30 ─今夜、薔薇の木の下で。
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[一瞬か、永遠か。 二人の間の緊張状態は、ルーカスの声に破られる。
彼同様にかつて被害者であったことも、被害者も加害者になりうるということも、おそらくはその前髪に隠そうとして隠せなかった視線の主には今はわかるまい。
薔薇の香が…望むならばその手の内へ堕ちてこいとささやいていることも。]
…あー!そういや昼飯食いそびれてたんだった。 道理で腹減って動けねぇと思ったら! [メシ喰いにいこうぜーと支度を始める姿は、既に年相応の幼さを残した様子。 先程の獣じみた男臭い色香はだらしなく着崩した衣服の下へ隠された。]
(9) 2010/09/06(Mon) 01時頃
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おう、じゃ…あとで。 [貪欲な獣は、ちらりと片目でラルフを見た。 されど、新たな味を覚えたばかりのケダモノは、今は泣き叫ぶ者を無理やり組み敷くことよりも、あの美しき淫魔の如き下級生のように、自ら望んで腰を振る者の方に惹かれるのだろう。
名がでれば、姿は浮かぶも記憶は曖昧。 咲き誇る薔薇の下で月明かりに照らされ、髪も服も乱したままで眠る姿が美しかったことだけは覚えているが、流石にそれは誰にも言えぬこと。]
…ベネさん拗ねさせちまったしなぁ…。 あの人、今夜は戻る気ないんだろか…。 [ぽつりと零しつつ、食堂へ向かう。]
(14) 2010/09/06(Mon) 01時半頃
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ドナルドは、廊下の先の騒ぎに首を傾げるも、今は空腹をなんとかするため食堂へ。
2010/09/06(Mon) 01時半頃
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[野菜たっぷりの煮込みから、緑豌豆だけを器用に避けながら、 想い募らせるは同室の…。
なんだかもう、どう接すればいいのかわからなくなってしまっていた。]
(34) 2010/09/06(Mon) 02時頃
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…それなんすよねぇ…。 [こうしていれば年相応の悩める姿。]
こういう時って、どうすりゃいいのか…わかんなくて。 [踏み込みたくて、穢したくない。そんな微妙な胸の内はうまく言葉に出来ない。
されど、理性の鎖はとうに千切れてしまったから、きっと欲しくなればもう堪えることなど出来ないだろう。]
(50) 2010/09/06(Mon) 03時頃
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[交わされるのは、いつもどおりの顔での他愛のない会話。 それはまるで、人の皮を被った狼のように周到に。
見ての通りの大柄な身体にあわせてか、年相応の食欲は旺盛。 精気を吸い尽くされ衰えた活力を少しでも満たそうとするがごとく。
本当は食事など、足しにもならないのだけれど。
普段ダイエット中の少女もかくやという量しか口にせぬ先輩が、自分が平らげるものと左程変わらない量をぺろりと何処かへ消し去るのに、隻眼はちょっと丸くなった。]
(60) 2010/09/06(Mon) 03時頃
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…身体が、欲してる…って感じっすか?
[冷えた牛乳の、大きめのグラスを握ったまま。] どちらかってぇと俺なんかは…何でもいいから長靴いっぱい食べたい、って事の方が多いかも。
わりと、いつでも腹ペコっすよ。無駄に成長期だから。 さすがにもう伸びなくてもいいやなんて思うのは、贅沢っすかね?
