聞こえないように独りごちた後、]
追わなくていいのかよ
[つい口を出してしまった。やれやれと後ろ頭に両手の指を組みながら再びモニターに向かう。その時、白百合仮面からの通信が入ったのだ――…]
んだ?これは……
[自分を含むウルフマンたちの姿をした何かが街を、人々を破壊し脅かす姿が煽情的なほどショッキングに映し出されている。対して、白百合仮面の仲間たちが説く法=Aそれは人々にとってさぞ魅力的に映ることだろう]
これが――…正義の味方作戦=\―…
[黒木の瞳孔はモニターを見上げたままビクビクと収縮する。汗が眉間から冷たく流れるのを感じた]
(53) 2011/12/19(Mon) 00時頃
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連中は一体、何が目的なんだ!? あいつらに捕えられた源太を早く取り返さないと……ッ!
[黒木の拳が硬くなり膨れ上がる。古い木を切り倒す時のような音を立てていきり立つ拳をもう一つの手が押しとどめた。だが後ろから、シュウの声が>>40が聞こえた]
何をのんきな――…!
[怒りを持て余し、放ちだした黒木の黒いオーラは、そこでハタと勢いを失くした。ペロリ舌を出したシュウの顔が黒木から緊張と恐怖を奪った]
――……シュウ。そうだな。 焦っても仕方ない。俺たちは俺たちらしくやることをやるだけだ。 いつも通り、だな。リーダー。
[肩をすくめて、フッと笑う。だからこの男にはかなわない。 そんな時、胸の宝玉が光を放ち、シュウやジョウジの宝玉と同じ一点を指し示し始めた]
……なんだ…と…
(55) 2011/12/19(Mon) 00時頃
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[>>57な様子のシュウを見て、ニヤニヤ笑いを始めた黒木。機転を利かせてこちらへ回ってきた譲司に向き直り、意図的にシュウを視界から外す]
だな。譲司。大人はばかやろうばっかだわ。 にしても――…体調は大丈夫なのか? 本当にどこもなんともないな?
[片膝を折り、目線を合わせようとした]
(67) 2011/12/19(Mon) 01時半頃
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[ ――…その時… 一条の光を指示していた胸の黒の宝玉が、はじめは途切れるように。段々くっきりと何かのイメージを目の前に映し出した。ホログラフに映っているのは――]
アンナ!ゲンタ!
[杏菜は茫洋と立ち尽くし、源太は何者かに囚われている。二人は動かない。返事もないのに、黒木は名前を叫んでしまう。そして聞こえてきた>>64。冷たい声だ。煮えたぎった腹が逆に、不思議なほど深々と冷えていく。低く地を這う黒木の声が、新しい謎の存在に返事を返した]
……ふっ、人質を取って絡め手はご遠慮とは。 随分殊勝な敵さんなこった。 ―――…上等だ。ってやろうじゃねえの。
[手のひらの中で、握った拳の指を音を立てて鳴らす。人狼族の血を伺わせる、野卑な笑みが黒木の顔に浮かび上がった。目尻の笑い皺がギュッと寄った]
リーダー、音頭をとってくれ。 ジョウジ、マコト、聞いてるか? 決戦タイムの始まりってやつじゃねえか?
一丁やってやろうじゃねえの。パーティタイムだ。
[LET's PARTY TIME...>>>*つづく*]
(70) 2011/12/19(Mon) 01時半頃
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― 回想:研究室>>70 ―
[シュウが戻ってきた。残り少ない仲間たち一人ひとりの顔を見回し、表情を見回している。黒木はシュウと目を自ら合わせ、ゆっくりと頷いた。シュウが息を吸い込み、糸を張ったように空気が鎮まる。 リーダーの音頭が始まる]
俺たちは……強い。
[本当の決戦、に唱和する。仲間の為に、平和の為に] この青い地球(ほし)のために――― [シュウの後を引き継ぐ一人となり、唱和を引きつぐ]
『『『『ウルフマン、始動!!』』』』
[戦士たちの声が一つになった]
(93) 2011/12/20(Tue) 00時頃
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