(67) 2010/09/06(Mon) 03時半頃
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…デカ過ぎても、それはそれで目立つだけ…だから。
[上級生からの仕打ちは恵まれていたことに対する嫉妬。 あの世界は大きさ強さだけが価値だったから。 「先輩より大きいなんて生意気だ」「新入りのくせに見下ろすな」 そんな理不尽な理由で繰り返された折檻は次第にエスカレートして。
大人しく折れることが出来なかった気質と、本気の加減がわからなかったこと、それが起こしたあやまちの代償がこの片目と今の境遇。 されるがままに抗わずにいれば、不快な嫌悪感を堪え続けるだけで済んだものを。]
ゆっくり寝れるといいっすね。 頭使いすぎると眠れなくなるから…適度に身体も使ったほうがいいのかも。 [いつものように青白い姿を、少し心配してそう言って。 空になった食器を、ついでに先輩の分も片付ける。]
(95) 2010/09/06(Mon) 08時半頃
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そっか…ベネさんちゃんとメシ喰ったかな。
[言われて、あぁ…と気づけなかったことに苦笑い。]
寮母さんに聞いてみて、まだみたいだったらなんか包んでもらったほうがいいか…。 ありがとうございます。俺…そこまで気ぃ回らなくて。
[話をする口実にも出来るだろう。それに気付かせてくれたラルフへと礼を言い、サンドイッチと冷えた紅茶を包んでもらう。
青い薔薇の香りとともに、食堂をあとにした。]
(96) 2010/09/06(Mon) 08時半頃
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ベネさん、居るー?
[不躾に医務室のドアにされたノックは、中に居たサイラスにとって最悪なタイミングであったか否か。 ロビンが体調悪くて休んでいることと、訪ね相手の不在を知るとそっとその場をあとにする。 お弁当の包みをぶら下げて、その姿をとぼとぼ捜しに行った。]
(98) 2010/09/06(Mon) 08時半頃
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[自室にも姿はなく、あと思いつく場所はひとつしかなかった。
居心地悪く窮屈で、けれども心をうつほどに美しく、不可侵であるべき神聖な… あの人と同じ雰囲気を持つ空間。
無自覚に香る濃厚な薔薇の香は、近づいていくたびにその聖なる空気すらも少しづつ穢していく。]
(100) 2010/09/06(Mon) 09時頃
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[扉の開いたままの礼拝堂。 月明かりを浴びた後ろ姿はあまりに高潔で美しく。
永遠にこのままでいて欲しいという仄かな思いとは裏腹に、 毎夜見る夢は、主なる神の在るこの場所で、彼を穢しモノにする妄想。 神の御下で経験な使徒を寝取る最悪の冒涜。
手を出せばきっと、もう抑えられない。]
(102) 2010/09/06(Mon) 09時頃
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[微かに聞こえた、名を呼ぶ声。 そっと背後へと歩み寄るも触れることは出来ず。 かすかな声で、祭壇へ捧げる祈り。]
…主よ、罪深きわたしをお赦しください。 大切な隣人に、邪な想いを抱いた罪を。
…叶うならば、貴方の御下からその方を奪い去ってしまいたい。 たとえそれで如何なる罪に問われ、地獄の業火に落とされようとも。
罪深き私を罰し、私を赦し、導いてください。 …このような邪な想いを抱くことなどないように。
(104) 2010/09/06(Mon) 09時頃
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[振り向いた彼に、どんな顔をしていいのかわからなくて。
ただ隻眼は、月光に輝く姿を見つめていた。]
(105) 2010/09/06(Mon) 09時頃
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…謝ること、ないっす。 本当に酷いのは…俺の方だから。
[父なる神の見守る前で、劣情と共に想い人へと手を伸ばす。 その冒涜とも言える背徳感に、罪深さに身の奥のどす黒い獣は煽られて。
歩み寄る彼を抱き寄せ、神へと魅せつけるがごとく唇を寄せた。]
(107) 2010/09/06(Mon) 09時半頃
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[とさりと、足元へ落ちる弁当の包み。 自分よりも華奢な背中へと回した手は、スルリと腰をなぞり、 巻き毛の彼から薔薇園で教えられたように甘く熱く唇を貪った。
心の何処かで拒絶して欲しいとすら思いながら。]
(109) 2010/09/06(Mon) 09時半頃
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[胸に触れる手の感触、たしなめる言葉にはたと我に返って。 罪深さに怯えた隻眼が揺れる。]
す…すんませんっ!!! [ただ、こわくて。 わき目も降らず逃げ出した。*]
(111) 2010/09/06(Mon) 10時頃
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─ 自室 ─ [ドアも窓も閉め切って、勉強机に大きな体を伏せる。 上がっていた息が落ち着くうちに、広がる罪悪感に胸が苦しい。
チラリとみた窓の月明かりに、先程の獣じみた行為を思い出す。 幾度も貪欲に求めてきた下級生がそろそろ目覚めて部屋へ戻っていてくれたらと、思った。 互いに割り切った上で、腹いせのように乱れた行為。 なのに、それだけでは満たされぬと強く実感するだけでしか無かった。
ポケットのガラス玉を手に取り、読書灯にかざす。 変色し揺らめく世界は歪んで、 まるでその小さな玉に封じ込められたよう。]
(123) 2010/09/06(Mon) 16時頃
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[酷く身体は毛怠くて、ガラス玉の中の世界がぐらりと回る。 いつのまにか、机に突っ伏して無防備に眠りに落ちていた。]
(124) 2010/09/06(Mon) 16時頃
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[月の光と薔薇の木の下で、乱れた肢体も 露わなまま、ユーリィは醒めぬ甘い甘い悪夢を見続けている。
深く眠りに堕ちてなお、薄く開いた薔薇色の唇は王子様のキスを待つ眠り姫のように蠱惑的。 されど、この呪いは口づけだけではきっと解けやしない。]
(156) 2010/09/06(Mon) 20時頃
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[机に突っ伏して見る夢は、甘く狂おしい時間の続き。 けれども、ねだるように笑う姿はあの下級生ではなく…]
…いまは、まだ [いけないと、そう思うなら、一体いつなら良いというのか。 目覚めた時傍にいた温もりを押し倒したい衝動を堪えて。 それでも抑えきれぬ想いを、そっとうなじに唇寄せて刻んだ。 まるで鮮やかな薔薇の花弁のように。]
(206) 2010/09/06(Mon) 23時頃
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[蒼薔薇の香りと呼ぶ声に、ふらり夢遊病者のように引き寄せられて、何時の間にか手をかけていたのは医務室のドア。]
ずいぶんと、お愉しみだなぁ? [笑み浮かべたは凶暴なケモノ。]
(212) 2010/09/06(Mon) 23時頃
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今日のとっておきは、スコッチじゃなくそれかい? [奇しくも、あの時内緒で開いた酒宴の続きがここでは開かれて。 回し飲みされるのは、酒ではなく年下の品行方正な優等生。]
いい顔、してるな。 …ブルーノせんせが見たら、どう思われるかねぇ。 [彼に目をかけている生徒指導の教師の名を耳元で囁いた。]
(216) 2010/09/06(Mon) 23時半頃
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[こちらを使えと促すサイラスに頷き、カチャカチャとベルトを緩めていく。 まだ半勃ちのそれで、ぴちゃりと少女めいた薔薇色の頬を叩いた。]
(217) 2010/09/06(Mon) 23時半頃
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[ユーリィの眠る場所は、殊更薔薇の香りが高い。 それこそ性的に不能で無い限りは、正気ではいられぬほどに…。]
(224) 2010/09/06(Mon) 23時半頃
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[虐待の方法なら、それこそいくらでも身にしみている。 それになにより、この年下の秀才の眼差しは、あの頃のあいつらのものによく似ていた。]
…何すりゃイイんだか、わかってんだろ? 歯なんか立ててみろ。…全部折ってやるから。 [身を屈めて耳元に囁く言葉は、睦言などではなくドスの利いた脅し。]
(230) 2010/09/07(Tue) 00時頃
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[下卑た笑いを口許に浮かべ、従順に奉仕する少年の短髪をがしりと片手で鷲掴みにした。
与えられた仕打ちでねじ曲げられた性根。 大事なモノでないのならば、ひどい仕打ちを与えることに何処か歪んだ悦楽が湧く。]
…コッチの方も、随分優等生じゃないか。 [快楽にはあまり慣れてはいない。 次第に熱と硬さを増しながら、はぁと思わず吐息を零した。]
(241) 2010/09/07(Tue) 00時頃
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…はぁ……ぁ、ッ! [普段小言しか零れぬ唇に与えられる快感に耐えきれず、 ガシリと髪を掴んで、無理やり喉の奥まで深く捩じ込む。 咳き込もうとお構いなしに、いやそれにすら酷く感じて、激しく口内を犯し尽くした。]
(248) 2010/09/07(Tue) 00時半頃
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……くぅ、っ!!
[先に果てたのはこちらの方。 どくりと強く脈打って、男臭い濃いものを少女が如き可憐な唇の奥へとぶちまける。
荒く肩で息をして、脱力。]
(257) 2010/09/07(Tue) 00時半頃
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随分、慣れたもんだな。 [後始末の手際の良さをぼんやりと眺め、シーツ交換くらいは多少手伝うか。 壊れた人形のように横たわる少年の髪を無造作に撫ぜ、耳元で小さく囁く。]
…またイイ思いしたくなったら、優しい先輩にでもねだりに行けよな? [くく…と下卑た笑みを残して、医務室を出ていった。]
(265) 2010/09/07(Tue) 01時半頃
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[気怠い身体を引きずって、だらだらと廊下をゆく。 ふと見上げた窓の外の月。 ポケットに大事にしまったガラス玉を手に取りかざせば、その中に月も雲も夜の闇も閉じ込められたよう。]
(270) 2010/09/07(Tue) 01時半頃
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[手のひらの中の小さな世界。だまってそれにみとれている。]
(272) 2010/09/07(Tue) 01時半頃
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[身体と心のほとぼりを冷まして、帰った自室はもぬけの殻。]
…ベネさん…?
[眠っていたはずの姿がそこにないことに不安になるけれど、心当たりはなくて。 寧ろ、隣で寝ていたのも医務室があんなことに使われていたこと自体が夢で、本当は帰ってきてすら居なかったのかも知れないと…
けれども、やつれた身体は言うことを聞いてくれない。 ぺたりと床に座り込み、いつしか甘い夢に誘われる…**]
(299) 2010/09/07(Tue) 04時頃
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─ 朝 ─ [床の上で目覚めた身体は酷く怠くて、伸びをすれば全身が軋むような気がした。]
…どうなっちまってんだ、いったい。
[頭痛混じりのはっきりしない意識に額を抑えると、まだ少し痛む気がして。 いくつかの仲違いがおかしいと言っていたのはラルフだったか。 なにかがおかしい気がする。己も含めて。 だが、そこから抜け出せぬほどに既に染まりすぎていた。
香る蒼薔薇。ほぅと溜息を付けば、甘い香に痺れる脳髄。 すべて不確かな夢であればいいのに。 それならば、力づくで手に入れることも…]
(351) 2010/09/07(Tue) 18時頃
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[窓辺に寄ると、いつもどおり薔薇に水を撒く姿が見える。
キラキラと朝の日差しに輝く水の粒と、鮮やかに咲き誇る花と。 昨夜の饗宴があまりに遠く、けれどもあまりに鮮烈に思い起こされて、 胸に刺さるような罪悪感と裏腹に、蘇るのは脳髄を焼くような強烈な快感と、獣じみたどす黒い衝動。
熱孕み脈打つケダモノを、はぁと息を吐いて宥める。]
(355) 2010/09/07(Tue) 18時半頃
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[窓辺から見下ろしていた隻眼の視線は、庭にいた彼の手を染める赤に釘付けになっていた。 舐めとるその舌の仕草に惹きつけられて、声も出せぬままただ見つめている。]
(368) 2010/09/07(Tue) 20時半頃
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…ぁ…… [ただとても、鮮やかで痛々しくて。 触れるポケットの中、硝子玉は指先で転がる。
痛々しいのは傷だろうか、それとも…。] その手で、手当てできんのかよ… 医務室だな?今、行っから。
[ただ、放っておけなくて。 部屋を飛び出して医務室へ向かう。 …本当は、そこにいるはずの人に会う口実が欲しかっただけかも知れない。]
(372) 2010/09/07(Tue) 20時半頃
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[二階の部屋からだったせいか、少し遅れてその部屋へつく。 深夜の宴の痕跡は無く、まるであれは夢ではなかったかと思うほどに。
部屋を任されているはずの人の姿はなく…]
…あー…いいっすよ先輩、俺が捜すから。 休んでて…。
ベネさん、戻ってきてないんかなぁ… [高い視線であれば他の者よりは棚を捜すのも容易。 消毒薬と脱脂綿、ガーゼと…
床に落ちていた、細く紐のように撚った包帯。 ぬるりと粘液のついたそれをみてギョッとし、慌ててくずかごへと捨てた。]
(383) 2010/09/07(Tue) 21時半頃
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…どうしたんすか、こんな……
[深く刺さったような傷を、ガーゼで上からしっかりおさえて。 多少簡単な応急手当は、以前いた所で教わっていたから。
赤く汚れた手と、翡翠の目の彼の口許。 その鮮やかさと部屋に染みた薔薇の香に、ぼうと頭の芯が痺れて。
隻眼の視線は、血濡れた唇から離せない。]
(384) 2010/09/07(Tue) 21時半頃
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[笑みの形へと歪む赤から目を離せぬまま。 傷口を押さえている格好は、手をとっているようなもので。]
…あぁ、嫌いだ。 綺麗すぎて、目立ちすぎて…
無くなっちまえ、って…思う。
[握った手は離さぬまま、背を屈めて近づける顔。 その唇を彩る赤を拭い去ろうとするのは熱に浮かされた舌。]
(390) 2010/09/07(Tue) 22時頃
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[悲鳴がごとく漏れる声と、陶酔の熱を孕んだ吐息。 それがどうしようもなく劣情を煽り、頭の芯を痺れさせる。
口づけの甘い悦楽は未だぎこちない覚えたての… 舐めとった鮮やかな赤を味わい、もっと欲しいと唇を塞ぐ。]
(398) 2010/09/07(Tue) 22時半頃
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[ただ心地良くて、もっと欲しくて。 そこにあるのは子どもじみた我侭な欲望だけ。]
…はふ……ん、ちゅ…… [貪欲な舌が口腔を犯し、くぐもった水音を立てる。 縋るような指先を胸元へと導き…
躊躇なく奪えるのは何故だろう。
…一番大切では、ないから?]
……っ! [はっと何かに気づいたように離れて、愕然とした表情のままうなだれる。]
…すんません、…やっぱり、俺……どうかしてる。
(405) 2010/09/07(Tue) 23時頃
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…いや、そうじゃない…そうじゃねぇんだ。
[見あげる瞳に、どうしていいかわからずに。]
ダメ、じゃねぇ…だから、困ってる。 …あの人には、これ以上出来ないのに…… [心と体がちぐはぐ過ぎて、感情の行き場がわからない。]
遠慮無くできそうな気がしちまった。 …どうでもいいから…なのか? [だとしたら、あまりにも…身の内の獣は醜すぎる。]
(417) 2010/09/07(Tue) 23時半頃
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[叶えられぬ想いならば、いっそ誰かを身代わりに…
鎖骨に刻まれた紅い痕が急激に色を変えていく。]
(420) 2010/09/07(Tue) 23時半頃
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[愛していないなら、いくらでも穢せる。 身の内の獣の本性はそれ。
この目の前の硝子玉を、己の色に染めてしまおうか、 それとも…既に手に落ちたあの少女人形を、もっと壊してしまおうか。
キシリと引攣れて痛むのは、既に蒼紫へと変わった棘の痕。]
(421) 2010/09/07(Tue) 23時半頃
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…わかってんだ、でも……
[髪へと伸ばされる手を、止めることもせずに]
嫌われたく、ねぇんだ。…こんな穢い俺に幻滅されたくない。
好きじゃないなら、いくら嫌われたって構わねぇから…気にもならない。
…酷いよな。 こんな自分勝手で醜くて。
あの人に合わせる顔もねぇ。
(432) 2010/09/07(Tue) 23時半頃
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[ぽたりと隻眼から溢れるのは、曇りなき透明な硝子玉のような雫。 それは触れ合っていた手へと落ち、散り散りにはじけて消えてしまった。]
(445) 2010/09/08(Wed) 00時頃
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…ぁ…… [うなじを撫ぜていく手。 囁かれる声は理性を蕩かすように甘く…]
…ここじゃ、ダメだ… [場所を移そうと願ったのは、あの人がここに来ることを恐れたから。
欲望のままに滾る獣の自分を、あの人にだけは見せたくなかったから。
手を引き、医務室から離れようとする姿は、こちらに向かう者に偶然見られてしまうかも知れない。]
(452) 2010/09/08(Wed) 00時頃
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